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最終章 奏歌くんとの結婚
28.奏歌くんとの結婚式
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五月の私の誕生日の天気は快晴だった。
奏歌くんの車で結婚式場に来た私は、最後の打ち合わせをする。パンツスタイルのウエディングドレスを着て、奏歌くんも襟と袖に刺繍の入ったタキシードを着て、二人で庭に出る。庭には音響機器も設置されていて、穏やかなクラシック音楽が流れていた。
私と奏歌くんで最終的な打ち合わせをして、ロビーに戻ると沙紀ちゃんが一番に来てくれていた。
「受け付けのお仕事を教えてもらってます。このカードに名前と住所とメッセージを書いてもらって、ご祝儀を受け取ればいいんですね」
「受け取ったご祝儀は沙紀ちゃんが持っていてくれる?」
「責任もって持っておきます」
受け付けを頼んだのは真里さん対策でもあったが、社会人になって劇団で働いている沙紀ちゃんはしっかりと受け付けを任せられる大人に成長していた。沙紀ちゃんがいるので真里さんのことも心配しなくて済むし、本当にありがたい。
引き出物はプランナーさんと話し合って、カタログの中から好きなものを選ぶ形式にしていた。
海香と宙夢さんの結婚式のときは、奏歌くんがリングピローを運んだが、今回はかえでがその役をやってくれる。
「きょうはがんばります!」
朝から元気いっぱいにやって来たかえでに私と奏歌くんが挨拶をする。
「かえで、よろしくね」
「かえでくん、おはよう。今日は頼んだよ!」
「はい! たのまれました!」
やる気満々のかえでに安心して、私と奏歌くんは庭に出た。式まで少し時間があるので、日陰になっているテントで飲み物をもらいながら待っている。私はパンツスタイルのウエディングドレスに合わせて髪を簡単に括って、その上に短い髪を覆うだけのヴェールをつけていた。奏歌くんはタキシード姿でピンクの蝶ネクタイを締めていてちょっと暑そうだ。
「奏歌くん、平気?」
「ん? ちょっと緊張してるけど、平気。海瑠さんは?」
「私はそんなに緊張してないかな」
奏歌くんがいるということもあるし、劇団の舞台に何度も立ってきた私は今妙に落ち着いていた。今日という日をずっと待ち望んでいたのだから、幸福感に包まれている。
「楽しもうね、奏歌くん」
「そうだね、海瑠さん」
手を繋ぐと奏歌くんの手が暖かかった。
参加者が集まったことを告げられて、私と奏歌くんは庭の花に彩られた道を歩いて行く。大輪の薔薇が咲く茂みの前で立ち止まり、振り返って参加者の皆様に一礼する。
沙紀ちゃん、莉緒さん、美歌さん、やっちゃん、茉優ちゃん、海香、宙夢さん、さくら、かえで、お祖父様、お祖母様、百合、真尋さんの十三人が私たちを見ている。
人前式なので、誓いの言葉をそれぞれに述べる。
「奏歌くんと出会ったのは奏歌くんが6歳のときでした。あれからもうすぐ十三年になろうとしています。奏歌くんは何もできない私を馬鹿にしたりせず、私のできることを伸ばして、できることを少しずつ増やしていってくれました。その結果として、今の私があります」
リハーサルになかったことを喋り出す私に奏歌くんのハニーブラウンの目が見開かれる。
「奏歌くんがいなければ、私は劇団のトップスターになれることもなかったし、トップスターとして六年間も務められなかったでしょう。まずはそのことについて奏歌くんに感謝を述べさせてください。本当にありがとうございました」
「海瑠さん……」
「自己評価の低い私を奏歌くんは褒めて、大事にしてくれて、私は自分を大事にすることを知りました。これからも奏歌くんと共に歩み、奏歌くんの愛してくれる自分を大事にする心を忘れずに、奏歌くんのことを愛していきたいと思います。皆様、拙い私ですが応援してくださると嬉しいです」
「もう、海瑠さん、劇団の挨拶みたいになってるよ」
「奏歌くんが劇団の私が好きだから、結婚式もそうしたかったの」
完全にアドリブで始まってしまった結婚式に、奏歌くんは苦笑していたが嬉しそうだった。
奏歌くんが誓いの言葉を述べる。
「僕、篠田奏歌は瀬川海瑠を愛し、共に生き、毎日美味しいものを食べさせて、海瑠さんがいつまでも健康で美しくあれるように努力していきたいと思います。海瑠さんの幸せが僕の幸せです。海瑠さんを幸せにできるよう、精進していきたいです」
奏歌くんもリハーサルとは少し違う誓いの言葉を述べて、かえでがリングピローを持って来ることになったのだが、そこでハプニングが起きた。かえでが途中で転んでしまったのだ。
土に汚れて涙目になって、転んで飛んでしまったリングピローを拾ったまではよかった。そこに奏歌くんの指輪がなかったから全員で急遽庭に這いつくばるようにして探す羽目になった。
「ごろんじゃっだ……ゆびわ、なぐなっだ……ごべんだざい」
大声で泣いているかえでに、さくらが抱き締めて慰める。
「かえちゃん、犬になりなさい! かえちゃんは、においで探せるはずよ!」
「さくねぇね……」
「大丈夫、かえちゃん、だれもかえちゃんのことせめてないから!」
さくらに励まされて子犬の姿になったかえでがくんくんと地面の匂いを嗅ぎながらゆっくりと歩いて行く。指輪は花の影に落ちていた。
「ねぇね、みづげだ! かえ、みづげだ!」
「えらいわ! かえちゃん! それを海瑠ちゃんに渡すのよ」
「みぢるちゃん、かなちゃん、ごべんだざい」
「謝らなくていいよ、かえでくん。しっかり探してくれてありがとう」
「かえで、頑張ってくれてありがとうね」
指輪を受け取って、泣くかえではさくらが抱っこして回収して行った。思わぬハプニングだったが、無事に指輪も見つかって、奏歌くんは私の左手の薬指に、私は奏歌くんの左手の薬指に指輪をはめる。
「それでは誓いのキスを」
司会者さんに促されて、奏歌くんが私の頬に手を添える。ほっぺたに触れるだけのキスをした奏歌くんに、客席から拍手が上がった。
ブーケトスのためのブーケが運ばれて来る。白い大輪の薔薇のブーケを、私が後ろを向いて思い切り放り投げた。
「私が取る!」
「私、欲しい!」
「かえもー!」
百合とさくらとなぜかかえでの声も聞こえた気がしたが振り向いて私は驚いた。ブーケは真尋さんの腕の中に落ちていた。
「これ、女性しかもらっちゃダメな奴じゃないんですか?」
「いいわ! 真尋さんのことは、私がお嫁に貰ってあげる!」
「百合さん!?」
「私のために一生美味しいご飯を作りなさい!」
プロポーズされていないという百合からのプロポーズに真尋さんは驚いていたが、顔を赤くして頷く。ここにも結婚の予感が生まれていた。
ファーストバイトではウエディングケーキを奏歌くんが私の口に小さなスプーンで運んでくれて、私は大きなスプーンに山盛りのケーキを奏歌くんの口に運ぶ。口の周りにクリームをつけながらも奏歌くんはそれを食べてくれた。
場所をレストランに移して披露宴が始まる。
披露宴の間中、私と奏歌くんの席にひとが来て写真を撮っていった。
「奏歌、海瑠さんと仲良くするのよ」
「分かってるよ、母さん」
「海瑠さん、奏歌のことよろしくお願いします」
「はい、美歌さん。奏歌くんと幸せになります」
美歌さんと並んだ私と奏歌くんをやっちゃんが写真で撮ってくれる。
「海瑠さん、イギリスで待ってるね」
「うん、茉優ちゃん。しばらくお世話になるね」
「家具付きの家を選んでるから、すぐに暮らせると思うよ」
「やっちゃん、ありがとう」
茉優ちゃんとやっちゃんとも写真を撮った。
百合と真尋さんも挨拶に来てくれる。
「海瑠は世界のどこにいても、私の結婚式には来て、私を真尋さんのところまでエスコートしないといけないんだからね?」
「私ってそういう立ち位置なの?」
「海瑠さんと奏歌に見守られて結婚式は挙げたいですね」
「兄さんの結婚式には僕も出たいよ」
百合と真尋さんとも写真を撮った。
リハーサルのときに考えていた通り、結婚式の本番で料理を味わうような余裕はない。次々とくる挨拶に答えながら写真を撮っているだけで、デザートが運ばれて来る時間になってしまった。デザートには試食で食べたチョコレートケーキとジェラートの他に、ウエディングケーキも添えられている。
