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九章 奏歌くんとの九年目
23.奏歌くんに訪れた自立のとき
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春公演には奏歌くんは一人で来てくれることになっていた。もう中学三年生なので付き添いはいらないということなのだろう。沙紀ちゃんには別にチケットを取っておいたが、現地で合流するらしい。
「沙紀ちゃんも大学の四年生で忙しいし……女のひととお出かけするのは沙紀ちゃんでもちょっと……」
もう自分一人で行けるという自立心と、沙紀ちゃんでも女性と出かけるのには抵抗があるという奏歌くんの羞恥心に私は驚いていた。反抗期などやっちゃんにしかなかったような気がする奏歌くんだが、遂に思春期が来てしまったのだろうか。
「奏歌くん、私と出かけるのも、恥ずかしい?」
「海瑠さんは僕の運命のひとだよね。一緒に出掛けたいよ」
私と出かけるのは恥ずかしくないと答えられて私は心底ほっとする。
年上の若いお姉さんである沙紀ちゃんと出かけるのが恥ずかしくなってしまったのは、奏歌くんの成長でもあるのだろう。男の子はこんな風に育つのかもしれない。
それでも気になって、私は奏歌くんを送って行くという口実で篠田家を訪ねていた。
奏歌くんが部屋に行った隙に美歌さんに聞いてみる。
「奏歌くん、沙紀ちゃんと出かけるのはちょっと、って言ってたんですけど、なにか心境の変化があったんですかね?」
「同級生で付き合い始めた子がいたり、年上の彼女がいる子がいたり、色々心境の変化はあったんだと思うわよ。それにあれくらいの時期から、安彦も一人で行動したがってたし」
「私と出かけるのは平気だって言ってくれたんですけど、無理してないですよね?」
「海瑠さんは奏歌の運命のひとだから、特別に決まっているわ」
美歌さんに言われると落ち着いてくる。奏歌くんも別に沙紀ちゃんのことが嫌いとか、苦手になったとかいうわけではなさそうだ。それならば一安心だ。
「自分一人で行動したくなる時期が男の子には必ず来るんだと思ってたわ。私は安彦を見て経験してるからね」
やっちゃんにもそういう時期があったらしい。今でもやっちゃんは群れるようなタイプではないが、昔はもっと尖っていたのだろう。
「やっちゃんってどんな中学、高校時代を送ってたんですか?」
興味本位で聞いてみると、美歌さんが苦笑している。
「中学辺りからあまり家族とは話さなくなったわね。母と私だけの女性ばかりの家族だったこともあるんでしょうね。学校の友達とは話してたみたいだけど、そんなに遊びに行ったりしてる感じじゃなかったわ」
「なるほど……奏歌くんが同級生と遊びに行くのとか私、見たことないですね」
「高校に入ってからは、母がいなくなったから荒れてたかな。あまり家に寄り付かなくなって。朝学校に行って、夜になってから帰って来て、晩御飯を食べたらさっさと部屋に閉じこもっちゃうみたいな」
なるほど。
やっちゃんにもそういう時期があったわけだ。
私がやっちゃんをはっきりと視界に入れたのは奏歌くんとのことがあってからだが、その頃にはやっちゃんは奏歌くんを溺愛するよき叔父さんだった。そうなるまでにやっちゃんにも様々な葛藤があったのだろう。
記憶にある限り私はずっと百合と仲がよかったし、海香ともいい関係を築けていたと思う。それは私が女性だからで、男性の奏歌くんは違う発達を遂げているのかもしれない。
「最近、私や茉優ちゃんともあまり喋らなくなったし、奏歌も大人になる時期が来たんだと感慨深く見守ってるわ」
やっちゃんという前例を知っている美歌さんは落ち着いて暖かく奏歌くんのことを見守っているようだった。それを聞くと私も安心してくる。
「奏歌くんが沙紀ちゃんと一緒に行きたくないって言うのも、正常な発達なんですね」
「私はそう思ってるわ」
