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五章 増える家族と高等学校の四年目
8.冬の装いの準備とハンネス様の言えなかった言葉
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冬に向けてエリーサ様とエロラ先生がヘルレヴィ家のお屋敷を訪ねてきたのは、高等学校が休みの日だった。ラント家からクリスティアンも呼び寄せて始まったのは採寸である。
「初めにハンネス様とクリスティアン様とマウリ様から採寸しましょうか。アイラ様とミルヴァ様とフローラ様は別の部屋で待っていてくださいね」
「はーにいさまのさいすん、なんで、わたくしいっしょじゃだめなの?」
「ハンネス様はもう12歳の紳士なのです。下着姿を見られるのは恥ずかしいのですよ、フローラ様」
「そうなの、はーにいさま?」
「うん、ちょっと恥ずかしいですね」
子ども部屋に残りたがるフローラ様もエリーサ様とハンネス様に説得されて、一時ミルヴァ様のお部屋に移った。子ども部屋の隣りの部屋がわたくしの部屋で、その隣りがマウリ様のお部屋、その正面がミルヴァ様のお部屋になっている。
別々にいてもよかったのだが、フローラ様を一人だけにするわけにはいかないので、ミルヴァ様のお部屋にお邪魔させてもらうことにした。
勉強机があって、クローゼットがあって、ベッドのあるミルヴァ様のお部屋は基本的にわたくしの部屋と作りは同じだ。椅子が一つしかないのでわたくしの部屋から持って来て、フローラ様はミルヴァ様の机に備え付けた椅子に座って、わたくしは自分の部屋から持ってきた椅子に座って、ミルヴァ様がベッドに腰かける。
「エリーサ様はまたポンチョを作ってくださるのかしら? わたくし、そろそろアイラ様とおなじケープがいいわ」
「わたくし、ポンチョ、ほしい!」
「ミルヴァ様とお揃いだったら嬉しいですね。フローラ様はマウリ様とミルヴァ様のポンチョを羨ましがっていましたよね」
大人っぽくケープにしたいと言うミルヴァ様と、これまでマウリ様とミルヴァ様が使っていたポンチョを自分も欲しいと言うフローラ様。フローラ様はこれまでポンチョを持っていなかったから、ずっと羨ましかったのだと思われる。
7歳のミルヴァ様はケープ姿もよく似合うだろう。エリーサ様に相談してみなければいけないと考えていると、わたくしたちが呼ばれた。
次はハンネス様とクリスティアンとマウリ様の男性陣が別の部屋に行く番だった。
下着姿といってもワンピースの下には膝下まであるキャミソールドレスのようなものを身に着けている。その姿になったわたくしとミルヴァ様と、ぷっくりカボチャパンツに上半身にキャミソールを着たフローラ様をエリーサ様がメジャーを使って採寸して行って、細かく数字を書き留めている。
「エリーサ様、わたくし、アイラ様とおなじケープがいいんです」
「そういうお年頃ですよね。ハンネス様もクリスティアン様もマウリ様も、ポンチョではなくてオーバーコートを注文されましたわ」
「いいのですか?」
「もちろん、注文通りにお作りしますよ」
快く了承されて、ミルヴァ様はワンピースを着ながら喜んでいた。
「色は前みたいなぶどう色がいいです」
「わたくし、ポンチョがいいの! いろは、すみれいろ!」
「ミルヴァ様は葡萄色のケープで、フローラ様は菫色のポンチョですね。アイラ様は?」
色を聞かれてわたくしは迷ってしまう。
前のケープは水色がかったグレイでとても気に入っていたが、今回は色をどうしよう。
「ハンネス様は深緑、マウリ様は草色、クリスティアン様は水色を注文なさいましたよ」
「それなら……わたくしは以前より青みの濃いグレイにできますか?」
「いっそ、ミッドナイトブルーにしますか?」
ミッドナイトブルー。
深い夜のような青の名前をエリーサ様が口にした瞬間、わたくしの脳裏に晴れた星空が浮かんだ。それはきっととても美しく上品だろう。
「それでお願いします」
「分かりました。冬までに仕上げなければいけないので、大急ぎで作りますね」
「ありがとうございます……あの、支払いは?」
わたくしとマウリ様とミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とクリスティアンの分を作ってもらうのだ。報酬は決して安くないだろうということは分かっていた。水も弾いて雨や雪の日でも使えて、薄くてとても暖かいケープやオーバーコートやポンチョ、合計六枚。
支払いに困っていると、エロラ先生が朗らかに笑っていた。
「アイラちゃんはもう支払っているよ」
「え?」
「マンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫の対価を、受け取っていないだろう?」
言われてみればわたくしはエリーサ様にマンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫をお譲りしたが、その対価は受け取っていない。それ以上のことを常にエリーサ様にしてもらっているので、対価を要求するなどおこがましいと思っていたのだ。
「まだまだ、これだけでは対価は支払えませんから、他のものも作りますよ。まずは、ラント家に調合室からですかね」
高等学校に調合室を作るのは許可が必要なのでハールス先生も待っている状態だが、ラント家ならばわたくしの両親に許可を取ればいい。ラント家の庭にもマンドラゴラの畑があってクリスティアンが毎日世話をしているし、薬草貯蔵庫もある。その隣りに調合室を建ててもらうことも不可能ではないだろう。
「ラント家に調合室ができるのですか?」
わたくしたちの着替えが終わったので戻って来たクリスティアンが、エリーサ様の話を聞いていて、飛び上がって喜ぶ。
「使うのは誰か大人と一緒でなければいけませんが、調合室があることで損はしないでしょう?」
「リーッタ先生に相談してみます! 調合室で使えるレシピもリーッタ先生と話し合っているんです」
クリスティアンが高等学校に入学しても、リーッタ先生はラント家の家庭教師を辞めていない。高等学校で学ぶクリスティアンの手助けをしてくれているのだ。
ラント家に調合室ができるという話に、ハンネス様も興味津々だった。
「クリスティアン様は魔力がないのに魔法学を勉強しているのですよね。私も魔力がなくても魔法薬を調合できるようになるでしょうか?」
「ハンネス様も魔法薬を調合できるようになりますよ。僕もそのために日々勉強しているんですから」
クリスティアンの言葉にハンネス様は何か言いたそうにして、言葉を飲み込んだ。何を言いたいのかわたくしには分かる気がした。
わたくしが魔法学を習うようになってから、クリスティアンだけでなくハンネス様もずっと興味を持っていた。ハンネス様とは何度か調合室で一緒に調合をしたこともある。
入学式からまだ日は経っていないし、まだ間に合うのではないだろうか。
「エロラ先生、ハンネス様も魔法学を学ぶことができるでしょうか?」
「アイラ様……そんな……。私には魔力がないのですよ」
「クリスティアンにも魔力はありません。それでも学びたいという気持ちをハールス先生は大事にしてくださっています。エロラ先生、ハンネス様にも魔力はありませんが、学ぶ機会をあげることはできませんか?」
お願いをするわたくしに、エロラ先生が大股でハンネス様に近付いてくる。女性特有の細さと中性的な容貌、高い背と三つ揃いのスーツをきっちりと着込んだ美しい姿に、ハンネス様は緊張しているようだった。
「ハンネスくん、真剣に魔法学を学びたいと思うかい?」
「学びたいです」
「ハンネスくんは、アイラちゃんが魔法を実践していても、自分が実践することはできない。あくまでも座学と調合だけだ。それでもやりたいかな?」
「自分に魔力がないことは知っています。クリスティアン様が魔力がないのに魔法学を学んでいることが、ずっと羨ましかったのです。私はいずれ、魔法薬を作れる研究者になりたい。魔法薬の作り方を領民に教えられるようになりたいのです」
そこまで言って、ハンネス様は言葉を切ってエロラ先生に深く頭を下げた。
「エロラ先生、どうか、私に魔法学を教えてください!」
なかなか頭を上げないハンネス様に、エロラ先生が唇の両端を吊り上げて美しく微笑む。
「私は優しい教師ではないよ。だが、やる気のある生徒は大歓迎だ。高等学校に届け出を出そう。来週からアイラちゃんと一緒に、サンルームにおいで」
熱意を認められてハンネス様は魔法学を履修することを許された。顔を上げたハンネス様の表情は驚きと喜びに満ちていた。
「ありがとうございます……。私には無理だと思っていました。アイラ様も、言ってくださってありがとうございます」
喜んでわたくしの手を取ろうとするハンネス様との間に、マウリ様が素早く入る。
「兄上、同じまほうがくをまなんでも、アイラ様は私のこんやくしゃだからね?」
「手を取るのも許されないんですか?」
「アイラ様にはあまりさわっちゃいやなの!」
独占欲を丸出しにしてくるマウリ様に、わたくしは苦笑してしまうが可愛いので怒ることができない。
