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最終章 奏歌くんとの結婚
9.クリスマスの特別公演は私の集大成
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秋公演が終わるとクリスマスの特別公演に向けての稽古が始まる。
私が劇団員全員と出る公演は、クリスマスの特別公演と来年の春公演の二回だけになってしまった。寂しさもあるが最後までやり遂げたい気持ちの方が強い。
稽古の中で演じる役にも、一つ一つ思い入れがあった。
男役トップスターになったのになぜかさせられたドラァグクィーン役。
百合と愛し合っているのに理解し合えない苦悩を学んだ紅ハコベの紋章のフランス革命後の物語のイギリス貴族。
西遊記の孫悟空役では、百合とは師弟愛でカップルでなかったことを不満に思ったりもした。
オーストリア皇妃の物語では、死の象徴と皇妃として百合と二人で演じ切った。
シャーロック・ホームズの演目では、私と百合はホームズとアイリーンで敵対し合っていて、カップルとは言えなかったけれど、それでも最後のデュエットダンスは二人で手を取り合って踊った。
ファリネッリの演目ではボイストレーニングもして、女装をしてオペラアリアを歌う大変な役だったけれど、なんとか成し遂げた。
アルセーヌ・ルパンの公演でも、細川ガラシャの公演でも、とりかえばや物語でも、現代の暗殺者の公演でも、シラノ・ド・ベルジュラックの公演でも、私は解せない思いをしたりしたが全部満員のお客様の前でやり遂げて来た。
クリスマスの特別公演はこれまでに私が主役を務めた公演の演目を見せていく集大成になっていた。
「海瑠さんが本当に退団しちゃうんだと思って、演じてる私まで泣きそうになります」
「美鳥さん、海瑠さんが退団しても、OG科に残って私と一緒に頑張りましょう」
「真月さん……」
「私も一緒ですよ」
美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんの三人は私の退団を惜しんでくれるが、それがまた私にとっては感慨深い公演になっていた。
来年の春には私も百合も退団するので、経営陣の間では次のトップスターが決められていた。
クリスマスの特別公演の稽古中に次のトップスターが発表された。
「真月さんと雪乃ちゃんだわ!」
「二人とも頑張ってるし、当然の結果ね」
真月さんが次の男役トップスター、雪乃ちゃんが次の女役トップスターに選ばれた。劇団を支えるために退団をやめて残ってくれる真月さんが認められたことが、私には純粋に嬉しかった。
「まだ海瑠さんと百合さんがトップスターですからね」
「気を抜かないでくださいよ」
来年の春の公演までに私は真月さんに何を残せるだろう。私ができることと言えば、舞台の上で歌って踊る姿を見せることくらいだ。立派な男役トップスターとしての姿を見せていくことだけが、私が真月さんに残せるものだった。
クリスマスの特別公演の演目の中に、真月さんと雪乃ちゃんの二人のダンスも組み込まれた。未来のトップスターカップルの姿を見てお客様も期待に胸を膨らませるのだろう。
私も二人のダンスを見ていると胸がいっぱいになってしまう。
「真月さん、立派になって」
「本当に、今では真月さんがいない劇団なんて考えられないわよね」
一時期劇団を辞めようとして、私とやっちゃんの噂を流して私をトップスターから追い落とそうとした真月さんは、その後心を入れ替えて男役三番手に上り詰め、努力してきた。その努力が報われるときが来るのだと思うと私も感動してしまう。
百合と一緒に話していると、美鳥さんが私の手を取った。
「海瑠さんは私の相手役でもあるんですよ?」
「美鳥さんはまたそんなことを言う」
「『新説壬生浪士伝』ではそうだったじゃないですか」
