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十二章 奏歌くんとの十二年目
21.春公演の演目と録画した歌番組
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春公演の演目は『シラノ・ド・ベルジュラック』だった。
哲学者であり、理学者であり、詩人であり、剣客である才色兼備のシラノは唯一の欠点として醜い容姿を持っていた。同性の友人は多いが女性には敬遠されている。そんな中、唯一自分を「お兄様」と慕ってくれる従妹のロクサーヌに恋心を抱いていた。
ロクサーヌはシラノの友人の美青年のクリスチャンのことが好きだが、クリスチャンの方はロクサーヌを好きでも恋文も書けない、愛の言葉も紡げない。シラノはクリスチャンに変わって恋文を代筆し、クリスチャンのふりをしてロクサーヌに愛の言葉を述べる。
戦場に送られた後もシラノはクリスチャンの名前でロクサーヌに恋文を送り続ける。心打たれたロクサーヌは戦場にクリスチャンを慰問に行くが、クリスチャンはロクサーヌが心惹かれたのは自分ではなくシラノの言葉だと知り、前線に飛び出て戦死する。
クリスチャンを悼み修道院に入ったロクサーヌをシラノは毎週訪ねていく。あるとき修道院に行く途中にシラノの敵対者が頭に木材を落として、シラノは重傷を負う。
死の床でクリスチャンの名で送った手紙の内容を読んで聞かせるシラノにロクサーヌはシラノこそが自分の惚れた相手だと気付くが、もう遅く、シラノは愛するロクサーヌの腕の中で死んでいく。
悲恋にも思えるが、一途にたった一人の相手を想った男の生涯として描かれた脚本は、素晴らしいものに思えた。
沙紀ちゃんからのツッコミがなければ。
「ベルジュラックって、同性愛者だったらしいですね」
ポスターの確認に来ていた沙紀ちゃんの言葉に、百合と雪乃ちゃんが反応する。
「史実ではそうらしいわね」
「詩人のシャルル・コアポーと同性関係があったって伝えられてますね」
そういう場面は作品の中では出て来ないのだが、沙紀ちゃんと百合と雪乃ちゃんは詳しいようだった。ベルジュラックについての文献も読んでみて勉強しないといけないと思いつつ、脚本は美しい一途な男性の生涯の物語なので、その辺を絡めてしまうと脚本が違う方向に行きそうで、それは脚本上はなかったことにして欲しかった。
私がシラノ、百合がロクサーヌ、美鳥さんがクリスチャン、真月さんがシラノの敵対者の貴族、蘭ちゃんがシラノの友人、雪乃ちゃんがロクサーヌの友人という配役になっていた。
足の怪我はあったが美鳥さんも松葉杖をついて稽古場に来ている。
「美鳥さん、休まなくて大丈夫ですか?」
「本当は杖もいらないんですけど、医者とマネージャーさんが煩いから。座ってたら普通に台本は読めますよ」
立ち稽古の美鳥さんの場所に椅子を置いて、座ってもらって稽古をする。美鳥さんは座っていても声の張りも変わらず、安心してクリスチャン役を任せられた。
「いざとなったら、私が代役に立てるように練習してます!」
「蘭ちゃん、自分の役の他に、美鳥さんの役も覚えてるの?」
「美鳥さんの役は今までのほとんど覚えてます!」
元気いっぱいで答える蘭ちゃんに若さと頼もしさを感じる。まだ二十代の蘭ちゃんは初々しさもあって、可愛い男役だとファンの皆様からは人気だった。私と同じように女役もやっているのを見たことがある。可愛い顔立ちで、身長も170センチくらいとなると、つい奏歌くんを思い浮かべてしまう。
蘭ちゃんと奏歌くんは同じくらいの背丈ではないだろうか。
「頼もしいけど、この役は譲りませんよ」
「美鳥さんが演じてくれるなら、それを見て学べます」
「蘭ちゃんは本当に美鳥さんが大好きなんですね」
美鳥さんと蘭ちゃんと真月さんが話しているのを聞くとほのぼのする。バレンタインのディナーショーで共に危機を乗り越えた相手として、真月さんと蘭ちゃんの距離も縮まっているようだった。
私と百合と美鳥さんが退団したら、真月さんと蘭ちゃんが劇団を引っ張っていくのだろうか。その光景を想像して、安心して任せられると思っている私がいた。
稽古が終わるとマンションに帰る。部屋では奏歌くんが待っていてくれた。
「海瑠さん、お帰りなさい」
