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十章 マウリ様とミルヴァ様の高等学校入学
26.立て続けの出産
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ハンネス様も覚悟はしていたのだと思う。
「母上やスティーナ様は私を気遣って仰っていますが、私の卒業式やプロムよりも出産の方が何倍も大事です。アイラ様は母上とスティーナ様の出産を第一に考えてください」
「わたくし、クリス様のプロムに行けなくても赤ちゃんが無事に産まれてくる方が大事だわ」
「母上やスティーナ様が私を大事にしてくださっていることは分かります。ですが、これだけは私も譲れません」
これまでと変わったハンネス様の決意は固かった。ミルヴァ様も赤ちゃんを優先にして、プロムは諦めてもいいと言っている。二人の強い意志にわたくしも頷いていた。
「そうですね、生まれてくる命が一番大事です」
「卒業式には出なくても卒業できますからね。プロムも出なくても構いません」
「ハンネス様とプロムに出られないのは残念だけど、母上と赤ちゃんが一番大事だわ」
「わたくしもクリス様にお手紙を書きます」
全員で団結してヘルレヴィ家もヴァンニ家もスティーナ様とヨハンナ様の出産を待ち望んでいた。
初夏の日に、先に産気づいたのはスティーナ様だった。
「破水したようです。痛みが断続的に来ますね……産まれそうです」
その時期には出産を控えている妊婦が二人いると分かっていたので、お医者様に泊まり込みで来てもらっていた。夜に産気づいたスティーナ様にわたくしもずっとついているつもりで子ども部屋を出ようとすると、エミリア様とダーヴィド様が心配そうにわたくしに近付いて来た。
「あかちゃんをうむってとてもいたいの?」
「痛いようですよ。スティーナ様は痛みに耐えて頑張って来ます」
「おかあさま、しなない?」
「死なないようにわたくしができる限りサポートします」
「あかちゃん、どこからうまれてくるの?」
「足の間ですね」
「そんなせまいところから!? あかちゃん、おおきいよ?」
「だから、産むのはとても大変なのです」
不安になっているのだろう、疑問でいっぱいのエミリア様とダーヴィド様の言葉に一つ一つ答えていくと、エミリア様はスイカ猫のスイちゃんを、ダーヴィド様は南瓜頭犬のボタンを差し出した。
「ははうえのおそばにいさせてあげて」
「わたしのかわりに、おかあさまのおそばに」
スイカ猫のスイちゃんと南瓜頭犬のボタンを受け取って、わたくしはスティーナ様の寝室に向かった。お医者様は既にスティーナ様をベッドに寝かせて出産の体勢に入っている。
「強くいきんで。そう、もうちょっと」
「もう生まれそうなのですか?」
「もう頭が見えています。五人目ともなると早いのでしょう」
わたくしがエミリア様とダーヴィド様と話している間に、スティーナ様はもう生まれる直前まできていた。必死にいきむスティーナ様の顔が真っ赤になっているのが分かる。苦しそうなスティーナ様の汗を拭いていると、ふっとスティーナ様から力が抜けた。
赤ん坊の産声が聞こえる。
「おめでとうございます、女の子ですよ」
お医者様がまだへその緒のくっ付いた赤ん坊をスティーナ様に抱っこさせていた。スティーナ様は蜂蜜色の目に涙をいっぱいに溜めている。
「苦労させられましたが、やっと会えましたね。可愛い我が子。カールロを呼んでください。カールロにも見せたい」
へその緒を切った赤ん坊は産湯を浸かって、産着を着せられていた。オムツもつけているが、細い脚が力なく曲がっている。
「スティーナ、生まれたのか。よく頑張ってくれた」
「女の子ですよ。カールロ、抱っこしてあげてください」
「あぁ、抱っこさせてもらうよ。なんて小さくて可愛らしい」
栗色のポヤポヤの髪の毛と蜂蜜色のお目目の女の子は、ダーヴィド様と似ている気がした。大事に抱き締めてカールロ様が涙を堪えている。
「名前は考えていたんだ。女の子だったら、サラにしようと思って」
「サラ、何て可愛い名前。カールロ、ありがとうございます」
生まれて来た女の子の赤ちゃんの名前はサラ様に決まった。
後産も終えて、スティーナ様が休んでいる間に、サラ様は子ども部屋に連れて来られた。抱っこしてきたカールロ様に、日付けも変わっていて、眠そうにしながらもエミリア様もダーヴィド様も必死に赤ちゃんを覗き込んでいる。
「おかおがあかいの」
「あかちゃんはみんなあかいのよ」
「そうなの、えーねえさま」
「あかいからあかちゃんっていうの」
エミリア様に教えてもらってダーヴィド様が納得している。小さい子に先に譲っているが、マウリ様もミルヴァ様も見たくてたまらない様子である。ライネ様とフローラ様とハンネス様もうずうずしている。
「名前はサラだ。女の子だよ。髪の色はダーヴィドと同じ。目の色もダーヴィドと同じだ」
「わたしにそっくり!?」
「そうだよ。ダーヴィド、お前の妹だよ」
「かわいいね、いもうと」
うっとりとしているダーヴィド様にわたくしたちが和んでいると、使用人さんがわたくしを呼びに来た。
「ヨハンナ様が産気づいたようです」
「え!? 今ですか?」
ようやくスティーナ様の出産が終わったと思えばヨハンナ様が産気づく。そんなことがあってもいいのかと思ってしまうが、これが現実なのだから仕方がない。急いで離れの棟に行くと、お医者様がヨハンナ様に声をかけている。
「もう少しです。もう少しで頭が見えてきます」
「ヨハンナ様、いきんでください」
わたくしも声をかけて、必死にいきむヨハンナ様のそばにつく。手を翳してヨハンナ様の生命力も、赤ん坊の生命力も変化がないのを感じ取って安心しつつ、ヨハンナ様の汗を拭く。
ヨハンナ様の方はスティーナ様のように楽にはいかなかった。どれくらい時間が経ったのか分からない。ずっとヨハンナ様について様子を見ていたわたくしは、窓の外が明るくなり始めているのに気付いていた。眠気と疲労でわたくしもかなりきつかったが、一晩苦しんだヨハンナ様と赤ちゃんの方が大変だっただろう。
「生まれた! 生まれました!」
お医者様の声にハッとするが、わたくしは産声を聞いていないのが不安だった。すぐに赤ん坊を抱き取ると、赤ん坊の顔色が悪い気がする。わたくしは躊躇いなく赤ん坊の首を支えながらうつぶせに抱いて、背中を叩いていた。
ごぼごぼと赤ん坊の喉が鳴って、口から羊水が吐き出される。羊水を吐き出した後で、赤ん坊は初めて大きな声を上げて泣いた。
必死になっていたのでヨハンナ様の方を気にしていられなかったが、ヨハンナ様も赤ん坊を心配していたようだ。
「泣きましたね、よかった」
「ヨハンナ様、女の子です」
「女の子……わたくし、女の子も生めたのね」
ヨハンナ様はハンネス様とライネ様という男の子しか生んでいない。今回の赤ん坊が初めての女の子だった。
「サロモン、女の子ですよ」
「ヨハンナ、長時間頑張ってくれましたね。可愛い女の子だ」
「わたくし、名前を考えていたのです。スティーナ様にあやかって、ティーアというのはどうでしょう?」
「いい名前だと思います」
サロモン先生と話してから、ヨハンナ様は気絶するように眠ってしまった。子ども部屋にティーア様をサロモン先生が連れていくと、眠そうな様子でハンネス様とマウリ様とミルヴァ様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様が揃っていた。
「徹夜したのですか?」
「いえ、あの後みんなで眠りました。今は、畑仕事を終えてきたところです」
「え!? もうそんな時間ですか!?」
壁の掛け時計を確認してわたくしは驚いてしまう。もう朝食の時間に近くなっていた。
サラ様とティーア様はオルガさんとマルガレータさんに預けられて、スティーナ様とヨハンナ様にはしっかりと休んでもらう。わたくしも朝ご飯を食べたら限界で眠くて仕方がなくて、その日は研究課程は休むことにした。
「マウリ様とミルヴァ様はハンネス様と馬車で行ってきてくださいね」
「アイラ様、お疲れ様。ゆっくり休んでね」
「アイラ様、母上とヨハンナ様を助けてくれてありがとう」
「マウリとミルヴァは私が責任をもって高等学校に連れて行きます。アイラ様ありがとうございました」
マウリ様にもミルヴァ様にもハンネス様にも労わられて、わたくしはベッドに入って目を閉じた。ヨハンナ様の赤ん坊が息をしていなかったときには心臓が止まるかと思ったが、冷静に対処できてよかった。
