299 / 394
十章 奏歌くんとの十年目
25.春公演と奏歌くんの高校入学
しおりを挟む
奏歌くんの高校の入学式に私は行きたかったのだが、春公演の期間中なので自由に休みが取れず、日程を確認すると行けないことが確定してしまった。落ち込んでいる私に奏歌くんが言ってくれる。
「やっちゃんに写真を撮ってもらうよ」
「その件なんだけど……やっちゃんも多分休めないのよね」
写真を撮るのはプロ並みでいいカメラも持っているやっちゃんだが、今は劇団の広報のトップである。公演期間中は基本的に休みが自由に取れないのは私と同じだった。今年度からは沙紀ちゃんも広報の一員として仕事に就く。やっちゃんは来年の春には退職するのだから、後輩を育てる意味でも今年一年は非常に忙しくなりそうだった。
「やっちゃんも休めないのか……。母さんは来てくれると思うし、寂しくないよ。写真も母さんに撮ってもらう」
「そう……寂しいけど、美歌さんにお願いしよう」
気落ちしている私を見かねたのか、奏歌くんは約束をしてくれた。
「制服って、結婚式とかにも着ていってもいい正装なんでしょう。僕、ちょっと恥ずかしいけど、海瑠さんの春公演の日は、制服で行く」
「帰りは一緒に帰ってくれる?」
「うん。着替えを部屋に置いておいて、制服で行くから、僕の制服姿を見てね」
私の春公演を見に来てもらうはずが、今回の春公演は奏歌くんの制服姿を見ることになりそうだった。入学式に出られないことはショックだったが、それ以上のショックが私を待っていた。
「高校になると授業の時間が遅くまであるんだよね。晩ご飯に間に合わない日もあるかもしれない」
「嘘っ!? 奏歌くんと晩ご飯を食べられないの!?」
「早く終わった日は部屋で待ってるけど、遅い日は無理かもしれない」
高校生にもなると奏歌くんは忙しくなってしまうようだ。ますます落ち込む私を奏歌くんが慰めてくれる。
「お弁当は自分の分も作らなきゃいけないから、必ず毎日作るよ。高校に入ったらお弁当だから、お昼になったら海瑠さんのことを考えて食べる」
「私も奏歌くんが今頃同じお弁当を食べてるんだって考えて食べるわ」
救いはお弁当が変わらずに私の元に届けられるということだった。
最近はやっちゃんはマンションを売りに出すために家具を引き払って篠田家に住んでいるらしい。篠田家から出勤してくるやっちゃんは毎朝劇団の稽古場や、劇団の劇場で私にお弁当を渡してくれる。
それまでも朝は篠田家に寄って朝食とお弁当を作ってから出勤していたやっちゃんは本当にマメだと思う。私なら絶対にできない。
「今年の夏休みにはやっちゃんと茉優ちゃんは住む場所を決めるためにイギリスに行くし、別れが近くなったみたいで寂しいわ」
寂しがり屋の私は奏歌くんがいればいいというわけではなくて、やっちゃんや茉優ちゃんがいなくなることにも寂しさを感じるようになっていた。やっちゃんとは劇団で出会ってからかなりの年月が経つが、はっきりと認識したのは奏歌くんと出会ってからだった。
あれからもうすぐ十一年目が来て、やっちゃんとの付き合いも長くなったものだと思う。
色んなことがあったのを思い出してしみじみしていると、奏歌くんが勉強道具を片付けて伸びをしていた。
「課題やっと終わったよ。これで、安心して海瑠さんの春公演に行ける!」
「終わったのね。おめでとう。頑張ったね」
「ありがとう。量が多かったし、まだ習ってないところもあったから大変だったけど、推薦枠で入学するんだからきっちり仕上げておかないとね」
奏歌くんの課題も無事に終わって、春公演は心置きなく楽しめるようだった。
春公演は初日から順調に進んでいた。美鳥さんがピンマイクを飛ばしてしまうアクシデントはあったが、そこは私が抱き合うようにして私のマイクで音を拾ってなんとかした。
その件でSNSでルパン役と警察役ができているなんて騒がれもしたが、それもあまり気にしていなかった。
奏歌くんが公演を見に来る日はマチネだけの日だった。お昼の公演が終わったら奏歌くんと一緒に帰ってマンションで過ごせる。その日を狙ってチケットを取ってもらったのだから当然だが、私は制服姿の奏歌くんと過ごすのを楽しみにしていた。
入学式はまだだが私のためだけに奏歌くんは高校の制服を着てくれる。
百合に送ってもらって劇場入りすると、奏歌くんは入り待ちをしていてくれた。灰色のブレザーにスラックスの制服。白いシャツを着ている奏歌くんは大人びて見えた。声をかけたかったがファンの皆様は平等なのでぐっと我慢して、ご挨拶をして劇場に入る。
衣装を着て化粧をする間も、奏歌くんのことばかり考えていた。
舞台に立つと私はスイッチが切り替わったかのように舞台のことしか考えない。
昼休憩を終えてお弁当を食べた私は万全の状態で舞台に立つ。
演目はアルセーヌ・ルパンの物語だ。
巷を騒がせる怪盗アルセーヌ・ルパンと、それを追う警察官。そこに起きたフランスの超有名貴族の屋敷からの盗み。
警察官も世間もアルセーヌ・ルパンの仕業と言うのだが、当のアルセーヌ・ルパンはそれに関わっていない。
お嫁入に持っていく宝石のネックレスを盗まれた令嬢の嘆きを知ったアルセーヌ・ルパンは、真犯人を見つけ出すために動き出す。
途中で謎の女怪盗と出会ったり、警察官と協力したりして、宝石のネックレスを盗んだのは令嬢に横恋慕していた男だと分かるのだが、それからがまた大変なのだ。
取り返したはずの宝石のネックレスを奪っていく女怪盗。それを追い駆けるアルセーヌ・ルパンと警察官。
息もつかせぬ展開で、最終的には女怪盗からも宝石のネックレスを取り返し、アルセーヌ・ルパンは令嬢を結婚破棄の危機から救うのだった。
歌うパートも踊るパートも全部演じ切った後で、女怪盗を演じた百合とデュエットダンスを踊る。リフトしてくるくると回ると客席から拍手喝さいが上がった。
幕が下りて、カーテンコールにも応えて、最後に私が挨拶をする。
「春公演もまだまだ始まったばかりですが、私たちは稽古を重ねてこの日を迎えました。これからも日々演技を磨いて、最高の舞台を作り上げていきたいと思っています。また劇場にお越しの際はよろしくおねがいします。本日は本公演にお越しいただき、誠にありがとうございました!」
舞台の最後の挨拶もすっかりと慣れてしまった。
深々と私が頭を下げるのに合わせて、劇団員全員が頭を下げる。
スタンディングオベーションの中、その日の演目は終わった。
楽屋に戻って化粧を落として着替えて廊下に出ると、奏歌くんが待っていてくれる。奏歌くんはいつも通りやっちゃんに通してもらって楽屋まで来たようだ。
「海瑠さん、ものすごく面白かった。ハラハラしたよ」
「奏歌くん、制服とっても格好いいよ」
奏歌くんの声と私の声が重なる。
奏歌くんと私は顔を見合わせて笑った。
電車でマンションまで帰って、奏歌くんにじっくりと制服を見せてもらった。灰色のブレザーとスラックスの制服は、とても大人っぽく私の目に映った。
「夏場はブレザーを脱いで、上はシャツだけで通っていいことになってるんだ。冬場はブレザーの下にカーディガンを着てもいいことになってる」
「冬はブレザーの下にカーディガンが見えるのね。カーディガンは何色?」
「黄土色なんだけど、ダサいってみんな言ってる」
周囲の感想はダサいというもののようだが、私は奏歌くんが着ると格好いいのではないかと考えてしまう。
「意外と似合うかもよ?」
「あまり海瑠さんに見せたくない」
制服姿で部屋に来ることもあまりないかもしれないと言われてしまうと、私はますます惜しくなって、奏歌くんの制服姿を携帯電話で何枚も写真に撮った。
その数日後、奏歌くんは高校に入学した。
これから忙しくなるのは寂しいけれど、奏歌くんがまた一歩大人に近付く。
美歌さんから送られてきた写真の奏歌くんは、制服姿で高校の校庭のもう散った桜の木の下にいて、恥ずかしそうにしていた。即座に写真を保存して、私は『ご入学おめでとうございます』というメッセージと写真のお礼を返しておいた。
「やっちゃんに写真を撮ってもらうよ」
「その件なんだけど……やっちゃんも多分休めないのよね」
写真を撮るのはプロ並みでいいカメラも持っているやっちゃんだが、今は劇団の広報のトップである。公演期間中は基本的に休みが自由に取れないのは私と同じだった。今年度からは沙紀ちゃんも広報の一員として仕事に就く。やっちゃんは来年の春には退職するのだから、後輩を育てる意味でも今年一年は非常に忙しくなりそうだった。
「やっちゃんも休めないのか……。母さんは来てくれると思うし、寂しくないよ。写真も母さんに撮ってもらう」
「そう……寂しいけど、美歌さんにお願いしよう」
気落ちしている私を見かねたのか、奏歌くんは約束をしてくれた。
「制服って、結婚式とかにも着ていってもいい正装なんでしょう。僕、ちょっと恥ずかしいけど、海瑠さんの春公演の日は、制服で行く」
「帰りは一緒に帰ってくれる?」
「うん。着替えを部屋に置いておいて、制服で行くから、僕の制服姿を見てね」
私の春公演を見に来てもらうはずが、今回の春公演は奏歌くんの制服姿を見ることになりそうだった。入学式に出られないことはショックだったが、それ以上のショックが私を待っていた。
「高校になると授業の時間が遅くまであるんだよね。晩ご飯に間に合わない日もあるかもしれない」
「嘘っ!? 奏歌くんと晩ご飯を食べられないの!?」
「早く終わった日は部屋で待ってるけど、遅い日は無理かもしれない」
高校生にもなると奏歌くんは忙しくなってしまうようだ。ますます落ち込む私を奏歌くんが慰めてくれる。
「お弁当は自分の分も作らなきゃいけないから、必ず毎日作るよ。高校に入ったらお弁当だから、お昼になったら海瑠さんのことを考えて食べる」
「私も奏歌くんが今頃同じお弁当を食べてるんだって考えて食べるわ」
救いはお弁当が変わらずに私の元に届けられるということだった。
最近はやっちゃんはマンションを売りに出すために家具を引き払って篠田家に住んでいるらしい。篠田家から出勤してくるやっちゃんは毎朝劇団の稽古場や、劇団の劇場で私にお弁当を渡してくれる。
それまでも朝は篠田家に寄って朝食とお弁当を作ってから出勤していたやっちゃんは本当にマメだと思う。私なら絶対にできない。
「今年の夏休みにはやっちゃんと茉優ちゃんは住む場所を決めるためにイギリスに行くし、別れが近くなったみたいで寂しいわ」
寂しがり屋の私は奏歌くんがいればいいというわけではなくて、やっちゃんや茉優ちゃんがいなくなることにも寂しさを感じるようになっていた。やっちゃんとは劇団で出会ってからかなりの年月が経つが、はっきりと認識したのは奏歌くんと出会ってからだった。
あれからもうすぐ十一年目が来て、やっちゃんとの付き合いも長くなったものだと思う。
色んなことがあったのを思い出してしみじみしていると、奏歌くんが勉強道具を片付けて伸びをしていた。
「課題やっと終わったよ。これで、安心して海瑠さんの春公演に行ける!」
「終わったのね。おめでとう。頑張ったね」
「ありがとう。量が多かったし、まだ習ってないところもあったから大変だったけど、推薦枠で入学するんだからきっちり仕上げておかないとね」
奏歌くんの課題も無事に終わって、春公演は心置きなく楽しめるようだった。
春公演は初日から順調に進んでいた。美鳥さんがピンマイクを飛ばしてしまうアクシデントはあったが、そこは私が抱き合うようにして私のマイクで音を拾ってなんとかした。
その件でSNSでルパン役と警察役ができているなんて騒がれもしたが、それもあまり気にしていなかった。
奏歌くんが公演を見に来る日はマチネだけの日だった。お昼の公演が終わったら奏歌くんと一緒に帰ってマンションで過ごせる。その日を狙ってチケットを取ってもらったのだから当然だが、私は制服姿の奏歌くんと過ごすのを楽しみにしていた。
入学式はまだだが私のためだけに奏歌くんは高校の制服を着てくれる。
百合に送ってもらって劇場入りすると、奏歌くんは入り待ちをしていてくれた。灰色のブレザーにスラックスの制服。白いシャツを着ている奏歌くんは大人びて見えた。声をかけたかったがファンの皆様は平等なのでぐっと我慢して、ご挨拶をして劇場に入る。
衣装を着て化粧をする間も、奏歌くんのことばかり考えていた。
舞台に立つと私はスイッチが切り替わったかのように舞台のことしか考えない。
昼休憩を終えてお弁当を食べた私は万全の状態で舞台に立つ。
演目はアルセーヌ・ルパンの物語だ。
巷を騒がせる怪盗アルセーヌ・ルパンと、それを追う警察官。そこに起きたフランスの超有名貴族の屋敷からの盗み。
警察官も世間もアルセーヌ・ルパンの仕業と言うのだが、当のアルセーヌ・ルパンはそれに関わっていない。
お嫁入に持っていく宝石のネックレスを盗まれた令嬢の嘆きを知ったアルセーヌ・ルパンは、真犯人を見つけ出すために動き出す。
途中で謎の女怪盗と出会ったり、警察官と協力したりして、宝石のネックレスを盗んだのは令嬢に横恋慕していた男だと分かるのだが、それからがまた大変なのだ。
取り返したはずの宝石のネックレスを奪っていく女怪盗。それを追い駆けるアルセーヌ・ルパンと警察官。
息もつかせぬ展開で、最終的には女怪盗からも宝石のネックレスを取り返し、アルセーヌ・ルパンは令嬢を結婚破棄の危機から救うのだった。
歌うパートも踊るパートも全部演じ切った後で、女怪盗を演じた百合とデュエットダンスを踊る。リフトしてくるくると回ると客席から拍手喝さいが上がった。
幕が下りて、カーテンコールにも応えて、最後に私が挨拶をする。
「春公演もまだまだ始まったばかりですが、私たちは稽古を重ねてこの日を迎えました。これからも日々演技を磨いて、最高の舞台を作り上げていきたいと思っています。また劇場にお越しの際はよろしくおねがいします。本日は本公演にお越しいただき、誠にありがとうございました!」
舞台の最後の挨拶もすっかりと慣れてしまった。
深々と私が頭を下げるのに合わせて、劇団員全員が頭を下げる。
スタンディングオベーションの中、その日の演目は終わった。
楽屋に戻って化粧を落として着替えて廊下に出ると、奏歌くんが待っていてくれる。奏歌くんはいつも通りやっちゃんに通してもらって楽屋まで来たようだ。
「海瑠さん、ものすごく面白かった。ハラハラしたよ」
「奏歌くん、制服とっても格好いいよ」
奏歌くんの声と私の声が重なる。
奏歌くんと私は顔を見合わせて笑った。
電車でマンションまで帰って、奏歌くんにじっくりと制服を見せてもらった。灰色のブレザーとスラックスの制服は、とても大人っぽく私の目に映った。
「夏場はブレザーを脱いで、上はシャツだけで通っていいことになってるんだ。冬場はブレザーの下にカーディガンを着てもいいことになってる」
「冬はブレザーの下にカーディガンが見えるのね。カーディガンは何色?」
「黄土色なんだけど、ダサいってみんな言ってる」
周囲の感想はダサいというもののようだが、私は奏歌くんが着ると格好いいのではないかと考えてしまう。
「意外と似合うかもよ?」
「あまり海瑠さんに見せたくない」
制服姿で部屋に来ることもあまりないかもしれないと言われてしまうと、私はますます惜しくなって、奏歌くんの制服姿を携帯電話で何枚も写真に撮った。
その数日後、奏歌くんは高校に入学した。
これから忙しくなるのは寂しいけれど、奏歌くんがまた一歩大人に近付く。
美歌さんから送られてきた写真の奏歌くんは、制服姿で高校の校庭のもう散った桜の木の下にいて、恥ずかしそうにしていた。即座に写真を保存して、私は『ご入学おめでとうございます』というメッセージと写真のお礼を返しておいた。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる