52 / 64
二章 龍王と王配の二年目
22.サイラスの結婚式
しおりを挟む
王城の客間で龍王を抱き締めて眠った。
龍王はヨシュアを抱きたい様子ではあったし、ヨシュアも応えてやりたかったけれど、青陵殿と違って湯殿も龍王とヨシュアが望む時間に使えるわけではないし、何よりイザークにもシオンにも休みを出していたので護衛がいなかった。
抱き合うとなるとどうしてもそちらに集中してしまって、ヨシュアにも龍王にも隙ができる。そこを狙われて襲われてはどうしようもない。
何より、龍王を受け入れて感じているときに邪魔が入るのがヨシュアには耐えがたかった。
それを龍王も理解しているようで、青陵殿に戻るまでは我慢してくれそうだった。
ラバン王国滞在の二日目、ヨシュアと龍王はフロックコートにブーツを合わせて魔術騎士団の副団長であるサイラスの結婚式に出席することになっていた。ヨシュアは自分で着替えができるが、慣れていない様子の龍王にはネイサンとデボラがつきっきりでフロックコートを着せてくれる。
タイも結んでもらって、馬を用意させてヨシュアが龍王を前に乗せて後ろから抱き締めるようにして手綱を取った。
「馬に乗っています。視線が高いですね」
「ラバン王国の馬は特に足が長くて体高が高い。気に入ったなら、旅行に行くときも護衛に守らせて馬で道を進んでもいい」
「そのときには一人で乗れるようになっていたいです。ヨシュア、教えてくれますか?」
「おれでよければ教えよう」
結婚式の会場は大きな神殿だった。
参列者も志龍王国の魔術騎士団の副団長なので魔術騎士が大勢と、新婦側の親族がいた。
神官の前でサイラスと新婦が誓いの言葉を述べる。
誓いの言葉を述べた後には、誓いの口付けをして、指輪を交換する。
志龍王国と全く違う結婚式の様子に馬に乗って興奮していた龍王は、再び黒い目を煌めかせてそれに見入っていた。
服装も志龍王国では真っ赤な衣装だったのに、ラバン王国は白い衣装を着ていて、新婦は薄いヴェールで顔を隠していた。
見とれていた龍王の手がヨシュアの手を握る。握り返して龍王の顔を見れば、頬を紅潮させている。
ラバン王国のものほどではないが、龍王は肌が白い。若干黄みがかっているのだが、それでも志龍王国の中では十分白いと言えるだろう。
志龍王国のものは黄みがかった肌か、少し浅黒い日に焼けた肌のものが多かった。
ラバン王国は妖精の血を引く国なので、透けるように白い肌のものが多く髪色も九割が黒髪の志龍王国と違って、金髪、栗色、茶色、灰色、黒髪と様々である。それでも、他国と混血が進んでいるので髪色で多いのは黒髪だろうか。
「龍王陛下、王配陛下、わたしたちの結婚式に来てくださったのですね」
「わたくし、サイラスにずっと求婚されていたのですが、志龍王国に行く勇気が出なかったのです。王配陛下が玉を賜り、龍王陛下と同じ地位になったと聞いたとき、志龍王国はラバン王国のものも決して無碍には扱わないと思って結婚を決意しました」
はきはきと喋る新婦にヨシュアはサイラスはいい妻を得たと祝いの気持ちでいっぱいになる。
「おめでとう、サイラス。これからもしっかりと務めてくれ」
「もちろんです、王配陛下。王配陛下の元で魔術騎士団の副団長を務めさせていただきます」
サイラスに声を掛けていると、続いてぞろぞろと新郎新婦姿の魔術騎士が神官の前に歩み出る。
「この機会に結婚しておこうという魔術騎士が多かったので、合同の結婚式にしたのです。お疲れにならない程度に参列してやってください」
「おれの大事な部下たちの結婚式だ。最後まで見守るよ」
ヨシュアが微笑んで答えると、サイラスは新婦を抱き上げて花びらを撒かれながら神殿から出て馬車に乗って行った。これから披露宴の席に向かうのだろう。
ヨシュアと残っている龍王が、まだ続く結婚式を見ていると、龍王がふとヨシュアを見上げていることに気付く。
「どうした?」
「ヨシュアにあの白い衣装を着てほしい。わたしも同じ白い衣装を着て、結婚式をやりたい」
「おれと星宇の結婚式はもう終わっているよ?」
「ラバン王国式の結婚式がこんなに華やかなものだなんて知らなかったのです。ヨシュアはもう一度わたしと結婚式を挙げるのは嫌ですか?」
嫌かと言われれば、嫌ではないが、二度も三度も結婚式というのは挙げるものだっただろうか。何よりヨシュアと龍王は結婚して一年以上経っている。
「普通の王族だったら、婚約期間があって、結婚式を挙げるのですが、わたしとヨシュアの間には婚約期間がなかった。来年の結婚記念日に式を挙げるのはどうですか?」
「星宇がそこまでいうのなら挙げても構わないよ。前王妃殿下と梓晴殿下と浩然殿下と子睿殿をお呼びして挙げるか?」
「そのころには最高の衣装もでき上がっているでしょうね」
衣装も注文して作るつもりだという龍王に、ヨシュアはそれ以上何も言わなかった。龍王がそれで満足するのならばいいだろう。
魔術騎士たちの結婚式が終わると、ヨシュアと龍王は二人で馬に乗って少し町を見回った。
ヨシュアが町歩きに出るのは王弟だったころからよくあったことなので、町のひとたちもどれほど驚いていないが、龍王は初めてで、ヨシュアと親し気にしているのですぐに龍王と知れてしまって遠巻きに見られているのには気付いていた。
「あの方がラバン王国の王弟殿下と結婚された龍王陛下」
「あの方のおかげでラバン王国も実りが増えていると言われている」
「意外と普通の男性なのだな」
「あの方を王配殿下が溺愛していらっしゃるのね」
妙な言葉も聞こえてくる気がするが、龍王があまり気にしていないのでヨシュアも気にしないことにする。馬から降りると、見えないところから警護していた兵士が素早く駆け寄ってきて馬の手綱を受け取ってくれる。
歩きながら露店を見ていると、龍王が甘い香りに引き寄せられるように店の中を見ている。
「あれはなんですか? けーきですか?」
「パンケーキだな。一緒に食べるか?」
「え!? こんな店に入っていいのですか?」
ふわふわに焼き上げた分厚いパンケーキに果物やクリームを添えたものに興味津々の龍王に、ヨシュアは構わず手を取って店の戸を開けた。
護衛は入り口に立っている。
「二人前頼む」
「す、少しお時間をいただきますがよろしいでしょうか?」
「その間に飲み物でも飲むか。この方には香茶に牛乳と蜂蜜を入れたものを、おれは香茶に何も入れないものを頼む」
注文して席に座ると視線がこちらに向いているのが分かる。
立ち上がった女性がおずおずとヨシュアと龍王に話しかけてくる。
「龍王陛下と王配陛下とお見受けいたします。わたし、この近くの店で働いておりまして、よろしければお二人に……」
「そういう店には行かない。行く必要がないくらい、お互いで満たされているので」
豊かな胸を強調するようにして、いかがわしい店の宣伝をする女性にきっぱりと断ると、龍王が何事かと目を丸くしている。
女性が引き下がった後にヨシュアは説明する。
「彼女は娼妓だよ」
「そ、そうなのですか。あなたが断ってくれてよかった」
「興味があったか?」
「わたしはあなたにしか興味はありません」
驚いていたようだが、悪戯っぽく尋ねてみると、はっきりと龍王は宣言する。その潔い姿に微笑みながら、ヨシュアは香茶を楽しんだ。
四半刻ほどして焼き上がってきたパンケーキはふわふわで口の中で溶けて消えるようだった。
龍王はたっぷりと蜂蜜をかけてクリームを乗せて、果物と一緒に食べている。唇の横にクリークが付いているのをヨシュアが指先で拭ってやると、その指をぺろりと舐められる。
そのまま指を咥えられそうになって、ヨシュアは手を引いてナプキンで指を拭いた。
「龍王陛下は煽るのがお上手で」
「これでも我慢している方なのですよ?」
珍しく龍王に余裕の顔をされてヨシュアが苦笑する。
志龍王国に帰るまでまだ二日はある。
それまでに我慢ができなくなるのはヨシュアなのか、龍王なのか。
我慢比べもまた、龍王となら楽しかった。
龍王はヨシュアを抱きたい様子ではあったし、ヨシュアも応えてやりたかったけれど、青陵殿と違って湯殿も龍王とヨシュアが望む時間に使えるわけではないし、何よりイザークにもシオンにも休みを出していたので護衛がいなかった。
