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四章 新しい家族との高等学校三年目
15.マウリ様とミルヴァ様の熱
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魔法学の授業の終わりにはエロラ先生の淹れてくれたお茶を飲む。エリーサ様が来るようになってからは、ミルクで煮出した紅茶やスパイスを入れたミルクティーのチャイを飲むことが多くなっていた。
ミルクで煮出した紅茶は、この季節にはとても身体が温まる。ふうふうと吹き冷ましながら飲んでいると、エリーサ様がエロラ先生の隣りに座って寄り添っている姿が湯気の向こうに見える。美しいお二人が寄り添う姿は眼福だ。
「わたくし、ダンスの練習を始めました。お二人も踊ることがありますか?」
「私とエリーサは公には仲が認められていないから、舞踏会で踊ることはないけれど、二人きりでなら踊ったね」
「森の中、月の下で、音楽もないのに二人、踊りましたね」
木の根や草に足を取られることなく、エロラ先生とエリーサ様は優雅に踊ったのだろう。月の下の木々の間から零れる光の中で、密やかに二人だけで踊る姿はどれ程美しかったか。想像するだけでも胸がいっぱいになる。
「アイラちゃんが踊り始めたなんて、マウリくんがよく許したね」
「それなんですが……他の男性とは踊らないでと言われました」
可愛い独占欲でわたくしも嬉しかったのだが、男性のパートを知らないスティーナ様にお相手を務めさせるのは負担が大きいのではないかと不安でもあった。産後スティーナ様は順調に回復しているとはいえ、まだ四か月しか経っていないのだ。
赤ん坊を産むのは母体にとても大きな負担がかかる。マウリ様とミルヴァ様を産んだ後スティーナ様は毒の影響もあったが四年間も寝込んでいたのだ。無理をさせたくないというわたくしの気持ちも仕方がないものだった。
「メル、あなたがお相手をして差し上げたらどうですか?」
「私が? エリーサは妬かない?」
「わたくしがアイラ様に妬くわけがないでしょう?」
ころころと鈴を鳴らすように笑うエリーサ様に、エロラ先生も乗り気になったようだった。
「練習のときに呼んでくれたら、私でよければ、お相手を務めよう」
エロラ先生は男性ではないし、エリーサ様と踊れるのだから男性のパートは覚えているはずだ。スティーナ様と踊るのは嫌ではなかったが、男性のパートはスティーナ様も初めてで戸惑いがあって、わたくしも踊るのが初めての初心者で、どちらとも上手くいかない状態だったから、上手なひとに教えてもらいたいという欲がないわけでもなかった。
「よろしいのですか?」
「エリーサの許可が出たからね」
「アイラ様だから特別ですよ」
悪戯っぽく笑うエリーサ様の頬にエロラ先生が自然な動作で口付ける。くすぐったそうに笑うエリーサ様はとても幸せそうだった。
この幸せな光景も長くは続かない。授業が終わるとエリーサ様は移転の魔法でラント領に帰ってしまうのだ。手を振りながら消えていくエリーサ様を見つめるエロラ先生の背中は寂しそうだった。
エリーサ様とエロラ先生が引き離されることなく暮らせる日が遠すぎて、わたくしはもっと近くならないのかと考えてしまう。誰がエリーサ様とエロラ先生の仲を反対していて、こんな条件を付けたのだろう。
百年など経たなくてもお二人の気持ちが変わることは決してないだろうし、お二人を引き離している時間がただの無駄に思えてならない。抗議できるものならばわたくしはお二人を引き離しているひとに話をしたいと思い始めるようになっていた。
魔法学の授業が終わるとお弁当の時間を挟んで午後の授業に入る。午後の授業は農学だった。
ヘルレヴィ領で行われている果樹の栽培や酪農、辺境域で行われている放牧などを習うと共に、今年度から教科書の項目が一つ増えていた。
「マンドラゴラ栽培について、ですか」
「ヘルレヴィ領でもマンドラゴラ栽培をする畑と寮が作られたから、授業に加えて、更にマンドラゴラを栽培する農家が増えるようにしたいんでしょうね」
「エーリクも幼年学校でマンドラゴラの授業が増えたって言ってました」
ニーナ様の弟のエーリク様は新しくマンドラゴラの授業も受けるようになったようだ。マンドラゴラを栽培することはヘルレヴィ領にとって大きな利益になることを見越して、カールロ様とスティーナ様が教育に取り入れるように取り計らったのだろう。
授業を受けると、わたくしは経験していることばかりだったが、マルコ様もニーナ様も真剣にノートに授業内容を書いていた。