沙紀ちゃんや美歌さんや茉優ちゃんともあまり話さなくなっているのに、私のマンションには通って来たいし、私とはお出かけしたいと言ってくれる奏歌くんにますます愛しさが募る。
美歌さんの話を聞いて、私は安堵してマンションに帰ったのだった。
春公演の当日、奏歌くんは私が劇場入りするのをファンの皆様に混じって待っていてくれた。沙紀ちゃんも一緒にいるが嫌そうな顔はしていないので安心する。
ご挨拶をして、お手紙を受け取って、私は劇場に入った。
化粧をして衣装を着て準備を終えた私に、真っ赤なドレス姿の百合が駆け寄ってくる。
「今日はダーリンが来る日なんでしょう?」
「そうだよ」
「よかった、津島さんに日程を聞いてたから、真尋さんと合わせたのよね」
真尋さんの名前を聞いて私はその存在を思い出す。やっちゃんは女性ばかりの家族に囲まれて複雑だったようだが、奏歌くんは真尋さんという少し距離を置けるお兄さんならばどうなのだろう。同じ日に公演を見に来ると分かっていれば、奏歌くんと真尋さんが会えるようにセッティングしておけばよかった。
こういうところが私は抜けている。
とりあえず奏歌くんの携帯電話に連絡は入れたが、気付いてくれるだろうか。
少しして奏歌くんの携帯電話からメッセージが戻って来た。
『真尋兄さんと、沙紀ちゃんと、お昼ご飯を食べました。海瑠さんもしっかり食べて頑張ってね』
真尋さんがいてくれれば沙紀ちゃんとの関係も円滑に行くようだ。年上のお姉さんと一緒にいるのが恥ずかしいなんて奏歌くんも可愛いと思ってしまうが、長年沙紀ちゃんとは仲良しだったので、その関係は保っていて欲しかった。
携帯電話を握り締めてホッとしていると、百合が私の袖を引っ張る。
「さぁ、対決よ、シャーロック・ホームズ!」
「負けないよ、アイリーン・アドラー」
舞台に上がる前から役になり切っている私たちを、美鳥さんと真月さんが笑って見守っていた。
幕が上がる。
オリジナルの名探偵シャーロック・ホームズの事件簿が始まる。
舞台の始まりはアイリーン・アドラーとの出会いの回想シーンから始まる。ボヘミア王が皇太子だった時代に関係を持っていたオペラ歌手のアイリーン・アドラー。彼女に渡してしまった一枚の写真を巡って、シャーロック・ホームズとアイリーン・アドラーは対決をした。
結果としてシャーロック・ホームズは写真の場所を突き止めるが、アイリーン・アドラーは写真を持って逃亡してしまう。
本編はそこから始まる。シャーロック・ホームズが唯一「あの女」と呼ぶアイリーン・アドラーに関する昔語りが終わったところで、事件が飛び込んでくる。
誘拐事件からの殺人。犯人の思惑はなんだったのか。
謎を紐解いていくうちに、シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの二人は、事件の犯人の裏にアイリーン・アドラーの影を見つける。
「やはりあの女が絡んでいたか」
「彼女は君に相当ライバル心を抱いていたようだからね」
シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンに追い詰められて、アイリーン・アドラーが妖艶に微笑む。
「事件を起こしたのはその男よ? 私とその男の関係を本当に証明できるの?」
犯人を捕まえることはできても、アイリーン・アドラーとの繋がりを見つけ出せないシャーロック・ホームズ。事件は解決したが、シャーロック・ホームズはアイリーン・アドラーを追い続ける。
本編が終わると、美鳥さんが歌っている間に大急ぎで着替えて、私と百合はデュエットダンスを踊る。妖艶にシャーロック・ホームズを翻弄するアイリーン・アドラーと、彼女を追いかけるシャーロック・ホームズという緊迫感溢れるダンスだ。
幕が下りると拍手喝さいが巻き起こっていた。
「本日は劇団の公演にお越しいただき本当にありがとうございました。公演は明日からもまだまだ続きます。より良い舞台をお見せできるように、劇団一同、努力していきたいと思います」