「奏歌くん、テレビを見てたの?」
珍しく食事をするテーブルではなく、オーディオセットの前のソファに座っている奏歌くんに、私は嫌な予感がしていた。奏歌くんのハニーブラウンの目がきらきらと光を浴びて煌めいている。
「テレビの歌番組の録画を見ていたんだ」
「私の部屋で!?」
思わず悲鳴のようになってしまったのも仕方がない。私にとってはあのテレビの歌番組の収録は嫌な思い出しかなかった。百合と歌って踊ったデュエットはよかったのだが、それ以外があまりにも私がテレビに慣れていないことが分かった収録だったのだ。
「海瑠さんはアイドルグループとは格が違うって思ったよ。歌もダンスも、海瑠さんを見てるとアイドルグループが薄っぺらく見えてきちゃったもん」
「テレビと舞台はそもそも違うのよ」
「舞台は一発勝負だからね。海瑠さんが毎回どれだけ努力してるのかがよく伝わってきた」
「あんなに音を外されると思わなかったし、ダンスの位置を間違って撮り直しとか聞いてなかったけど、それでもテレビならなんとかなっちゃうのね」
テレビなら撮り直しができるから一番いい出来のものを放映すればいい。そういう私に奏歌くんは苦笑していた。
「アイドルグループにとっては、これが一番いい出来なんだよ」
「え? でも……」
とてもそうは思えない歌とダンスだった。
絶句してしまった私に、奏歌くんが諭すように言う。
「海瑠さんはそれだけ歌とダンスの練習もたくさんして、最高の演技をしようとしてるけど、あのひとたちは演技じゃなくて、素だからね」
「私は演技をしているの?」
「曲がかかった瞬間、海瑠さんは表情が全く違うんだよ。ほら、見て」
録画を巻き戻して見せられると、立ち位置に立った瞬間から私からは確かに歌を歌う役の雰囲気が漂っていた。アイドルグループからはそれがないのは、やはり奏歌くんの言う通りにそこが舞台で、歌うことは演じることだという心意気がないからだろう。
私の大ファンだというだけあって、奏歌くんは視点が違った。
奏歌くんに言われてから見てみると、私と百合のデュエットのときも、立ち位置に立ってポーズを決めたあたりから既に私も百合も役に入り込んでいた。
「私は役に憑依されてるってよく言われるけど、それがあのひとたちにはなかったのね」
「全然スタンスが違ったんだろうね。だから、海瑠さんの演技に飲まれちゃって、完全に負けちゃってるよね」
こういうことに勝ち負けがあるのかどうか分からないが、奏歌くんが見た感想だと、私の迫力に負けてアイドルグループは完全に委縮しているようだった。
たまには奏歌くんとテレビを見て自分の演技を確認するのもよいかもしれない。
そう思いはしたが、やっぱり奏歌くんがテレビに夢中になっているのを見ると妬けてしまうので、私は奏歌くんの手からリモコンを取ってテレビを消した。奏歌くんも諦めて食事をするテーブルに移る。
宿題をしながら奏歌くんが話してくれる。
「今年の夏休み、免許を取りに合宿に行こうと思ってるんだ」
「合宿に行くの?」
「泊まり込みでずっと勉強と運転練習を受けないと行けないけど、最短で一週間で免許習得試験の資格が取れるんだ」
「免許が取れるんじゃないの?」
運転免許証については全く分からないので奏歌くんを質問攻めにしてしまうが、奏歌くんはそれくらいで不機嫌になったり、怒ったりしない。
「免許は運転免許試験場で試験を受けて合格しないともらえないよ。その前段階までは合宿で習得できるんだ。最終的に運転免許試験場に行って、試験を受けてくればその日のうちに免許がもらえる」
奏歌くんの説明だと、一週間の合宿の後に運転免許試験場に行って試験を受ければ、最短で八日で免許が取れるようだ。免許なんて私は取れる気がしなかったが、奏歌くんは将来を見据えてきっちりと取っておくつもりだった。
「海瑠さんとどの国に行くか分からないからね。日本の免許を取っていれば、国際免許も取れるから」
「国際免許には日本の免許が必要なのね」
「うん。海瑠さんを乗せて運転するから、運転の練習もしなきゃいけないし、海外にはハンドルが逆のところが多いから、海外の交通法も勉強しないといけないよね」
前向きに海外行きを計画している奏歌くんに私は感心すると共に、自分が何もしていないことに気付く。
「私、こんなに何もしてなくていいのかな?」
「海瑠さんが最後まで舞台をやり通して。それが僕の願いだよ」
優しくて理解のある奏歌くん。
奏歌くんに言われて、来年の春公演まで私はやり抜こうと決意を新たにした。
哲学者であり、理学者であり、詩人であり、剣客である才色兼備のシラノは唯一の欠点として醜い容姿を持っていた。同性の友人は多いが女性には敬遠されている。そんな中、唯一自分を「お兄様」と慕ってくれる従妹のロクサーヌに恋心を抱いていた。
ロクサーヌはシラノの友人の美青年のクリスチャンのことが好きだが、クリスチャンの方はロクサーヌを好きでも恋文も書けない、愛の言葉も紡げない。シラノはクリスチャンに変わって恋文を代筆し、クリスチャンのふりをしてロクサーヌに愛の言葉を述べる。
戦場に送られた後もシラノはクリスチャンの名前でロクサーヌに恋文を送り続ける。心打たれたロクサーヌは戦場にクリスチャンを慰問に行くが、クリスチャンはロクサーヌが心惹かれたのは自分ではなくシラノの言葉だと知り、前線に飛び出て戦死する。
クリスチャンを悼み修道院に入ったロクサーヌをシラノは毎週訪ねていく。あるとき修道院に行く途中にシラノの敵対者が頭に木材を落として、シラノは重傷を負う。
死の床でクリスチャンの名で送った手紙の内容を読んで聞かせるシラノにロクサーヌはシラノこそが自分の惚れた相手だと気付くが、もう遅く、シラノは愛するロクサーヌの腕の中で死んでいく。
悲恋にも思えるが、一途にたった一人の相手を想った男の生涯として描かれた脚本は、素晴らしいものに思えた。
沙紀ちゃんからのツッコミがなければ。
「ベルジュラックって、同性愛者だったらしいですね」
ポスターの確認に来ていた沙紀ちゃんの言葉に、百合と雪乃ちゃんが反応する。
「史実ではそうらしいわね」
「詩人のシャルル・コアポーと同性関係があったって伝えられてますね」
そういう場面は作品の中では出て来ないのだが、沙紀ちゃんと百合と雪乃ちゃんは詳しいようだった。ベルジュラックについての文献も読んでみて勉強しないといけないと思いつつ、脚本は美しい一途な男性の生涯の物語なので、その辺を絡めてしまうと脚本が違う方向に行きそうで、それは脚本上はなかったことにして欲しかった。
私がシラノ、百合がロクサーヌ、美鳥さんがクリスチャン、真月さんがシラノの敵対者の貴族、蘭ちゃんがシラノの友人、雪乃ちゃんがロクサーヌの友人という配役になっていた。
足の怪我はあったが美鳥さんも松葉杖をついて稽古場に来ている。
「美鳥さん、休まなくて大丈夫ですか?」
「本当は杖もいらないんですけど、医者とマネージャーさんが煩いから。座ってたら普通に台本は読めますよ」
立ち稽古の美鳥さんの場所に椅子を置いて、座ってもらって稽古をする。美鳥さんは座っていても声の張りも変わらず、安心してクリスチャン役を任せられた。
「いざとなったら、私が代役に立てるように練習してます!」
「蘭ちゃん、自分の役の他に、美鳥さんの役も覚えてるの?」
「美鳥さんの役は今までのほとんど覚えてます!」
元気いっぱいで答える蘭ちゃんに若さと頼もしさを感じる。まだ二十代の蘭ちゃんは初々しさもあって、可愛い男役だとファンの皆様からは人気だった。私と同じように女役もやっているのを見たことがある。可愛い顔立ちで、身長も170センチくらいとなると、つい奏歌くんを思い浮かべてしまう。
蘭ちゃんと奏歌くんは同じくらいの背丈ではないだろうか。
「頼もしいけど、この役は譲りませんよ」
「美鳥さんが演じてくれるなら、それを見て学べます」
「蘭ちゃんは本当に美鳥さんが大好きなんですね」
美鳥さんと蘭ちゃんと真月さんが話しているのを聞くとほのぼのする。バレンタインのディナーショーで共に危機を乗り越えた相手として、真月さんと蘭ちゃんの距離も縮まっているようだった。
私と百合と美鳥さんが退団したら、真月さんと蘭ちゃんが劇団を引っ張っていくのだろうか。その光景を想像して、安心して任せられると思っている私がいた。
稽古が終わるとマンションに帰る。部屋では奏歌くんが待っていてくれた。
「海瑠さん、お帰りなさい」
「奏歌くん、テレビを見てたの?」
珍しく食事をするテーブルではなく、オーディオセットの前のソファに座っている奏歌くんに、私は嫌な予感がしていた。奏歌くんのハニーブラウンの目がきらきらと光を浴びて煌めいている。
「テレビの歌番組の録画を見ていたんだ」
「私の部屋で!?」
思わず悲鳴のようになってしまったのも仕方がない。私にとってはあのテレビの歌番組の収録は嫌な思い出しかなかった。百合と歌って踊ったデュエットはよかったのだが、それ以外があまりにも私がテレビに慣れていないことが分かった収録だったのだ。
「海瑠さんはアイドルグループとは格が違うって思ったよ。歌もダンスも、海瑠さんを見てるとアイドルグループが薄っぺらく見えてきちゃったもん」
「テレビと舞台はそもそも違うのよ」
「舞台は一発勝負だからね。海瑠さんが毎回どれだけ努力してるのかがよく伝わってきた」
「あんなに音を外されると思わなかったし、ダンスの位置を間違って撮り直しとか聞いてなかったけど、それでもテレビならなんとかなっちゃうのね」
テレビなら撮り直しができるから一番いい出来のものを放映すればいい。そういう私に奏歌くんは苦笑していた。
「アイドルグループにとっては、これが一番いい出来なんだよ」
「え? でも……」
とてもそうは思えない歌とダンスだった。
絶句してしまった私に、奏歌くんが諭すように言う。
「海瑠さんはそれだけ歌とダンスの練習もたくさんして、最高の演技をしようとしてるけど、あのひとたちは演技じゃなくて、素だからね」
「私は演技をしているの?」
「曲がかかった瞬間、海瑠さんは表情が全く違うんだよ。ほら、見て」
録画を巻き戻して見せられると、立ち位置に立った瞬間から私からは確かに歌を歌う役の雰囲気が漂っていた。アイドルグループからはそれがないのは、やはり奏歌くんの言う通りにそこが舞台で、歌うことは演じることだという心意気がないからだろう。
私の大ファンだというだけあって、奏歌くんは視点が違った。
奏歌くんに言われてから見てみると、私と百合のデュエットのときも、立ち位置に立ってポーズを決めたあたりから既に私も百合も役に入り込んでいた。
「私は役に憑依されてるってよく言われるけど、それがあのひとたちにはなかったのね」
「全然スタンスが違ったんだろうね。だから、海瑠さんの演技に飲まれちゃって、完全に負けちゃってるよね」
こういうことに勝ち負けがあるのかどうか分からないが、奏歌くんが見た感想だと、私の迫力に負けてアイドルグループは完全に委縮しているようだった。
たまには奏歌くんとテレビを見て自分の演技を確認するのもよいかもしれない。
そう思いはしたが、やっぱり奏歌くんがテレビに夢中になっているのを見ると妬けてしまうので、私は奏歌くんの手からリモコンを取ってテレビを消した。奏歌くんも諦めて食事をするテーブルに移る。
宿題をしながら奏歌くんが話してくれる。
「今年の夏休み、免許を取りに合宿に行こうと思ってるんだ」
「合宿に行くの?」
「泊まり込みでずっと勉強と運転練習を受けないと行けないけど、最短で一週間で免許習得試験の資格が取れるんだ」
「免許が取れるんじゃないの?」
運転免許証については全く分からないので奏歌くんを質問攻めにしてしまうが、奏歌くんはそれくらいで不機嫌になったり、怒ったりしない。
「免許は運転免許試験場で試験を受けて合格しないともらえないよ。その前段階までは合宿で習得できるんだ。最終的に運転免許試験場に行って、試験を受けてくればその日のうちに免許がもらえる」
奏歌くんの説明だと、一週間の合宿の後に運転免許試験場に行って試験を受ければ、最短で八日で免許が取れるようだ。免許なんて私は取れる気がしなかったが、奏歌くんは将来を見据えてきっちりと取っておくつもりだった。
「海瑠さんとどの国に行くか分からないからね。日本の免許を取っていれば、国際免許も取れるから」
「国際免許には日本の免許が必要なのね」
「うん。海瑠さんを乗せて運転するから、運転の練習もしなきゃいけないし、海外にはハンドルが逆のところが多いから、海外の交通法も勉強しないといけないよね」
前向きに海外行きを計画している奏歌くんに私は感心すると共に、自分が何もしていないことに気付く。
「私、こんなに何もしてなくていいのかな?」
「海瑠さんが最後まで舞台をやり通して。それが僕の願いだよ」
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