くるりとターンさせられて、リフトからのダンスに私は苦笑してしまう。
「美鳥さん、私が女性のパートになってるわよ」
「沖田総司の妹は女性ですからね」
「もう! 美鳥さんったら」
じゃれ合う私たちの様子が面白かったのか、演出家の先生は私と美鳥さんのデュエットも演目の中に入れてしまった。
私がトップスターになってからの公演の軌跡を辿るようなクリスマスの特別公演には、奏歌くんは絶対に来て欲しかった。スケジュールを確認して津島さんにチケットを手配してもらう。
「奏歌くん、クリスマスの特別公演なんだけどね……」
「沙紀ちゃんからポスターをもらったよ。『瀬川海瑠と河本百合のトップスターの軌跡』って副題がついてて、絶対に見に行かないといけないって思ってた」
その件に関して、私は百合からお願いをされていたのだ。
百合と私が二人きりになれるのは、朝と帰りの送り迎えのときだった。車の中で二人きりになった私に、百合が提案してきたのだ。
「今年のクリスマスはホテルを取って豪華に過ごさない?」
「奏歌くんと過ごすつもりだから遠慮しておくわ」
「即答!? ちゃんとひとの話は最後まで聞きなさい!」
怒られてしまって、私は奏歌くんとしか過ごす気がないのにとむくれていると、百合の提案は続いた。
「真尋さんとダーリンと私と海瑠で過ごすのよ。同じホテルに泊まったって言われても、真尋さんはダーリンと同じ部屋で、私と海瑠が同じ部屋なら、何の問題もないでしょう?」
クリスマスをロマンチックにホテルで過ごす。それは私にとってもとても魅力的なお誘いだった。こんなことを言っておいて百合は真尋さんと夜を過ごして、私は奏歌くんと夜を過ごせるかもしれない。
何もなかったとしても、奏歌くんと一晩ホテルで過ごせるというのはとてもロマンチックに違いなかった。
「ホテルのディナーを四人で食べて、ちょっと綺麗な格好で四人で過ごすのね」
「スイートルームを予約すれば、夜まで四人で寛げると思うのよ」
こういうことがずっとしたかったと百合は言っていた。真尋さんと百合の仲はあくまでも秘密の関係だから二人が一緒に過ごすことはできない。お互いの部屋に泊まりに行くのも、出入りするのも、どこの雑誌記者が見張っているか分からないので警戒しなければいけなかった。
私と百合がクリスマスにホテルで過ごして、偶然同じホテルに奏歌くんと真尋さんの兄弟が泊まっていたということになれば、雑誌記者に嗅ぎ付けられても誤魔化すことができる。
「いいと思う! 奏歌くんと相談してみる!」
こうして私は奏歌くんと今向き合っている。
「クリスマスはホテルで過ごさない? 百合と私、真尋さんと奏歌くんで泊って、ディナーは一緒に食べて、クリスマスの夜を四人で楽しく寛ぐの」
スイートルームを二部屋予約して、部屋を行き来するのもきっと楽しいし、百合が真尋さんと良い感じになったなら、私は奏歌くんと良い感じになって同じ部屋で眠れるかもしれない。
百合が真尋さんとそういう関係になるのならば、私が奏歌くんとなっていけないはずはない。
胸をときめかせて奏歌くんに聞いてみると、奏歌くんの方もハニーブラウンの目を輝かせている。
「ホテルのレストランでディナーなんて、僕、着ていく服がないよ?」
「着ていく服を買いに行きましょう!」
「そこまでするの!?」
「奏歌くんは私と結婚して海外に行ったら、スーツを着る機会があるかもしれないでしょう。先に作っておけばいいと思うのよ」
遠慮している奏歌くんだが、こうなると私が引かないのは知っている。ペーパードライバーになるために免許の合宿を申し込むことには大反対するが、奏歌くんは物持ちがいいし、自分の服が擦り切れて破れても縫って着るようなタイプだから、絶対にスーツを無駄にすることはないという確信が私にはあった。
「卒業祝いにスーツは仕立ててプレゼントするつもりだったから、それがちょっと早くなったと思って」