「大丈夫ですよ、アイラ様はマウリ様が大好きですからね」
「そ、そうかな」
エリーサ様に言われてマウリ様がじっとわたくしを見上げてくる。
「マウリ様が大好きですよ」
わたくしからも言えばマウリ様はすぐに照れた顔になってにこにことし始めた。
「初めにハンネス様とクリスティアン様とマウリ様から採寸しましょうか。アイラ様とミルヴァ様とフローラ様は別の部屋で待っていてくださいね」
「はーにいさまのさいすん、なんで、わたくしいっしょじゃだめなの?」
「ハンネス様はもう12歳の紳士なのです。下着姿を見られるのは恥ずかしいのですよ、フローラ様」
「そうなの、はーにいさま?」
「うん、ちょっと恥ずかしいですね」
子ども部屋に残りたがるフローラ様もエリーサ様とハンネス様に説得されて、一時ミルヴァ様のお部屋に移った。子ども部屋の隣りの部屋がわたくしの部屋で、その隣りがマウリ様のお部屋、その正面がミルヴァ様のお部屋になっている。
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勉強机があって、クローゼットがあって、ベッドのあるミルヴァ様のお部屋は基本的にわたくしの部屋と作りは同じだ。椅子が一つしかないのでわたくしの部屋から持って来て、フローラ様はミルヴァ様の机に備え付けた椅子に座って、わたくしは自分の部屋から持ってきた椅子に座って、ミルヴァ様がベッドに腰かける。
「エリーサ様はまたポンチョを作ってくださるのかしら? わたくし、そろそろアイラ様とおなじケープがいいわ」
「わたくし、ポンチョ、ほしい!」
「ミルヴァ様とお揃いだったら嬉しいですね。フローラ様はマウリ様とミルヴァ様のポンチョを羨ましがっていましたよね」
大人っぽくケープにしたいと言うミルヴァ様と、これまでマウリ様とミルヴァ様が使っていたポンチョを自分も欲しいと言うフローラ様。フローラ様はこれまでポンチョを持っていなかったから、ずっと羨ましかったのだと思われる。
7歳のミルヴァ様はケープ姿もよく似合うだろう。エリーサ様に相談してみなければいけないと考えていると、わたくしたちが呼ばれた。
次はハンネス様とクリスティアンとマウリ様の男性陣が別の部屋に行く番だった。
下着姿といってもワンピースの下には膝下まであるキャミソールドレスのようなものを身に着けている。その姿になったわたくしとミルヴァ様と、ぷっくりカボチャパンツに上半身にキャミソールを着たフローラ様をエリーサ様がメジャーを使って採寸して行って、細かく数字を書き留めている。
「エリーサ様、わたくし、アイラ様とおなじケープがいいんです」
「そういうお年頃ですよね。ハンネス様もクリスティアン様もマウリ様も、ポンチョではなくてオーバーコートを注文されましたわ」
「いいのですか?」
「もちろん、注文通りにお作りしますよ」
快く了承されて、ミルヴァ様はワンピースを着ながら喜んでいた。
「色は前みたいなぶどう色がいいです」
「わたくし、ポンチョがいいの! いろは、すみれいろ!」
「ミルヴァ様は葡萄色のケープで、フローラ様は菫色のポンチョですね。アイラ様は?」
色を聞かれてわたくしは迷ってしまう。
前のケープは水色がかったグレイでとても気に入っていたが、今回は色をどうしよう。
「ハンネス様は深緑、マウリ様は草色、クリスティアン様は水色を注文なさいましたよ」
「それなら……わたくしは以前より青みの濃いグレイにできますか?」
「いっそ、ミッドナイトブルーにしますか?」
ミッドナイトブルー。
深い夜のような青の名前をエリーサ様が口にした瞬間、わたくしの脳裏に晴れた星空が浮かんだ。それはきっととても美しく上品だろう。
「それでお願いします」
「分かりました。冬までに仕上げなければいけないので、大急ぎで作りますね」
「ありがとうございます……あの、支払いは?」
わたくしとマウリ様とミルヴァ様とハンネス様とフローラ様とクリスティアンの分を作ってもらうのだ。報酬は決して安くないだろうということは分かっていた。水も弾いて雨や雪の日でも使えて、薄くてとても暖かいケープやオーバーコートやポンチョ、合計六枚。
支払いに困っていると、エロラ先生が朗らかに笑っていた。
「アイラちゃんはもう支払っているよ」
「え?」
「マンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫の対価を、受け取っていないだろう?」
