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最終章 奏歌くんとの結婚
18.最後のバレンタインの公演
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バレンタインのディナーショーの後で真尋さんと百合と奏歌くんと一緒にお店で晩ご飯を食べて帰るという提案は、了承された。真尋さんがお店を予約してくれるということで、お願いして私と百合は稽古に専念した。
最後のバレンタインのお茶会とディナーショーということで、男役トップスターの私と女役トップスターの百合が共演して、男役二番手の美鳥さん、三番手の真月さん、四番手の蘭ちゃん、女役二番手の雪乃ちゃんまでが出る演目に、注目が集まっていた。
一日だけの公演のためにもポスターが作られて、それはイギリスのやっちゃんに外注してのものだった。私と百合が寄り添っていて、周囲で美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんと雪乃ちゃんが膝を突いて私たちに花束を差し出している構図は、私たちがハーレムを築いているようで私と百合はなんだかなぁと思っていたが、ファンの皆様の反応はいいようだった。
バレンタインデーの当日、奏歌くんは高校に行くので私の入り待ちには来られない。早朝にお弁当を届けに来てくれた奏歌くんが、お弁当の入った包みを渡しながら私に言う。
「海瑠さん、夜に会おうね。今日は頑張って」
「ありがとう、奏歌くん」
このバレンタインのお茶会とディナーショーが終われば、私が劇団で舞台に立つのは春公演だけになってしまう。お誕生日のお茶会とディナーショーで退団記念をするようにとも促されていたが、それでは奏歌くんと結婚して海外に行くのがますます遅れてしまうので、私は経営陣に春公演までとはっきり答えを出していた。
残り二つの公演のうち一つが今日で終わってしまう。
午前中のお茶会に臨んだ私は、幕が下りてから泣きそうになっている自分に気付いた。
「海瑠、食堂に行きましょう」
「う、うん、そうね」
衣装を着替えて食堂に促す百合は、私が泣きそうになっていることに気付いていてもそれを指摘しなかった。
私の人生を懸けた劇団での舞台がもう残り少ないのだと考えるだけで、寂しくつらい気持ちになってしまう。劇団を退団した後も私の人生は続いていくのだし、奏歌くんと結婚してますます明るく輝くのかもしれないが、それでも長年所属した劇団を離れるというのは悲しいものだった。
新しい場所に慣れることが苦手で、臆病な私が海外の劇団に飛び込んで上手くやっていけるかは分からない。
百合と美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんと雪乃ちゃんと、劇団員のみんなと作り上げていく公演は残り、春公演だけ。それを考えるとどうしても寂しい気持ちは拭えなかった。
ディナーショーには奏歌くんと真尋さんが来てくれる。百合と歌って踊って、美鳥さんとも真月さんとも蘭ちゃんとも雪乃ちゃんとも踊って、『バー・ブルーバード』も演じて、最後に百合としっとりとデュエットダンスを踊る。デュエットダンスの歌は美鳥さんが歌ってくれていた。
美鳥さんの歌声に乗せて踊り上げたデュエットダンス。拍手喝さいの中、バレンタインのディナーショーは終わった。
カーテンコールにも応えて楽屋に戻ると、化粧を落として衣装を着替える。薄紫のセーターと黒の細身のパンツにジャケットを羽織って楽屋から出ると、百合が待っていてくれた。百合の車でお店まで移動する。
「奏歌のリクエストで中華料理にしたんですよ」
「中華は人数がいないと色々頼めないからね」
高級感あふれる中華料理店の個室に通されて、リラックスした雰囲気で食事が始まる。奏歌くんと真尋さんがメニューを見て注文を決めてくれていた。
「クラゲの酢の物と、空心菜の炒め物、牛肉と山芋の炒め物、中華風おこげ、スープもいるかな?」
「おこげがあるから、スープはいらないと思う」
「ご飯物はどうする?」
「炒飯を頼もうよ」
二人で決めて行ってくれる奏歌くんと真尋さんの兄弟が頼もしい。注文の品が次々と運ばれて来て、奏歌くんが私に取り分けてくれて、真尋さんが百合に取り分けてあげている。
「海瑠の前で隠さなくて良くなったのは本当によかったわ」
「奏歌にも内緒にしてないといけなかったですからね」
「僕は気付いてたんだけどなぁ」
「私も海瑠には気付かれてると思ったのに、全然気付いてなかったんだもの」
話しながら食べていると私に話が振られた。
「私は百合が劇団の規則を守ってるっていう信頼感があったから、疑いもしなかったわ」
「単純にダーリンのこと以外見えてなかっただけでしょう」
「そうかもしれないけど」
百合のことは信頼していただけに真尋さんとお付き合いをしていると聞いたときのショックは大きかった。奏歌くんと私のような清いお付き合いだと聞いて安心したが、それでも今も信じられていない部分がある。
「僕も一足早く劇団を退団したんですよ」
「え!? 真尋さんも!?」
「海瑠、知らなかったの? 雑誌で騒がれてたわよ」
真尋さんには悪いのだが、奏歌くんのお兄さんという以上に興味はなかったために私は真尋さんの退団のことを知らなかった。
「僕は知ってたけど、海瑠さんは知らなかったんだね」
「奏歌くん、教えてよ」
「海瑠さんも知ってると思ってた」
奏歌くんまで私が知らない真尋さんのことを知っていた。
ショックを受けていると、真尋さんが真剣な表情で語る。
「百合さんと海外に行くための準備をしなければいけないし、母とも話し合う時間が必要だし、早めに退団を決めたんです」
真尋さんが自分の劇団を退団したのは今年の一月だった。百合は退団の公演にも行っているというから、どうして誘ってくれなかったのかと理不尽さがわいてくるが、その時期に私は奏歌くんと写真を撮ったり、結婚式場の下見に行ったり忙しかったことを思うと、そこに真尋さんの劇団の観劇まで入れる余裕はなかったかもしれないと冷静になると考えられる。
奏歌くんも忙しかったから特に真尋さんの劇団のことは言わなかったのだろう。
注文した料理が全部来て、食べ終わってから、私と百合はメニューを持ってきてもらってデザートを見ていた。マンゴープリンに、杏仁豆腐、アイスクリームに、レモン愛玉子とたくさんあって決められない。
「この愛玉子って何?」
「愛玉子って読むらしいよ。愛玉子っていう植物の種から作るゼリーなんだよ」
「奏歌くんよく知ってるわね」
「ダーリン、さすがだわ」
すらすらと答える奏歌くんに感心してると、「僕も気になって調べたことがあるから」と恥ずかしそうに言っている。
「奏歌は将来はどう考えてるのかな?」
「僕は料理関係の資格を取りたいと思ってるよ。国際資格を取れたらいいかなと思ってる」
海外で落ち着くことができたら奏歌くんは料理関係の資格を取りたいと考えていた。それならば気になる食材についてよく調べているし、料理が小さい頃から好きだったから私も納得できる。
兄弟の会話に耳を傾けていると、百合がデザートを決めた。
「杏仁豆腐にするわ!」
「私はレモン愛玉子にしてみよう」
「僕もレモン愛玉子で」
「僕はマンゴープリンかな」
私と奏歌くんはレモン愛玉子で、百合が杏仁豆腐、真尋さんがマンゴープリンを頼んで、烏龍茶と一緒に頂いた。レモン愛玉子はゼリーのようでつるりとしていて不思議な食感だった。
百合に送ってもらってマンションに帰ると時刻はかなり遅くなっていた。シャワーを浴びて歯を磨いて寝ようとしていると、奏歌くんからメッセージが入っていた。
『今日の公演素晴らしかったです。「バー・ブルーバード」の演目も見られてとても嬉しかった。残るは春公演だけだね。海瑠さんが最後まで演じ切れるように応援しています』
今日の公演の感想と応援をもらって私は携帯電話を握り締めてベッドに倒れ込む。これから奏歌くんに電話をかけて話したいことがたくさんあったけれど、今はそのときではないとぐっと我慢する。
『今日は公演に来てくれてありがとうございました。奏歌くんが応援してくれる限り私は劇団トップスターとして頑張れます。晩ご飯の中華料理も美味しかったね。明日も奏歌くんに会いたいです』