「なんだか申し訳ないな」
「私が奏歌くんにあげたいんだから、受け取って」
「そこまで言うなら……。大事にするね」
これは無駄遣いではないと奏歌くんも納得してスーツを受け取ってくれることになった。
私が劇団員全員と出る公演は、クリスマスの特別公演と来年の春公演の二回だけになってしまった。寂しさもあるが最後までやり遂げたい気持ちの方が強い。
稽古の中で演じる役にも、一つ一つ思い入れがあった。
男役トップスターになったのになぜかさせられたドラァグクィーン役。
百合と愛し合っているのに理解し合えない苦悩を学んだ紅ハコベの紋章のフランス革命後の物語のイギリス貴族。
西遊記の孫悟空役では、百合とは師弟愛でカップルでなかったことを不満に思ったりもした。
オーストリア皇妃の物語では、死の象徴と皇妃として百合と二人で演じ切った。
シャーロック・ホームズの演目では、私と百合はホームズとアイリーンで敵対し合っていて、カップルとは言えなかったけれど、それでも最後のデュエットダンスは二人で手を取り合って踊った。
ファリネッリの演目ではボイストレーニングもして、女装をしてオペラアリアを歌う大変な役だったけれど、なんとか成し遂げた。
アルセーヌ・ルパンの公演でも、細川ガラシャの公演でも、とりかえばや物語でも、現代の暗殺者の公演でも、シラノ・ド・ベルジュラックの公演でも、私は解せない思いをしたりしたが全部満員のお客様の前でやり遂げて来た。
クリスマスの特別公演はこれまでに私が主役を務めた公演の演目を見せていく集大成になっていた。
「海瑠さんが本当に退団しちゃうんだと思って、演じてる私まで泣きそうになります」
「美鳥さん、海瑠さんが退団しても、OG科に残って私と一緒に頑張りましょう」
「真月さん……」
「私も一緒ですよ」
美鳥さんと真月さんと蘭ちゃんの三人は私の退団を惜しんでくれるが、それがまた私にとっては感慨深い公演になっていた。
来年の春には私も百合も退団するので、経営陣の間では次のトップスターが決められていた。
クリスマスの特別公演の稽古中に次のトップスターが発表された。
「真月さんと雪乃ちゃんだわ!」
「二人とも頑張ってるし、当然の結果ね」
真月さんが次の男役トップスター、雪乃ちゃんが次の女役トップスターに選ばれた。劇団を支えるために退団をやめて残ってくれる真月さんが認められたことが、私には純粋に嬉しかった。
「まだ海瑠さんと百合さんがトップスターですからね」
「気を抜かないでくださいよ」
来年の春の公演までに私は真月さんに何を残せるだろう。私ができることと言えば、舞台の上で歌って踊る姿を見せることくらいだ。立派な男役トップスターとしての姿を見せていくことだけが、私が真月さんに残せるものだった。
クリスマスの特別公演の演目の中に、真月さんと雪乃ちゃんの二人のダンスも組み込まれた。未来のトップスターカップルの姿を見てお客様も期待に胸を膨らませるのだろう。
私も二人のダンスを見ていると胸がいっぱいになってしまう。
「真月さん、立派になって」
「本当に、今では真月さんがいない劇団なんて考えられないわよね」
一時期劇団を辞めようとして、私とやっちゃんの噂を流して私をトップスターから追い落とそうとした真月さんは、その後心を入れ替えて男役三番手に上り詰め、努力してきた。その努力が報われるときが来るのだと思うと私も感動してしまう。
百合と一緒に話していると、美鳥さんが私の手を取った。
「海瑠さんは私の相手役でもあるんですよ?」
「美鳥さんはまたそんなことを言う」
「『新説壬生浪士伝』ではそうだったじゃないですか」
くるりとターンさせられて、リフトからのダンスに私は苦笑してしまう。
「美鳥さん、私が女性のパートになってるわよ」
「沖田総司の妹は女性ですからね」
「もう! 美鳥さんったら」
