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十一章 奏歌くんとの十一年目
9.百合のための秋公演
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奏歌くんの夏休みが終わってしまった。
補講があったせいで夏休みらしい期間は短かったけれど、その間にも日帰り温泉には行けたし、花火大会も行けたので、私の今年の夏はそれなりに楽しく奏歌くんと過ごせた。マダム・ローズのお店に三回行けたのも、果物を削って作ったかき氷を食べたのも、デパートに買い物に行けたのも楽しかった。
奏歌くんと私にとっては日本で過ごす残り少ない夏の内の一回で、花火大会まで満喫できたことは大きかった。奏歌くんが高校を卒業したら海外に旅立つことは決めているので、日本で過ごす夏は残り二回だ。
この夏はマダム・ローズのお店で奏歌くんの18歳の誕生日に指輪を買う約束をしたことも大事な思い出になっていた。奏歌くんはもう結婚を意識してくれている。6歳で運命のひとだと分かってから、結婚を前提に真剣にお付き合いを続けてくれていて、奏歌くんの中では私と結婚するのは決定事項になっているようだが、それを再確認できたことは本当に嬉しかった。
「奏歌くん、結婚式は日本で挙げる? それとも、イギリスかな?」
奏歌くんが高校を卒業したら一番に行くのはイギリスのやっちゃんと茉優ちゃんのところと決めてあったので、やっちゃんと茉優ちゃんが結婚式に出られるように奏歌くんはイギリスでの結婚式を考えているかもしれない。
始業式で高校が早く終わってマンションに来ていた奏歌くんに聞いてみた。
「日本で挙げないと、母さんと海香さんとさくらちゃんとかえでくんと宙夢さんと……百合さんと兄さんにも来てもらえない気がするんだよね」
「そうか。全員が集まるのはそれが最後かもしれないからね」
海香と宙夢さんもそろそろ海外への移住を考えているとは聞いている。海香と宙夢さんが二十代前半の一番調子のいい時期から老けていないのを、周囲に勘付かれるのは困ってしまう。さくらも小学生になっていたが、海香と宙夢さんはさくらとかえでを連れて近々海外へ移住するだろう。
さくらは美歌さんの運命のひとなので、美歌さんもそれについていくことは考えられる。
百合が退団後どうするか聞いていないが、真尋さんはまだまだ若くて劇団で必要とされているので日本で暮らすことは予測される。そうなると、日本で私と奏歌くんの親しいひとたちが集まれるのは、私と奏歌くんが海外に行く前の春で最後かもしれない。
そう考えると、私と奏歌くんは日本で結婚式を挙げた後に海外に行く方がいいような気がしてきた。
「奏歌くんは私にどんなウエディングドレスを着て欲しい?」
「ウエディングドレスもいいけど、海瑠さん、タキシードもいいと思うんだ」
「ウエディングドレスとタキシード、どっちも着ちゃう?」
奏歌くんの要望ならば私はウエディングドレスとタキシードをどちらとも着てもいい気分になる。異色の結婚式になるかもしれないが、奏歌くんと私の結婚式なのだ。二人で決めていいはずだ。
「海瑠さんに歌って踊って欲しい」
「ディナーショーみたいな結婚式にしたいのね」
「うん、海瑠さんの魅力が伝わる結婚式がいいな」
私の最大の理解者でありファンである奏歌くんと結婚式の話をしているのはとても楽しい。まだ二年以上先の話だが、私は既に夢見心地になっていた。
奏歌くんの夏休みが終わると劇団の秋公演が始まる。
奏歌くんと茉優ちゃんと莉緒さんのチケットを取った日に、百合も真尋さんの分のチケットを取っていたようだった。茉優ちゃんと莉緒さんは一緒に来るようで、私が劇場入りするときには奏歌くんと真尋さんの姿だけを見かけた。
ファンの皆様に挨拶をして手を振って、奏歌くんに声をかけたい気持ちは我慢して劇場に入る。簡単なリハーサルを終えてお化粧をして衣装に着替えていると、百合が楽屋にやってきた。