「マンドラゴラのための薬草についても教えてくれてるから、しっかり学ばないと」
「うちも薬草を買うんじゃなくて、自分で育てないといけないかな……」
「エーリク様の勉強にもなるから、育てた方がいいですよ」
マルコ様は自分の家の農地の一部でマンドラゴラの栄養剤のための薬草を育てているようだが、ニーナ様は買って手に入れているらしい。買うよりも自分で育てる方が勉強になると促すマルコ様に、ニーナ様も何となく納得したのか頷いていた。
授業が終わると迎えに来た馬車に乗ってヘルレヴィ家に帰るのだが、珍しくエロラ先生が高等学校の校門近くの前庭でわたくしを待っていてくれた。
「あれが、妖精種の……」
「女性なのに男性のような姿をしている」
「本当に女性なのでしょうか?」
人前に姿を現すことをあまり好まず、サンルームの中にエロラ先生が閉じこもっているのは、こんな妙な声をよく聞くからだろう。エリーサ様と一緒にいると尚更妙な声が聞こえてくるのかもしれない。
わたくしはエリーサ様とエロラ先生が女性同士で愛し合っていても、愛は性別を問わず素晴らしいものだと思うのだが、そうは思わないひとたちがたくさんいることも知っている。そういうひとたちを気にしないのだろうが、エリーサ様とエロラ先生は反対するひとに阻まれて百年間引き離される時間を過ごさなければならない。
残りは六十年くらいと言っていたような気がするが、それでも十分な長い。四十年もお二人が我慢できたのが信じられないくらいだ。
「アイラちゃん、これをエリーサが君たちに」
「わたくしたちに? スティーナ様ですか?」
「いや、アイラちゃんとマウリくんとミルヴァちゃんとハンネスくんとフローラちゃんに、かな」
ヘルレヴィ家の子どもたちに宛ててエリーサ様は手紙を書いてくださった。受け取ってわたくしはお礼を言ってエロラ先生を見送る。堂々と大股で歩いて行くエロラ先生は凛としていて格好いい。周囲の声など聞こえていないようだった。
ヘルレヴィ家に帰ってからわたくしは着替えて子ども部屋に行った。子ども部屋ではマウリ様とミルヴァ様がサロモン先生の授業を受けていて、同じテーブルでハンネス様が宿題をしている横でフローラ様がお絵描きをしている。
「おかえりなさい、アイラさま!」
「ただいま帰りました、マウリ様」
椅子から飛び降りてわたくしの元に駆けて来るマウリ様を抱き締めると、マウリ様もぎゅっとわたくしにしがみ付いてきた。小さなお手手が熱い気がする。
「マウリ様、ちょっと失礼します」
前髪を上げてマウリ様の額に触れると、マウリ様の額がいつもより熱い気がした。ほっぺたも赤くなっているし、洟も垂れかけている。洟を拭きながら、わたくしはマウリ様の生命力を見てみた。
額に触れた手からマウリ様の生命力が感じられる。いつもは緑に澄んでいるのに、今日はどこか濁っている気がする。
「気分は悪くありませんか? 頭は痛くないですか? 吐き気はしませんか?」
「えっとね、あさからちょっとおのどがいたくて、ごはんがたべにくかったの」
わたくしの問いかけに答えたマウリ様に、傍で聞いていたヨハンナ様が顔色を変える。
「朝食で食欲がなさそうだとは思っていたのです。昼食もあまり召し上がらなかったし……」
「熱があるかもしれません。スティーナ様にお知らせして、お医者様を手配してもらいましょう」
話している間に、椅子に座っているミルヴァ様が傾いていることにわたくしは気付いた。勉強を中断していたサロモン先生は気付いていないようだが、わたくしはミルヴァ様に駆け寄る。
「ミルヴァ様、どこか痛いところはありませんか?」
「あたまがふらふらするの」
ほっぺたを赤くしているミルヴァ様もどうやら調子が悪いようだった。手を翳してみるといつもは澄んだ赤に感じる生命力が、今日は濁っている気がする。
「ミルヴァ様も朝食と昼食をあまり召し上がりませんでした。最近は介助なしで食べられるので、今日はお二人とも食べたくない日なのかと思っておりました。気が付かなくてすみません」
「まだ6歳ですもの。食べるのにむらがあっても仕方がないです。ヨハンナ様のせいじゃありません」
謝るヨハンナ様にわたくしは答えてから、スティーナ様とカールロ様にマウリ様とミルヴァ様が熱を出していることを伝えた。執務室からすぐに来てくれた二人は、マウリ様とミルヴァ様のためにお医者様を呼んでくれた。
「風邪だと思いますよ」
「伝染病ではないのですか?」
「お二人は風邪ですね。ただ……流行性耳下腺炎や風疹、麻疹が幼年学校で流行っていますが、予防接種は受けられましたか?」