目を閉じるとしばらくはスティーナ様とヨハンナ様の出産の光景が浮かんできてわたくしは疲れていたのになかなか寝付けなかった。
「母上やスティーナ様は私を気遣って仰っていますが、私の卒業式やプロムよりも出産の方が何倍も大事です。アイラ様は母上とスティーナ様の出産を第一に考えてください」
「わたくし、クリス様のプロムに行けなくても赤ちゃんが無事に産まれてくる方が大事だわ」
「母上やスティーナ様が私を大事にしてくださっていることは分かります。ですが、これだけは私も譲れません」
これまでと変わったハンネス様の決意は固かった。ミルヴァ様も赤ちゃんを優先にして、プロムは諦めてもいいと言っている。二人の強い意志にわたくしも頷いていた。
「そうですね、生まれてくる命が一番大事です」
「卒業式には出なくても卒業できますからね。プロムも出なくても構いません」
「ハンネス様とプロムに出られないのは残念だけど、母上と赤ちゃんが一番大事だわ」
「わたくしもクリス様にお手紙を書きます」
全員で団結してヘルレヴィ家もヴァンニ家もスティーナ様とヨハンナ様の出産を待ち望んでいた。
初夏の日に、先に産気づいたのはスティーナ様だった。
「破水したようです。痛みが断続的に来ますね……産まれそうです」
その時期には出産を控えている妊婦が二人いると分かっていたので、お医者様に泊まり込みで来てもらっていた。夜に産気づいたスティーナ様にわたくしもずっとついているつもりで子ども部屋を出ようとすると、エミリア様とダーヴィド様が心配そうにわたくしに近付いて来た。
「あかちゃんをうむってとてもいたいの?」
「痛いようですよ。スティーナ様は痛みに耐えて頑張って来ます」
「おかあさま、しなない?」
「死なないようにわたくしができる限りサポートします」
「あかちゃん、どこからうまれてくるの?」
「足の間ですね」
「そんなせまいところから!? あかちゃん、おおきいよ?」
「だから、産むのはとても大変なのです」
不安になっているのだろう、疑問でいっぱいのエミリア様とダーヴィド様の言葉に一つ一つ答えていくと、エミリア様はスイカ猫のスイちゃんを、ダーヴィド様は南瓜頭犬のボタンを差し出した。
「ははうえのおそばにいさせてあげて」
「わたしのかわりに、おかあさまのおそばに」
スイカ猫のスイちゃんと南瓜頭犬のボタンを受け取って、わたくしはスティーナ様の寝室に向かった。お医者様は既にスティーナ様をベッドに寝かせて出産の体勢に入っている。
「強くいきんで。そう、もうちょっと」
「もう生まれそうなのですか?」
「もう頭が見えています。五人目ともなると早いのでしょう」
わたくしがエミリア様とダーヴィド様と話している間に、スティーナ様はもう生まれる直前まできていた。必死にいきむスティーナ様の顔が真っ赤になっているのが分かる。苦しそうなスティーナ様の汗を拭いていると、ふっとスティーナ様から力が抜けた。
赤ん坊の産声が聞こえる。
「おめでとうございます、女の子ですよ」
お医者様がまだへその緒のくっ付いた赤ん坊をスティーナ様に抱っこさせていた。スティーナ様は蜂蜜色の目に涙をいっぱいに溜めている。
「苦労させられましたが、やっと会えましたね。可愛い我が子。カールロを呼んでください。カールロにも見せたい」
へその緒を切った赤ん坊は産湯を浸かって、産着を着せられていた。オムツもつけているが、細い脚が力なく曲がっている。
「スティーナ、生まれたのか。よく頑張ってくれた」
「女の子ですよ。カールロ、抱っこしてあげてください」
「あぁ、抱っこさせてもらうよ。なんて小さくて可愛らしい」
栗色のポヤポヤの髪の毛と蜂蜜色のお目目の女の子は、ダーヴィド様と似ている気がした。大事に抱き締めてカールロ様が涙を堪えている。
「名前は考えていたんだ。女の子だったら、サラにしようと思って」
「サラ、何て可愛い名前。カールロ、ありがとうございます」
生まれて来た女の子の赤ちゃんの名前はサラ様に決まった。
後産も終えて、スティーナ様が休んでいる間に、サラ様は子ども部屋に連れて来られた。抱っこしてきたカールロ様に、日付けも変わっていて、眠そうにしながらもエミリア様もダーヴィド様も必死に赤ちゃんを覗き込んでいる。