抱き合うとなるとどうしてもそちらに集中してしまって、ヨシュアにも龍王にも隙ができる。そこを狙われて襲われてはどうしようもない。
何より、龍王を受け入れて感じているときに邪魔が入るのがヨシュアには耐えがたかった。
それを龍王も理解しているようで、青陵殿に戻るまでは我慢してくれそうだった。
ラバン王国滞在の二日目、ヨシュアと龍王はフロックコートにブーツを合わせて魔術騎士団の副団長であるサイラスの結婚式に出席することになっていた。ヨシュアは自分で着替えができるが、慣れていない様子の龍王にはネイサンとデボラがつきっきりでフロックコートを着せてくれる。
タイも結んでもらって、馬を用意させてヨシュアが龍王を前に乗せて後ろから抱き締めるようにして手綱を取った。
「馬に乗っています。視線が高いですね」
「ラバン王国の馬は特に足が長くて体高が高い。気に入ったなら、旅行に行くときも護衛に守らせて馬で道を進んでもいい」
「そのときには一人で乗れるようになっていたいです。ヨシュア、教えてくれますか?」
「おれでよければ教えよう」
結婚式の会場は大きな神殿だった。
参列者も志龍王国の魔術騎士団の副団長なので魔術騎士が大勢と、新婦側の親族がいた。
神官の前でサイラスと新婦が誓いの言葉を述べる。
誓いの言葉を述べた後には、誓いの口付けをして、指輪を交換する。
志龍王国と全く違う結婚式の様子に馬に乗って興奮していた龍王は、再び黒い目を煌めかせてそれに見入っていた。
服装も志龍王国では真っ赤な衣装だったのに、ラバン王国は白い衣装を着ていて、新婦は薄いヴェールで顔を隠していた。
見とれていた龍王の手がヨシュアの手を握る。握り返して龍王の顔を見れば、頬を紅潮させている。
ラバン王国のものほどではないが、龍王は肌が白い。若干黄みがかっているのだが、それでも志龍王国の中では十分白いと言えるだろう。
志龍王国のものは黄みがかった肌か、少し浅黒い日に焼けた肌のものが多かった。
ラバン王国は妖精の血を引く国なので、透けるように白い肌のものが多く髪色も九割が黒髪の志龍王国と違って、金髪、栗色、茶色、灰色、黒髪と様々である。それでも、他国と混血が進んでいるので髪色で多いのは黒髪だろうか。
「龍王陛下、王配陛下、わたしたちの結婚式に来てくださったのですね」
「わたくし、サイラスにずっと求婚されていたのですが、志龍王国に行く勇気が出なかったのです。王配陛下が玉を賜り、龍王陛下と同じ地位になったと聞いたとき、志龍王国はラバン王国のものも決して無碍には扱わないと思って結婚を決意しました」
はきはきと喋る新婦にヨシュアはサイラスはいい妻を得たと祝いの気持ちでいっぱいになる。
「おめでとう、サイラス。これからもしっかりと務めてくれ」
「もちろんです、王配陛下。王配陛下の元で魔術騎士団の副団長を務めさせていただきます」
サイラスに声を掛けていると、続いてぞろぞろと新郎新婦姿の魔術騎士が神官の前に歩み出る。
「この機会に結婚しておこうという魔術騎士が多かったので、合同の結婚式にしたのです。お疲れにならない程度に参列してやってください」
「おれの大事な部下たちの結婚式だ。最後まで見守るよ」
ヨシュアが微笑んで答えると、サイラスは新婦を抱き上げて花びらを撒かれながら神殿から出て馬車に乗って行った。これから披露宴の席に向かうのだろう。
ヨシュアと残っている龍王が、まだ続く結婚式を見ていると、龍王がふとヨシュアを見上げていることに気付く。
「どうした?」
「ヨシュアにあの白い衣装を着てほしい。わたしも同じ白い衣装を着て、結婚式をやりたい」
「おれと星宇の結婚式はもう終わっているよ?」
「ラバン王国式の結婚式がこんなに華やかなものだなんて知らなかったのです。ヨシュアはもう一度わたしと結婚式を挙げるのは嫌ですか?」
嫌かと言われれば、嫌ではないが、二度も三度も結婚式というのは挙げるものだっただろうか。何よりヨシュアと龍王は結婚して一年以上経っている。