「ハンネスは小さな頃かかりましたが……マウリ様とミルヴァ様は予防接種は受けていないのでは?」
マウリ様とミルヴァ様はただの風邪だったが、ここでわたくしはマウリ様とミルヴァ様について新しい事実を知ってしまった。
ミルクで煮出した紅茶は、この季節にはとても身体が温まる。ふうふうと吹き冷ましながら飲んでいると、エリーサ様がエロラ先生の隣りに座って寄り添っている姿が湯気の向こうに見える。美しいお二人が寄り添う姿は眼福だ。
「わたくし、ダンスの練習を始めました。お二人も踊ることがありますか?」
「私とエリーサは公には仲が認められていないから、舞踏会で踊ることはないけれど、二人きりでなら踊ったね」
「森の中、月の下で、音楽もないのに二人、踊りましたね」
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「アイラちゃんが踊り始めたなんて、マウリくんがよく許したね」
「それなんですが……他の男性とは踊らないでと言われました」
可愛い独占欲でわたくしも嬉しかったのだが、男性のパートを知らないスティーナ様にお相手を務めさせるのは負担が大きいのではないかと不安でもあった。産後スティーナ様は順調に回復しているとはいえ、まだ四か月しか経っていないのだ。
赤ん坊を産むのは母体にとても大きな負担がかかる。マウリ様とミルヴァ様を産んだ後スティーナ様は毒の影響もあったが四年間も寝込んでいたのだ。無理をさせたくないというわたくしの気持ちも仕方がないものだった。
「メル、あなたがお相手をして差し上げたらどうですか?」
「私が? エリーサは妬かない?」
「わたくしがアイラ様に妬くわけがないでしょう?」
ころころと鈴を鳴らすように笑うエリーサ様に、エロラ先生も乗り気になったようだった。
「練習のときに呼んでくれたら、私でよければ、お相手を務めよう」
エロラ先生は男性ではないし、エリーサ様と踊れるのだから男性のパートは覚えているはずだ。スティーナ様と踊るのは嫌ではなかったが、男性のパートはスティーナ様も初めてで戸惑いがあって、わたくしも踊るのが初めての初心者で、どちらとも上手くいかない状態だったから、上手なひとに教えてもらいたいという欲がないわけでもなかった。
「よろしいのですか?」
「エリーサの許可が出たからね」
「アイラ様だから特別ですよ」
悪戯っぽく笑うエリーサ様の頬にエロラ先生が自然な動作で口付ける。くすぐったそうに笑うエリーサ様はとても幸せそうだった。
この幸せな光景も長くは続かない。授業が終わるとエリーサ様は移転の魔法でラント領に帰ってしまうのだ。手を振りながら消えていくエリーサ様を見つめるエロラ先生の背中は寂しそうだった。
エリーサ様とエロラ先生が引き離されることなく暮らせる日が遠すぎて、わたくしはもっと近くならないのかと考えてしまう。誰がエリーサ様とエロラ先生の仲を反対していて、こんな条件を付けたのだろう。
百年など経たなくてもお二人の気持ちが変わることは決してないだろうし、お二人を引き離している時間がただの無駄に思えてならない。抗議できるものならばわたくしはお二人を引き離しているひとに話をしたいと思い始めるようになっていた。
魔法学の授業が終わるとお弁当の時間を挟んで午後の授業に入る。午後の授業は農学だった。
ヘルレヴィ領で行われている果樹の栽培や酪農、辺境域で行われている放牧などを習うと共に、今年度から教科書の項目が一つ増えていた。
「マンドラゴラ栽培について、ですか」
「ヘルレヴィ領でもマンドラゴラ栽培をする畑と寮が作られたから、授業に加えて、更にマンドラゴラを栽培する農家が増えるようにしたいんでしょうね」
「エーリクも幼年学校でマンドラゴラの授業が増えたって言ってました」
ニーナ様の弟のエーリク様は新しくマンドラゴラの授業も受けるようになったようだ。マンドラゴラを栽培することはヘルレヴィ領にとって大きな利益になることを見越して、カールロ様とスティーナ様が教育に取り入れるように取り計らったのだろう。
授業を受けると、わたくしは経験していることばかりだったが、マルコ様もニーナ様も真剣にノートに授業内容を書いていた。
「マンドラゴラのための薬草についても教えてくれてるから、しっかり学ばないと」
「うちも薬草を買うんじゃなくて、自分で育てないといけないかな……」
「エーリク様の勉強にもなるから、育てた方がいいですよ」