「海瑠、夏休み中にマダムのお店に行ったの?」
「行ったわよ。奏歌くんと二人で一回、茉優ちゃんとやっちゃんと奏歌くんと四人で一回」
合計二回行ったことを告げると、百合が羨ましそうにしている。
「私も呼んでくれたらよかったのに」
「アクセサリーの話をしてたから、百合は退屈だったかもしれないわ」
「アクセサリー……海瑠は自分のアクセサリーをマダムにお願いしてるのよね」
そのことに関しては、私があまりにもアクセサリー作りができないので劇団も黙認してくれている形になっていた。マダム・ローズは劇団のデザイナーもしてくれているので、そこに頼むのならば仕方がないと思ってくれているようだ。
「マダムは海瑠のファンだから特別料金なんでしょう? 私だったら絶対払えてないわ」
「え? そうなの?」
「海瑠はいくら払ったかも見てないんでしょうけどね」
百合に言われて、確かにカードで払っていて私は自分のアクセサリーがどれくらいの値段か知らないことに気付いてしまった。百合曰く、マダム・ローズは私のために破格の値段でデザインをしてくれているらしい。
「そんなこと、言われないと気付かないー!」
「海瑠は相場なんて知らないし、値段の確認もしてなさそうだもんね」
もっとマダム・ローズに感謝しなさいと言われて、私はデビューからずっとマダム・ローズに頼りきりで来てしまったことを、本当に感謝しなければいけないとやっと理解できたのだった。
奏歌くんと出会っていなければ、ここで百合に言われても私は言われていることがよく理解できていなかっただろう。奏歌くんが私にスーパーでの買い物の仕方や、デパートでも買い物の仕方を教えてくれて、多少は世間の相場というものを理解できたからこそ、マダム・ローズへの感謝の心も生まれた。
私の世界は奏歌くんと出会ってから、奏歌くんを中心に回っているのだと改めて痛感させられた件でもあった。
公演時間になって舞台に立つ。
始めは真月さんが演じる明智光秀が、百合が演じる後のガラシャに結婚の話を持ち掛けるところからだった。細川家に嫁ぐことが決まったガラシャと細川忠興との出会い。
気性の激しい忠興にどこまでも冷静に振舞うガラシャ。二人の間に愛情が生まれる。
本能寺の変の後、反逆者の娘として幽閉されることになったガラシャの元に、忠興は何度も通ってきてしまう。反逆者の娘と分かっていながらも、ガラシャを愛することを止められない忠興。
羽柴秀吉の取りなしによって再びガラシャと忠興は共に暮らせるようになったが、キリスト教に傾倒していくガラシャと忠興はすれ違ってしまう。
それでもガラシャを見放すことはできず、忠興はガラシャを愛する。
忠興とガラシャの愛と苦悩の物語としてこの演目は形作られていた。
忠興が出陣している間に、城を攻められて、ガラシャが潔く死を受け入れる場面では、客席から洟を啜る音が聞こえて来た。
演目が終わって、和風のドレスに着替えた百合と、和風のタキシードに着替えた私でデュエットダンスを踊る。演目の中では死を迎えたガラシャが、天国で忠興と再び幸せになっているかのようなデュエットダンスに、劇場は盛り上がった。
幕が下りても鳴り止まない拍手に、カーテンコールに応えて全員で歌を歌い、頭を下げる。
ずっと鳴り止まない拍手に、最後には私が百合を引っ張って連れて来て挨拶をした。
「今回の主役はこの劇団としては珍しく、女役トップスターの百合でした。百合からご挨拶を」
「私は長らく女役トップスターを務めさせていただいていますが、主役をもらったのは初めてです。劇団の代々のしきたりとして、男役トップスターが主役、女役トップスターは準主役という立ち位置でした。それを変えてくれたのが今回の公演です」
頭を下げて百合は言葉を続ける。
「まだまだ女役トップスターの歴史に残る年月を務めあげる偉業達成の途中ですが、今回の公演は私のこれまでの努力が報われた結果だと思っています。それも全て応援してくださるファンの皆様あってのことです。今回の公演にお越しいただき、本当にありがとうございました」
百合と私で頭を下げると、客席はスタンディングオベーションになっていた。
最高の舞台と演技ができたことを誇りながら、その日の公演は終わった。
補講があったせいで夏休みらしい期間は短かったけれど、その間にも日帰り温泉には行けたし、花火大会も行けたので、私の今年の夏はそれなりに楽しく奏歌くんと過ごせた。マダム・ローズのお店に三回行けたのも、果物を削って作ったかき氷を食べたのも、デパートに買い物に行けたのも楽しかった。
奏歌くんと私にとっては日本で過ごす残り少ない夏の内の一回で、花火大会まで満喫できたことは大きかった。奏歌くんが高校を卒業したら海外に旅立つことは決めているので、日本で過ごす夏は残り二回だ。
この夏はマダム・ローズのお店で奏歌くんの18歳の誕生日に指輪を買う約束をしたことも大事な思い出になっていた。奏歌くんはもう結婚を意識してくれている。6歳で運命のひとだと分かってから、結婚を前提に真剣にお付き合いを続けてくれていて、奏歌くんの中では私と結婚するのは決定事項になっているようだが、それを再確認できたことは本当に嬉しかった。
「奏歌くん、結婚式は日本で挙げる? それとも、イギリスかな?」
奏歌くんが高校を卒業したら一番に行くのはイギリスのやっちゃんと茉優ちゃんのところと決めてあったので、やっちゃんと茉優ちゃんが結婚式に出られるように奏歌くんはイギリスでの結婚式を考えているかもしれない。
始業式で高校が早く終わってマンションに来ていた奏歌くんに聞いてみた。
「日本で挙げないと、母さんと海香さんとさくらちゃんとかえでくんと宙夢さんと……百合さんと兄さんにも来てもらえない気がするんだよね」
「そうか。全員が集まるのはそれが最後かもしれないからね」
海香と宙夢さんもそろそろ海外への移住を考えているとは聞いている。海香と宙夢さんが二十代前半の一番調子のいい時期から老けていないのを、周囲に勘付かれるのは困ってしまう。さくらも小学生になっていたが、海香と宙夢さんはさくらとかえでを連れて近々海外へ移住するだろう。
さくらは美歌さんの運命のひとなので、美歌さんもそれについていくことは考えられる。
百合が退団後どうするか聞いていないが、真尋さんはまだまだ若くて劇団で必要とされているので日本で暮らすことは予測される。そうなると、日本で私と奏歌くんの親しいひとたちが集まれるのは、私と奏歌くんが海外に行く前の春で最後かもしれない。
そう考えると、私と奏歌くんは日本で結婚式を挙げた後に海外に行く方がいいような気がしてきた。
「奏歌くんは私にどんなウエディングドレスを着て欲しい?」
「ウエディングドレスもいいけど、海瑠さん、タキシードもいいと思うんだ」
「ウエディングドレスとタキシード、どっちも着ちゃう?」
奏歌くんの要望ならば私はウエディングドレスとタキシードをどちらとも着てもいい気分になる。異色の結婚式になるかもしれないが、奏歌くんと私の結婚式なのだ。二人で決めていいはずだ。
「海瑠さんに歌って踊って欲しい」
「ディナーショーみたいな結婚式にしたいのね」
「うん、海瑠さんの魅力が伝わる結婚式がいいな」
私の最大の理解者でありファンである奏歌くんと結婚式の話をしているのはとても楽しい。まだ二年以上先の話だが、私は既に夢見心地になっていた。
奏歌くんの夏休みが終わると劇団の秋公演が始まる。
奏歌くんと茉優ちゃんと莉緒さんのチケットを取った日に、百合も真尋さんの分のチケットを取っていたようだった。茉優ちゃんと莉緒さんは一緒に来るようで、私が劇場入りするときには奏歌くんと真尋さんの姿だけを見かけた。
ファンの皆様に挨拶をして手を振って、奏歌くんに声をかけたい気持ちは我慢して劇場に入る。簡単なリハーサルを終えてお化粧をして衣装に着替えていると、百合が楽屋にやってきた。
「海瑠、夏休み中にマダムのお店に行ったの?」
「行ったわよ。奏歌くんと二人で一回、茉優ちゃんとやっちゃんと奏歌くんと四人で一回」
合計二回行ったことを告げると、百合が羨ましそうにしている。