返事のメッセージを書いて枕元のサイドテーブルに携帯電話を置く。
目を閉じると今日の公演が鮮やかに瞼の裏に浮かんできた。
私にとって最後の劇団のバレンタインの公演。
残る春公演を終えたら、私は劇団を退団する。
最後のバレンタインのお茶会とディナーショーということで、男役トップスターの私と女役トップスターの百合が共演して、男役二番手の美鳥さん、三番手の真月さん、四番手の蘭ちゃん、女役二番手の雪乃ちゃんまでが出る演目に、注目が集まっていた。
一日だけの公演のためにもポスターが作られて、それはイギリスのやっちゃんに外注してのものだった。私と百合が寄り添っていて、周囲で美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんと雪乃ちゃんが膝を突いて私たちに花束を差し出している構図は、私たちがハーレムを築いているようで私と百合はなんだかなぁと思っていたが、ファンの皆様の反応はいいようだった。
バレンタインデーの当日、奏歌くんは高校に行くので私の入り待ちには来られない。早朝にお弁当を届けに来てくれた奏歌くんが、お弁当の入った包みを渡しながら私に言う。
「海瑠さん、夜に会おうね。今日は頑張って」
「ありがとう、奏歌くん」
このバレンタインのお茶会とディナーショーが終われば、私が劇団で舞台に立つのは春公演だけになってしまう。お誕生日のお茶会とディナーショーで退団記念をするようにとも促されていたが、それでは奏歌くんと結婚して海外に行くのがますます遅れてしまうので、私は経営陣に春公演までとはっきり答えを出していた。
残り二つの公演のうち一つが今日で終わってしまう。
午前中のお茶会に臨んだ私は、幕が下りてから泣きそうになっている自分に気付いた。
「海瑠、食堂に行きましょう」
「う、うん、そうね」
衣装を着替えて食堂に促す百合は、私が泣きそうになっていることに気付いていてもそれを指摘しなかった。
私の人生を懸けた劇団での舞台がもう残り少ないのだと考えるだけで、寂しくつらい気持ちになってしまう。劇団を退団した後も私の人生は続いていくのだし、奏歌くんと結婚してますます明るく輝くのかもしれないが、それでも長年所属した劇団を離れるというのは悲しいものだった。
新しい場所に慣れることが苦手で、臆病な私が海外の劇団に飛び込んで上手くやっていけるかは分からない。
百合と美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんと雪乃ちゃんと、劇団員のみんなと作り上げていく公演は残り、春公演だけ。それを考えるとどうしても寂しい気持ちは拭えなかった。
ディナーショーには奏歌くんと真尋さんが来てくれる。百合と歌って踊って、美鳥さんとも真月さんとも蘭ちゃんとも雪乃ちゃんとも踊って、『バー・ブルーバード』も演じて、最後に百合としっとりとデュエットダンスを踊る。デュエットダンスの歌は美鳥さんが歌ってくれていた。
美鳥さんの歌声に乗せて踊り上げたデュエットダンス。拍手喝さいの中、バレンタインのディナーショーは終わった。
カーテンコールにも応えて楽屋に戻ると、化粧を落として衣装を着替える。薄紫のセーターと黒の細身のパンツにジャケットを羽織って楽屋から出ると、百合が待っていてくれた。百合の車でお店まで移動する。
「奏歌のリクエストで中華料理にしたんですよ」
「中華は人数がいないと色々頼めないからね」
高級感あふれる中華料理店の個室に通されて、リラックスした雰囲気で食事が始まる。奏歌くんと真尋さんがメニューを見て注文を決めてくれていた。
「クラゲの酢の物と、空心菜の炒め物、牛肉と山芋の炒め物、中華風おこげ、スープもいるかな?」
「おこげがあるから、スープはいらないと思う」
「ご飯物はどうする?」
「炒飯を頼もうよ」
二人で決めて行ってくれる奏歌くんと真尋さんの兄弟が頼もしい。注文の品が次々と運ばれて来て、奏歌くんが私に取り分けてくれて、真尋さんが百合に取り分けてあげている。
「海瑠の前で隠さなくて良くなったのは本当によかったわ」
