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十一章 奏歌くんとの十一年目
25.茉優ちゃんとやっちゃんの結婚式
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茉優ちゃんとやっちゃんの結婚式は人前式だった。
人前式というのがどういうものか私は知らなかったが、結婚式場で奏歌くんが教えてくれた。
「神様じゃなくて、来てくれたお客さんの前でお互いに誓いを述べるんだよ」
「そうなんだ。神父さんとかいないのね」
「うん、そうなるね」
分からないことは奏歌くんが教えてくれる。安心して式場の席に座っていると、茉優ちゃんとやっちゃんが入ってくる。茉優ちゃんは振袖を着ていて、その振袖に私は見覚えがあった。
珊瑚のような赤い色合いに薄い黄色の花の模様の入っている振袖。
やっちゃんは貸衣装だろう、羽織袴姿だった。
「莉緒さんが茉優ちゃんにあげたものだわ」
気付いたのは私だけではなかった。莉緒さんが茉優ちゃんの姿を見て目頭を押さえている。
「本日は私たちの結婚式にお越しくださりありがとうございます」
「私、篠田安彦と、夜宮茉優は、本日を以て夫婦となります」
「これまで見守ってくださった皆様には本当に感謝しております」
挨拶をしてから、茉優ちゃんとやっちゃんが誓いの言葉を述べる。
「私、夜宮茉優は、篠田安彦と長い人生を共に歩き、苦しいときも、楽しいときも、共に人生を分かち合い、二人でできる限り素晴らしい家庭を築いていくことを誓います」
「私、篠田安彦は、夜宮茉優に一生美味しいものを作り続け、家族がどんな状況でも必ず食事を大事にして、生涯食べることだけは絶対に満足させ続けると誓います」
「安彦さん!? 誓いの言葉が、リハーサルと違う!?」
「こっちの方が俺らしいと思ったんだよ」
茉優ちゃんのマニュアルに沿った誓いの言葉と、やっちゃんらしい誓いの言葉に、茉優ちゃんはびっくりしているが、客席からは拍手が上がる。私も祝福を込めて拍手を送った。
「皆様に見届けていただいて、二人の誓いを聞いていただき、結婚の証としたいと思います」
やっちゃんが頭を下げて、結婚式は終わった。
披露宴は場所を変えてホテルのレストランの個室を貸し切って行われる。十人程度が入れそうな個室に通されて、まず運ばれてきたのは奏歌くんと私が作ったウエディングケーキだった。
「ファーストバイトをしてもいいですか?」
「やって、茉優ちゃん!」
ウエディングケーキに先に手をつけることを躊躇う茉優ちゃんに奏歌くんが声をかける。
「ファーストバイトってなんだっけ?」
「一生食べるのに困らせないって意味で、お互いにケーキを食べさせ合うんだよ。津島さんと海香さんの結婚式でもあったと思うけど」
「あったっけ?」
どうしても他人のことは記憶が曖昧になってしまう私だが、奏歌くんに言われると津島さんの結婚式や海香の結婚式でもあったような気がする。
茉優ちゃんにはやっちゃんが小さなスプーンで掬って口に入るように食べさせて、やっちゃんには茉優ちゃんが口に入らないくらい大きなスプーンで掬って食べさせている。
貸衣装の羽織袴に付かないように一生懸命食べているやっちゃんの姿を、奏歌くんが携帯電話で写真におさめていた。
ファーストバイトが終わるとケーキは一度引かれて、コース料理が出て来る。和食のコースのようで、海老と野菜のゼリー寄せがオードブルに出てきた。
「ゼリー寄せって綺麗ね」
「僕も作れると思うよ」
「奏歌くんが作ったの食べてみたい」
話しながら食べていると、茉優ちゃんがやっちゃんと一緒に話し出す。
「結婚式に振袖はおかしいかもしれないとは思ったんですが、お祖母ちゃんから頂いたものだから、どうしてもこの格好で私は結婚式を挙げたかったんです」
「茉優ちゃんがその振袖で結婚式を挙げてくれて本当に嬉しいわ」
「ウエディングドレスも悩んだんですけど、クリスマスのパーティーでウエディングヴェールを被せてもらって、安彦さんと誓いのキスができたから、満足しました」
クリスマスのパーティーまでは茉優ちゃんは衣装に悩んでいたのだと打ち明けてくれた。あのときに海香が気を回してくれてウエディングヴェールを貸してくれて、茉優ちゃんが被ることができて本当によかったと今更ながらに思う。
海香には何かお礼の品でも送っておこう。
ゼリー寄せの後には、お刺身の盛り合わせが出てきた。お箸で食べられるので、安心して食事を楽しめる。和食を選んだのは莉緒さんへの配慮かもしれない。
椀物が出て、メインディッシュはアワビのステーキだった。
アワビを食べるのがほとんど初めての私は、大きな貝の上に乗っている一口大に切られたアワビに警戒心を抱いていた。
「海瑠さん、こりこりして美味しいよ。バターの香りがする」
「アワビ……奏歌くんが美味しいって言うのなら食べてみる」
思い切って一切れ口に入れると、ふわりとバターの香りが口の中に広がる。噛み締めるとこりこりしていてとても美味しい。警戒を解いて私はアワビのステーキも全部食べてしまった。
最後に出てきたご飯とお味噌汁も私と奏歌くんは全部食べていたけれど、莉緒さんは量が多かったのか残していた。
食事の後にはウエディングケーキが切られて運ばれて来る。ファーストバイトで欠けたところはやっちゃんに配られたようだった。
「コーヒーと紅茶、どちらに致しますか?」
「私は紅茶で」
「僕はコーヒーを」
式場のスタッフさんに聞かれて私は紅茶を頼んだが、奏歌くんはコーヒーを頼んでいた。茉優ちゃんは紅茶で、やっちゃんはコーヒーで、莉緒さんと美歌さんもコーヒー、沙紀ちゃんは紅茶を頼んでいた。
飲み物が来る前にウエディングケーキを食べ終わってしまったけれど、ウエディングケーキは持ち込みなので、コースのデザートも運ばれてきた。
「もうお腹いっぱいだわ」
「海瑠さんも? 僕ももうさすがにお腹いっぱい」
「でも、チーズケーキとアイスなら食べられるかも」
運ばれてきたのがチーズケーキとアイスクリームだったので、食べてみるとするりとお腹に入ってしまう。食べ終わってからお腹がいっぱい過ぎて私はちょっと後悔した。横を見ると奏歌くんも全部食べていた。
「最後に庭でみんなで写真を撮ります。庭に集合してください」
スタッフさんの声をかけられて、私は奏歌くんに手を引かれて、茉優ちゃんはやっちゃんに手を引かれて、庭に出る。明るい春の庭は春薔薇で彩られていた。みんなで並んで式場のスタッフさんに写真を撮ってもらう。式場のスタッフさんに携帯電話を渡すと、私の分も奏歌くんの分も写真を撮ってくれた。
やっちゃんと茉優ちゃんの結婚式が終わって、茉優ちゃんは莉緒さんに手を握られていた。
「茉優ちゃん本当におめでとう。安彦さんと幸せにね」
「ありがとう、お祖母ちゃん。お祖母ちゃんに結婚式が見せられて本当によかったわ。きてくれてありがとう」
「茉優ちゃん、イギリスに出発する日には見送りに行くからね」
「うん、お祖母ちゃん、来てね」
茉優ちゃんのご両親が事故に遭ったのはとても不幸なことだが、それがなければ茉優ちゃんとやっちゃんは出会っていない。茉優ちゃんとやっちゃんが出会うことがなければ、茉優ちゃんのご両親の墓参りに行ったときに身寄りがいると判明して、莉緒さんと出会うこともなかった。
出会いがあるからこそ別れがある。
茉優ちゃんの手を握ってなかなか放さない莉緒さんの姿を見ていると、茉優ちゃんと結果的に離れた場所で生きることになってしまうけれど、出会ったことが奇跡のように思えて私も涙ぐんでしまった。
「海瑠さん、いい結婚式だったね」
「うん、奏歌くんとの結婚式もこんな風にしたいね」
奏歌くんと私が結婚式を挙げる頃にはかえでも3歳になっている。きっと結婚式に参加することができるだろう。
結婚式に呼ぶのは、美歌さんと海香と宙夢さんとさくらとかえでと沙紀ちゃんと莉緒さんと百合と津島さんと……。
「美鳥さんと真月さんはどうしよう」
「なんの話?」
「私と奏歌くんの結婚式に招待するひとの話」
私が奏歌くんの問いかけに答えると、奏歌くんに笑われてしまう。
「海瑠さん、ちょっと気が早いんじゃないかな?」
「え? そうかな? 二年なんてすぐじゃない?」
私にとっては二年はすぐに過ぎるイメージだが、奏歌くんはまだ十六年しか生きていないのだから、二年は長く感じるのかもしれない。二年後に奏歌くんが18歳になるのは私にとってはすぐ先のことのように感じられる。
これからも一日一日を大事に過ごして行かなければいけないと感じた茉優ちゃんとやっちゃんの結婚式だった。
人前式というのがどういうものか私は知らなかったが、結婚式場で奏歌くんが教えてくれた。
「神様じゃなくて、来てくれたお客さんの前でお互いに誓いを述べるんだよ」
「そうなんだ。神父さんとかいないのね」
「うん、そうなるね」
分からないことは奏歌くんが教えてくれる。安心して式場の席に座っていると、茉優ちゃんとやっちゃんが入ってくる。茉優ちゃんは振袖を着ていて、その振袖に私は見覚えがあった。
珊瑚のような赤い色合いに薄い黄色の花の模様の入っている振袖。
やっちゃんは貸衣装だろう、羽織袴姿だった。
「莉緒さんが茉優ちゃんにあげたものだわ」
気付いたのは私だけではなかった。莉緒さんが茉優ちゃんの姿を見て目頭を押さえている。
「本日は私たちの結婚式にお越しくださりありがとうございます」
「私、篠田安彦と、夜宮茉優は、本日を以て夫婦となります」
「これまで見守ってくださった皆様には本当に感謝しております」
挨拶をしてから、茉優ちゃんとやっちゃんが誓いの言葉を述べる。
「私、夜宮茉優は、篠田安彦と長い人生を共に歩き、苦しいときも、楽しいときも、共に人生を分かち合い、二人でできる限り素晴らしい家庭を築いていくことを誓います」
「私、篠田安彦は、夜宮茉優に一生美味しいものを作り続け、家族がどんな状況でも必ず食事を大事にして、生涯食べることだけは絶対に満足させ続けると誓います」
「安彦さん!? 誓いの言葉が、リハーサルと違う!?」
「こっちの方が俺らしいと思ったんだよ」
茉優ちゃんのマニュアルに沿った誓いの言葉と、やっちゃんらしい誓いの言葉に、茉優ちゃんはびっくりしているが、客席からは拍手が上がる。私も祝福を込めて拍手を送った。
「皆様に見届けていただいて、二人の誓いを聞いていただき、結婚の証としたいと思います」
やっちゃんが頭を下げて、結婚式は終わった。
披露宴は場所を変えてホテルのレストランの個室を貸し切って行われる。十人程度が入れそうな個室に通されて、まず運ばれてきたのは奏歌くんと私が作ったウエディングケーキだった。
「ファーストバイトをしてもいいですか?」
「やって、茉優ちゃん!」
ウエディングケーキに先に手をつけることを躊躇う茉優ちゃんに奏歌くんが声をかける。
「ファーストバイトってなんだっけ?」
「一生食べるのに困らせないって意味で、お互いにケーキを食べさせ合うんだよ。津島さんと海香さんの結婚式でもあったと思うけど」
「あったっけ?」
どうしても他人のことは記憶が曖昧になってしまう私だが、奏歌くんに言われると津島さんの結婚式や海香の結婚式でもあったような気がする。
茉優ちゃんにはやっちゃんが小さなスプーンで掬って口に入るように食べさせて、やっちゃんには茉優ちゃんが口に入らないくらい大きなスプーンで掬って食べさせている。
貸衣装の羽織袴に付かないように一生懸命食べているやっちゃんの姿を、奏歌くんが携帯電話で写真におさめていた。
ファーストバイトが終わるとケーキは一度引かれて、コース料理が出て来る。和食のコースのようで、海老と野菜のゼリー寄せがオードブルに出てきた。
「ゼリー寄せって綺麗ね」
「僕も作れると思うよ」
「奏歌くんが作ったの食べてみたい」
話しながら食べていると、茉優ちゃんがやっちゃんと一緒に話し出す。
「結婚式に振袖はおかしいかもしれないとは思ったんですが、お祖母ちゃんから頂いたものだから、どうしてもこの格好で私は結婚式を挙げたかったんです」
「茉優ちゃんがその振袖で結婚式を挙げてくれて本当に嬉しいわ」
「ウエディングドレスも悩んだんですけど、クリスマスのパーティーでウエディングヴェールを被せてもらって、安彦さんと誓いのキスができたから、満足しました」
クリスマスのパーティーまでは茉優ちゃんは衣装に悩んでいたのだと打ち明けてくれた。あのときに海香が気を回してくれてウエディングヴェールを貸してくれて、茉優ちゃんが被ることができて本当によかったと今更ながらに思う。
海香には何かお礼の品でも送っておこう。
ゼリー寄せの後には、お刺身の盛り合わせが出てきた。お箸で食べられるので、安心して食事を楽しめる。和食を選んだのは莉緒さんへの配慮かもしれない。
椀物が出て、メインディッシュはアワビのステーキだった。
アワビを食べるのがほとんど初めての私は、大きな貝の上に乗っている一口大に切られたアワビに警戒心を抱いていた。
「海瑠さん、こりこりして美味しいよ。バターの香りがする」
「アワビ……奏歌くんが美味しいって言うのなら食べてみる」
思い切って一切れ口に入れると、ふわりとバターの香りが口の中に広がる。噛み締めるとこりこりしていてとても美味しい。警戒を解いて私はアワビのステーキも全部食べてしまった。
最後に出てきたご飯とお味噌汁も私と奏歌くんは全部食べていたけれど、莉緒さんは量が多かったのか残していた。
食事の後にはウエディングケーキが切られて運ばれて来る。ファーストバイトで欠けたところはやっちゃんに配られたようだった。
「コーヒーと紅茶、どちらに致しますか?」
「私は紅茶で」
「僕はコーヒーを」
式場のスタッフさんに聞かれて私は紅茶を頼んだが、奏歌くんはコーヒーを頼んでいた。茉優ちゃんは紅茶で、やっちゃんはコーヒーで、莉緒さんと美歌さんもコーヒー、沙紀ちゃんは紅茶を頼んでいた。
飲み物が来る前にウエディングケーキを食べ終わってしまったけれど、ウエディングケーキは持ち込みなので、コースのデザートも運ばれてきた。
「もうお腹いっぱいだわ」
「海瑠さんも? 僕ももうさすがにお腹いっぱい」
「でも、チーズケーキとアイスなら食べられるかも」
運ばれてきたのがチーズケーキとアイスクリームだったので、食べてみるとするりとお腹に入ってしまう。食べ終わってからお腹がいっぱい過ぎて私はちょっと後悔した。横を見ると奏歌くんも全部食べていた。
「最後に庭でみんなで写真を撮ります。庭に集合してください」
スタッフさんの声をかけられて、私は奏歌くんに手を引かれて、茉優ちゃんはやっちゃんに手を引かれて、庭に出る。明るい春の庭は春薔薇で彩られていた。みんなで並んで式場のスタッフさんに写真を撮ってもらう。式場のスタッフさんに携帯電話を渡すと、私の分も奏歌くんの分も写真を撮ってくれた。
やっちゃんと茉優ちゃんの結婚式が終わって、茉優ちゃんは莉緒さんに手を握られていた。
「茉優ちゃん本当におめでとう。安彦さんと幸せにね」
「ありがとう、お祖母ちゃん。お祖母ちゃんに結婚式が見せられて本当によかったわ。きてくれてありがとう」
「茉優ちゃん、イギリスに出発する日には見送りに行くからね」
「うん、お祖母ちゃん、来てね」
茉優ちゃんのご両親が事故に遭ったのはとても不幸なことだが、それがなければ茉優ちゃんとやっちゃんは出会っていない。茉優ちゃんとやっちゃんが出会うことがなければ、茉優ちゃんのご両親の墓参りに行ったときに身寄りがいると判明して、莉緒さんと出会うこともなかった。
出会いがあるからこそ別れがある。
茉優ちゃんの手を握ってなかなか放さない莉緒さんの姿を見ていると、茉優ちゃんと結果的に離れた場所で生きることになってしまうけれど、出会ったことが奇跡のように思えて私も涙ぐんでしまった。
「海瑠さん、いい結婚式だったね」
「うん、奏歌くんとの結婚式もこんな風にしたいね」
奏歌くんと私が結婚式を挙げる頃にはかえでも3歳になっている。きっと結婚式に参加することができるだろう。
結婚式に呼ぶのは、美歌さんと海香と宙夢さんとさくらとかえでと沙紀ちゃんと莉緒さんと百合と津島さんと……。
「美鳥さんと真月さんはどうしよう」
「なんの話?」
「私と奏歌くんの結婚式に招待するひとの話」
私が奏歌くんの問いかけに答えると、奏歌くんに笑われてしまう。
「海瑠さん、ちょっと気が早いんじゃないかな?」
「え? そうかな? 二年なんてすぐじゃない?」
私にとっては二年はすぐに過ぎるイメージだが、奏歌くんはまだ十六年しか生きていないのだから、二年は長く感じるのかもしれない。二年後に奏歌くんが18歳になるのは私にとってはすぐ先のことのように感じられる。
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