78 / 80
第三章 結婚に向けて
28.魔女の陰謀
しおりを挟む
「あの女や! 間違いない。どうやったかは分からへんけど、ローズ女王はんの赤さんに、呪いをかけてるに違いない!」
足早にローズの元に行って進言したイサギに、ローズはその可能性に気付いたようだ。地下牢からイサギの母親を連れて来させる。
異臭を放って痩せ細り、もう長くないことを感じさせるかつて国を傾けた魔女は、目だけぎらぎらと光らせていた。
「赤さんが死にかけてるんやて。お気の毒やわぁ」
「貴様が仕組んだことか?」
「牢の中のうちに、何ができますやろ。濡れ衣もええとこやわ」
殺しかねない勢いで問いかけられて、イサギの母親は場違いにきゃらきゃらと笑う。彼女の目を見てはいけないことを、イサギは知っていた。
魅了の魔術でひとを操る彼女が、牢に食事を届けに来た衛兵を操って、王子に呪いをかけたとしても、何も不思議はない。
「あんさん、過去にも同じようなことしてはるやないか」
「クリスティアンのこと、忘れたとは言わせませんよ」
詰め寄るイサギとエドヴァルドに、後ろ手に縛られたままで、彼女は細い首を傾げる。
「勘違いやあらしまへんか? うちがしたって証拠でもありますのん?」
「最初の夫を殺し、セイリュウ領の前領主も殺し、前国王も手にかけようとして、私の可愛い妹にドラゴンになる呪いをかけ、セイリュウ領領主に罪を着せ、私を国外に行かせた。そんな女に疑う余地がないとでも思うか?」
「疑いで罪を裁かはるんですの? 大した女王様やなぁ」
喉を反らして笑う彼女の首の細さと白さに、イサギはぞっとした。折れそうに痩せた細い体で、死にかけながらも、まだ彼女は世界を憎んでいる。
「あんさんのお姉さんを自殺させた男は、次期領主の座を蹴り落されて、領地から追放になってるで」
「は、ははっ! いい気味やわ」
「それで、あんさん、何に復讐するんや?」
イサギの問いかけに、彼女は動きを止めた。
「殺したいなら、その男を追いかけて行ったらええやないか。なんも関係のない罪のない赤さんを殺そうとしてるあんさんは、その男と同じや。いや、その男以下や。亡くなったお姉さんも、そんな最悪の妹持って、可哀想になぁ」
「何が分かる! セイリュウ領の領主の従弟として愛されて育てられて、男同士の結婚にも後ろ指刺されへんお前に、何が分かるんや!」
「なぁんも分からへん。あんさんの気持ちなんか分かるわけないやろ。分かりたくもないわ。亡くなったお姉さんは赤さんを失って、悲しかったやろなぁ。同じことを、あんさんは、何の関係もないローズ女王はんとリュリュ様にさせようとしてるんやで」
「うちは、違う! 復讐をしてるんや!」
「誰に?」
「うちは……」
狂った母親の目に、一瞬、正気の色が戻った。視線の先には、睨み殺さん勢いで剣に手をかけているローズと、熱は下がったが予断は許さない状態の赤ん坊を抱いて癒しの歌を歌い続けて泣いているリュリュがいる。
「みんな、死んでしまえばええて……」
「そうやって、赤さんを殺すんか? 自分の命を絶ってしまいたいくらいに悲しんだ、赤さんを亡くしたお姉さんを、知っとるのに」
「……あんさんも、赤さんが死んだら、死んでしまいたいと思うんか?」
頼りない子どものように震えて問いかけた彼女に、ローズが赤ん坊をリュリュから受け取ってしっかりと抱き締める。
「この子が生きられるならば、私は自分の命と引き換えにしても構わない。母親とはそういうものだろう」
「うちは、イサギもツムギもいらんかった……邪魔やった……うちは……何を間違えてしもたんやろ……」
ごめんなさい、お姉はん。
くしゃりと彼女の身体が床の上に崩れ落ちる。這いつくばって泣いている彼女は、もう憎しみに囚われてはいなかった。
全てを話せと言われて、大人しくぽつぽつと話し始める。
「呪いのかかった魔術具を、作ったんや。残りの魔術を全部込めて」
髪を編んで作った細い編み紐のような魔術具を、操った衛兵に持たせて、衛兵を媒介に使用人を操り、赤ん坊のベビーベッドの布団の下に仕込ませた。
情報を得てすぐにベビーベッドが調べられて、布団の下から編まれた黒髪が出て来る。
