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十章 奏歌くんとの十年目
14.CDの売れ行きは上々
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年明けの稽古で私は百合に相談していた。
年末の奏歌くんの行動についてだ。奏歌くんは年末に私の血を吸っていて、貧血を起こしてしまった。そのときに私は奏歌くんを介抱しようとした。介抱するなんて初めてだったので、方法を間違えてしまったのかと心配になったのだ。
「奏歌くんが年末に貧血になっちゃったの」
「ダーリン、平気だった?」
「机に手を突いて倒れそうになってたから、私、ついお姫様抱っこでリビングまで運んじゃったのよ」
15歳の思春期の男子にお姫様抱っこは良くなかったかもしれない。真剣に相談する私に、百合は目を皿のようにしている。
「どういう状況だったの?」
「え? そ、それは……」
キスをしていたら奏歌くんが急に机に手を突いたなどということが言えるはずがない。
「奏歌くんの部屋で奏歌くんと話してて、私が椅子に座ってたら、私の後ろの机に急に手を突いて、すごく真剣な顔で……」
「それって、壁ドンじゃないの?」
「壁ドン? 壁じゃなくて机だったよ?」
壁ドンというのは男性が女性に迫る演技の一つだと私は理解している。男役として壁ドンをしたことがあるが、あんなのは舞台の上だけで、実際に起こらないと信じていた。
「海瑠……ダーリンが気の毒だわ」
「え!? なんで!?」
「海瑠は何も分かってない!」
百合に強く言われて私は反射的に姿勢を正した。百合の楽屋に押しかけていたので、楽屋の椅子を指さされる。
「海瑠、そこに座って」
「は、はい!」
「こうやって、こうやられたんでしょう?」
メイク台に背を向けて椅子を置いた百合に、身体の横に手を突かれて閉じ込められるような格好になるが、百合とは舞台で何度もラブシーンを演じているので少しも抵抗はない。そこから百合を抱き上げると、お姫様抱っこでくるくると回る。
「海瑠!」
「え? 違った?」
怒られてしまった。
もう一度椅子に座って話を聞くと、百合が胸を張って話し出す。
「ダーリンももう15歳でしょう? 男の子として欲望があるのよ! それを理解してあげなきゃ!」
「欲望? 奏歌くんに?」
理性的で紳士な奏歌くんに限ってそんなことはないと考えてしまう。奏歌くんが私に欲望を抱いているとしても、奏歌くんはちゃんと私に許可を取って私に触れる。私が拒んだときには無理やりにしたりしないという信頼感があった。
「奏歌くんにも欲望があるのは分かるわよ、流石に。奏歌くんは私の意思に反したことはしないと信じてる」
「その信頼がダーリンにはつらいのよ!」
「私が奏歌くんを苦しめているの!?」
よく分からないが私が奏歌くんを苦しめていたようだった。驚いていると百合は続けて言う。
「ダーリンを大人の男として見てあげて」
奏歌くんを大人の男として見る。
6歳のときから知っているのでなかなか難しいが、それができるようになれば奏歌くんが楽になるのならば、私は努力するしかなかった。
それにしても、やはりお姫様抱っこはいけなかったかもしれない。
緊急事態だったとはいえ奏歌くんをお姫様抱っこするようなことはやめようと私は決めたのだった。
一月の時点でファンクラブで朗読劇とリスニング文章と古典や現代文などの受験勉強用の朗読CDは大量の先行予約が入っているらしい。予約販売という形式なので、予約された分だけ生産して、シリアルナンバーをつけて売る。転売屋対策で、欲しいひとにはみんなの手に渡るようにという劇団からの配慮だった。
ファンクラブの先行予約が終わると一般の予約が入る。ファンクラブの先行予約分は先に生産して先に手元に届く形式で、その売れ行きを見て今後の朗読CDの制作が考えられていた。
「朗読CDの売れ行きはどうなんですか?」
マネージャーの津島さんに聞いてみると、嬉しい答えが返って来た。
「新しい試みということで、劇団のファン以外からも興味があると有名になっているようですよ。ファンクラブの先行販売でも売れ行きは上々です」
「これからもCD製作は続けられますか?」
「企画として次のCD収録が入っていますね」
初回のCD販売は上手く行きそうで、次の企画も立てられているという現状に私は素直に喜んでいた。
マンションの部屋に帰るといつも通りに奏歌くんがいてくれた。お味噌汁のお出汁とご飯の炊けるいい匂いがしている。
「奏歌くん、ただいま」
「お帰りなさい、海瑠さん」
聞いて欲しくて手と顔を洗ってさっぱりしてくると、奏歌くんのテーブルの正面の椅子に座る。奏歌くんのハニーブラウンの瞳を見詰めると、奏歌くんがにこっと笑顔になった。
年末の深刻な雰囲気は消えていて私は胸を撫で下ろす。
「朗読CDの次の企画が通ったみたい。新しい朗読劇を収録するのよ」
「すごいね! 海瑠さん、新しい道が拓けたね」
演劇しか取り柄がないと思っていた私にとっては、新しいことができるということは嬉しかった。自己肯定感が低かった私にとっては、できることがあるというのは自分を認められる要素になるのだ。
「奏歌くんがリスニングの文章や古典を読んでって言ってくれたおかげだよ」
「海瑠さんの才能だよ。僕は海瑠さんに読んで欲しくてお願いしただけ」
「ううん、奏歌くんのおかげ」
私が前向きになれるのも全て奏歌くんのおかげだとしか思えなかった。
出会う前の24年は私にとっていい年月ではなかった。歌とダンスのことだけを考えて、それ以外を全て置いてきぼりにしていた私の過去。
6歳の奏歌くんと出会ってから、皆無だった生活能力が向上し、食事にも興味が出て来て、健康にも気を遣うようになった。
「奏歌くん、年末のことなんだけどね……」
「あのときは、ごめん、僕、暴走しちゃって」
「私こそ、お姫様抱っこで介抱しちゃってごめんね」
「え!? そこ!?」
奏歌くんが驚いているような気がするが私は構わずに続きを話す。
「奏歌くんももう15歳だもんね。私にお姫様抱っこされたら、すごくショックだよね。それで恥ずかしくてお顔が真っ赤だったのね」
「え、えっと……海瑠さん?」
「私の血を多めに吸ってもいいからね。私、ちゃんと鉄分のサプリメントを定期購入することにしたから」
「海瑠、さん?」
「プルーンも買ってきたのよ! プルーンが貧血にはいいってファンの方が教えてくれたの! ヨーグルトに入れて一緒に食べようね!」
「う、うん」
奏歌くんが微妙な顔をしている意味がよく分からないけれど、私は冷蔵庫からヨーグルトを取り出してそこに乾燥プルーンを入れておいた。夕食を食べ終わる頃には馴染んで美味しくなるだろう。
鶏肉のマスタード焼きとレンジで作る蒸し野菜を作ってくれた奏歌くんにお礼を言いながら、お味噌汁をお椀に注いで、ご飯をお茶碗に盛る。
「蒸し野菜は酢醤油で食べるとさっぱりして美味しいよ」
「酢醤油!」
「お醤油に柑橘系を絞ってもいいんだけど、今日はないから、酢醤油で」
言われた通りに蒸し野菜を酢醤油で食べると、さっぱりしてとても美味しい。鶏肉のマスタード焼きもぴりっとした粒マスタードが美味しかった。
奏歌くんは年々いい男になってきているけれど、私はどうだろう。
「奏歌くん、私、ちゃんといい女になれてるかな?」
「海瑠さんはいい女とかそういうのじゃなくて、僕の大事な海瑠さんだよ」
いい女にならなくてもいい。
そう言われて私は奏歌くんの目をじっと見つめていた。
奏歌くんも微笑んで私を見詰めてくれている。
世間が考えるいい女とは、私は違うのかもしれない。
劇団の男役トップスターで、男性的な部分もあるだろうし、スカートなんかは普段から履き慣れていないので、女らしいかどうかといわれれば、あまりそうは言えない。
それでも、奏歌くんは今のままの私でいいと言ってくれている。
「奏歌くん、大好き」
「僕も海瑠さんが大好きだよ」
笑顔で言い合える関係が築けていることが、私は何より嬉しかった。
年末の奏歌くんの行動についてだ。奏歌くんは年末に私の血を吸っていて、貧血を起こしてしまった。そのときに私は奏歌くんを介抱しようとした。介抱するなんて初めてだったので、方法を間違えてしまったのかと心配になったのだ。
「奏歌くんが年末に貧血になっちゃったの」
「ダーリン、平気だった?」
「机に手を突いて倒れそうになってたから、私、ついお姫様抱っこでリビングまで運んじゃったのよ」
15歳の思春期の男子にお姫様抱っこは良くなかったかもしれない。真剣に相談する私に、百合は目を皿のようにしている。
「どういう状況だったの?」
「え? そ、それは……」
キスをしていたら奏歌くんが急に机に手を突いたなどということが言えるはずがない。
「奏歌くんの部屋で奏歌くんと話してて、私が椅子に座ってたら、私の後ろの机に急に手を突いて、すごく真剣な顔で……」
「それって、壁ドンじゃないの?」
「壁ドン? 壁じゃなくて机だったよ?」
壁ドンというのは男性が女性に迫る演技の一つだと私は理解している。男役として壁ドンをしたことがあるが、あんなのは舞台の上だけで、実際に起こらないと信じていた。
「海瑠……ダーリンが気の毒だわ」
「え!? なんで!?」
「海瑠は何も分かってない!」
百合に強く言われて私は反射的に姿勢を正した。百合の楽屋に押しかけていたので、楽屋の椅子を指さされる。
「海瑠、そこに座って」
「は、はい!」
「こうやって、こうやられたんでしょう?」
メイク台に背を向けて椅子を置いた百合に、身体の横に手を突かれて閉じ込められるような格好になるが、百合とは舞台で何度もラブシーンを演じているので少しも抵抗はない。そこから百合を抱き上げると、お姫様抱っこでくるくると回る。
「海瑠!」
「え? 違った?」
怒られてしまった。
もう一度椅子に座って話を聞くと、百合が胸を張って話し出す。
「ダーリンももう15歳でしょう? 男の子として欲望があるのよ! それを理解してあげなきゃ!」
「欲望? 奏歌くんに?」
理性的で紳士な奏歌くんに限ってそんなことはないと考えてしまう。奏歌くんが私に欲望を抱いているとしても、奏歌くんはちゃんと私に許可を取って私に触れる。私が拒んだときには無理やりにしたりしないという信頼感があった。
「奏歌くんにも欲望があるのは分かるわよ、流石に。奏歌くんは私の意思に反したことはしないと信じてる」
「その信頼がダーリンにはつらいのよ!」
「私が奏歌くんを苦しめているの!?」
よく分からないが私が奏歌くんを苦しめていたようだった。驚いていると百合は続けて言う。
「ダーリンを大人の男として見てあげて」
奏歌くんを大人の男として見る。
6歳のときから知っているのでなかなか難しいが、それができるようになれば奏歌くんが楽になるのならば、私は努力するしかなかった。
それにしても、やはりお姫様抱っこはいけなかったかもしれない。
緊急事態だったとはいえ奏歌くんをお姫様抱っこするようなことはやめようと私は決めたのだった。
一月の時点でファンクラブで朗読劇とリスニング文章と古典や現代文などの受験勉強用の朗読CDは大量の先行予約が入っているらしい。予約販売という形式なので、予約された分だけ生産して、シリアルナンバーをつけて売る。転売屋対策で、欲しいひとにはみんなの手に渡るようにという劇団からの配慮だった。
ファンクラブの先行予約が終わると一般の予約が入る。ファンクラブの先行予約分は先に生産して先に手元に届く形式で、その売れ行きを見て今後の朗読CDの制作が考えられていた。
「朗読CDの売れ行きはどうなんですか?」
マネージャーの津島さんに聞いてみると、嬉しい答えが返って来た。
「新しい試みということで、劇団のファン以外からも興味があると有名になっているようですよ。ファンクラブの先行販売でも売れ行きは上々です」
「これからもCD製作は続けられますか?」
「企画として次のCD収録が入っていますね」
初回のCD販売は上手く行きそうで、次の企画も立てられているという現状に私は素直に喜んでいた。
マンションの部屋に帰るといつも通りに奏歌くんがいてくれた。お味噌汁のお出汁とご飯の炊けるいい匂いがしている。
「奏歌くん、ただいま」
「お帰りなさい、海瑠さん」
聞いて欲しくて手と顔を洗ってさっぱりしてくると、奏歌くんのテーブルの正面の椅子に座る。奏歌くんのハニーブラウンの瞳を見詰めると、奏歌くんがにこっと笑顔になった。
年末の深刻な雰囲気は消えていて私は胸を撫で下ろす。
「朗読CDの次の企画が通ったみたい。新しい朗読劇を収録するのよ」
「すごいね! 海瑠さん、新しい道が拓けたね」
演劇しか取り柄がないと思っていた私にとっては、新しいことができるということは嬉しかった。自己肯定感が低かった私にとっては、できることがあるというのは自分を認められる要素になるのだ。
「奏歌くんがリスニングの文章や古典を読んでって言ってくれたおかげだよ」
「海瑠さんの才能だよ。僕は海瑠さんに読んで欲しくてお願いしただけ」
「ううん、奏歌くんのおかげ」
私が前向きになれるのも全て奏歌くんのおかげだとしか思えなかった。
出会う前の24年は私にとっていい年月ではなかった。歌とダンスのことだけを考えて、それ以外を全て置いてきぼりにしていた私の過去。
6歳の奏歌くんと出会ってから、皆無だった生活能力が向上し、食事にも興味が出て来て、健康にも気を遣うようになった。
「奏歌くん、年末のことなんだけどね……」
「あのときは、ごめん、僕、暴走しちゃって」
「私こそ、お姫様抱っこで介抱しちゃってごめんね」
「え!? そこ!?」
奏歌くんが驚いているような気がするが私は構わずに続きを話す。
「奏歌くんももう15歳だもんね。私にお姫様抱っこされたら、すごくショックだよね。それで恥ずかしくてお顔が真っ赤だったのね」
「え、えっと……海瑠さん?」
「私の血を多めに吸ってもいいからね。私、ちゃんと鉄分のサプリメントを定期購入することにしたから」
「海瑠、さん?」
「プルーンも買ってきたのよ! プルーンが貧血にはいいってファンの方が教えてくれたの! ヨーグルトに入れて一緒に食べようね!」
「う、うん」
奏歌くんが微妙な顔をしている意味がよく分からないけれど、私は冷蔵庫からヨーグルトを取り出してそこに乾燥プルーンを入れておいた。夕食を食べ終わる頃には馴染んで美味しくなるだろう。
鶏肉のマスタード焼きとレンジで作る蒸し野菜を作ってくれた奏歌くんにお礼を言いながら、お味噌汁をお椀に注いで、ご飯をお茶碗に盛る。
「蒸し野菜は酢醤油で食べるとさっぱりして美味しいよ」
「酢醤油!」
「お醤油に柑橘系を絞ってもいいんだけど、今日はないから、酢醤油で」
言われた通りに蒸し野菜を酢醤油で食べると、さっぱりしてとても美味しい。鶏肉のマスタード焼きもぴりっとした粒マスタードが美味しかった。
奏歌くんは年々いい男になってきているけれど、私はどうだろう。
「奏歌くん、私、ちゃんといい女になれてるかな?」
「海瑠さんはいい女とかそういうのじゃなくて、僕の大事な海瑠さんだよ」
いい女にならなくてもいい。
そう言われて私は奏歌くんの目をじっと見つめていた。
奏歌くんも微笑んで私を見詰めてくれている。
世間が考えるいい女とは、私は違うのかもしれない。
劇団の男役トップスターで、男性的な部分もあるだろうし、スカートなんかは普段から履き慣れていないので、女らしいかどうかといわれれば、あまりそうは言えない。
それでも、奏歌くんは今のままの私でいいと言ってくれている。
「奏歌くん、大好き」
「僕も海瑠さんが大好きだよ」
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