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十四章 家族の形
7.キノとノコの植え替えと、マウリ様とのデート
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エミリア様とライネ様とダーヴィド様が調べた結果、キノコブタのキノに生えていたサルノコシカケは、トンビマイタケだった。マイタケと同様に食用できるトンビマイタケを、サラ様とティーア様は帰って来たマルガレータさんとオルガさんに鼻息荒く見せていた。
「わたくちが、これをとったの」
「わたくち、ぶちってしたのよ」
「アイラたまー! オルガたんとマルガレータたんにも、たべさせたいー!」
「アイラたまー! おねがいー!」
トンビマイタケはキノコの傘が何層にも連なっていて、形も大きくてとても食べ応えがありそうだ。大きいものだったので、料理するのも腕がなる。
「サラ様とティーア様のお願い通り、オルガさんとマルガレータさんにも食べてもらいましょうね」
「賛成!」
「新婚旅行のお話、聞かせて!」
ダーヴィド様もライネ様も了承してくれて、わたくしはトンビマイタケを調理するために厨房に向かった。マウリ様もミルヴァ様も来てくださる。食べやすい大きさにトンビマイタケを解して裂いて、衣をつけて油でからりと揚げる。出来上がった天ぷらには出汁醤油と大根おろしを添えて、子ども部屋に持って行った。
マウリ様とミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様とサラ様とティーア様と、マルガレータさんとオルガさん。全員で食べると少しずつになってしまったが、トンビマイタケは独特の食感で香りもよくとても美味しかった。
「サラ様、ティーア様ありがとうございました」
「とても美味しかったです」
マルガレータさんとオルガさんにお礼を言われてサラ様もティーア様も誇らし気に鼻の穴を膨らませている。
マルガレータさんとオルガさんが帰ってきて落ち着いたヘルレヴィ家ではキノコブタのノコの収穫と、次はキノとノコに何を植えるかについて話し合いが行われた。
「タマゴタケは可愛くてノコはお気に入りだったみたいよ」
「サルノコシカケは大きくなりすぎて、キノは困っていたよね」
「大きくなりすぎないキノコで、キノとノコが気に入るものがいいですよね」
エミリア様とマウリ様とハンネス様が話している。ダーヴィド様とライネ様は図鑑を広げて調べていた。
「クリタケ……だーちゃん、これかわいいよ!」
「シロキクラゲもどうかな?」
話しているライネ様とダーヴィド様にエミリア様が図鑑を覗き込む。
「どっちも可愛いわね。キノはサルノコシカケが気に入らなかったみたいだから、可愛いのを植えてあげたいわ」
「えー姉上、クリタケとシロキクラゲはどう?」
「私とらいちゃんで考えたんだけど」
「とってもいいと思うわ」
無事に話し合いは纏まって、キノコブタのキノにはシロキクラゲが、ノコにはクリタケが植えられることになった。植える前には収穫をしなければいけない。タマゴタケを体にたくさん生やしたキノコブタのノコが、収穫されるのは嫌で逃げ出そうとしている。その姿を見て、マウリ様が提案した。
「先に原木を買って来るのはどうかな? ノコも新しい原木を見たら、服を着替えるみたいにキノコを植え替えたくなるかもしれない」
「いいわね、誰が買って来る?」
「庭師さんにお願いする?」
フローラ様とミルヴァ様の言葉に、マウリ様がわたくしの方を見る。
「私とアイラ様で買いに行くよ」
その言葉に反応したのはハンネス様だった。
「マウリとアイラ様だけで危なくはないですか?」
「私もドラゴンだし、アイラ様は魔法を使えるから、危険な目に遭いそうになっても平気だと思う」
「前回、オスモがアイラ様とマウリとミルヴァを連れて行きましたからね」
油断はできないと心配してくれるハンネス様に、わたくしは答えた。
「この前は大人数で行ったので、移転の魔法がすぐに使えなかったのです。マウリ様と二人なら、手を繋いですぐに使えます」
攻撃の魔法は苦手なので使えないかもしれないが、移転の魔法ならばわたくしは使うことができる。わたくしが言えばハンネス様も納得してくださったようだった。