焼き払おうとするローズの手から、ジェーンが素早くそれを取り上げた。
「かけられている魔術を解析します。イサギさん、エドヴァルドさん、調合室へ!」
ジェーンを先頭に調合室に入ったイサギとエドヴァルドは、流行り病に似た症状が出る呪いがかかっていることを突き止めて、さっそく調合を始める。菌による流行り病ではなく、魔術による流行り病なのならば、それを中和する魔術薬が必要だ。
新生児には強すぎるかもしれない薬に躊躇うイサギに、エドヴァルドが手を握る。
「イサギさんを信じています。お母さんとのこと、立派でした。何が起ころうと、ローズ女王は王子を愛して育てます。イサギさんが責められることになっても、私は決してそばを離れません」
「例え、障害が残っても、死んでしまうよりも、生きている方が親は嬉しいに決まっているじゃない」
ジェーンにも背を押されて、イサギは調合を終えた魔術薬を注射器に入れて第二王子のところに行った。ユーリを抱いたリュリュと、第二王子を抱いたローズが待っていてくれる。
「この子の名前を決めていたんだ。ラウリ。リュリュが付けてくれた。良い名だろう?」
「ラウリ、お父さんとお母さんが一緒ですからね」
抱き締められたままで弱弱しく泣くラウリのお尻に、イサギから注射器を受け取ったジェーンが魔術薬を皮下注射していく。熱の残る真っ赤な顔だったラウリは、魔術薬を打ってしばらくすると、元気な声で泣き出した。
母乳を与えると、ごくごくと今まで飲めなかった分を取り戻すように飲む。
「急に飲ませすぎませんように。吐いてしまいますので。でも、吐いても、少しは吸収しているので、水分補給だけでもできたと思って気落ちせずに、欲しがったら何度も飲ませてください」
ジェーンの説明に、ローズは胸に吸い付くラウリを愛おし気に見下ろしていた。
「良かった……ありがとうございます、イサギ様」
「そなたには二度も助けられておるな。この礼は必ず」
「礼なんて、とんでもないです。俺は、赤さんが元気やったら、それでええ。それに、俺の母親のせいやし」
「母親ともよく戦った。そなたは立派な勇者だ」
母乳を飲ませ終わってから改めて礼を言われて、イサギはくすぐったいような、申し訳ないような複雑な気分になる。二年前に王都で空回っていたときとは全く違う、達成感があった。
「イサギさんの薬草を育てる能力がこれで、認められましたね」
「俺のマンドラゴラ、なんか違うんか?」
「何も受け付けなかったラウリさんが飲めたんですよ」
あれで命を繋いでいなければ、真相に辿り着く前にラウリは死んでいたかもしれない。エドヴァルドに言われて、初めてイサギは自分が薬草を育てる能力に秀でている可能性に行き当たる。
「俺の、栄養剤で、学校のマンドラゴラが脱走したのも……?」
「普通のマンドラゴラは脱走しないし、自分たちから薬剤になろうと覚悟を決めません」
「俺は、凄いんか?」
「凄いですよ」
王宮やテンロウ領の領主の御屋敷で飼われている特殊なマンドラゴラを育てる能力を持っていると有名なイサギは、本人は全くそんな自覚はなかった。サナの薬草畑で働くように言われて、見てきたマンドラゴラは全てあんな風に個性豊かだったので、マンドラゴラとはそんなものだと信じていたのだ。
自分でまな板の上に乗って来た蕪マンドラゴラも、イサギが育てたからだと言われれば、誇らしさよりも驚きが勝る。
「エドさんと並んで劣らん男になれてるやろか?」
「女王から感謝される学生ですよ。将来が楽しみです」
「俺は良い男になれてる!?」
驚いて大きな声を出してしまったイサギの耳に、エドヴァルドがそっと囁く。
「ずっと良い男でしたよ。毎日、更新してますけど」
真っ赤になって思わず抱き着いたイサギを担いで、エドヴァルドは無事にセイリュウ領に帰ることができた。領主の御屋敷にナホを迎えに行くと、脚に飛び付いてくる。
「おかえりなさい! おうじさまをたすけたって! が、がんばったの。ナホも、がんばったの」
「ナホちゃん、お留守番頑張ったな」
「ただいま帰りましたよ」
大きな青い目からぼろぼろと涙が零れ落ちる。
「おとうさんと、おかあさんみたいに、かえってこなかったらどうしようって、こわかった……カナエちゃんはだいじょうぶだって、なぐさめてくれたの。レンさんもサナさんも、すぐにかえってくるって……かえってきてくれて、よかった」
わぁわぁと声を上げて泣くナホを、エドヴァルドとイサギで抱き締める。
ほんの一日でもナホは過去のことを思い出して不安になってしまったようだ。それを受け止められるのもまた、エドヴァルドとイサギしかいない。
「王子様が無事で良かった……エドさん、イサギくん、お疲れ様」
「色々あったわけやけど……」
「もう、あの女も妙なこと考えへんやろ。ようやった、イサギ」
「サナちゃんに、褒められた!?」
ことの顛末を報告すれば、サナが珍しくイサギを褒めて、何事かとイサギは挙動不審になってしまった。
その日から、イサギの評価は本人の与り知らぬところで高くなっていて、王都からスカウトも来るのだが、それら全てをサナとエドヴァルドがイサギに行く前にシャットダウンしているのを、イサギが知ることはなかった。
王子の一大事も落ち着いて、イサギとエドヴァルドとナホはまた、セイリュウ領で平和な暮らしを取り戻した。
足早にローズの元に行って進言したイサギに、ローズはその可能性に気付いたようだ。地下牢からイサギの母親を連れて来させる。
異臭を放って痩せ細り、もう長くないことを感じさせるかつて国を傾けた魔女は、目だけぎらぎらと光らせていた。
「赤さんが死にかけてるんやて。お気の毒やわぁ」
「貴様が仕組んだことか?」
「牢の中のうちに、何ができますやろ。濡れ衣もええとこやわ」
殺しかねない勢いで問いかけられて、イサギの母親は場違いにきゃらきゃらと笑う。彼女の目を見てはいけないことを、イサギは知っていた。
魅了の魔術でひとを操る彼女が、牢に食事を届けに来た衛兵を操って、王子に呪いをかけたとしても、何も不思議はない。
「あんさん、過去にも同じようなことしてはるやないか」
「クリスティアンのこと、忘れたとは言わせませんよ」
詰め寄るイサギとエドヴァルドに、後ろ手に縛られたままで、彼女は細い首を傾げる。
「勘違いやあらしまへんか? うちがしたって証拠でもありますのん?」
「最初の夫を殺し、セイリュウ領の前領主も殺し、前国王も手にかけようとして、私の可愛い妹にドラゴンになる呪いをかけ、セイリュウ領領主に罪を着せ、私を国外に行かせた。そんな女に疑う余地がないとでも思うか?」
「疑いで罪を裁かはるんですの? 大した女王様やなぁ」
喉を反らして笑う彼女の首の細さと白さに、イサギはぞっとした。折れそうに痩せた細い体で、死にかけながらも、まだ彼女は世界を憎んでいる。
「あんさんのお姉さんを自殺させた男は、次期領主の座を蹴り落されて、領地から追放になってるで」
「は、ははっ! いい気味やわ」
「それで、あんさん、何に復讐するんや?」
イサギの問いかけに、彼女は動きを止めた。
「殺したいなら、その男を追いかけて行ったらええやないか。なんも関係のない罪のない赤さんを殺そうとしてるあんさんは、その男と同じや。いや、その男以下や。亡くなったお姉さんも、そんな最悪の妹持って、可哀想になぁ」
「何が分かる! セイリュウ領の領主の従弟として愛されて育てられて、男同士の結婚にも後ろ指刺されへんお前に、何が分かるんや!」
「なぁんも分からへん。あんさんの気持ちなんか分かるわけないやろ。分かりたくもないわ。亡くなったお姉さんは赤さんを失って、悲しかったやろなぁ。同じことを、あんさんは、何の関係もないローズ女王はんとリュリュ様にさせようとしてるんやで」
「うちは、違う! 復讐をしてるんや!」
「誰に?」
「うちは……」
狂った母親の目に、一瞬、正気の色が戻った。視線の先には、睨み殺さん勢いで剣に手をかけているローズと、熱は下がったが予断は許さない状態の赤ん坊を抱いて癒しの歌を歌い続けて泣いているリュリュがいる。
「みんな、死んでしまえばええて……」
「そうやって、赤さんを殺すんか? 自分の命を絶ってしまいたいくらいに悲しんだ、赤さんを亡くしたお姉さんを、知っとるのに」
「……あんさんも、赤さんが死んだら、死んでしまいたいと思うんか?」
