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最終章 奏歌くんとの結婚
6.かえでの4歳の誕生日
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奏歌くんの夏休みが終わると秋公演の期間になって忙しくなる。秋公演は約一か月で、かえでのお誕生日と茉優ちゃんのお誕生日はちょうどその期間に重なっていた。
茉優ちゃんのお誕生日については、日本にいた頃は毎年奏歌くんが秋公演を見に来た日に篠田家にお邪魔してお祝いしていた。かえでの誕生日を茉優ちゃんのお誕生日と一緒にしてしまうのは、かえではまだ小さいので少し可哀想な気がする。
「奏歌くん、かえでの今年のお誕生日、どうしようか?」
「早めにお祝いしてもいいんじゃないかな?」
茉優ちゃんのお誕生日は劇団の公演が終わってからの時間でも構わないが、かえでは夜が遅くなったり、おやつの時間から外れたりするとケーキを食べて祝うのが難しくなる。
奏歌くんの提案に私は乗ることにした。
夏休みの最後の週の劇団がお休みの日に、奏歌くんと一緒にケーキを作る。今年はバターと小麦粉を重ねて伸ばしてパイ生地を作って、林檎を剥いてコンポートにして並べて、奏歌くんと一緒にアップルパイを作り上げた。
「焼き上げるのは海香さんと宙夢さんの家で、かえでくんが焼きたてが食べられるようにしよう」
「アイスクリームを添えるのはどうかしら」
「すごくいいと思う!」
海香と宙夢さんの家に行く途中にバニラのアイスクリームを買って行った。インターフォンを押すとさくらと美歌さんが出て来る。美歌さんにも連絡していて、今日かえでのお誕生日を一緒に祝おうと誘っていた。
「いらっしゃい、海瑠ちゃん、かなちゃん」
「お邪魔します、さくらちゃん」
「美歌さんと遊んでたの?」
「美歌さんにピアノを聞いてもらっていたの」
リビングに入ると、電子ピアノが部屋の隅に置いてあった。さくらは電子ピアノを買ってもらって、ピアノのレッスンに行っているらしい。
「ピアノを習いたかったんだけど、かえちゃんが小さいからむずかしいって言われてて、今年、やっとピアノを買ってもらったのよ」
「綺麗な電子ピアノね。少し触ってもいい?」
「いいわよ、海瑠ちゃん」
さくらに許可を取って、私はピアノの椅子の高さを合わせて電子ピアノを弾き始めた。歌劇の専門学校に通っていた時期は、楽譜の音を自分で取って練習しなければいけなかった。ピアノを弾いたことのなかった私でも、ある程度はピアノの技術が必要で、私は楽譜が読めるし、ピアノも少しだけ弾けるようになっていた。
覚えている曲を弾いていると、アップルパイをオーブンに入れて来た奏歌くんが驚いてリビングを覗きに来ていた。ハニーブラウンの目を丸くして私がピアノを弾くのを聞いている。
引き終えると奏歌くんは拍手をしてくれた。さくらもかえでもぱちぱちと手を打ち鳴らしている。
「海瑠さん、ピアノが弾けたんだね」
「歌うために練習したのよね。歌劇の専門学校に入ってからだったから始めたのは遅かったけど、少しは弾けるようになったわ」
「すごい。海瑠さんが楽器ができるなんて知らなかった」
奏歌くんは私が楽器を弾いているところを見たことがないようだ。舞台のために必要ならば、ギターやバイオリンも練習して少しだけ弾けるようになっていたりするのだが、それを見せたら奏歌くんはまた褒めてくれるだろうか。
お芝居のためだけに練習した楽器でも、奏歌くんが褒めてくれるとなると新しい意味を持つ。
違う曲を弾いている間に、オーブンが出来上がりの音を立てたので、奏歌くんはキッチンに戻って行った。
焼き立てのアップルパイを見てかえでが不思議そうにしている。
「かえ、きょう、おたんじょうび? もうよっつ?」
「かえちゃん、違うわよ。かえちゃんのおたんじょうびは、来月」
「らいげつで、かえ、いつつ?」
今日お誕生日を祝ってもらって、来月もお誕生日を祝ってもらうのならば、今日4歳になって、来月には5歳になるのではないかというかえでの考えはまだ幼いながらにもとても面白いものだった。
「かえでくんのお誕生日は来月だけど、海瑠さんは来月は秋公演で忙しいから、早めにお祝いしてるだけなんだよ」
「かえでは来月で4歳よ。今月はまだ3歳」
奏歌くんと私で説明しても、かえでは納得できていない表情だった。
それでも、熱々のアップルパイにバニラのアイスクリームを添えて出すとかえでの目が輝く。アイスクリームが蕩ける前に、かえでは熱々のアップルパイを吹き冷ましながら食べてしまった。
さくらも美歌さんのお隣りに座って一生懸命食べている。美歌さんと私と海香と宙夢さんは、奏歌くんが紅茶を淹れてくれるまで待っていた。
「海瑠、奏歌くん、コーヒーを飲んで行かない?」
「私は奏歌くんの紅茶がいいわ」
「そう言わずに」
紅茶を淹れようとする奏歌くんを止めて、海香がキッチンに私と奏歌くんを連れてくる。キッチンには不思議な機械のようなものが置いてあった。
「カプセル式のエスプレッソマシンを買っちゃったのよ! エスプレッソじゃないコーヒーも淹れられるのよ」
「このマシン、レストランにあるのを見たことがある」
「美味しいから飲んでみて」
海香に強引に勧められて、私と奏歌くんと美歌さんはエスプレッソマシンで淹れたコーヒーを飲むことになった。大きな音がしてエスプレッソマシンが動き出すと、コーヒーの香ばしい匂いがしてくる。
エスプレッソマシンで淹れたコーヒーは、ミルクを入れていたが確かに美味しいような気がした。それでも私の一番好きな飲み物は奏歌くんの淹れた紅茶なので、比べることはできない。
奏歌くんの淹れた紅茶を飲みたいと失礼なことを思いつつ、エスプレッソマシンで淹れたコーヒーとアップルパイとバニラのアイスクリームを食べた。
「海瑠さん、見て見て。アイスクリームを乗せたら美味しいよ」
奏歌くんがコーヒーにアイスクリームを乗せて飲んでいる。そういう飲み方もあるのかと私は感心してしまった。
「海香さん、あのエスプレッソマシンを買ってから、コーヒーに凝ってるんですよ」
「すごく楽に淹れられて美味しいのよ」
海香はエスプレッソマシンを自慢したかっただけのようである。かえでのお誕生日のアップルパイを食べ終わると、美歌さんはさくらに部屋に呼ばれて一緒に過ごすようだった。
「茉優ちゃんのお誕生日もここで祝っていいかな?」
奏歌くんの問いかけに、かえでが何かに気付いたように奏歌くんの足元に寄って来た。
「かえのおたんじょうび、またするの?」
「またしたいのかな?」
「おたんじょうびがいっぱい、ケーキもいっぱい、かえうれしい」
3歳らしい言葉に奏歌くんが微笑ましく目を細めている。
「茉優ちゃんのお誕生日にもかえでくんのお祝いをしようか」
「やったー! かえのおたんじょうびいっぱい!」
大喜びで万歳をしたまま走り回るかえでに、海香も宙夢さんも「悪いね。ありがとう」と奏歌くんにお礼を言っていた。
かえでのお誕生日を祝った後には、奏歌くんとマンションに帰った。奏歌くんは帰った後に晩ご飯の準備をしていたが、私もキッチンに入って手伝うと、話をしてくれる。
「実は、母さんと会ったの久しぶりなんだ」
「え? そうなの?」
奏歌くんは毎日篠田家に帰っていて、美歌さんも当然そこにいるものだと私は思っていた。しかし、美歌さんは最近篠田家にはあまり帰っていないようだ。
「僕が行ってもいいよって先に言ったんだ。僕も6歳のときからできる限り海瑠さんと一緒に過ごしたかったから、さくらちゃんも母さんと一緒に過ごしたいんだと思ってね」
あの広い篠田家に、奏歌くんはたった一人で眠るために帰っている。美歌さんはさくらの部屋に泊まって一緒に過ごしているのだろう。
「やっちゃんは高校に入ったらお祖母ちゃんが出て行ったって聞いたし、母さんもそのときには大学生だったはずだし、僕も平気だと思ってたんだ」
それでも、ちょっとだけ寂しい。
まだ18歳の奏歌くんから漏れた弱音に私は奏歌くんを抱き締めていた。
「寂しくて当然よ。奏歌くんはまだ成人してもいないんだから」
「ありがとう。情けないけど、海瑠さんには聞いて欲しかったんだ」
知っていて欲しかったという奏歌くんに、私はこれからどんなことでも奏歌くんの話は聞く気でいた。奏歌くんが一人で寂しい思いをしているなんて私もつらい。
「と、泊って行ってもいいのよ?」
「それはダメ。海瑠さん、僕は海瑠さんとのことはちゃんとしたいんだ」
勇気を出して言った台詞は奏歌くんにやんわりと断られた。それも私を大事に思っているからだと分かっているので、私は寂しさも理不尽さも感じなかった。
茉優ちゃんのお誕生日については、日本にいた頃は毎年奏歌くんが秋公演を見に来た日に篠田家にお邪魔してお祝いしていた。かえでの誕生日を茉優ちゃんのお誕生日と一緒にしてしまうのは、かえではまだ小さいので少し可哀想な気がする。
「奏歌くん、かえでの今年のお誕生日、どうしようか?」
「早めにお祝いしてもいいんじゃないかな?」
茉優ちゃんのお誕生日は劇団の公演が終わってからの時間でも構わないが、かえでは夜が遅くなったり、おやつの時間から外れたりするとケーキを食べて祝うのが難しくなる。
奏歌くんの提案に私は乗ることにした。
夏休みの最後の週の劇団がお休みの日に、奏歌くんと一緒にケーキを作る。今年はバターと小麦粉を重ねて伸ばしてパイ生地を作って、林檎を剥いてコンポートにして並べて、奏歌くんと一緒にアップルパイを作り上げた。
「焼き上げるのは海香さんと宙夢さんの家で、かえでくんが焼きたてが食べられるようにしよう」
「アイスクリームを添えるのはどうかしら」
「すごくいいと思う!」
海香と宙夢さんの家に行く途中にバニラのアイスクリームを買って行った。インターフォンを押すとさくらと美歌さんが出て来る。美歌さんにも連絡していて、今日かえでのお誕生日を一緒に祝おうと誘っていた。
「いらっしゃい、海瑠ちゃん、かなちゃん」
「お邪魔します、さくらちゃん」
「美歌さんと遊んでたの?」
「美歌さんにピアノを聞いてもらっていたの」
リビングに入ると、電子ピアノが部屋の隅に置いてあった。さくらは電子ピアノを買ってもらって、ピアノのレッスンに行っているらしい。
「ピアノを習いたかったんだけど、かえちゃんが小さいからむずかしいって言われてて、今年、やっとピアノを買ってもらったのよ」
「綺麗な電子ピアノね。少し触ってもいい?」
「いいわよ、海瑠ちゃん」
さくらに許可を取って、私はピアノの椅子の高さを合わせて電子ピアノを弾き始めた。歌劇の専門学校に通っていた時期は、楽譜の音を自分で取って練習しなければいけなかった。ピアノを弾いたことのなかった私でも、ある程度はピアノの技術が必要で、私は楽譜が読めるし、ピアノも少しだけ弾けるようになっていた。
覚えている曲を弾いていると、アップルパイをオーブンに入れて来た奏歌くんが驚いてリビングを覗きに来ていた。ハニーブラウンの目を丸くして私がピアノを弾くのを聞いている。
引き終えると奏歌くんは拍手をしてくれた。さくらもかえでもぱちぱちと手を打ち鳴らしている。
「海瑠さん、ピアノが弾けたんだね」
「歌うために練習したのよね。歌劇の専門学校に入ってからだったから始めたのは遅かったけど、少しは弾けるようになったわ」
「すごい。海瑠さんが楽器ができるなんて知らなかった」
奏歌くんは私が楽器を弾いているところを見たことがないようだ。舞台のために必要ならば、ギターやバイオリンも練習して少しだけ弾けるようになっていたりするのだが、それを見せたら奏歌くんはまた褒めてくれるだろうか。
お芝居のためだけに練習した楽器でも、奏歌くんが褒めてくれるとなると新しい意味を持つ。
違う曲を弾いている間に、オーブンが出来上がりの音を立てたので、奏歌くんはキッチンに戻って行った。
焼き立てのアップルパイを見てかえでが不思議そうにしている。
「かえ、きょう、おたんじょうび? もうよっつ?」
「かえちゃん、違うわよ。かえちゃんのおたんじょうびは、来月」
「らいげつで、かえ、いつつ?」
今日お誕生日を祝ってもらって、来月もお誕生日を祝ってもらうのならば、今日4歳になって、来月には5歳になるのではないかというかえでの考えはまだ幼いながらにもとても面白いものだった。
「かえでくんのお誕生日は来月だけど、海瑠さんは来月は秋公演で忙しいから、早めにお祝いしてるだけなんだよ」
「かえでは来月で4歳よ。今月はまだ3歳」
奏歌くんと私で説明しても、かえでは納得できていない表情だった。
それでも、熱々のアップルパイにバニラのアイスクリームを添えて出すとかえでの目が輝く。アイスクリームが蕩ける前に、かえでは熱々のアップルパイを吹き冷ましながら食べてしまった。
さくらも美歌さんのお隣りに座って一生懸命食べている。美歌さんと私と海香と宙夢さんは、奏歌くんが紅茶を淹れてくれるまで待っていた。
「海瑠、奏歌くん、コーヒーを飲んで行かない?」
「私は奏歌くんの紅茶がいいわ」
「そう言わずに」
紅茶を淹れようとする奏歌くんを止めて、海香がキッチンに私と奏歌くんを連れてくる。キッチンには不思議な機械のようなものが置いてあった。
「カプセル式のエスプレッソマシンを買っちゃったのよ! エスプレッソじゃないコーヒーも淹れられるのよ」
「このマシン、レストランにあるのを見たことがある」
「美味しいから飲んでみて」
海香に強引に勧められて、私と奏歌くんと美歌さんはエスプレッソマシンで淹れたコーヒーを飲むことになった。大きな音がしてエスプレッソマシンが動き出すと、コーヒーの香ばしい匂いがしてくる。
エスプレッソマシンで淹れたコーヒーは、ミルクを入れていたが確かに美味しいような気がした。それでも私の一番好きな飲み物は奏歌くんの淹れた紅茶なので、比べることはできない。
奏歌くんの淹れた紅茶を飲みたいと失礼なことを思いつつ、エスプレッソマシンで淹れたコーヒーとアップルパイとバニラのアイスクリームを食べた。
「海瑠さん、見て見て。アイスクリームを乗せたら美味しいよ」
奏歌くんがコーヒーにアイスクリームを乗せて飲んでいる。そういう飲み方もあるのかと私は感心してしまった。
「海香さん、あのエスプレッソマシンを買ってから、コーヒーに凝ってるんですよ」
「すごく楽に淹れられて美味しいのよ」
海香はエスプレッソマシンを自慢したかっただけのようである。かえでのお誕生日のアップルパイを食べ終わると、美歌さんはさくらに部屋に呼ばれて一緒に過ごすようだった。
「茉優ちゃんのお誕生日もここで祝っていいかな?」
奏歌くんの問いかけに、かえでが何かに気付いたように奏歌くんの足元に寄って来た。
「かえのおたんじょうび、またするの?」
「またしたいのかな?」
「おたんじょうびがいっぱい、ケーキもいっぱい、かえうれしい」
3歳らしい言葉に奏歌くんが微笑ましく目を細めている。
「茉優ちゃんのお誕生日にもかえでくんのお祝いをしようか」
「やったー! かえのおたんじょうびいっぱい!」
大喜びで万歳をしたまま走り回るかえでに、海香も宙夢さんも「悪いね。ありがとう」と奏歌くんにお礼を言っていた。
かえでのお誕生日を祝った後には、奏歌くんとマンションに帰った。奏歌くんは帰った後に晩ご飯の準備をしていたが、私もキッチンに入って手伝うと、話をしてくれる。
「実は、母さんと会ったの久しぶりなんだ」
「え? そうなの?」
奏歌くんは毎日篠田家に帰っていて、美歌さんも当然そこにいるものだと私は思っていた。しかし、美歌さんは最近篠田家にはあまり帰っていないようだ。
「僕が行ってもいいよって先に言ったんだ。僕も6歳のときからできる限り海瑠さんと一緒に過ごしたかったから、さくらちゃんも母さんと一緒に過ごしたいんだと思ってね」
あの広い篠田家に、奏歌くんはたった一人で眠るために帰っている。美歌さんはさくらの部屋に泊まって一緒に過ごしているのだろう。
「やっちゃんは高校に入ったらお祖母ちゃんが出て行ったって聞いたし、母さんもそのときには大学生だったはずだし、僕も平気だと思ってたんだ」
それでも、ちょっとだけ寂しい。
まだ18歳の奏歌くんから漏れた弱音に私は奏歌くんを抱き締めていた。
「寂しくて当然よ。奏歌くんはまだ成人してもいないんだから」
「ありがとう。情けないけど、海瑠さんには聞いて欲しかったんだ」
知っていて欲しかったという奏歌くんに、私はこれからどんなことでも奏歌くんの話は聞く気でいた。奏歌くんが一人で寂しい思いをしているなんて私もつらい。
「と、泊って行ってもいいのよ?」
「それはダメ。海瑠さん、僕は海瑠さんとのことはちゃんとしたいんだ」
勇気を出して言った台詞は奏歌くんにやんわりと断られた。それも私を大事に思っているからだと分かっているので、私は寂しさも理不尽さも感じなかった。
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