わたくしとマウリ様二人きりでのお出かけが、キノコの原木を買いに行くものだというのは少しロマンチックではないかもしれないが、わたくしは喜んでいた。ヘルレヴィ家でわたくしとマウリ様が二人きりになることはほぼ不可能である。ヘルレヴィ家にはミルヴァ様にエミリア様にダーヴィド様にサラ様がいて、日中はヴァンニ家からライネ様とティーア様も来ていて、高等学校と研究課程が終わるとハンネス様とフローラ様も帰ってくる。こんな状態で二人きりになろうとする方が難しい。
別の場所で二人きりになろうとしても、わたくしたちは公爵家の娘と子息なのだ。気軽に外を出歩ける身分ではない。
キノコの原木を買いに行くという口実でもなければわたくしとマウリ様は二人きりにはなれなかった。
園芸用品の売っているお店に移転の魔法で行って、マウリ様と一緒に店内を歩く。キノコの原木は倉庫に置かれているので、わたくしたちは店員さんにお願いして出してきてもらった。
「クリタケとシロキクラゲの原木をお願いします」
「珍しいものですからね。在庫があるかどうか分かりません。調べてみますので、しばらくお待ちください」
店内を見ながらわたくしとマウリ様が待っていると、店員さんが申し訳なさそうに言って来る。
「郊外店にならば在庫があるかもしれないのですが、うちにはありませんね」
店員さんの言葉にわたくしはマウリ様の方に手を伸ばした。
「行きますか、郊外店」
「行きましょう、アイラ様」
手を繋いだわたくしたちは郊外店まで移転の魔法で飛ぶ。郊外店で在庫を聞いてみると、クリタケとシロキクラゲの原木を買うことができた。綺麗に梱包してもらってバッグの中に入れると、マウリ様がわたくしをじっと見つめている。
「いけないのかもしれないけれど……」
「なんですか、マウリ様?」
「少しだけ寄り道していかない?」
マウリ様のお誘いにわたくしは乗ることにした。
マウリ様は喫茶店を探して中に入る。ハンネス様とクリスティアンと買い物に行ったときに王都で入った以外では喫茶店になど入ったことがなかったので、わたくしは緊張していた。
マウリ様がメニューを見てわたくしの顔を見詰める。
「アイラ様、コーヒーってどう思う?」
「わたくし、飲んだことがありません」
クリスティアンとハンネス様は王都の喫茶店で飲んでいたが、わたくしは新しいものに挑戦する勇気がなかったので、紅茶を頼んだ覚えがある。紅茶もとても美味しかったのだが、クリスティアンとハンネス様が飲んでいたコーヒーはとてもいい香りがした。
「飲んでみますか?」
「飲んでみたいんだ」
わたくしの問いかけにマウリ様が頷いて、わたくしたちはコーヒーとミルクレープを注文した。運ばれてきたコーヒーにはミルクとお砂糖が付いている。最初に何も入れずにコーヒーを飲んで、わたくしとマウリ様は顔を見合わせた。
「に、苦い!」
「いい香りなのに、ものすごく苦いですね」
「兄上はどうしてたんだっけ……えーっと、ミルクを入れよう」
「はい、そうしましょう」
ミルクピッチャーからミルクを半分ずつ分けてコーヒーのカップに入れると、わたくしたちはスプーンでコーヒーを混ぜた。真っ黒だったコーヒーがミルクで白っぽい茶色に変わっている。ミルクをよく混ぜてから飲むと、ミルクの味で苦みがマイルドになっている。
香りがとてもよくて、程よい酸っぱさもあって、わたくしとマウリ様はコーヒーに夢中になってしまった。
「美味しいね、アイラ様」
「そのままでは飲めませんでしたが、ミルクを入れると全く味が変わりますね」
「お砂糖もちょっと入れたいけど、我慢する」
「何でですか?」
「アイラ様に子どもだって思われたくないから」
くすりと笑うマウリ様にわたくしも微笑んでしまう。コーヒーを飲みながらわたくしたちはミルクレープを食べて喫茶店を後にした。
ヘルレヴィ家に帰るとミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様とサラ様とティーア様がわたくしとマウリ様を待っていた。
「お帰りなさい、アイラ様」
「わたくち、ノコにおはなちちてたのよ」
「あたらしいキノコをうえるから、タマゴタケはブチッてさせなたいって」
「サラ、ティーア、ブチッていうのが怖いんじゃないかな」
「え!? だめだった?」
「なんていえばいい?」
サラ様とティーア様が一生懸命お喋りするのに、ライネ様が苦笑して指摘している。
「植え替えをしましょう、ではどうでしょう?」
「ノコ、うえかえをしましょう!」
「おきがえ、ちましょ!」