頼りない子どものように震えて問いかけた彼女に、ローズが赤ん坊をリュリュから受け取ってしっかりと抱き締める。
「この子が生きられるならば、私は自分の命と引き換えにしても構わない。母親とはそういうものだろう」
「うちは、イサギもツムギもいらんかった……邪魔やった……うちは……何を間違えてしもたんやろ……」
ごめんなさい、お姉はん。
くしゃりと彼女の身体が床の上に崩れ落ちる。這いつくばって泣いている彼女は、もう憎しみに囚われてはいなかった。
全てを話せと言われて、大人しくぽつぽつと話し始める。
「呪いのかかった魔術具を、作ったんや。残りの魔術を全部込めて」
髪を編んで作った細い編み紐のような魔術具を、操った衛兵に持たせて、衛兵を媒介に使用人を操り、赤ん坊のベビーベッドの布団の下に仕込ませた。
情報を得てすぐにベビーベッドが調べられて、布団の下から編まれた黒髪が出て来る。
焼き払おうとするローズの手から、ジェーンが素早くそれを取り上げた。
「かけられている魔術を解析します。イサギさん、エドヴァルドさん、調合室へ!」
ジェーンを先頭に調合室に入ったイサギとエドヴァルドは、流行り病に似た症状が出る呪いがかかっていることを突き止めて、さっそく調合を始める。菌による流行り病ではなく、魔術による流行り病なのならば、それを中和する魔術薬が必要だ。
新生児には強すぎるかもしれない薬に躊躇うイサギに、エドヴァルドが手を握る。
「イサギさんを信じています。お母さんとのこと、立派でした。何が起ころうと、ローズ女王は王子を愛して育てます。イサギさんが責められることになっても、私は決してそばを離れません」
「例え、障害が残っても、死んでしまうよりも、生きている方が親は嬉しいに決まっているじゃない」
ジェーンにも背を押されて、イサギは調合を終えた魔術薬を注射器に入れて第二王子のところに行った。ユーリを抱いたリュリュと、第二王子を抱いたローズが待っていてくれる。
「この子の名前を決めていたんだ。ラウリ。リュリュが付けてくれた。良い名だろう?」
「ラウリ、お父さんとお母さんが一緒ですからね」
抱き締められたままで弱弱しく泣くラウリのお尻に、イサギから注射器を受け取ったジェーンが魔術薬を皮下注射していく。熱の残る真っ赤な顔だったラウリは、魔術薬を打ってしばらくすると、元気な声で泣き出した。
母乳を与えると、ごくごくと今まで飲めなかった分を取り戻すように飲む。
「急に飲ませすぎませんように。吐いてしまいますので。でも、吐いても、少しは吸収しているので、水分補給だけでもできたと思って気落ちせずに、欲しがったら何度も飲ませてください」
ジェーンの説明に、ローズは胸に吸い付くラウリを愛おし気に見下ろしていた。
「良かった……ありがとうございます、イサギ様」
「そなたには二度も助けられておるな。この礼は必ず」
「礼なんて、とんでもないです。俺は、赤さんが元気やったら、それでええ。それに、俺の母親のせいやし」
「母親ともよく戦った。そなたは立派な勇者だ」
母乳を飲ませ終わってから改めて礼を言われて、イサギはくすぐったいような、申し訳ないような複雑な気分になる。二年前に王都で空回っていたときとは全く違う、達成感があった。
「イサギさんの薬草を育てる能力がこれで、認められましたね」
「俺のマンドラゴラ、なんか違うんか?」
「何も受け付けなかったラウリさんが飲めたんですよ」
あれで命を繋いでいなければ、真相に辿り着く前にラウリは死んでいたかもしれない。エドヴァルドに言われて、初めてイサギは自分が薬草を育てる能力に秀でている可能性に行き当たる。
「俺の、栄養剤で、学校のマンドラゴラが脱走したのも……?」
「普通のマンドラゴラは脱走しないし、自分たちから薬剤になろうと覚悟を決めません」
「俺は、凄いんか?」
「凄いですよ」
王宮やテンロウ領の領主の御屋敷で飼われている特殊なマンドラゴラを育てる能力を持っていると有名なイサギは、本人は全くそんな自覚はなかった。サナの薬草畑で働くように言われて、見てきたマンドラゴラは全てあんな風に個性豊かだったので、マンドラゴラとはそんなものだと信じていたのだ。
自分でまな板の上に乗って来た蕪マンドラゴラも、イサギが育てたからだと言われれば、誇らしさよりも驚きが勝る。
「エドさんと並んで劣らん男になれてるやろか?」
「女王から感謝される学生ですよ。将来が楽しみです」
「俺は良い男になれてる!?」
驚いて大きな声を出してしまったイサギの耳に、エドヴァルドがそっと囁く。
「ずっと良い男でしたよ。毎日、更新してますけど」
真っ赤になって思わず抱き着いたイサギを担いで、エドヴァルドは無事にセイリュウ領に帰ることができた。領主の御屋敷にナホを迎えに行くと、脚に飛び付いてくる。
「おかえりなさい! おうじさまをたすけたって! が、がんばったの。ナホも、がんばったの」
「ナホちゃん、お留守番頑張ったな」
「ただいま帰りましたよ」
大きな青い目からぼろぼろと涙が零れ落ちる。
「おとうさんと、おかあさんみたいに、かえってこなかったらどうしようって、こわかった……カナエちゃんはだいじょうぶだって、なぐさめてくれたの。レンさんもサナさんも、すぐにかえってくるって……かえってきてくれて、よかった」
わぁわぁと声を上げて泣くナホを、エドヴァルドとイサギで抱き締める。
ほんの一日でもナホは過去のことを思い出して不安になってしまったようだ。それを受け止められるのもまた、エドヴァルドとイサギしかいない。
「王子様が無事で良かった……エドさん、イサギくん、お疲れ様」
「色々あったわけやけど……」
「もう、あの女も妙なこと考えへんやろ。ようやった、イサギ」
「サナちゃんに、褒められた!?」
ことの顛末を報告すれば、サナが珍しくイサギを褒めて、何事かとイサギは挙動不審になってしまった。
その日から、イサギの評価は本人の与り知らぬところで高くなっていて、王都からスカウトも来るのだが、それら全てをサナとエドヴァルドがイサギに行く前にシャットダウンしているのを、イサギが知ることはなかった。
王子の一大事も落ち着いて、イサギとエドヴァルドとナホはまた、セイリュウ領で平和な暮らしを取り戻した。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。
かるぼん
BL
********************
ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。
監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。
もう一度、やり直せたなら…
そう思いながら遠のく意識に身をゆだね……
気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。
逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。
自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。
孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。
しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ
「君は稀代のたらしだね。」
ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー!
よろしくお願い致します!!
********************
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
僕の大好きな旦那様は後悔する
小町
BL
バッドエンドです!
攻めのことが大好きな受けと政略結婚だから、と割り切り受けの愛を迷惑と感じる攻めのもだもだと、最終的に受けが死ぬことによって段々と攻めが後悔してくるお話です!拙作ですがよろしくお願いします!!
暗い話にするはずが、コメディぽくなってしまいました、、、。
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる