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十二章 奏歌くんとの十二年目
23.フルーツサンドでさくらの8歳のお誕生日お祝い
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奏歌くんが春休みに入った。春公演が始まる前にさくらの8歳の誕生日が来る。さくらのお誕生日のために私と奏歌くんは計画を練っていた。
「今年はさくらちゃんも参加できるお誕生日会にしたらいいと思うんだ」
「さくらもかえでもクッキーを作っていたものね。一緒に作れたらすごく楽しいわよね」
毎年お誕生日ケーキを持って行ったり、プレゼントを持って行ったりしていたが、今年は海香と宙夢さんの家でさくらとかえでも参加して作れるものを作って食べる。奏歌くんの提案に私は大賛成だった。
「何がいいかな? パウンドケーキ?」
「もっとワクワクするようなもの……フルーツサンドはどうかな?」
「フルーツサンド?」
聞いたことのない響きに私が問い返すと、奏歌くんが説明してくれる。
「食パンに生クリームを塗って、フルーツを挟んで食べるサンドイッチだよ。お昼ご飯にもなるし、お菓子感覚でも食べられるし、いいんじゃないかな?」
「自分で好きなフルーツを挟むの? 楽しそう」
自分で作ることがさくらやかえでくらいの時期の子どもにとってはとても楽しいのだと私も理解していた。奏歌くんは6歳にしておにぎりを握ったり、簡単な料理をしたりしてくれていたが、それもやっちゃんや美歌さんが楽しく料理を一緒にしていたおかげなのだろう。
劇団が休みの日に私と奏歌くんはスーパーに寄って、生クリームとオレンジと苺とバナナとキウイと耳のカットされた食パンを買って、海香と宙夢さんの家に行った。お誕生日で行くと宣言していたので、さくらとかえでが待っていてくれた。
「ケーキは作らないって聞いたから、私がケーキを作って来たわよ」
「美歌さんが作った方がさくらは喜ぶんじゃないかな。私たちは別のものを作るわ」
「今日はケーキは食べられないかもね」
呼ばれていた美歌さんは先に来てさくらとかえでと遊んでいたようだった。美歌さんが作ったケーキは冷蔵庫に納められている。
私が生クリームを泡立てている間に、奏歌くんがさくらとかえでと果物を洗っていた。さくらは子ども用の包丁を使って、奏歌くんの指導の元キウイとオレンジを剥き、かえではバナナを剥いて苺のヘタを取る。剥けた果物はさくらとかえでが思い思いに切っていた。
大きさも形もバラバラだが、奏歌くんはそこには特に指導は入れずにさくらとかえでに自由にさせている。
切り終わった果物をお皿に乗せて、テーブルの上に持って行く頃には、私は生クリームをしっかりと泡立て終わっていた。
「このパンに、生クリームを塗って、好きなフルーツを挟んで食べるんだよ」
「フルーツサンドっていうのよ」
「フルーツサンド!」
「かえ、バナナがいー! バナナとキウイ!」
耳を切った食パンにそれぞれに生クリームを塗って、フルーツを挟んで食べる。自由にフルーツを組み合わせられるのもさくらは気に入ったようだった。
「美歌さんにも作ってあげるわね。何がいい?」
「苺とオレンジでお願い」
「分かったわ」
美歌さんにも作って手渡すさくらはとても誇らしそうだった。かえでは口の周りを生クリームだらけにしてかぶりついている。パンに挟むのが面倒になったのか、手で果物を掴んで口に入れてしまうのも、かえでの年齢ならば仕方がない。
お腹いっぱいになるまでさくらとかえでが食べるのを見守って、残った分で私と海香と宙夢さんはフルーツサンドを作って食べた。
かえでが挑戦していたキウイとバナナのフルーツサンドも意外と合うし、美歌さんがお願いしていたオレンジと苺のフルーツサンドも美味しい。果物の組み合わせも楽しく、私たちもしっかりと食べられた。
食べ終わったかえでは手を洗って、顔も洗われて、着替えさせられて、ソファでごろごろしていた。さくらは美歌さんの手を引いて部屋に連れて行こうとしている。
「こんど、美歌さんの家にお泊りに行ってもいい?」
「海香先輩と宙夢さんがいいって言ったらね」
「お父さんとお母さんにおねがいしてみる」
ちゃっかりと約束を取り付けているさくらに、奏歌くんが私の家にお泊りをしたいと言っていたときにやっちゃんはこういう気持ちだったのかと想像してしまう。さくらは私の姪だが、奏歌くんはやっちゃんにとって可愛い甥だった。
今になってやっちゃんの気持ちが分かるなんて。
やっちゃんもこんな風に複雑な気分で奏歌くんを送り出したのだろうか。無邪気に海香と宙夢さんに聞きに行っているさくらの姿をつい見つめてしまう。
「海瑠さん、何考えてるのかな?」
「奏歌くんも私のマンションに泊りたいって、美歌さんに頼んでくれた頃があったなぁって」
ずっと続くように思っていたが、奏歌くんが私の部屋に泊まらなくなって何年経っただろう。久しぶりにクリスマスに泊まってくれたときは本当に嬉しかった。
さくらも年頃になると美歌さんのところに泊まらなくなるのだろうか。女性同士だからずっと泊まるのだろうか。
私と奏歌くんと、美歌さんとさくらは性別という点で少し違ってはいるが、幼い頃から運命のひとということが分かっていて、年の差があるという点では同じだった。
いつか美歌さんと奏歌くんの小さかった頃のことや、さくらが生まれてから奏歌くんが私の部屋に入り浸っていた頃の思い出を語り合える日が来るのだろうか。その頃には私も美歌さんも日本にはいないだろうが、繋がりが途切れていないことを私は願っていた。
さくらのお誕生日が終わると、奏歌くんの進級と共に春公演が始まる。『シラノ・ド・ベルジュラック』の演目では、シラノとロクサーヌは結ばれないが、天国で二人が結ばれたという表現で、最後に百合とデュエットダンスを踊る。
春公演の前評判を奏歌くんとSNSで確認していたが、なかなかに面白いものが多かった。見つけるたびに奏歌くんと携帯電話の液晶画面を見せ合う。
「ベルジュラックは醜いって設定だけど、『海瑠さんが醜いなんてあり得ない』って書かれてるよ」
「こっちも、『瀬川海瑠はどうやって不細工を演じるのか』って書いてある」
「特殊メイクとかはしないんでしょう?」
「そうよ。このままで演じるの」
原作の戯曲でも脚本上でもベルジュラックは鼻が大きくて醜い男と設定されているが、私は醜い男を演じるにあたって特に特殊メイクなどは指定されていなかった。お化粧で多少は顔色の悪いようにはするつもりだったが、それ以上は演じる雰囲気で感じ取ってもらえると信じている。
「『一途な恋の物語、期待してます』って。僕も楽しみだな」
「奏歌くんは初日に来てくれるのよね?」
「そうだよ。春休み中でよかった」
奏歌くんには初日のチケットを渡していた。稽古は完璧に進めているが、お客様が入っての本番となると全然空気が違う。それを一発勝負で演じ切るからこそ、私は舞台というものが大好きなのだ。
テレビの歌番組に出て分かったことだが、私は一回一回、その日しかできない演技をする緊張感も含めて、舞台というものに取りつかれているのだ。5歳で歌とダンスの教室に通い始めてから、ずっと歌とダンスが大好きだった。歌劇の専門学校に入学して、舞台の素晴らしさを知った。
私には舞台しかないのだと人生を舞台に懸けると決めて生きて来た十八年間。それも残り一年になっている。
劇団を去ってからも私はずっと演劇に関わり続けて生きていきたいと思っているが、海外の劇団に長くは所属できないかもしれない。これだけの長期間魂を込めて演じた劇団の舞台を降りるのは、今から考えてもとてもつらい。
奏歌くんが理解があって、来年の春公演まで演じ切ってから退団するように言ってくれたのは、私にとって本当に救いになっていた。
今年の秋公演と、クリスマスの特別公演と、来年の春公演。
私が劇団の舞台に立てるのは、今年の春公演を含めて残り四回になっている。
一公演一公演を大事にしつつ、最後まで演じ切りたいと春公演に向けて私は気合を入れていた。
「今年はさくらちゃんも参加できるお誕生日会にしたらいいと思うんだ」
「さくらもかえでもクッキーを作っていたものね。一緒に作れたらすごく楽しいわよね」
毎年お誕生日ケーキを持って行ったり、プレゼントを持って行ったりしていたが、今年は海香と宙夢さんの家でさくらとかえでも参加して作れるものを作って食べる。奏歌くんの提案に私は大賛成だった。
「何がいいかな? パウンドケーキ?」
「もっとワクワクするようなもの……フルーツサンドはどうかな?」
「フルーツサンド?」
聞いたことのない響きに私が問い返すと、奏歌くんが説明してくれる。
「食パンに生クリームを塗って、フルーツを挟んで食べるサンドイッチだよ。お昼ご飯にもなるし、お菓子感覚でも食べられるし、いいんじゃないかな?」
「自分で好きなフルーツを挟むの? 楽しそう」
自分で作ることがさくらやかえでくらいの時期の子どもにとってはとても楽しいのだと私も理解していた。奏歌くんは6歳にしておにぎりを握ったり、簡単な料理をしたりしてくれていたが、それもやっちゃんや美歌さんが楽しく料理を一緒にしていたおかげなのだろう。
劇団が休みの日に私と奏歌くんはスーパーに寄って、生クリームとオレンジと苺とバナナとキウイと耳のカットされた食パンを買って、海香と宙夢さんの家に行った。お誕生日で行くと宣言していたので、さくらとかえでが待っていてくれた。
「ケーキは作らないって聞いたから、私がケーキを作って来たわよ」
「美歌さんが作った方がさくらは喜ぶんじゃないかな。私たちは別のものを作るわ」
「今日はケーキは食べられないかもね」
呼ばれていた美歌さんは先に来てさくらとかえでと遊んでいたようだった。美歌さんが作ったケーキは冷蔵庫に納められている。
私が生クリームを泡立てている間に、奏歌くんがさくらとかえでと果物を洗っていた。さくらは子ども用の包丁を使って、奏歌くんの指導の元キウイとオレンジを剥き、かえではバナナを剥いて苺のヘタを取る。剥けた果物はさくらとかえでが思い思いに切っていた。
大きさも形もバラバラだが、奏歌くんはそこには特に指導は入れずにさくらとかえでに自由にさせている。
切り終わった果物をお皿に乗せて、テーブルの上に持って行く頃には、私は生クリームをしっかりと泡立て終わっていた。
「このパンに、生クリームを塗って、好きなフルーツを挟んで食べるんだよ」
「フルーツサンドっていうのよ」
「フルーツサンド!」
「かえ、バナナがいー! バナナとキウイ!」
耳を切った食パンにそれぞれに生クリームを塗って、フルーツを挟んで食べる。自由にフルーツを組み合わせられるのもさくらは気に入ったようだった。
「美歌さんにも作ってあげるわね。何がいい?」
「苺とオレンジでお願い」
「分かったわ」
美歌さんにも作って手渡すさくらはとても誇らしそうだった。かえでは口の周りを生クリームだらけにしてかぶりついている。パンに挟むのが面倒になったのか、手で果物を掴んで口に入れてしまうのも、かえでの年齢ならば仕方がない。
お腹いっぱいになるまでさくらとかえでが食べるのを見守って、残った分で私と海香と宙夢さんはフルーツサンドを作って食べた。
かえでが挑戦していたキウイとバナナのフルーツサンドも意外と合うし、美歌さんがお願いしていたオレンジと苺のフルーツサンドも美味しい。果物の組み合わせも楽しく、私たちもしっかりと食べられた。
食べ終わったかえでは手を洗って、顔も洗われて、着替えさせられて、ソファでごろごろしていた。さくらは美歌さんの手を引いて部屋に連れて行こうとしている。
「こんど、美歌さんの家にお泊りに行ってもいい?」
「海香先輩と宙夢さんがいいって言ったらね」
「お父さんとお母さんにおねがいしてみる」
ちゃっかりと約束を取り付けているさくらに、奏歌くんが私の家にお泊りをしたいと言っていたときにやっちゃんはこういう気持ちだったのかと想像してしまう。さくらは私の姪だが、奏歌くんはやっちゃんにとって可愛い甥だった。
今になってやっちゃんの気持ちが分かるなんて。
やっちゃんもこんな風に複雑な気分で奏歌くんを送り出したのだろうか。無邪気に海香と宙夢さんに聞きに行っているさくらの姿をつい見つめてしまう。
「海瑠さん、何考えてるのかな?」
「奏歌くんも私のマンションに泊りたいって、美歌さんに頼んでくれた頃があったなぁって」
ずっと続くように思っていたが、奏歌くんが私の部屋に泊まらなくなって何年経っただろう。久しぶりにクリスマスに泊まってくれたときは本当に嬉しかった。
さくらも年頃になると美歌さんのところに泊まらなくなるのだろうか。女性同士だからずっと泊まるのだろうか。
私と奏歌くんと、美歌さんとさくらは性別という点で少し違ってはいるが、幼い頃から運命のひとということが分かっていて、年の差があるという点では同じだった。
いつか美歌さんと奏歌くんの小さかった頃のことや、さくらが生まれてから奏歌くんが私の部屋に入り浸っていた頃の思い出を語り合える日が来るのだろうか。その頃には私も美歌さんも日本にはいないだろうが、繋がりが途切れていないことを私は願っていた。
さくらのお誕生日が終わると、奏歌くんの進級と共に春公演が始まる。『シラノ・ド・ベルジュラック』の演目では、シラノとロクサーヌは結ばれないが、天国で二人が結ばれたという表現で、最後に百合とデュエットダンスを踊る。
春公演の前評判を奏歌くんとSNSで確認していたが、なかなかに面白いものが多かった。見つけるたびに奏歌くんと携帯電話の液晶画面を見せ合う。
「ベルジュラックは醜いって設定だけど、『海瑠さんが醜いなんてあり得ない』って書かれてるよ」
「こっちも、『瀬川海瑠はどうやって不細工を演じるのか』って書いてある」
「特殊メイクとかはしないんでしょう?」
「そうよ。このままで演じるの」
原作の戯曲でも脚本上でもベルジュラックは鼻が大きくて醜い男と設定されているが、私は醜い男を演じるにあたって特に特殊メイクなどは指定されていなかった。お化粧で多少は顔色の悪いようにはするつもりだったが、それ以上は演じる雰囲気で感じ取ってもらえると信じている。
「『一途な恋の物語、期待してます』って。僕も楽しみだな」
「奏歌くんは初日に来てくれるのよね?」
「そうだよ。春休み中でよかった」
奏歌くんには初日のチケットを渡していた。稽古は完璧に進めているが、お客様が入っての本番となると全然空気が違う。それを一発勝負で演じ切るからこそ、私は舞台というものが大好きなのだ。
テレビの歌番組に出て分かったことだが、私は一回一回、その日しかできない演技をする緊張感も含めて、舞台というものに取りつかれているのだ。5歳で歌とダンスの教室に通い始めてから、ずっと歌とダンスが大好きだった。歌劇の専門学校に入学して、舞台の素晴らしさを知った。
私には舞台しかないのだと人生を舞台に懸けると決めて生きて来た十八年間。それも残り一年になっている。
劇団を去ってからも私はずっと演劇に関わり続けて生きていきたいと思っているが、海外の劇団に長くは所属できないかもしれない。これだけの長期間魂を込めて演じた劇団の舞台を降りるのは、今から考えてもとてもつらい。
奏歌くんが理解があって、来年の春公演まで演じ切ってから退団するように言ってくれたのは、私にとって本当に救いになっていた。
今年の秋公演と、クリスマスの特別公演と、来年の春公演。
私が劇団の舞台に立てるのは、今年の春公演を含めて残り四回になっている。
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