慌ただしく過ぎる結婚式に、私は一口だけでもウエディングケーキを食べようとフォークを手に取ったのだった。
奏歌くんの車で結婚式場に来た私は、最後の打ち合わせをする。パンツスタイルのウエディングドレスを着て、奏歌くんも襟と袖に刺繍の入ったタキシードを着て、二人で庭に出る。庭には音響機器も設置されていて、穏やかなクラシック音楽が流れていた。
私と奏歌くんで最終的な打ち合わせをして、ロビーに戻ると沙紀ちゃんが一番に来てくれていた。
「受け付けのお仕事を教えてもらってます。このカードに名前と住所とメッセージを書いてもらって、ご祝儀を受け取ればいいんですね」
「受け取ったご祝儀は沙紀ちゃんが持っていてくれる?」
「責任もって持っておきます」
受け付けを頼んだのは真里さん対策でもあったが、社会人になって劇団で働いている沙紀ちゃんはしっかりと受け付けを任せられる大人に成長していた。沙紀ちゃんがいるので真里さんのことも心配しなくて済むし、本当にありがたい。
引き出物はプランナーさんと話し合って、カタログの中から好きなものを選ぶ形式にしていた。
海香と宙夢さんの結婚式のときは、奏歌くんがリングピローを運んだが、今回はかえでがその役をやってくれる。
「きょうはがんばります!」
朝から元気いっぱいにやって来たかえでに私と奏歌くんが挨拶をする。
「かえで、よろしくね」
「かえでくん、おはよう。今日は頼んだよ!」
「はい! たのまれました!」
やる気満々のかえでに安心して、私と奏歌くんは庭に出た。式まで少し時間があるので、日陰になっているテントで飲み物をもらいながら待っている。私はパンツスタイルのウエディングドレスに合わせて髪を簡単に括って、その上に短い髪を覆うだけのヴェールをつけていた。奏歌くんはタキシード姿でピンクの蝶ネクタイを締めていてちょっと暑そうだ。
「奏歌くん、平気?」
「ん? ちょっと緊張してるけど、平気。海瑠さんは?」
「私はそんなに緊張してないかな」
奏歌くんがいるということもあるし、劇団の舞台に何度も立ってきた私は今妙に落ち着いていた。今日という日をずっと待ち望んでいたのだから、幸福感に包まれている。
「楽しもうね、奏歌くん」
「そうだね、海瑠さん」
手を繋ぐと奏歌くんの手が暖かかった。
参加者が集まったことを告げられて、私と奏歌くんは庭の花に彩られた道を歩いて行く。大輪の薔薇が咲く茂みの前で立ち止まり、振り返って参加者の皆様に一礼する。
沙紀ちゃん、莉緒さん、美歌さん、やっちゃん、茉優ちゃん、海香、宙夢さん、さくら、かえで、お祖父様、お祖母様、百合、真尋さんの十三人が私たちを見ている。
人前式なので、誓いの言葉をそれぞれに述べる。
「奏歌くんと出会ったのは奏歌くんが6歳のときでした。あれからもうすぐ十三年になろうとしています。奏歌くんは何もできない私を馬鹿にしたりせず、私のできることを伸ばして、できることを少しずつ増やしていってくれました。その結果として、今の私があります」
リハーサルになかったことを喋り出す私に奏歌くんのハニーブラウンの目が見開かれる。
「奏歌くんがいなければ、私は劇団のトップスターになれることもなかったし、トップスターとして六年間も務められなかったでしょう。まずはそのことについて奏歌くんに感謝を述べさせてください。本当にありがとうございました」
「海瑠さん……」
「自己評価の低い私を奏歌くんは褒めて、大事にしてくれて、私は自分を大事にすることを知りました。これからも奏歌くんと共に歩み、奏歌くんの愛してくれる自分を大事にする心を忘れずに、奏歌くんのことを愛していきたいと思います。皆様、拙い私ですが応援してくださると嬉しいです」
「もう、海瑠さん、劇団の挨拶みたいになってるよ」
「奏歌くんが劇団の私が好きだから、結婚式もそうしたかったの」
完全にアドリブで始まってしまった結婚式に、奏歌くんは苦笑していたが嬉しそうだった。
奏歌くんが誓いの言葉を述べる。
