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四章 婚約式
12.辺境伯領での婚約式
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辺境伯領への旅も、ふーちゃんが一緒だった。
気付いたことだが、ふーちゃんは乗り物が好きだった。
乗り物に乗っているときは、縦抱っこされていると泣くことがない。一生懸命周囲を見回して、馬車の外や列車の外を見ている。
前世でも男の子というのは乗り物が好きなイメージがあったが、ふーちゃんもこの月齢で既にその兆しが見え始めていた。
馬車に乗っている間も、列車に乗っている間も、お腹が空いたときとオムツが汚れたときしか泣かないふーちゃんにわたくしもクリスタちゃんも感心していた。
「フランツは本当にいい子ですね」
「乗り物が大好きなのですね。お父様、フランツに外が見えるようにわたくし、席を変わりますわ」
両親はわたくしとクリスタちゃんを窓際の席にさせてくれていたが、わたくしは席を変わってふーちゃんが外が見やすいようにした。水色のお目目をキラキラとさせて、ふーちゃんは声を出して外を見ている。
「うおー! あっ! うあ!」
「フランツが楽しそうでよかったですわ」
「エリザベート、席を譲ってくれてありがとう」
両親にお礼を言われてわたくしは照れながら「どういたしまして」と言った。
辺境伯領に着くと、辺境伯家のお屋敷に馬車で行く。秋口に入っているのに日差しは強く、馬車の中は蒸し暑かった。
辺境伯家のお屋敷では庭の草木に水が撒かれて、吹く風も涼しくなっている。
客間に通されて、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんと両親はそこで荷物を解いた。
マルレーンとデボラとヘルマンさんも身支度を手伝うために部屋に来ている。
これから開かれる晩餐会のために、刺繍の入った白いドレスを着て、白い造花の花冠を頭に付けて、マルレーンに髪を纏めてもらう。横は三つ編みの編み込みで、後ろはシニヨンに纏めると、マルレーンがベールをかけてくれた。
本当の結婚式ではないので後ろはトレーンになっていない床ギリギリの長さのスカートで、ベールも短いものだが、それでも婚約式に臨むとなると胸が高鳴ってくる。
クリスタちゃんがデボラに髪を編んでもらいながら「お姉様、素敵」と呟いているのが聞こえてわたくしはいい気分になっていた。
部屋を出ると廊下でエクムント様が待っていてくれて、わたくしに手を差し伸べてエスコートしてくださる。階段を降りるときにもスカートの裾を踏まないように手で持ち上げて、エクムント様に手を引かれて降りていく。
大広間に行くと、歓声が上がった。
「あれが辺境伯家に嫁いでくるディッペル家の御令嬢」
「初代国王陛下と同じ、紫の光沢のある黒髪に銀色の光沢のある目だ」
「王家の血を引く尊い方が辺境伯領に嫁いできてくださる」
婚約の話を受けた日から、破棄するなどと言うことは全く考えたことはなかったが、本当に国の一大事業としてわたくしとエクムント様の婚約は扱われていて、もう後には引けないのだと実感させられる。
後には引けなくても問題はない。
わたくしはエクムント様との婚約を望んでいたのだから。
軍服を着こなしたエクムント様がカサンドラ様の前に歩み出る。カサンドラ様がわたくしとエクムント様を集まった貴族や土地の有力者の方に向かせた。
「私の養子、エクムントはこの度、ディッペル公爵家の御令嬢、エリザベート嬢と婚約をした。これは国王陛下の御前で、国王陛下もお認めになった婚約だ」
堂々と張りのある声で告げると、周囲から「おめでとうございます!」と声が上がる。