「おかおがあかいの」
「あかちゃんはみんなあかいのよ」
「そうなの、えーねえさま」
「あかいからあかちゃんっていうの」
エミリア様に教えてもらってダーヴィド様が納得している。小さい子に先に譲っているが、マウリ様もミルヴァ様も見たくてたまらない様子である。ライネ様とフローラ様とハンネス様もうずうずしている。
「名前はサラだ。女の子だよ。髪の色はダーヴィドと同じ。目の色もダーヴィドと同じだ」
「わたしにそっくり!?」
「そうだよ。ダーヴィド、お前の妹だよ」
「かわいいね、いもうと」
うっとりとしているダーヴィド様にわたくしたちが和んでいると、使用人さんがわたくしを呼びに来た。
「ヨハンナ様が産気づいたようです」
「え!? 今ですか?」
ようやくスティーナ様の出産が終わったと思えばヨハンナ様が産気づく。そんなことがあってもいいのかと思ってしまうが、これが現実なのだから仕方がない。急いで離れの棟に行くと、お医者様がヨハンナ様に声をかけている。
「もう少しです。もう少しで頭が見えてきます」
「ヨハンナ様、いきんでください」
わたくしも声をかけて、必死にいきむヨハンナ様のそばにつく。手を翳してヨハンナ様の生命力も、赤ん坊の生命力も変化がないのを感じ取って安心しつつ、ヨハンナ様の汗を拭く。
ヨハンナ様の方はスティーナ様のように楽にはいかなかった。どれくらい時間が経ったのか分からない。ずっとヨハンナ様について様子を見ていたわたくしは、窓の外が明るくなり始めているのに気付いていた。眠気と疲労でわたくしもかなりきつかったが、一晩苦しんだヨハンナ様と赤ちゃんの方が大変だっただろう。
「生まれた! 生まれました!」
お医者様の声にハッとするが、わたくしは産声を聞いていないのが不安だった。すぐに赤ん坊を抱き取ると、赤ん坊の顔色が悪い気がする。わたくしは躊躇いなく赤ん坊の首を支えながらうつぶせに抱いて、背中を叩いていた。
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必死になっていたのでヨハンナ様の方を気にしていられなかったが、ヨハンナ様も赤ん坊を心配していたようだ。
「泣きましたね、よかった」
「ヨハンナ様、女の子です」
「女の子……わたくし、女の子も生めたのね」
ヨハンナ様はハンネス様とライネ様という男の子しか生んでいない。今回の赤ん坊が初めての女の子だった。
「サロモン、女の子ですよ」
「ヨハンナ、長時間頑張ってくれましたね。可愛い女の子だ」
「わたくし、名前を考えていたのです。スティーナ様にあやかって、ティーアというのはどうでしょう?」
「いい名前だと思います」
サロモン先生と話してから、ヨハンナ様は気絶するように眠ってしまった。子ども部屋にティーア様をサロモン先生が連れていくと、眠そうな様子でハンネス様とマウリ様とミルヴァ様とフローラ様とエミリア様とライネ様とダーヴィド様が揃っていた。
「徹夜したのですか?」
「いえ、あの後みんなで眠りました。今は、畑仕事を終えてきたところです」
「え!? もうそんな時間ですか!?」
壁の掛け時計を確認してわたくしは驚いてしまう。もう朝食の時間に近くなっていた。
サラ様とティーア様はオルガさんとマルガレータさんに預けられて、スティーナ様とヨハンナ様にはしっかりと休んでもらう。わたくしも朝ご飯を食べたら限界で眠くて仕方がなくて、その日は研究課程は休むことにした。
「マウリ様とミルヴァ様はハンネス様と馬車で行ってきてくださいね」
「アイラ様、お疲れ様。ゆっくり休んでね」
「アイラ様、母上とヨハンナ様を助けてくれてありがとう」
「マウリとミルヴァは私が責任をもって高等学校に連れて行きます。アイラ様ありがとうございました」
マウリ様にもミルヴァ様にもハンネス様にも労わられて、わたくしはベッドに入って目を閉じた。ヨハンナ様の赤ん坊が息をしていなかったときには心臓が止まるかと思ったが、冷静に対処できてよかった。
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