私が挨拶をすると、スタンディングオベーションが起きる。前の方の席に奏歌くんと沙紀ちゃんと真尋さんの姿を見つけて、私はウインクをして手を振った。
この公演が、ホームズとワトソンの真実の愛の物語なんて言われることを、そのときの私はまだ知らないのだった。
「沙紀ちゃんも大学の四年生で忙しいし……女のひととお出かけするのは沙紀ちゃんでもちょっと……」
もう自分一人で行けるという自立心と、沙紀ちゃんでも女性と出かけるのには抵抗があるという奏歌くんの羞恥心に私は驚いていた。反抗期などやっちゃんにしかなかったような気がする奏歌くんだが、遂に思春期が来てしまったのだろうか。
「奏歌くん、私と出かけるのも、恥ずかしい?」
「海瑠さんは僕の運命のひとだよね。一緒に出掛けたいよ」
私と出かけるのは恥ずかしくないと答えられて私は心底ほっとする。
年上の若いお姉さんである沙紀ちゃんと出かけるのが恥ずかしくなってしまったのは、奏歌くんの成長でもあるのだろう。男の子はこんな風に育つのかもしれない。
それでも気になって、私は奏歌くんを送って行くという口実で篠田家を訪ねていた。
奏歌くんが部屋に行った隙に美歌さんに聞いてみる。
「奏歌くん、沙紀ちゃんと出かけるのはちょっと、って言ってたんですけど、なにか心境の変化があったんですかね?」
「同級生で付き合い始めた子がいたり、年上の彼女がいる子がいたり、色々心境の変化はあったんだと思うわよ。それにあれくらいの時期から、安彦も一人で行動したがってたし」
「私と出かけるのは平気だって言ってくれたんですけど、無理してないですよね?」
「海瑠さんは奏歌の運命のひとだから、特別に決まっているわ」
美歌さんに言われると落ち着いてくる。奏歌くんも別に沙紀ちゃんのことが嫌いとか、苦手になったとかいうわけではなさそうだ。それならば一安心だ。
「自分一人で行動したくなる時期が男の子には必ず来るんだと思ってたわ。私は安彦を見て経験してるからね」
やっちゃんにもそういう時期があったらしい。今でもやっちゃんは群れるようなタイプではないが、昔はもっと尖っていたのだろう。
「やっちゃんってどんな中学、高校時代を送ってたんですか?」
興味本位で聞いてみると、美歌さんが苦笑している。
「中学辺りからあまり家族とは話さなくなったわね。母と私だけの女性ばかりの家族だったこともあるんでしょうね。学校の友達とは話してたみたいだけど、そんなに遊びに行ったりしてる感じじゃなかったわ」
「なるほど……奏歌くんが同級生と遊びに行くのとか私、見たことないですね」
「高校に入ってからは、母がいなくなったから荒れてたかな。あまり家に寄り付かなくなって。朝学校に行って、夜になってから帰って来て、晩御飯を食べたらさっさと部屋に閉じこもっちゃうみたいな」
なるほど。
やっちゃんにもそういう時期があったわけだ。
私がやっちゃんをはっきりと視界に入れたのは奏歌くんとのことがあってからだが、その頃にはやっちゃんは奏歌くんを溺愛するよき叔父さんだった。そうなるまでにやっちゃんにも様々な葛藤があったのだろう。
記憶にある限り私はずっと百合と仲がよかったし、海香ともいい関係を築けていたと思う。それは私が女性だからで、男性の奏歌くんは違う発達を遂げているのかもしれない。
「最近、私や茉優ちゃんともあまり喋らなくなったし、奏歌も大人になる時期が来たんだと感慨深く見守ってるわ」
やっちゃんという前例を知っている美歌さんは落ち着いて暖かく奏歌くんのことを見守っているようだった。それを聞くと私も安心してくる。
「奏歌くんが沙紀ちゃんと一緒に行きたくないって言うのも、正常な発達なんですね」
「私はそう思ってるわ」
沙紀ちゃんや美歌さんや茉優ちゃんともあまり話さなくなっているのに、私のマンションには通って来たいし、私とはお出かけしたいと言ってくれる奏歌くんにますます愛しさが募る。
美歌さんの話を聞いて、私は安堵してマンションに帰ったのだった。