「エリザベート嬢は鋭い観察眼により、辺境伯領が長く苦しんで来た壊血病の予防法を見つけ出してくれた。その功績を讃え、私はエリザベート嬢をエクムントの婚約者に望んだのだ」
「壊血病の予防法を!?」
「不治の病だと言われていた壊血病が予防できるのですか?」
「壊血病の予防には野菜が有効なのだそうだ。船上で保管できるものとして、エリザベート嬢はザワークラウトを提案した。辺境伯領で半年、ザワークラウトを食べた船と、食べていない船で比べたのだが、ザワークラウトを食べた船では壊血病の発症者はいなかった」
「おぉ! なんと素晴らしい!」
前世に読んでいた航海時代の本が役に立っただけで、わたくしの功績とも言えないのだが、それを口にするわけにはいかない。わたくしは黙ったまま恥ずかしく称賛を受けていた。
「我が養子、エクムントとエリザベート嬢は、エリザベート嬢が結婚できる年になるまでまだ十年あるが、それまでは婚約者として辺境伯領に訪ねて来て欲しいし、成人した暁には辺境伯領に嫁いできて欲しい。どうか、エリザベート嬢、よろしく頼む」
「はい、カサンドラ様。こちらこそよろしくお願いいたします」
カサンドラ様に言われてわたくしは優雅に一礼した。
エクムント様もわたくしの手を取ったまま頭を下げている。
「こんなに小さな婚約者様では、誓いのキスはできませんな」
揶揄うような声が聞こえて、わたくしが俯くと、エクムント様がわたくしの手を取った。白い手袋の上からわたくしの手の甲に触れるか触れないかくらいのキスをしてくださる。
会場がどっと沸いた。
「小さな婚約者様と辺境伯家の後継者様は仲睦まじいようですね」
「これで王家から独立を疑われることもなくなります」
「婚約者様、万歳!」
歓迎されているように見えるが、この中に辺境伯領を独立させたい輩が混ざっているかもしれないのだ。そういう輩にしっかりと見せつけるためにも、カサンドラ様は辺境伯領で婚約式を開いたのだ。
「手袋越しとはいえ、失礼を致しました」
「いいえ、失礼などではありませんでした。嬉しかったです」
白い手袋を付けたわたくしの手にエクムント様がキスをしてくれた。この手袋は洗わずに取っておきたい気分だった。
晩餐会なので席に着くと料理が運ばれて来る。相変わらず魚介類中心の料理だったが、多少野菜も入っていることに気付いてわたくしはカサンドラ様を見た。
「壊血病の予防には普段から野菜を食べておくことも大事かもしれないと思ってな。辺境伯領中で食事改革をしているところなのだ」
「お野菜もバランスよく食べているのですね」
「エリザベート嬢のザワークラウトの提案が正しかったことが分かったから、野菜を食べるのも正しいかもしれないと思ってね」
カサンドラ様はわたくしのような小さな子どもの話でもしっかりと聞いてくださる大きな心をお持ちだった。
「カサンドラ様、わたくしのお誕生日にディッペル公爵家に来てくださいますか?」
「辺境伯家の後継者の婚約者のお誕生日だ。何かお祝いを持って行こう」
「嬉しいです。ありがとうございます」
お誕生日にお誘いするとカサンドラ様は快く返事をしてくれた。
エクムント様の隣りの席で食べる料理は、ドキドキして味もよく分からなかったけれど、晩餐会が終わるころにはわたくしは眠くて眠くて仕方がなくなっていた。
エクムント様は部屋まで送って下さったが、そうでなかったら階段を転げ落ちていたかもしれない。
「お休みなさいませ、エクムント様」
「お休みなさい、エリザベート嬢。いい夢を」
「はい、エクムント様も」
名残惜しかったが眠気が勝ってわたくしは部屋に戻った。部屋に戻るとクリスタちゃんがドレス姿のままベッドに崩れ落ちそうになっていた。デボラが一生懸命クリスタちゃんを起こして、ドレスを脱がせて、髪を解いて、お風呂に入れている。
わたくしもドレスを脱いで、髪を解いて、クリスタちゃんの次にお風呂に入った。
ふーちゃんは留守番だったが既にぐっすりとベビーベッドで眠っていた。
お風呂に入り終わると、髪を乾かすのもじれったく、早々とわたくしは眠ってしまった。クリスタちゃんはわたくしがお風呂から出たときには眠っていた。
翌朝は寝不足だったが何とか起きて、カサンドラ様と朝食を共にした。
エクムント様も同じテーブルにいて、静かに食事をしている姿を見ると胸が高鳴る。
エクムント様との婚約を辺境伯領の方にも認められたのだと思うと胸がいっぱいになる思いだった。
「辺境伯領を独立させようという輩を昨日の婚約式で多少は黙らせられたでしょう。ですが、まだ彼らは諦めていないはず。何か起きなければいいのですが」
「何か起きれば、ディッペル公爵領から辺境伯領に助けを送りましょう」
「ありがとうございます、ディッペル公爵」
「国王陛下からも兵を出していただけると思いますよ」
わたくしが国王陛下の御前で婚約式をしたということは、はっきりとカサンドラ様がオルヒデー帝国に辺境伯領を従わせ、独立の意思がないと示したことになるのだ。独立の意思がないのならば、辺境伯領の中で内乱が起きれば、オルヒデー帝国の王家もディッペル公爵家も介入することができる。
そのためにわたくしとエクムント様の婚約を急がれたのだと理解すると、わたくしがこの年で婚約をしたのも頷ける。
「ところで、エリザベート嬢、クリスタ嬢、フルーツサンドはお好きかな?」
「フルーツサンド? わたくし、フルーツサンドを食べたことがありませんわ」
「柔らかな白パンに生クリームとフルーツを挟むサンドイッチなのだ。今日のお茶の時間に出そうか?」
興味津々のクリスタちゃんに、カサンドラ様がにっこりと微笑む。
今日のお茶の時間はフルーツサンドが出てくるようだ。
不穏な空気も吹き飛ばすようなカサンドラ様の笑顔に、わたくしは少しだけ胸のもやもやが晴れた気分だった。
気付いたことだが、ふーちゃんは乗り物が好きだった。
乗り物に乗っているときは、縦抱っこされていると泣くことがない。一生懸命周囲を見回して、馬車の外や列車の外を見ている。
前世でも男の子というのは乗り物が好きなイメージがあったが、ふーちゃんもこの月齢で既にその兆しが見え始めていた。
馬車に乗っている間も、列車に乗っている間も、お腹が空いたときとオムツが汚れたときしか泣かないふーちゃんにわたくしもクリスタちゃんも感心していた。
「フランツは本当にいい子ですね」
「乗り物が大好きなのですね。お父様、フランツに外が見えるようにわたくし、席を変わりますわ」
両親はわたくしとクリスタちゃんを窓際の席にさせてくれていたが、わたくしは席を変わってふーちゃんが外が見やすいようにした。水色のお目目をキラキラとさせて、ふーちゃんは声を出して外を見ている。
「うおー! あっ! うあ!」
「フランツが楽しそうでよかったですわ」
「エリザベート、席を譲ってくれてありがとう」
両親にお礼を言われてわたくしは照れながら「どういたしまして」と言った。
辺境伯領に着くと、辺境伯家のお屋敷に馬車で行く。秋口に入っているのに日差しは強く、馬車の中は蒸し暑かった。
辺境伯家のお屋敷では庭の草木に水が撒かれて、吹く風も涼しくなっている。
客間に通されて、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんと両親はそこで荷物を解いた。
マルレーンとデボラとヘルマンさんも身支度を手伝うために部屋に来ている。
これから開かれる晩餐会のために、刺繍の入った白いドレスを着て、白い造花の花冠を頭に付けて、マルレーンに髪を纏めてもらう。横は三つ編みの編み込みで、後ろはシニヨンに纏めると、マルレーンがベールをかけてくれた。
本当の結婚式ではないので後ろはトレーンになっていない床ギリギリの長さのスカートで、ベールも短いものだが、それでも婚約式に臨むとなると胸が高鳴ってくる。
クリスタちゃんがデボラに髪を編んでもらいながら「お姉様、素敵」と呟いているのが聞こえてわたくしはいい気分になっていた。
部屋を出ると廊下でエクムント様が待っていてくれて、わたくしに手を差し伸べてエスコートしてくださる。階段を降りるときにもスカートの裾を踏まないように手で持ち上げて、エクムント様に手を引かれて降りていく。
大広間に行くと、歓声が上がった。
「あれが辺境伯家に嫁いでくるディッペル家の御令嬢」
「初代国王陛下と同じ、紫の光沢のある黒髪に銀色の光沢のある目だ」
「王家の血を引く尊い方が辺境伯領に嫁いできてくださる」
婚約の話を受けた日から、破棄するなどと言うことは全く考えたことはなかったが、本当に国の一大事業としてわたくしとエクムント様の婚約は扱われていて、もう後には引けないのだと実感させられる。
後には引けなくても問題はない。
わたくしはエクムント様との婚約を望んでいたのだから。
軍服を着こなしたエクムント様がカサンドラ様の前に歩み出る。カサンドラ様がわたくしとエクムント様を集まった貴族や土地の有力者の方に向かせた。
「私の養子、エクムントはこの度、ディッペル公爵家の御令嬢、エリザベート嬢と婚約をした。これは国王陛下の御前で、国王陛下もお認めになった婚約だ」
堂々と張りのある声で告げると、周囲から「おめでとうございます!」と声が上がる。
「エリザベート嬢は鋭い観察眼により、辺境伯領が長く苦しんで来た壊血病の予防法を見つけ出してくれた。その功績を讃え、私はエリザベート嬢をエクムントの婚約者に望んだのだ」
「壊血病の予防法を!?」
「不治の病だと言われていた壊血病が予防できるのですか?」
「壊血病の予防には野菜が有効なのだそうだ。船上で保管できるものとして、エリザベート嬢はザワークラウトを提案した。辺境伯領で半年、ザワークラウトを食べた船と、食べていない船で比べたのだが、ザワークラウトを食べた船では壊血病の発症者はいなかった」
「おぉ! なんと素晴らしい!」
前世に読んでいた航海時代の本が役に立っただけで、わたくしの功績とも言えないのだが、それを口にするわけにはいかない。わたくしは黙ったまま恥ずかしく称賛を受けていた。
「我が養子、エクムントとエリザベート嬢は、エリザベート嬢が結婚できる年になるまでまだ十年あるが、それまでは婚約者として辺境伯領に訪ねて来て欲しいし、成人した暁には辺境伯領に嫁いできて欲しい。どうか、エリザベート嬢、よろしく頼む」
「はい、カサンドラ様。こちらこそよろしくお願いいたします」
カサンドラ様に言われてわたくしは優雅に一礼した。
エクムント様もわたくしの手を取ったまま頭を下げている。
「こんなに小さな婚約者様では、誓いのキスはできませんな」
揶揄うような声が聞こえて、わたくしが俯くと、エクムント様がわたくしの手を取った。白い手袋の上からわたくしの手の甲に触れるか触れないかくらいのキスをしてくださる。
会場がどっと沸いた。
「小さな婚約者様と辺境伯家の後継者様は仲睦まじいようですね」
「これで王家から独立を疑われることもなくなります」
「婚約者様、万歳!」
歓迎されているように見えるが、この中に辺境伯領を独立させたい輩が混ざっているかもしれないのだ。そういう輩にしっかりと見せつけるためにも、カサンドラ様は辺境伯領で婚約式を開いたのだ。
「手袋越しとはいえ、失礼を致しました」
「いいえ、失礼などではありませんでした。嬉しかったです」
白い手袋を付けたわたくしの手にエクムント様がキスをしてくれた。この手袋は洗わずに取っておきたい気分だった。
晩餐会なので席に着くと料理が運ばれて来る。相変わらず魚介類中心の料理だったが、多少野菜も入っていることに気付いてわたくしはカサンドラ様を見た。
「壊血病の予防には普段から野菜を食べておくことも大事かもしれないと思ってな。辺境伯領中で食事改革をしているところなのだ」
「お野菜もバランスよく食べているのですね」
「エリザベート嬢のザワークラウトの提案が正しかったことが分かったから、野菜を食べるのも正しいかもしれないと思ってね」
カサンドラ様はわたくしのような小さな子どもの話でもしっかりと聞いてくださる大きな心をお持ちだった。
「カサンドラ様、わたくしのお誕生日にディッペル公爵家に来てくださいますか?」
「辺境伯家の後継者の婚約者のお誕生日だ。何かお祝いを持って行こう」
「嬉しいです。ありがとうございます」
お誕生日にお誘いするとカサンドラ様は快く返事をしてくれた。
エクムント様の隣りの席で食べる料理は、ドキドキして味もよく分からなかったけれど、晩餐会が終わるころにはわたくしは眠くて眠くて仕方がなくなっていた。
エクムント様は部屋まで送って下さったが、そうでなかったら階段を転げ落ちていたかもしれない。
「お休みなさいませ、エクムント様」
「お休みなさい、エリザベート嬢。いい夢を」
「はい、エクムント様も」
名残惜しかったが眠気が勝ってわたくしは部屋に戻った。部屋に戻るとクリスタちゃんがドレス姿のままベッドに崩れ落ちそうになっていた。デボラが一生懸命クリスタちゃんを起こして、ドレスを脱がせて、髪を解いて、お風呂に入れている。
わたくしもドレスを脱いで、髪を解いて、クリスタちゃんの次にお風呂に入った。
ふーちゃんは留守番だったが既にぐっすりとベビーベッドで眠っていた。
お風呂に入り終わると、髪を乾かすのもじれったく、早々とわたくしは眠ってしまった。クリスタちゃんはわたくしがお風呂から出たときには眠っていた。
翌朝は寝不足だったが何とか起きて、カサンドラ様と朝食を共にした。
エクムント様も同じテーブルにいて、静かに食事をしている姿を見ると胸が高鳴る。
エクムント様との婚約を辺境伯領の方にも認められたのだと思うと胸がいっぱいになる思いだった。
「辺境伯領を独立させようという輩を昨日の婚約式で多少は黙らせられたでしょう。ですが、まだ彼らは諦めていないはず。何か起きなければいいのですが」
「何か起きれば、ディッペル公爵領から辺境伯領に助けを送りましょう」
「ありがとうございます、ディッペル公爵」
「国王陛下からも兵を出していただけると思いますよ」
わたくしが国王陛下の御前で婚約式をしたということは、はっきりとカサンドラ様がオルヒデー帝国に辺境伯領を従わせ、独立の意思がないと示したことになるのだ。独立の意思がないのならば、辺境伯領の中で内乱が起きれば、オルヒデー帝国の王家もディッペル公爵家も介入することができる。
そのためにわたくしとエクムント様の婚約を急がれたのだと理解すると、わたくしがこの年で婚約をしたのも頷ける。
「ところで、エリザベート嬢、クリスタ嬢、フルーツサンドはお好きかな?」
「フルーツサンド? わたくし、フルーツサンドを食べたことがありませんわ」
「柔らかな白パンに生クリームとフルーツを挟むサンドイッチなのだ。今日のお茶の時間に出そうか?」
興味津々のクリスタちゃんに、カサンドラ様がにっこりと微笑む。
今日のお茶の時間はフルーツサンドが出てくるようだ。
不穏な空気も吹き飛ばすようなカサンドラ様の笑顔に、わたくしは少しだけ胸のもやもやが晴れた気分だった。
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