じゃれ合う私たちの様子が面白かったのか、演出家の先生は私と美鳥さんのデュエットも演目の中に入れてしまった。
私がトップスターになってからの公演の軌跡を辿るようなクリスマスの特別公演には、奏歌くんは絶対に来て欲しかった。スケジュールを確認して津島さんにチケットを手配してもらう。
「奏歌くん、クリスマスの特別公演なんだけどね……」
「沙紀ちゃんからポスターをもらったよ。『瀬川海瑠と河本百合のトップスターの軌跡』って副題がついてて、絶対に見に行かないといけないって思ってた」
その件に関して、私は百合からお願いをされていたのだ。
百合と私が二人きりになれるのは、朝と帰りの送り迎えのときだった。車の中で二人きりになった私に、百合が提案してきたのだ。
「今年のクリスマスはホテルを取って豪華に過ごさない?」
「奏歌くんと過ごすつもりだから遠慮しておくわ」
「即答!? ちゃんとひとの話は最後まで聞きなさい!」
怒られてしまって、私は奏歌くんとしか過ごす気がないのにとむくれていると、百合の提案は続いた。
「真尋さんとダーリンと私と海瑠で過ごすのよ。同じホテルに泊まったって言われても、真尋さんはダーリンと同じ部屋で、私と海瑠が同じ部屋なら、何の問題もないでしょう?」
クリスマスをロマンチックにホテルで過ごす。それは私にとってもとても魅力的なお誘いだった。こんなことを言っておいて百合は真尋さんと夜を過ごして、私は奏歌くんと夜を過ごせるかもしれない。
何もなかったとしても、奏歌くんと一晩ホテルで過ごせるというのはとてもロマンチックに違いなかった。
「ホテルのディナーを四人で食べて、ちょっと綺麗な格好で四人で過ごすのね」
「スイートルームを予約すれば、夜まで四人で寛げると思うのよ」
こういうことがずっとしたかったと百合は言っていた。真尋さんと百合の仲はあくまでも秘密の関係だから二人が一緒に過ごすことはできない。お互いの部屋に泊まりに行くのも、出入りするのも、どこの雑誌記者が見張っているか分からないので警戒しなければいけなかった。
私と百合がクリスマスにホテルで過ごして、偶然同じホテルに奏歌くんと真尋さんの兄弟が泊まっていたということになれば、雑誌記者に嗅ぎ付けられても誤魔化すことができる。
「いいと思う! 奏歌くんと相談してみる!」
こうして私は奏歌くんと今向き合っている。
「クリスマスはホテルで過ごさない? 百合と私、真尋さんと奏歌くんで泊って、ディナーは一緒に食べて、クリスマスの夜を四人で楽しく寛ぐの」
スイートルームを二部屋予約して、部屋を行き来するのもきっと楽しいし、百合が真尋さんと良い感じになったなら、私は奏歌くんと良い感じになって同じ部屋で眠れるかもしれない。
百合が真尋さんとそういう関係になるのならば、私が奏歌くんとなっていけないはずはない。
胸をときめかせて奏歌くんに聞いてみると、奏歌くんの方もハニーブラウンの目を輝かせている。
「ホテルのレストランでディナーなんて、僕、着ていく服がないよ?」
「着ていく服を買いに行きましょう!」
「そこまでするの!?」
「奏歌くんは私と結婚して海外に行ったら、スーツを着る機会があるかもしれないでしょう。先に作っておけばいいと思うのよ」
遠慮している奏歌くんだが、こうなると私が引かないのは知っている。ペーパードライバーになるために免許の合宿を申し込むことには大反対するが、奏歌くんは物持ちがいいし、自分の服が擦り切れて破れても縫って着るようなタイプだから、絶対にスーツを無駄にすることはないという確信が私にはあった。
「卒業祝いにスーツは仕立ててプレゼントするつもりだったから、それがちょっと早くなったと思って」
「なんだか申し訳ないな」
「私が奏歌くんにあげたいんだから、受け取って」
「そこまで言うなら……。大事にするね」
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