わたくしが助言するとサラ様とティーア様は言い直して、ノコもわたくしたちの近くに来ている。新しいキノコの原木を見せると、ノコも納得してサラ様とティーア様にタマゴタケを収穫させていた。
これから冬が近付いてくる。キノコブタのキノとノコも、部屋で過ごすようになるだろう。
「わたくちが、これをとったの」
「わたくち、ぶちってしたのよ」
「アイラたまー! オルガたんとマルガレータたんにも、たべさせたいー!」
「アイラたまー! おねがいー!」
トンビマイタケはキノコの傘が何層にも連なっていて、形も大きくてとても食べ応えがありそうだ。大きいものだったので、料理するのも腕がなる。
「サラ様とティーア様のお願い通り、オルガさんとマルガレータさんにも食べてもらいましょうね」
「賛成!」
「新婚旅行のお話、聞かせて!」
ダーヴィド様もライネ様も了承してくれて、わたくしはトンビマイタケを調理するために厨房に向かった。マウリ様もミルヴァ様も来てくださる。食べやすい大きさにトンビマイタケを解して裂いて、衣をつけて油でからりと揚げる。出来上がった天ぷらには出汁醤油と大根おろしを添えて、子ども部屋に持って行った。
マウリ様とミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様とサラ様とティーア様と、マルガレータさんとオルガさん。全員で食べると少しずつになってしまったが、トンビマイタケは独特の食感で香りもよくとても美味しかった。
「サラ様、ティーア様ありがとうございました」
「とても美味しかったです」
マルガレータさんとオルガさんにお礼を言われてサラ様もティーア様も誇らし気に鼻の穴を膨らませている。
マルガレータさんとオルガさんが帰ってきて落ち着いたヘルレヴィ家ではキノコブタのノコの収穫と、次はキノとノコに何を植えるかについて話し合いが行われた。
「タマゴタケは可愛くてノコはお気に入りだったみたいよ」
「サルノコシカケは大きくなりすぎて、キノは困っていたよね」
「大きくなりすぎないキノコで、キノとノコが気に入るものがいいですよね」
エミリア様とマウリ様とハンネス様が話している。ダーヴィド様とライネ様は図鑑を広げて調べていた。
「クリタケ……だーちゃん、これかわいいよ!」
「シロキクラゲもどうかな?」
話しているライネ様とダーヴィド様にエミリア様が図鑑を覗き込む。
「どっちも可愛いわね。キノはサルノコシカケが気に入らなかったみたいだから、可愛いのを植えてあげたいわ」
「えー姉上、クリタケとシロキクラゲはどう?」
「私とらいちゃんで考えたんだけど」
「とってもいいと思うわ」
無事に話し合いは纏まって、キノコブタのキノにはシロキクラゲが、ノコにはクリタケが植えられることになった。植える前には収穫をしなければいけない。タマゴタケを体にたくさん生やしたキノコブタのノコが、収穫されるのは嫌で逃げ出そうとしている。その姿を見て、マウリ様が提案した。
「先に原木を買って来るのはどうかな? ノコも新しい原木を見たら、服を着替えるみたいにキノコを植え替えたくなるかもしれない」
「いいわね、誰が買って来る?」
「庭師さんにお願いする?」
フローラ様とミルヴァ様の言葉に、マウリ様がわたくしの方を見る。
「私とアイラ様で買いに行くよ」
その言葉に反応したのはハンネス様だった。
「マウリとアイラ様だけで危なくはないですか?」
「私もドラゴンだし、アイラ様は魔法を使えるから、危険な目に遭いそうになっても平気だと思う」
「前回、オスモがアイラ様とマウリとミルヴァを連れて行きましたからね」
油断はできないと心配してくれるハンネス様に、わたくしは答えた。
「この前は大人数で行ったので、移転の魔法がすぐに使えなかったのです。マウリ様と二人なら、手を繋いですぐに使えます」
攻撃の魔法は苦手なので使えないかもしれないが、移転の魔法ならばわたくしは使うことができる。わたくしが言えばハンネス様も納得してくださったようだった。
わたくしとマウリ様二人きりでのお出かけが、キノコの原木を買いに行くものだというのは少しロマンチックではないかもしれないが、わたくしは喜んでいた。ヘルレヴィ家でわたくしとマウリ様が二人きりになることはほぼ不可能である。ヘルレヴィ家にはミルヴァ様にエミリア様にダーヴィド様にサラ様がいて、日中はヴァンニ家からライネ様とティーア様も来ていて、高等学校と研究課程が終わるとハンネス様とフローラ様も帰ってくる。こんな状態で二人きりになろうとする方が難しい。
別の場所で二人きりになろうとしても、わたくしたちは公爵家の娘と子息なのだ。気軽に外を出歩ける身分ではない。
キノコの原木を買いに行くという口実でもなければわたくしとマウリ様は二人きりにはなれなかった。
園芸用品の売っているお店に移転の魔法で行って、マウリ様と一緒に店内を歩く。キノコの原木は倉庫に置かれているので、わたくしたちは店員さんにお願いして出してきてもらった。
「クリタケとシロキクラゲの原木をお願いします」
「珍しいものですからね。在庫があるかどうか分かりません。調べてみますので、しばらくお待ちください」
店内を見ながらわたくしとマウリ様が待っていると、店員さんが申し訳なさそうに言って来る。
「郊外店にならば在庫があるかもしれないのですが、うちにはありませんね」
店員さんの言葉にわたくしはマウリ様の方に手を伸ばした。
「行きますか、郊外店」
「行きましょう、アイラ様」
手を繋いだわたくしたちは郊外店まで移転の魔法で飛ぶ。郊外店で在庫を聞いてみると、クリタケとシロキクラゲの原木を買うことができた。綺麗に梱包してもらってバッグの中に入れると、マウリ様がわたくしをじっと見つめている。
「いけないのかもしれないけれど……」
「なんですか、マウリ様?」
「少しだけ寄り道していかない?」
マウリ様のお誘いにわたくしは乗ることにした。
マウリ様は喫茶店を探して中に入る。ハンネス様とクリスティアンと買い物に行ったときに王都で入った以外では喫茶店になど入ったことがなかったので、わたくしは緊張していた。
マウリ様がメニューを見てわたくしの顔を見詰める。
「アイラ様、コーヒーってどう思う?」
「わたくし、飲んだことがありません」
クリスティアンとハンネス様は王都の喫茶店で飲んでいたが、わたくしは新しいものに挑戦する勇気がなかったので、紅茶を頼んだ覚えがある。紅茶もとても美味しかったのだが、クリスティアンとハンネス様が飲んでいたコーヒーはとてもいい香りがした。
「飲んでみますか?」
「飲んでみたいんだ」
わたくしの問いかけにマウリ様が頷いて、わたくしたちはコーヒーとミルクレープを注文した。運ばれてきたコーヒーにはミルクとお砂糖が付いている。最初に何も入れずにコーヒーを飲んで、わたくしとマウリ様は顔を見合わせた。
「に、苦い!」
「いい香りなのに、ものすごく苦いですね」
「兄上はどうしてたんだっけ……えーっと、ミルクを入れよう」
「はい、そうしましょう」
ミルクピッチャーからミルクを半分ずつ分けてコーヒーのカップに入れると、わたくしたちはスプーンでコーヒーを混ぜた。真っ黒だったコーヒーがミルクで白っぽい茶色に変わっている。ミルクをよく混ぜてから飲むと、ミルクの味で苦みがマイルドになっている。
香りがとてもよくて、程よい酸っぱさもあって、わたくしとマウリ様はコーヒーに夢中になってしまった。
「美味しいね、アイラ様」
「そのままでは飲めませんでしたが、ミルクを入れると全く味が変わりますね」
「お砂糖もちょっと入れたいけど、我慢する」
「何でですか?」
「アイラ様に子どもだって思われたくないから」
くすりと笑うマウリ様にわたくしも微笑んでしまう。コーヒーを飲みながらわたくしたちはミルクレープを食べて喫茶店を後にした。
ヘルレヴィ家に帰るとミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様とサラ様とティーア様がわたくしとマウリ様を待っていた。
「お帰りなさい、アイラ様」
「わたくち、ノコにおはなちちてたのよ」
「あたらしいキノコをうえるから、タマゴタケはブチッてさせなたいって」
「サラ、ティーア、ブチッていうのが怖いんじゃないかな」
「え!? だめだった?」
「なんていえばいい?」
サラ様とティーア様が一生懸命お喋りするのに、ライネ様が苦笑して指摘している。
「植え替えをしましょう、ではどうでしょう?」
「ノコ、うえかえをしましょう!」
「おきがえ、ちましょ!」
わたくしが助言するとサラ様とティーア様は言い直して、ノコもわたくしたちの近くに来ている。新しいキノコの原木を見せると、ノコも納得してサラ様とティーア様にタマゴタケを収穫させていた。
これから冬が近付いてくる。キノコブタのキノとノコも、部屋で過ごすようになるだろう。
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