「普通の王族だったら、婚約期間があって、結婚式を挙げるのですが、わたしとヨシュアの間には婚約期間がなかった。来年の結婚記念日に式を挙げるのはどうですか?」
「星宇がそこまでいうのなら挙げても構わないよ。前王妃殿下と梓晴殿下と浩然殿下と子睿殿をお呼びして挙げるか?」
「そのころには最高の衣装もでき上がっているでしょうね」
衣装も注文して作るつもりだという龍王に、ヨシュアはそれ以上何も言わなかった。龍王がそれで満足するのならばいいだろう。
魔術騎士たちの結婚式が終わると、ヨシュアと龍王は二人で馬に乗って少し町を見回った。
ヨシュアが町歩きに出るのは王弟だったころからよくあったことなので、町のひとたちもどれほど驚いていないが、龍王は初めてで、ヨシュアと親し気にしているのですぐに龍王と知れてしまって遠巻きに見られているのには気付いていた。
「あの方がラバン王国の王弟殿下と結婚された龍王陛下」
「あの方のおかげでラバン王国も実りが増えていると言われている」
「意外と普通の男性なのだな」
「あの方を王配殿下が溺愛していらっしゃるのね」
妙な言葉も聞こえてくる気がするが、龍王があまり気にしていないのでヨシュアも気にしないことにする。馬から降りると、見えないところから警護していた兵士が素早く駆け寄ってきて馬の手綱を受け取ってくれる。
歩きながら露店を見ていると、龍王が甘い香りに引き寄せられるように店の中を見ている。
「あれはなんですか? けーきですか?」
「パンケーキだな。一緒に食べるか?」
「え!? こんな店に入っていいのですか?」
ふわふわに焼き上げた分厚いパンケーキに果物やクリームを添えたものに興味津々の龍王に、ヨシュアは構わず手を取って店の戸を開けた。
護衛は入り口に立っている。
「二人前頼む」
「す、少しお時間をいただきますがよろしいでしょうか?」
「その間に飲み物でも飲むか。この方には香茶に牛乳と蜂蜜を入れたものを、おれは香茶に何も入れないものを頼む」
注文して席に座ると視線がこちらに向いているのが分かる。
立ち上がった女性がおずおずとヨシュアと龍王に話しかけてくる。
「龍王陛下と王配陛下とお見受けいたします。わたし、この近くの店で働いておりまして、よろしければお二人に……」
「そういう店には行かない。行く必要がないくらい、お互いで満たされているので」
豊かな胸を強調するようにして、いかがわしい店の宣伝をする女性にきっぱりと断ると、龍王が何事かと目を丸くしている。
女性が引き下がった後にヨシュアは説明する。
「彼女は娼妓だよ」
「そ、そうなのですか。あなたが断ってくれてよかった」
「興味があったか?」
「わたしはあなたにしか興味はありません」
驚いていたようだが、悪戯っぽく尋ねてみると、はっきりと龍王は宣言する。その潔い姿に微笑みながら、ヨシュアは香茶を楽しんだ。
四半刻ほどして焼き上がってきたパンケーキはふわふわで口の中で溶けて消えるようだった。
龍王はたっぷりと蜂蜜をかけてクリームを乗せて、果物と一緒に食べている。唇の横にクリークが付いているのをヨシュアが指先で拭ってやると、その指をぺろりと舐められる。
そのまま指を咥えられそうになって、ヨシュアは手を引いてナプキンで指を拭いた。
「龍王陛下は煽るのがお上手で」
「これでも我慢している方なのですよ?」
珍しく龍王に余裕の顔をされてヨシュアが苦笑する。
志龍王国に帰るまでまだ二日はある。
それまでに我慢ができなくなるのはヨシュアなのか、龍王なのか。
我慢比べもまた、龍王となら楽しかった。
63
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
記憶を失った悪女は、無理矢理結婚させた夫と離縁したい。
りつ
恋愛
目が覚めると、ブランシュはすべての記憶を失っていた。自分は王女で、美貌の夫――マティアスのもとへすでに降嫁していたという。しかし妻を見る夫の目はひどく冷たく、まるで目覚めなければよかったという態度。夫だけでなく、王太子である兄も、侍女や衛兵も、みなどこか自分に対して冷淡で、余所余所しい。