「僕、篠田奏歌は瀬川海瑠を愛し、共に生き、毎日美味しいものを食べさせて、海瑠さんがいつまでも健康で美しくあれるように努力していきたいと思います。海瑠さんの幸せが僕の幸せです。海瑠さんを幸せにできるよう、精進していきたいです」
奏歌くんもリハーサルとは少し違う誓いの言葉を述べて、かえでがリングピローを持って来ることになったのだが、そこでハプニングが起きた。かえでが途中で転んでしまったのだ。
土に汚れて涙目になって、転んで飛んでしまったリングピローを拾ったまではよかった。そこに奏歌くんの指輪がなかったから全員で急遽庭に這いつくばるようにして探す羽目になった。
「ごろんじゃっだ……ゆびわ、なぐなっだ……ごべんだざい」
大声で泣いているかえでに、さくらが抱き締めて慰める。
「かえちゃん、犬になりなさい! かえちゃんは、においで探せるはずよ!」
「さくねぇね……」
「大丈夫、かえちゃん、だれもかえちゃんのことせめてないから!」
さくらに励まされて子犬の姿になったかえでがくんくんと地面の匂いを嗅ぎながらゆっくりと歩いて行く。指輪は花の影に落ちていた。
「ねぇね、みづげだ! かえ、みづげだ!」
「えらいわ! かえちゃん! それを海瑠ちゃんに渡すのよ」
「みぢるちゃん、かなちゃん、ごべんだざい」
「謝らなくていいよ、かえでくん。しっかり探してくれてありがとう」
「かえで、頑張ってくれてありがとうね」
指輪を受け取って、泣くかえではさくらが抱っこして回収して行った。思わぬハプニングだったが、無事に指輪も見つかって、奏歌くんは私の左手の薬指に、私は奏歌くんの左手の薬指に指輪をはめる。
「それでは誓いのキスを」
司会者さんに促されて、奏歌くんが私の頬に手を添える。ほっぺたに触れるだけのキスをした奏歌くんに、客席から拍手が上がった。
ブーケトスのためのブーケが運ばれて来る。白い大輪の薔薇のブーケを、私が後ろを向いて思い切り放り投げた。
「私が取る!」
「私、欲しい!」
「かえもー!」
百合とさくらとなぜかかえでの声も聞こえた気がしたが振り向いて私は驚いた。ブーケは真尋さんの腕の中に落ちていた。
「これ、女性しかもらっちゃダメな奴じゃないんですか?」
「いいわ! 真尋さんのことは、私がお嫁に貰ってあげる!」
「百合さん!?」
「私のために一生美味しいご飯を作りなさい!」
プロポーズされていないという百合からのプロポーズに真尋さんは驚いていたが、顔を赤くして頷く。ここにも結婚の予感が生まれていた。
ファーストバイトではウエディングケーキを奏歌くんが私の口に小さなスプーンで運んでくれて、私は大きなスプーンに山盛りのケーキを奏歌くんの口に運ぶ。口の周りにクリームをつけながらも奏歌くんはそれを食べてくれた。
場所をレストランに移して披露宴が始まる。
披露宴の間中、私と奏歌くんの席にひとが来て写真を撮っていった。
「奏歌、海瑠さんと仲良くするのよ」
「分かってるよ、母さん」
「海瑠さん、奏歌のことよろしくお願いします」
「はい、美歌さん。奏歌くんと幸せになります」
美歌さんと並んだ私と奏歌くんをやっちゃんが写真で撮ってくれる。
「海瑠さん、イギリスで待ってるね」
「うん、茉優ちゃん。しばらくお世話になるね」
「家具付きの家を選んでるから、すぐに暮らせると思うよ」
「やっちゃん、ありがとう」
茉優ちゃんとやっちゃんとも写真を撮った。
百合と真尋さんも挨拶に来てくれる。
「海瑠は世界のどこにいても、私の結婚式には来て、私を真尋さんのところまでエスコートしないといけないんだからね?」
「私ってそういう立ち位置なの?」
「海瑠さんと奏歌に見守られて結婚式は挙げたいですね」
「兄さんの結婚式には僕も出たいよ」
百合と真尋さんとも写真を撮った。
リハーサルのときに考えていた通り、結婚式の本番で料理を味わうような余裕はない。次々とくる挨拶に答えながら写真を撮っているだけで、デザートが運ばれて来る時間になってしまった。デザートには試食で食べたチョコレートケーキとジェラートの他に、ウエディングケーキも添えられている。
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