言われてみればわたくしはエリーサ様にマンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫をお譲りしたが、その対価は受け取っていない。それ以上のことを常にエリーサ様にしてもらっているので、対価を要求するなどおこがましいと思っていたのだ。
「まだまだ、これだけでは対価は支払えませんから、他のものも作りますよ。まずは、ラント家に調合室からですかね」
高等学校に調合室を作るのは許可が必要なのでハールス先生も待っている状態だが、ラント家ならばわたくしの両親に許可を取ればいい。ラント家の庭にもマンドラゴラの畑があってクリスティアンが毎日世話をしているし、薬草貯蔵庫もある。その隣りに調合室を建ててもらうことも不可能ではないだろう。
「ラント家に調合室ができるのですか?」
わたくしたちの着替えが終わったので戻って来たクリスティアンが、エリーサ様の話を聞いていて、飛び上がって喜ぶ。
「使うのは誰か大人と一緒でなければいけませんが、調合室があることで損はしないでしょう?」
「リーッタ先生に相談してみます! 調合室で使えるレシピもリーッタ先生と話し合っているんです」
クリスティアンが高等学校に入学しても、リーッタ先生はラント家の家庭教師を辞めていない。高等学校で学ぶクリスティアンの手助けをしてくれているのだ。
ラント家に調合室ができるという話に、ハンネス様も興味津々だった。
「クリスティアン様は魔力がないのに魔法学を勉強しているのですよね。私も魔力がなくても魔法薬を調合できるようになるでしょうか?」
「ハンネス様も魔法薬を調合できるようになりますよ。僕もそのために日々勉強しているんですから」
クリスティアンの言葉にハンネス様は何か言いたそうにして、言葉を飲み込んだ。何を言いたいのかわたくしには分かる気がした。
わたくしが魔法学を習うようになってから、クリスティアンだけでなくハンネス様もずっと興味を持っていた。ハンネス様とは何度か調合室で一緒に調合をしたこともある。
入学式からまだ日は経っていないし、まだ間に合うのではないだろうか。
「エロラ先生、ハンネス様も魔法学を学ぶことができるでしょうか?」
「アイラ様……そんな……。私には魔力がないのですよ」
「クリスティアンにも魔力はありません。それでも学びたいという気持ちをハールス先生は大事にしてくださっています。エロラ先生、ハンネス様にも魔力はありませんが、学ぶ機会をあげることはできませんか?」
お願いをするわたくしに、エロラ先生が大股でハンネス様に近付いてくる。女性特有の細さと中性的な容貌、高い背と三つ揃いのスーツをきっちりと着込んだ美しい姿に、ハンネス様は緊張しているようだった。
「ハンネスくん、真剣に魔法学を学びたいと思うかい?」
「学びたいです」
「ハンネスくんは、アイラちゃんが魔法を実践していても、自分が実践することはできない。あくまでも座学と調合だけだ。それでもやりたいかな?」
「自分に魔力がないことは知っています。クリスティアン様が魔力がないのに魔法学を学んでいることが、ずっと羨ましかったのです。私はいずれ、魔法薬を作れる研究者になりたい。魔法薬の作り方を領民に教えられるようになりたいのです」
そこまで言って、ハンネス様は言葉を切ってエロラ先生に深く頭を下げた。
「エロラ先生、どうか、私に魔法学を教えてください!」
なかなか頭を上げないハンネス様に、エロラ先生が唇の両端を吊り上げて美しく微笑む。
「私は優しい教師ではないよ。だが、やる気のある生徒は大歓迎だ。高等学校に届け出を出そう。来週からアイラちゃんと一緒に、サンルームにおいで」
熱意を認められてハンネス様は魔法学を履修することを許された。顔を上げたハンネス様の表情は驚きと喜びに満ちていた。
「ありがとうございます……。私には無理だと思っていました。アイラ様も、言ってくださってありがとうございます」
喜んでわたくしの手を取ろうとするハンネス様との間に、マウリ様が素早く入る。
「兄上、同じまほうがくをまなんでも、アイラ様は私のこんやくしゃだからね?」
「手を取るのも許されないんですか?」
「アイラ様にはあまりさわっちゃいやなの!」
独占欲を丸出しにしてくるマウリ様に、わたくしは苦笑してしまうが可愛いので怒ることができない。
「大丈夫ですよ、アイラ様はマウリ様が大好きですからね」
「そ、そうかな」
エリーサ様に言われてマウリ様がじっとわたくしを見上げてくる。
「マウリ様が大好きですよ」
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