春公演の当日、奏歌くんは私が劇場入りするのをファンの皆様に混じって待っていてくれた。沙紀ちゃんも一緒にいるが嫌そうな顔はしていないので安心する。
ご挨拶をして、お手紙を受け取って、私は劇場に入った。
化粧をして衣装を着て準備を終えた私に、真っ赤なドレス姿の百合が駆け寄ってくる。
「今日はダーリンが来る日なんでしょう?」
「そうだよ」
「よかった、津島さんに日程を聞いてたから、真尋さんと合わせたのよね」
真尋さんの名前を聞いて私はその存在を思い出す。やっちゃんは女性ばかりの家族に囲まれて複雑だったようだが、奏歌くんは真尋さんという少し距離を置けるお兄さんならばどうなのだろう。同じ日に公演を見に来ると分かっていれば、奏歌くんと真尋さんが会えるようにセッティングしておけばよかった。
こういうところが私は抜けている。
とりあえず奏歌くんの携帯電話に連絡は入れたが、気付いてくれるだろうか。
少しして奏歌くんの携帯電話からメッセージが戻って来た。
『真尋兄さんと、沙紀ちゃんと、お昼ご飯を食べました。海瑠さんもしっかり食べて頑張ってね』
真尋さんがいてくれれば沙紀ちゃんとの関係も円滑に行くようだ。年上のお姉さんと一緒にいるのが恥ずかしいなんて奏歌くんも可愛いと思ってしまうが、長年沙紀ちゃんとは仲良しだったので、その関係は保っていて欲しかった。
携帯電話を握り締めてホッとしていると、百合が私の袖を引っ張る。
「さぁ、対決よ、シャーロック・ホームズ!」
「負けないよ、アイリーン・アドラー」
舞台に上がる前から役になり切っている私たちを、美鳥さんと真月さんが笑って見守っていた。
幕が上がる。
オリジナルの名探偵シャーロック・ホームズの事件簿が始まる。
舞台の始まりはアイリーン・アドラーとの出会いの回想シーンから始まる。ボヘミア王が皇太子だった時代に関係を持っていたオペラ歌手のアイリーン・アドラー。彼女に渡してしまった一枚の写真を巡って、シャーロック・ホームズとアイリーン・アドラーは対決をした。
結果としてシャーロック・ホームズは写真の場所を突き止めるが、アイリーン・アドラーは写真を持って逃亡してしまう。
本編はそこから始まる。シャーロック・ホームズが唯一「あの女」と呼ぶアイリーン・アドラーに関する昔語りが終わったところで、事件が飛び込んでくる。
誘拐事件からの殺人。犯人の思惑はなんだったのか。
謎を紐解いていくうちに、シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの二人は、事件の犯人の裏にアイリーン・アドラーの影を見つける。
「やはりあの女が絡んでいたか」
「彼女は君に相当ライバル心を抱いていたようだからね」
シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンに追い詰められて、アイリーン・アドラーが妖艶に微笑む。
「事件を起こしたのはその男よ? 私とその男の関係を本当に証明できるの?」
犯人を捕まえることはできても、アイリーン・アドラーとの繋がりを見つけ出せないシャーロック・ホームズ。事件は解決したが、シャーロック・ホームズはアイリーン・アドラーを追い続ける。
本編が終わると、美鳥さんが歌っている間に大急ぎで着替えて、私と百合はデュエットダンスを踊る。妖艶にシャーロック・ホームズを翻弄するアイリーン・アドラーと、彼女を追いかけるシャーロック・ホームズという緊迫感溢れるダンスだ。
幕が下りると拍手喝さいが巻き起こっていた。
「本日は劇団の公演にお越しいただき本当にありがとうございました。公演は明日からもまだまだ続きます。より良い舞台をお見せできるように、劇団一同、努力していきたいと思います」
私が挨拶をすると、スタンディングオベーションが起きる。前の方の席に奏歌くんと沙紀ちゃんと真尋さんの姿を見つけて、私はウインクをして手を振った。
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