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僕が抱かれるはずがない! ~運命に裏切られるなんて冗談じゃない~
運命に裏切られるなんて冗談じゃない 6
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留学を終えてエルドレッドがイギリスに戻るのと同時に、ジェイムズも帰国した。真っ先に向かったのはハワード邸で、エルドレッドに話を聞いていたヘイミッシュとスコットとラクランと理人、ハワード家の全員が屋敷に集っていた。
「エルドレッドと結婚を考えています。まずは一緒に暮らすところからなのですが……」
「子どもは期待しないでね。僕もジェイムズも産む気は全くないから」
深々と頭を下げるジェイムズと、悪びれる様子もなく告げるエルドレッド。それにスコットとヘイミッシュが顔を見合わせる。
「因果は回るのかしらね」
「ヘイミッシュと僕が結婚したときも、ヘイミッシュはご両親に子どもは諦めて欲しいって言ったらしいんだ。そんな僕らが反対できるわけがないよ」
よろしくと二人に微笑まれて、ジェイムズは胸を撫で下ろした。詳しい性事情までは明かせないが、性行為がないこともこれで許される。あっさりと許されて力が抜けて倒れそうになるジェイムズを、エルドレッドが腰を抱いてソファに座らせてくれる。
心配そうに見守っていたラクランと理人は、お茶を用意して持って来てくれた。
「ジェイムズが考え直してくれて良かったわ」
「エル、本当におめでとう。俺はエルを信じてた」
ソーサーに乗ったティーカップを受け取って、ミルクティーを一口飲むと、ジェイムズの胃が動き出したのか、きゅるきゅると鳴き声を上げる。
「晩ご飯は食べていくでしょう?」
その日はヘイミッシュとスコットが腕を振るった晩ご飯を食べて、屋敷に泊めてもらった。
身寄りもなく預ける相手もいなかったので、最低限の衣服や生活用品以外は、アメリカに行くときに処分して行った。帰るときにも持ち帰るよりも新しく買った方がずっと手間がかからないので、処分してジェイムズは身軽だった。
新生活を始めるにあたって、住む場所も、家具も、車も、これから揃えなければいけない。
「大学に近い場所に兄さんから引き継いだマンションがあるから、しばらくはそこで一緒に住めばいいよ」
申し出てくれたエルドレッドは、ラクランとジェイムズの付き合いが長いから当然マンションに出入りしたことがあると思っているようだが、出会ったときから婚約者がいたラクランはガードが固く、共同研究者といえども家に上げるような人物ではなかった。
「一緒に住める広さがあるのかな?」
「入ったこと、ないの? 多分、余裕だよ。広いもん」
改めて自分の兄の堅実さに驚くエルドレッドに頷けば、なぜか嬉しそうにしている。色素が薄いために薔薇色に染まる頬をふにっと摘めば、エルドレッドが唇を尖らせた。
「何するの?」
「可愛い顔してるなぁと思って」
「そうでしょ? ジェイムズは僕の顔、好きだもんね。知ってる。嬉しいんだ、兄さんがジェイムズを入れなかった部屋に、僕ならジェイムズを招ける」
温厚で品行方正で優秀な兄に、成績優秀とはいえ、エルドレッドがコンプレックスを抱いたことがないはずはない。その劣等感が、ジェイムズで晴らされるということに、むず痒いような喜びを感じる。ジェイムズにとってエルドレッドが唯一手に入れたい運命の相手であるように、エルドレッドもジェイムズを誰よりも求めてくれていた。
エルドレッドの車で連れて行ってもらったマンションは、コンシェルジュがいて、警備も万全で、広大な庭と屋敷を持つ貴族のハワード家の大事な息子のために準備されたことがよく分かる。里親の元から独立してから、身寄りがない状態で一人暮らしの古いアパートに移り住み、生活用品も最低限で、アメリカに移ってからは大学の斡旋でまた古アパートに住んでいたジェイムズには、世界の違う暮らしだった。
ワンフロアぶち抜きのマンションの部屋は広く、リビング、キッチン、寝室に書斎、客間まであった。寝室はラクランが大柄だったのでキングサイズのベッドが入っていて、二人で充分寝られそうだ。客間を片付けてジェイムズに明け渡して、書斎は共同で使うことでエルドレッドと話もついた。
「車を手に入れなきゃいけないな」
「しばらくは僕が大学に行くときに送っていくよ」
大学への交通手段も、あっさりと決まってしまった。
荷物を部屋に片付けながら、漏れたため息に、手伝うエルドレッドが首を傾げる。
「何か足りないものがある?」
「あまりにも順調すぎて、怖くなるよ」
再会までの二年間、会いたくて焦がれたエルドレッドと、結婚を前提に一緒に暮らす。ことが性急に進みすぎているので、どこかで落とし穴が待ち受けているのではないかと、ジェイムズは不安になっていた。エルドレッドとうまくいっていると信じて、婚約を申し出た夜に、お互いが抱きたい方だと分かって、決別したような、あんなことは二度と起きて欲しくない。
「順調どころか、これまで離れてた時間がどれだけつらかったか。ジェイムズと僕は幸せになっていいんだよ」
魅せられたのは、その容貌の美しさよりも、真っ直ぐに伸びた物怖じしない姿勢と、自信に満ちた表情だったのかもしれない。
「君は何度僕に惚れ直させれば気が済むの、エルドレッド?」
「一生、何十回も何百回も、惚れ直させてあげるよ」
大丈夫だと抱き締められて口付けられるジェイムズは、エルドレッドよりも9歳年上でいい大人のはずなのに、立場が逆転したような感覚に陥っていた。
朝が弱くてなかなか起きられず、食欲もあまりないジェイムズのために、エルドレッドは早起きをして朝食を作ってくれる。自分が大学の授業がないときにでも、ジェイムズが必要ならば車を出して大学まで送って行ってくれる。洗濯や掃除はジェイムズもするし、食器も洗うのだが、食事の準備は夕食までエルドレッドがきっちりと管理してしてくれていた。
体格のいいジェイムズと細身だが長身のエルドレッド、二人で入ると少し狭いバスルームで、お互いにボディソープで体を洗い合い、バスタブに張ったお湯の中にジェイムズが入っていると、エルドレッドが髪を洗ってくれる。
「君は僕を甘やかしすぎだと思うよ」
子どもじゃないんだからと呟きながらも、マッサージするように髪を丁寧に洗う長い指が心地よくて、ジェイムズはうっとりと目を閉じた。露わになった額に、口付けが降ってくる。
「いいの。ジェイムズを僕に溺れさせて、僕なしじゃ生きていけないようにするんだからね」
「もう、とっくに溺れてる」
シャンプーの泡を流してもらってエルドレッドを引き寄せると、バスタブの中に飛び込むような形になって、水飛沫が上がる。艶やかな黒髪からぽたぽたと水滴を垂らすエルドレッドの長めの髪をかきあげて、ジェイムズは唇にキスをした。
ほの赤い唇が弧の形になり、噛み付くようにジェイムズに口付ける。唇を僅かに開いて舌を招き入れると、歯列を舐められて、口蓋まで舌を這わされる。
「んっ……ふっ」
「ジェイムズ、勃ってるよ。若いね」
もうすぐ三十路に近いがジェイムズとて枯れているわけではない。裸の恋人と密着して口付けて、反応しないわけがなかった。するりとエルドレッドの手が、ジェイムズの中心をお湯の中で柔く握る。
「エルドレッドだって、勃ってるじゃないか」
「ジェイムズが色っぽいんだもん」
悪戯っぽく笑って、ジェイムズが触れたエルドレッド自身を、ジェイムズの中心と擦り合わせて、エルドレッドの手が二本纏めて握る。お湯から腰を浮かせば、先端から滲み出る雫が擦れ合って、ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てた。