「奏歌にも内緒にしてないといけなかったですからね」
「僕は気付いてたんだけどなぁ」
「私も海瑠には気付かれてると思ったのに、全然気付いてなかったんだもの」
話しながら食べていると私に話が振られた。
「私は百合が劇団の規則を守ってるっていう信頼感があったから、疑いもしなかったわ」
「単純にダーリンのこと以外見えてなかっただけでしょう」
「そうかもしれないけど」
百合のことは信頼していただけに真尋さんとお付き合いをしていると聞いたときのショックは大きかった。奏歌くんと私のような清いお付き合いだと聞いて安心したが、それでも今も信じられていない部分がある。
「僕も一足早く劇団を退団したんですよ」
「え!? 真尋さんも!?」
「海瑠、知らなかったの? 雑誌で騒がれてたわよ」
真尋さんには悪いのだが、奏歌くんのお兄さんという以上に興味はなかったために私は真尋さんの退団のことを知らなかった。
「僕は知ってたけど、海瑠さんは知らなかったんだね」
「奏歌くん、教えてよ」
「海瑠さんも知ってると思ってた」
奏歌くんまで私が知らない真尋さんのことを知っていた。
ショックを受けていると、真尋さんが真剣な表情で語る。
「百合さんと海外に行くための準備をしなければいけないし、母とも話し合う時間が必要だし、早めに退団を決めたんです」
真尋さんが自分の劇団を退団したのは今年の一月だった。百合は退団の公演にも行っているというから、どうして誘ってくれなかったのかと理不尽さがわいてくるが、その時期に私は奏歌くんと写真を撮ったり、結婚式場の下見に行ったり忙しかったことを思うと、そこに真尋さんの劇団の観劇まで入れる余裕はなかったかもしれないと冷静になると考えられる。
奏歌くんも忙しかったから特に真尋さんの劇団のことは言わなかったのだろう。
注文した料理が全部来て、食べ終わってから、私と百合はメニューを持ってきてもらってデザートを見ていた。マンゴープリンに、杏仁豆腐、アイスクリームに、レモン愛玉子とたくさんあって決められない。
「この愛玉子って何?」
「愛玉子って読むらしいよ。愛玉子っていう植物の種から作るゼリーなんだよ」
「奏歌くんよく知ってるわね」
「ダーリン、さすがだわ」
すらすらと答える奏歌くんに感心してると、「僕も気になって調べたことがあるから」と恥ずかしそうに言っている。
「奏歌は将来はどう考えてるのかな?」
「僕は料理関係の資格を取りたいと思ってるよ。国際資格を取れたらいいかなと思ってる」
海外で落ち着くことができたら奏歌くんは料理関係の資格を取りたいと考えていた。それならば気になる食材についてよく調べているし、料理が小さい頃から好きだったから私も納得できる。
兄弟の会話に耳を傾けていると、百合がデザートを決めた。
「杏仁豆腐にするわ!」
「私はレモン愛玉子にしてみよう」
「僕もレモン愛玉子で」
「僕はマンゴープリンかな」
私と奏歌くんはレモン愛玉子で、百合が杏仁豆腐、真尋さんがマンゴープリンを頼んで、烏龍茶と一緒に頂いた。レモン愛玉子はゼリーのようでつるりとしていて不思議な食感だった。
百合に送ってもらってマンションに帰ると時刻はかなり遅くなっていた。シャワーを浴びて歯を磨いて寝ようとしていると、奏歌くんからメッセージが入っていた。
『今日の公演素晴らしかったです。「バー・ブルーバード」の演目も見られてとても嬉しかった。残るは春公演だけだね。海瑠さんが最後まで演じ切れるように応援しています』
今日の公演の感想と応援をもらって私は携帯電話を握り締めてベッドに倒れ込む。これから奏歌くんに電話をかけて話したいことがたくさんあったけれど、今はそのときではないとぐっと我慢する。
『今日は公演に来てくれてありがとうございました。奏歌くんが応援してくれる限り私は劇団トップスターとして頑張れます。晩ご飯の中華料理も美味しかったね。明日も奏歌くんに会いたいです』
返事のメッセージを書いて枕元のサイドテーブルに携帯電話を置く。
目を閉じると今日の公演が鮮やかに瞼の裏に浮かんできた。
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