マルコ様は自分の家の農地の一部でマンドラゴラの栄養剤のための薬草を育てているようだが、ニーナ様は買って手に入れているらしい。買うよりも自分で育てる方が勉強になると促すマルコ様に、ニーナ様も何となく納得したのか頷いていた。
授業が終わると迎えに来た馬車に乗ってヘルレヴィ家に帰るのだが、珍しくエロラ先生が高等学校の校門近くの前庭でわたくしを待っていてくれた。
「あれが、妖精種の……」
「女性なのに男性のような姿をしている」
「本当に女性なのでしょうか?」
人前に姿を現すことをあまり好まず、サンルームの中にエロラ先生が閉じこもっているのは、こんな妙な声をよく聞くからだろう。エリーサ様と一緒にいると尚更妙な声が聞こえてくるのかもしれない。
わたくしはエリーサ様とエロラ先生が女性同士で愛し合っていても、愛は性別を問わず素晴らしいものだと思うのだが、そうは思わないひとたちがたくさんいることも知っている。そういうひとたちを気にしないのだろうが、エリーサ様とエロラ先生は反対するひとに阻まれて百年間引き離される時間を過ごさなければならない。
残りは六十年くらいと言っていたような気がするが、それでも十分な長い。四十年もお二人が我慢できたのが信じられないくらいだ。
「アイラちゃん、これをエリーサが君たちに」
「わたくしたちに? スティーナ様ですか?」
「いや、アイラちゃんとマウリくんとミルヴァちゃんとハンネスくんとフローラちゃんに、かな」
ヘルレヴィ家の子どもたちに宛ててエリーサ様は手紙を書いてくださった。受け取ってわたくしはお礼を言ってエロラ先生を見送る。堂々と大股で歩いて行くエロラ先生は凛としていて格好いい。周囲の声など聞こえていないようだった。
ヘルレヴィ家に帰ってからわたくしは着替えて子ども部屋に行った。子ども部屋ではマウリ様とミルヴァ様がサロモン先生の授業を受けていて、同じテーブルでハンネス様が宿題をしている横でフローラ様がお絵描きをしている。
「おかえりなさい、アイラさま!」
「ただいま帰りました、マウリ様」
椅子から飛び降りてわたくしの元に駆けて来るマウリ様を抱き締めると、マウリ様もぎゅっとわたくしにしがみ付いてきた。小さなお手手が熱い気がする。
「マウリ様、ちょっと失礼します」
前髪を上げてマウリ様の額に触れると、マウリ様の額がいつもより熱い気がした。ほっぺたも赤くなっているし、洟も垂れかけている。洟を拭きながら、わたくしはマウリ様の生命力を見てみた。
額に触れた手からマウリ様の生命力が感じられる。いつもは緑に澄んでいるのに、今日はどこか濁っている気がする。
「気分は悪くありませんか? 頭は痛くないですか? 吐き気はしませんか?」
「えっとね、あさからちょっとおのどがいたくて、ごはんがたべにくかったの」
わたくしの問いかけに答えたマウリ様に、傍で聞いていたヨハンナ様が顔色を変える。
「朝食で食欲がなさそうだとは思っていたのです。昼食もあまり召し上がらなかったし……」
「熱があるかもしれません。スティーナ様にお知らせして、お医者様を手配してもらいましょう」
話している間に、椅子に座っているミルヴァ様が傾いていることにわたくしは気付いた。勉強を中断していたサロモン先生は気付いていないようだが、わたくしはミルヴァ様に駆け寄る。
「ミルヴァ様、どこか痛いところはありませんか?」
「あたまがふらふらするの」
ほっぺたを赤くしているミルヴァ様もどうやら調子が悪いようだった。手を翳してみるといつもは澄んだ赤に感じる生命力が、今日は濁っている気がする。
「ミルヴァ様も朝食と昼食をあまり召し上がりませんでした。最近は介助なしで食べられるので、今日はお二人とも食べたくない日なのかと思っておりました。気が付かなくてすみません」
「まだ6歳ですもの。食べるのにむらがあっても仕方がないです。ヨハンナ様のせいじゃありません」
謝るヨハンナ様にわたくしは答えてから、スティーナ様とカールロ様にマウリ様とミルヴァ様が熱を出していることを伝えた。執務室からすぐに来てくれた二人は、マウリ様とミルヴァ様のためにお医者様を呼んでくれた。
「風邪だと思いますよ」
「伝染病ではないのですか?」
「お二人は風邪ですね。ただ……流行性耳下腺炎や風疹、麻疹が幼年学校で流行っていますが、予防接種は受けられましたか?」
「ハンネスは小さな頃かかりましたが……マウリ様とミルヴァ様は予防接種は受けていないのでは?」
マウリ様とミルヴァ様はただの風邪だったが、ここでわたくしはマウリ様とミルヴァ様について新しい事実を知ってしまった。
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