「あっ……っぁあ!? エルドレッド!?」
二人分纏めた中心を扱き上げながら、かぷかぷと首筋に歯を立てていたエルドレッドが、濡れた胸に吸い付いて、そこから電流のように快感が腰まで走って、ジェイムズは声を上げてエルドレッドを諌めていた。
「ここ、悦くない?」
「へ、変な感じがするし、そんなところ、触らないだろう?」
「気持ちいいでしょう? ジェイムズも触って良いんだよ?」
白い胸にぽちりと薄赤く見える粒のような尖りは、背徳的に、蠱惑的な色で誘ってくる。こくりと喉を鳴らし、そこを指先で摘めば、エルドレッドが頬を染めて体を震わせた。
「もっと触って?」
「える……あぁっ! もう、でるっ!」
「んっ、僕も」
追い上げる手と、視界に広がるエルドレッドの痴態、それにエルドレッドの舌が突くジェイムズの胸の尖り。快感で気が遠くなりそうになりながら、ジェイムズとエルドレッドは絶頂を迎えていた。
風呂でそんなことをすれば、当然逆上せる。
二人して真っ赤な顔でソファに沈み込んで、ミネラルウォーターのペットボトルから交互に水分補給をして、ジェイムズとエルドレッドはしばらく休んだ。
「愛してる、ジェイムズ」
約束の通り、お互いに抱く、抱かれるの関係はなく、エルドレッドもジェイムズに無理を強いようとはしなかった。ジェイムズももちろん、エルドレッドを無理に抱きたいとは思わない。
ただ、胸に触れられて走る快感に、エルドレッドと再会する前夜に後ろに触れたときに僅かに感じた感覚を思い出しそうで怖かった。
エルドレッドに甘やかされて、大事に愛されて、ジェイムズはエルドレッドのいない人生など考えられなくなっている。しかし、いつかこの関係をエルドレッドが不毛と気付いてしまったらどうなるのだろう。
「愛してる……エルドレッド」
「どうしたの、ジェイムズ? 体がきついの?」
泣き出しそうなジェイムズが、逆上せたせいで体調を崩したのかと心配してくれるエルドレッドに、ソファに沈んだままでジェイムズは緩々と首を振った。
「幸せなんだ」
「僕もだよ?」
その幸せが壊れるのが怖いだなんて口にすれば、エルドレッドはいつかの日のように「臆病者」とジェイムズを笑うだろうか。
「エルドレッドと結婚を考えています。まずは一緒に暮らすところからなのですが……」
「子どもは期待しないでね。僕もジェイムズも産む気は全くないから」
深々と頭を下げるジェイムズと、悪びれる様子もなく告げるエルドレッド。それにスコットとヘイミッシュが顔を見合わせる。
「因果は回るのかしらね」
「ヘイミッシュと僕が結婚したときも、ヘイミッシュはご両親に子どもは諦めて欲しいって言ったらしいんだ。そんな僕らが反対できるわけがないよ」
よろしくと二人に微笑まれて、ジェイムズは胸を撫で下ろした。詳しい性事情までは明かせないが、性行為がないこともこれで許される。あっさりと許されて力が抜けて倒れそうになるジェイムズを、エルドレッドが腰を抱いてソファに座らせてくれる。
心配そうに見守っていたラクランと理人は、お茶を用意して持って来てくれた。
「ジェイムズが考え直してくれて良かったわ」
「エル、本当におめでとう。俺はエルを信じてた」
ソーサーに乗ったティーカップを受け取って、ミルクティーを一口飲むと、ジェイムズの胃が動き出したのか、きゅるきゅると鳴き声を上げる。
「晩ご飯は食べていくでしょう?」
その日はヘイミッシュとスコットが腕を振るった晩ご飯を食べて、屋敷に泊めてもらった。
身寄りもなく預ける相手もいなかったので、最低限の衣服や生活用品以外は、アメリカに行くときに処分して行った。帰るときにも持ち帰るよりも新しく買った方がずっと手間がかからないので、処分してジェイムズは身軽だった。
新生活を始めるにあたって、住む場所も、家具も、車も、これから揃えなければいけない。
「大学に近い場所に兄さんから引き継いだマンションがあるから、しばらくはそこで一緒に住めばいいよ」
申し出てくれたエルドレッドは、ラクランとジェイムズの付き合いが長いから当然マンションに出入りしたことがあると思っているようだが、出会ったときから婚約者がいたラクランはガードが固く、共同研究者といえども家に上げるような人物ではなかった。
「一緒に住める広さがあるのかな?」
「入ったこと、ないの? 多分、余裕だよ。広いもん」
改めて自分の兄の堅実さに驚くエルドレッドに頷けば、なぜか嬉しそうにしている。色素が薄いために薔薇色に染まる頬をふにっと摘めば、エルドレッドが唇を尖らせた。
「何するの?」
「可愛い顔してるなぁと思って」
「そうでしょ? ジェイムズは僕の顔、好きだもんね。知ってる。嬉しいんだ、兄さんがジェイムズを入れなかった部屋に、僕ならジェイムズを招ける」
温厚で品行方正で優秀な兄に、成績優秀とはいえ、エルドレッドがコンプレックスを抱いたことがないはずはない。その劣等感が、ジェイムズで晴らされるということに、むず痒いような喜びを感じる。ジェイムズにとってエルドレッドが唯一手に入れたい運命の相手であるように、エルドレッドもジェイムズを誰よりも求めてくれていた。
エルドレッドの車で連れて行ってもらったマンションは、コンシェルジュがいて、警備も万全で、広大な庭と屋敷を持つ貴族のハワード家の大事な息子のために準備されたことがよく分かる。里親の元から独立してから、身寄りがない状態で一人暮らしの古いアパートに移り住み、生活用品も最低限で、アメリカに移ってからは大学の斡旋でまた古アパートに住んでいたジェイムズには、世界の違う暮らしだった。
ワンフロアぶち抜きのマンションの部屋は広く、リビング、キッチン、寝室に書斎、客間まであった。寝室はラクランが大柄だったのでキングサイズのベッドが入っていて、二人で充分寝られそうだ。客間を片付けてジェイムズに明け渡して、書斎は共同で使うことでエルドレッドと話もついた。
「車を手に入れなきゃいけないな」
「しばらくは僕が大学に行くときに送っていくよ」
大学への交通手段も、あっさりと決まってしまった。
荷物を部屋に片付けながら、漏れたため息に、手伝うエルドレッドが首を傾げる。
「何か足りないものがある?」
「あまりにも順調すぎて、怖くなるよ」
再会までの二年間、会いたくて焦がれたエルドレッドと、結婚を前提に一緒に暮らす。ことが性急に進みすぎているので、どこかで落とし穴が待ち受けているのではないかと、ジェイムズは不安になっていた。エルドレッドとうまくいっていると信じて、婚約を申し出た夜に、お互いが抱きたい方だと分かって、決別したような、あんなことは二度と起きて欲しくない。
「順調どころか、これまで離れてた時間がどれだけつらかったか。ジェイムズと僕は幸せになっていいんだよ」
魅せられたのは、その容貌の美しさよりも、真っ直ぐに伸びた物怖じしない姿勢と、自信に満ちた表情だったのかもしれない。
「君は何度僕に惚れ直させれば気が済むの、エルドレッド?」
「一生、何十回も何百回も、惚れ直させてあげるよ」
大丈夫だと抱き締められて口付けられるジェイムズは、エルドレッドよりも9歳年上でいい大人のはずなのに、立場が逆転したような感覚に陥っていた。
朝が弱くてなかなか起きられず、食欲もあまりないジェイムズのために、エルドレッドは早起きをして朝食を作ってくれる。自分が大学の授業がないときにでも、ジェイムズが必要ならば車を出して大学まで送って行ってくれる。洗濯や掃除はジェイムズもするし、食器も洗うのだが、食事の準備は夕食までエルドレッドがきっちりと管理してしてくれていた。
体格のいいジェイムズと細身だが長身のエルドレッド、二人で入ると少し狭いバスルームで、お互いにボディソープで体を洗い合い、バスタブに張ったお湯の中にジェイムズが入っていると、エルドレッドが髪を洗ってくれる。
「君は僕を甘やかしすぎだと思うよ」
子どもじゃないんだからと呟きながらも、マッサージするように髪を丁寧に洗う長い指が心地よくて、ジェイムズはうっとりと目を閉じた。露わになった額に、口付けが降ってくる。
「いいの。ジェイムズを僕に溺れさせて、僕なしじゃ生きていけないようにするんだからね」
「もう、とっくに溺れてる」
シャンプーの泡を流してもらってエルドレッドを引き寄せると、バスタブの中に飛び込むような形になって、水飛沫が上がる。艶やかな黒髪からぽたぽたと水滴を垂らすエルドレッドの長めの髪をかきあげて、ジェイムズは唇にキスをした。
ほの赤い唇が弧の形になり、噛み付くようにジェイムズに口付ける。唇を僅かに開いて舌を招き入れると、歯列を舐められて、口蓋まで舌を這わされる。
「んっ……ふっ」
「ジェイムズ、勃ってるよ。若いね」
もうすぐ三十路に近いがジェイムズとて枯れているわけではない。裸の恋人と密着して口付けて、反応しないわけがなかった。するりとエルドレッドの手が、ジェイムズの中心をお湯の中で柔く握る。
「エルドレッドだって、勃ってるじゃないか」
「ジェイムズが色っぽいんだもん」
悪戯っぽく笑って、ジェイムズが触れたエルドレッド自身を、ジェイムズの中心と擦り合わせて、エルドレッドの手が二本纏めて握る。お湯から腰を浮かせば、先端から滲み出る雫が擦れ合って、ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てた。
「あっ……っぁあ!? エルドレッド!?」
二人分纏めた中心を扱き上げながら、かぷかぷと首筋に歯を立てていたエルドレッドが、濡れた胸に吸い付いて、そこから電流のように快感が腰まで走って、ジェイムズは声を上げてエルドレッドを諌めていた。
「ここ、悦くない?」
「へ、変な感じがするし、そんなところ、触らないだろう?」
「気持ちいいでしょう? ジェイムズも触って良いんだよ?」
白い胸にぽちりと薄赤く見える粒のような尖りは、背徳的に、蠱惑的な色で誘ってくる。こくりと喉を鳴らし、そこを指先で摘めば、エルドレッドが頬を染めて体を震わせた。
「もっと触って?」
「える……あぁっ! もう、でるっ!」
「んっ、僕も」
追い上げる手と、視界に広がるエルドレッドの痴態、それにエルドレッドの舌が突くジェイムズの胸の尖り。快感で気が遠くなりそうになりながら、ジェイムズとエルドレッドは絶頂を迎えていた。
風呂でそんなことをすれば、当然逆上せる。
二人して真っ赤な顔でソファに沈み込んで、ミネラルウォーターのペットボトルから交互に水分補給をして、ジェイムズとエルドレッドはしばらく休んだ。
「愛してる、ジェイムズ」
約束の通り、お互いに抱く、抱かれるの関係はなく、エルドレッドもジェイムズに無理を強いようとはしなかった。ジェイムズももちろん、エルドレッドを無理に抱きたいとは思わない。
ただ、胸に触れられて走る快感に、エルドレッドと再会する前夜に後ろに触れたときに僅かに感じた感覚を思い出しそうで怖かった。
エルドレッドに甘やかされて、大事に愛されて、ジェイムズはエルドレッドのいない人生など考えられなくなっている。しかし、いつかこの関係をエルドレッドが不毛と気付いてしまったらどうなるのだろう。
「愛してる……エルドレッド」
「どうしたの、ジェイムズ? 体がきついの?」
泣き出しそうなジェイムズが、逆上せたせいで体調を崩したのかと心配してくれるエルドレッドに、ソファに沈んだままでジェイムズは緩々と首を振った。
「幸せなんだ」
「僕もだよ?」
その幸せが壊れるのが怖いだなんて口にすれば、エルドレッドはいつかの日のように「臆病者」とジェイムズを笑うだろうか。
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