「私も呼んでくれたらよかったのに」
「アクセサリーの話をしてたから、百合は退屈だったかもしれないわ」
「アクセサリー……海瑠は自分のアクセサリーをマダムにお願いしてるのよね」
そのことに関しては、私があまりにもアクセサリー作りができないので劇団も黙認してくれている形になっていた。マダム・ローズは劇団のデザイナーもしてくれているので、そこに頼むのならば仕方がないと思ってくれているようだ。
「マダムは海瑠のファンだから特別料金なんでしょう? 私だったら絶対払えてないわ」
「え? そうなの?」
「海瑠はいくら払ったかも見てないんでしょうけどね」
百合に言われて、確かにカードで払っていて私は自分のアクセサリーがどれくらいの値段か知らないことに気付いてしまった。百合曰く、マダム・ローズは私のために破格の値段でデザインをしてくれているらしい。
「そんなこと、言われないと気付かないー!」
「海瑠は相場なんて知らないし、値段の確認もしてなさそうだもんね」
もっとマダム・ローズに感謝しなさいと言われて、私はデビューからずっとマダム・ローズに頼りきりで来てしまったことを、本当に感謝しなければいけないとやっと理解できたのだった。
奏歌くんと出会っていなければ、ここで百合に言われても私は言われていることがよく理解できていなかっただろう。奏歌くんが私にスーパーでの買い物の仕方や、デパートでも買い物の仕方を教えてくれて、多少は世間の相場というものを理解できたからこそ、マダム・ローズへの感謝の心も生まれた。
私の世界は奏歌くんと出会ってから、奏歌くんを中心に回っているのだと改めて痛感させられた件でもあった。
公演時間になって舞台に立つ。
始めは真月さんが演じる明智光秀が、百合が演じる後のガラシャに結婚の話を持ち掛けるところからだった。細川家に嫁ぐことが決まったガラシャと細川忠興との出会い。
気性の激しい忠興にどこまでも冷静に振舞うガラシャ。二人の間に愛情が生まれる。
本能寺の変の後、反逆者の娘として幽閉されることになったガラシャの元に、忠興は何度も通ってきてしまう。反逆者の娘と分かっていながらも、ガラシャを愛することを止められない忠興。
羽柴秀吉の取りなしによって再びガラシャと忠興は共に暮らせるようになったが、キリスト教に傾倒していくガラシャと忠興はすれ違ってしまう。
それでもガラシャを見放すことはできず、忠興はガラシャを愛する。
忠興とガラシャの愛と苦悩の物語としてこの演目は形作られていた。
忠興が出陣している間に、城を攻められて、ガラシャが潔く死を受け入れる場面では、客席から洟を啜る音が聞こえて来た。
演目が終わって、和風のドレスに着替えた百合と、和風のタキシードに着替えた私でデュエットダンスを踊る。演目の中では死を迎えたガラシャが、天国で忠興と再び幸せになっているかのようなデュエットダンスに、劇場は盛り上がった。
幕が下りても鳴り止まない拍手に、カーテンコールに応えて全員で歌を歌い、頭を下げる。
ずっと鳴り止まない拍手に、最後には私が百合を引っ張って連れて来て挨拶をした。
「今回の主役はこの劇団としては珍しく、女役トップスターの百合でした。百合からご挨拶を」
「私は長らく女役トップスターを務めさせていただいていますが、主役をもらったのは初めてです。劇団の代々のしきたりとして、男役トップスターが主役、女役トップスターは準主役という立ち位置でした。それを変えてくれたのが今回の公演です」
頭を下げて百合は言葉を続ける。
「まだまだ女役トップスターの歴史に残る年月を務めあげる偉業達成の途中ですが、今回の公演は私のこれまでの努力が報われた結果だと思っています。それも全て応援してくださるファンの皆様あってのことです。今回の公演にお越しいただき、本当にありがとうございました」
百合と私で頭を下げると、客席はスタンディングオベーションになっていた。
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