「おまえは婚約者のいるマティアスを無理矢理奪ったのだ」
次々と明かされる己の所業。ブランシュは強引に結婚させたマティアスに罪悪感を覚え、離縁しようと申し出るが……
「そんなこと絶対に許さない」
今まで自分が受けてきた屈辱を、今度はブランシュが味わうよう、マティアスは彼女に命じるのだった。
一年後に死ぬ予定の悪役令嬢は、呪われた皇太子と番になる
兎束作哉
恋愛
番契約――それは婚約よりも重く、相手と一生添い遂げるための互いを縛る枷のようなもの。
「精々俺を楽しませてくれよ。番様。俺の一年が意味あるものにしてくれよ。じゃなきゃ殺すからな」
「……殿下の手は患わせませんよ。どうせ、一年だけの関係ですから」
一年後に死ぬ予定の悪役令嬢ロルベーア・メルクールに転生!? それも、取り返しのつかない”番契約”をしている最中に転生という最悪な転生の仕方で。
自分は愛されない悪役令嬢のロルベーア。どうせ決まったバッドエンドなら残り一年、自由に生きたい――!
そう思っていたのに、冷酷無慈悲な呪われた皇太子アインザーム・メテオリートに興味を持たれてしまう。
殿下は、これまで一年もたたず番を殺してきた生粋の女嫌い、人間不信……のはずなのに。
ヒーローが悪役令嬢を好きになるはずがない! 殿下はただ興味を持っただけ、そこに愛なんて存在しない! 期待するだけ無駄!
しかし、番契約で結ばれたロルベーアは、殿下から逃げることが出来ず振り回される日々……こんなはずじゃなかったのに!
ヒロインが現れたら殿下とともに受けた呪いで一年後死ぬ身。けれど徐々に殿下へ惹かれていくロルベーア。
好きになっても報われるはずがない、だってこれは悪役令嬢のバッドエンドが確定された小説の世界だから。この感情は番相手に生まれる偽物の感情なのだと自分に言い聞かせ、ロルベーアは殿下から再び離れることを決めるのだが――……?
※◇印の所はr18描写が入っています
今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!
ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。
苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。
それでもなんとななれ始めたのだが、
目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。
そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。
義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。
仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。
「子供一人ぐらい楽勝だろ」
夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。
「家族なんだから助けてあげないと」
「家族なんだから助けあうべきだ」
夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。
「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」
「あの子は大変なんだ」
「母親ならできて当然よ」
シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。
その末に。
「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」
この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる