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九章 奏歌くんとの九年目
22.私の心境の変化と真月さんの動向
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奏歌くんが中学三年生になってしまった。
この日が来るのが遅ければいいとずっと思っていたのに、奏歌くんは遂に中学三年生になった。これからは受験勉強で私のマンションに来ることも少なくなるのだろう。
奏歌くんが来ると決まってから買い揃えた鳥籠のソファ、鳥籠のハンギングチェア、ダブルサイズのハンモック、二人で寛ぐための大きなソファ。私の部屋には奏歌くんとの思い出がありすぎる。
部屋に帰って来ても奏歌くんがいない時間に私がどれだけ耐えられるだろう。帰りが遅くなっても奏歌くんはお味噌汁かスープを作って、ご飯を炊いておいてくれて、帰宅すると部屋の中に奏歌くんの気配が残っていた今までと、全く違う生活が始まる。
私はひたすらにそのことを恐れていた。
奏歌くんが中学三年生になるのとほぼ同時に春公演も始まっていた。
春公演のチケットを渡すときに奏歌くんはとても喜んでくれていた。
「春公演には来てくれるのね」
「え? 春公演だけじゃなくて、秋公演も、クリスマスの特別公演も行くよ」
「本当? 勉強大変なんじゃないの?」
受験生というものをよく理解していない私だが、中学三年生の一年間は茉優ちゃんはとても忙しそうにしていたのを覚えている。中学校から帰ると奏歌くんも家に閉じこもって勉強するものだとばかり思っていたのだ。
「どこで勉強しても同じだし、海瑠さんの部屋で勉強するのに慣れてるから、これからも海瑠さんの部屋で勉強するよ?」
「奏歌くん、大変じゃない?」
「食事を作るのは簡単なものになるけど、それでも良ければ」
いいも悪いもない。
奏歌くんが私と一緒にいてくれるのならば、私もこの一年を乗り越えられるかもしれない。
「今度の公演はシャーロック・ホームズなんだね」
「そうなの。私がシャーロック・ホームズで、美鳥さんがジョン・ワトソン、百合はアイリーン・アドラーなのよ」
説明していると奏歌くんは頷いて聞いてくれている。配役については奏歌くんはやっちゃんがポスターを作っているので知っているはずだが、それでも穏やかに聞いてくれることが嬉しい。
話を最後まで奏歌くんが聞いてくれるから、私も奏歌くんの話を聞こうと思うし、その他のひとたちの話も少しは聞けるようになった。先日美鳥さんを劇団に引き留めたのも、奏歌くんと出会っていない私だったらあり得なかったことだろう。
「この前、美鳥さんと退団のことで話したんだ」
聞いて欲しくて奏歌くんの隣りに座ると、奏歌くんが勉強をする手を止めて私の顔を見上げる。中学三年生になっても奏歌くんの身長は160センチくらいで、私よりも小さかった。
「美鳥さん、退団するのかな?」
「話を聞いてみたら、他の劇団から誘われているって言われていたけど、私が退団するまではいて、一緒に退団するつもりだって言ってたわ。真月さんもそれまで退団しないって言ってた」
私の説明に奏歌くんが目を見開く。
「え!? 劇団の男役トップスターと二番手と三番手が一度に退団するってこと!?」
「あ……そうなるのかな?」
「それはいけないよ!」
毅然と告げる奏歌くんは、私だけでなく劇団全体のファンでもあるのだと強く感じさせる。
「劇団を支える人がいなくなっちゃう。百合さんも退団するんでしょう? 美鳥さんか真月さんには残ってもらわないと、劇団が大変なことになるよ」
「そ、そうかな」
「劇団の男役トップスターとして、海瑠さんは退団した後も劇団のことを考えないといけないよ」
奏歌くんに力説されて私は考える。
美鳥さんは私が退団するときには私と同じ年なので、続けて欲しいと言うのは難しいだろう。しかし、真月さんならどうだろう。真月さんは現役で歌劇の専門学校に入学しているし、美鳥さんよりも学年が二つ下だ。
「真月さんに残ってもらえないか、説得してみる」
「うん、その方がいいと思う。海瑠さんが退団したとしても、劇団は続くんだから、後のことまで考えるのが本当の男役トップスターだと思うよ」
言われて私は自分がまだまだ周囲を見渡せていないのだと理解することができた。
奏歌くんの言葉を心に刻んで、私は春公演のリハーサルに臨んだ。始まった春公演のリハーサルを終えて、本番を待つだけになった私たちは、休憩時間に昼食にする。
食堂に集まった私と百合と美鳥さんと真月さんのいつものメンバー。百合もお弁当を持って来るようになってから私のお弁当を狙わなくなったので安心だ。その代わりに美鳥さんと真月さんが物欲しそうに見ているのが分かる。二人とも体格がいいのでよく食べるのだ。
定食では足りなさそうな二人におかずを分けてあげるわけにはいかないが、奏歌くんにおかずを多く作ってもらうようにも頼めない。奏歌くんは中学三年生になって忙しいのだ。
「美鳥さんは私と百合と一緒に退団するって言ったけど、真月さんはどう思ってるのかな?」
食べながら私は真月さんに切り出してみた。
真月さんはアジフライ定食を食べながら、不思議そうな顔で私を見ている。
「四年後の話とか分からないですけど、私もいい年齢になってますからね」
「男役トップスターと二番手と、女役トップスターが劇団を一度に退団するってなったら、残された劇団員は大変だと思うのよ」
奏歌くんに言われた通りのことを私が口にすると、百合が驚いた顔で私を見ている。
「海瑠が劇団を心配するようなことを言っている!?」
「私も男役トップスターとして劇団のことを考えているのよ」
本当は奏歌くんに言われて気付いたことなのだけれど、私の手柄にさせてもらう。そうでないと真月さんを説得することはできないような気がしていた。
「四年も経てば若手も育ってきますよ」
「それでも、劇団のトップスターになれるひとがいるかどうかは分からないでしょう? 私は、真月さんに男役トップスターを譲りたい」
トップスターの退団のときには、劇団の経営陣と話し合いが行われる。そこで喜咲さんは私を推してくれて、私は劇団のトップスターになることができた。私はそこで真月さんを推せばいいのではないだろうか。
急に思いついたことだが、これ以上にいい方法はない気がしていて、私は力説する。
「真月さんなら、私は劇団を任せられると思ってるよ」
「海瑠さん……そこまで私のこと」
切れ長の瞳を見開いて真月さんが私のことを見つめている。
一度は道を諦めかけた真月さんが、劇団の男役トップスターになる。それを見て私は劇団を去れるのならば本望だった。
「四年後のことは分かりませんけど、海瑠さんがそれだけ私を評価してくれているってことは純粋に嬉しいです。海瑠さんの視界に入れないと拗ねていた時期もありましたけど、頑張って来てよかったと思います」
嬉しそうにしている真月さんの様子に私も嬉しくなってくる。
「過去、海瑠さんに嫉妬して、篠田さんとのことを雑誌に売ったのが恥ずかしいです」
「その話はもう終わったことだよ」
私が答えると真月さんは涙ぐんでいるようだった。
稽古が終わってマンションの部屋に戻ると、奏歌くんが待っていてくれた。早く報告したくて私は靴を脱いで部屋に上がる。
「奏歌くん、真月さんと話ができたの」
「海瑠さん、頑張ったんだね」
「うん、奏歌くんのおかげだよ」
歩み寄ると奏歌くんは私に紅茶を淹れてくれる。気温は暖かくなってきているが、ミルクを入れた紅茶はとても美味しい。ヨーグルトに一晩浸したマシュマロをおやつに出してくれる奏歌くんに、受け取って私はお礼を言う。
マシュマロを食べるとヨーグルトの水分を吸ったマシュマロがぷるぷるになっていてとても美味しい。
「奏歌くんが私の視界を広げてくれたんだよ」
奏歌くんに聞いて欲しいことがたくさんあった。
この日が来るのが遅ければいいとずっと思っていたのに、奏歌くんは遂に中学三年生になった。これからは受験勉強で私のマンションに来ることも少なくなるのだろう。
奏歌くんが来ると決まってから買い揃えた鳥籠のソファ、鳥籠のハンギングチェア、ダブルサイズのハンモック、二人で寛ぐための大きなソファ。私の部屋には奏歌くんとの思い出がありすぎる。
部屋に帰って来ても奏歌くんがいない時間に私がどれだけ耐えられるだろう。帰りが遅くなっても奏歌くんはお味噌汁かスープを作って、ご飯を炊いておいてくれて、帰宅すると部屋の中に奏歌くんの気配が残っていた今までと、全く違う生活が始まる。
私はひたすらにそのことを恐れていた。
奏歌くんが中学三年生になるのとほぼ同時に春公演も始まっていた。
春公演のチケットを渡すときに奏歌くんはとても喜んでくれていた。
「春公演には来てくれるのね」
「え? 春公演だけじゃなくて、秋公演も、クリスマスの特別公演も行くよ」
「本当? 勉強大変なんじゃないの?」
受験生というものをよく理解していない私だが、中学三年生の一年間は茉優ちゃんはとても忙しそうにしていたのを覚えている。中学校から帰ると奏歌くんも家に閉じこもって勉強するものだとばかり思っていたのだ。
「どこで勉強しても同じだし、海瑠さんの部屋で勉強するのに慣れてるから、これからも海瑠さんの部屋で勉強するよ?」
「奏歌くん、大変じゃない?」
「食事を作るのは簡単なものになるけど、それでも良ければ」
いいも悪いもない。
奏歌くんが私と一緒にいてくれるのならば、私もこの一年を乗り越えられるかもしれない。
「今度の公演はシャーロック・ホームズなんだね」
「そうなの。私がシャーロック・ホームズで、美鳥さんがジョン・ワトソン、百合はアイリーン・アドラーなのよ」
説明していると奏歌くんは頷いて聞いてくれている。配役については奏歌くんはやっちゃんがポスターを作っているので知っているはずだが、それでも穏やかに聞いてくれることが嬉しい。
話を最後まで奏歌くんが聞いてくれるから、私も奏歌くんの話を聞こうと思うし、その他のひとたちの話も少しは聞けるようになった。先日美鳥さんを劇団に引き留めたのも、奏歌くんと出会っていない私だったらあり得なかったことだろう。
「この前、美鳥さんと退団のことで話したんだ」
聞いて欲しくて奏歌くんの隣りに座ると、奏歌くんが勉強をする手を止めて私の顔を見上げる。中学三年生になっても奏歌くんの身長は160センチくらいで、私よりも小さかった。
「美鳥さん、退団するのかな?」
「話を聞いてみたら、他の劇団から誘われているって言われていたけど、私が退団するまではいて、一緒に退団するつもりだって言ってたわ。真月さんもそれまで退団しないって言ってた」
私の説明に奏歌くんが目を見開く。
「え!? 劇団の男役トップスターと二番手と三番手が一度に退団するってこと!?」
「あ……そうなるのかな?」
「それはいけないよ!」
毅然と告げる奏歌くんは、私だけでなく劇団全体のファンでもあるのだと強く感じさせる。
「劇団を支える人がいなくなっちゃう。百合さんも退団するんでしょう? 美鳥さんか真月さんには残ってもらわないと、劇団が大変なことになるよ」
「そ、そうかな」
「劇団の男役トップスターとして、海瑠さんは退団した後も劇団のことを考えないといけないよ」
奏歌くんに力説されて私は考える。
美鳥さんは私が退団するときには私と同じ年なので、続けて欲しいと言うのは難しいだろう。しかし、真月さんならどうだろう。真月さんは現役で歌劇の専門学校に入学しているし、美鳥さんよりも学年が二つ下だ。
「真月さんに残ってもらえないか、説得してみる」
「うん、その方がいいと思う。海瑠さんが退団したとしても、劇団は続くんだから、後のことまで考えるのが本当の男役トップスターだと思うよ」
言われて私は自分がまだまだ周囲を見渡せていないのだと理解することができた。
奏歌くんの言葉を心に刻んで、私は春公演のリハーサルに臨んだ。始まった春公演のリハーサルを終えて、本番を待つだけになった私たちは、休憩時間に昼食にする。
食堂に集まった私と百合と美鳥さんと真月さんのいつものメンバー。百合もお弁当を持って来るようになってから私のお弁当を狙わなくなったので安心だ。その代わりに美鳥さんと真月さんが物欲しそうに見ているのが分かる。二人とも体格がいいのでよく食べるのだ。
定食では足りなさそうな二人におかずを分けてあげるわけにはいかないが、奏歌くんにおかずを多く作ってもらうようにも頼めない。奏歌くんは中学三年生になって忙しいのだ。
「美鳥さんは私と百合と一緒に退団するって言ったけど、真月さんはどう思ってるのかな?」
食べながら私は真月さんに切り出してみた。
真月さんはアジフライ定食を食べながら、不思議そうな顔で私を見ている。
「四年後の話とか分からないですけど、私もいい年齢になってますからね」
「男役トップスターと二番手と、女役トップスターが劇団を一度に退団するってなったら、残された劇団員は大変だと思うのよ」
奏歌くんに言われた通りのことを私が口にすると、百合が驚いた顔で私を見ている。
「海瑠が劇団を心配するようなことを言っている!?」
「私も男役トップスターとして劇団のことを考えているのよ」
本当は奏歌くんに言われて気付いたことなのだけれど、私の手柄にさせてもらう。そうでないと真月さんを説得することはできないような気がしていた。
「四年も経てば若手も育ってきますよ」
「それでも、劇団のトップスターになれるひとがいるかどうかは分からないでしょう? 私は、真月さんに男役トップスターを譲りたい」
トップスターの退団のときには、劇団の経営陣と話し合いが行われる。そこで喜咲さんは私を推してくれて、私は劇団のトップスターになることができた。私はそこで真月さんを推せばいいのではないだろうか。
急に思いついたことだが、これ以上にいい方法はない気がしていて、私は力説する。
「真月さんなら、私は劇団を任せられると思ってるよ」
「海瑠さん……そこまで私のこと」
切れ長の瞳を見開いて真月さんが私のことを見つめている。
一度は道を諦めかけた真月さんが、劇団の男役トップスターになる。それを見て私は劇団を去れるのならば本望だった。
「四年後のことは分かりませんけど、海瑠さんがそれだけ私を評価してくれているってことは純粋に嬉しいです。海瑠さんの視界に入れないと拗ねていた時期もありましたけど、頑張って来てよかったと思います」
嬉しそうにしている真月さんの様子に私も嬉しくなってくる。
「過去、海瑠さんに嫉妬して、篠田さんとのことを雑誌に売ったのが恥ずかしいです」
「その話はもう終わったことだよ」
私が答えると真月さんは涙ぐんでいるようだった。
稽古が終わってマンションの部屋に戻ると、奏歌くんが待っていてくれた。早く報告したくて私は靴を脱いで部屋に上がる。
「奏歌くん、真月さんと話ができたの」
「海瑠さん、頑張ったんだね」
「うん、奏歌くんのおかげだよ」
歩み寄ると奏歌くんは私に紅茶を淹れてくれる。気温は暖かくなってきているが、ミルクを入れた紅茶はとても美味しい。ヨーグルトに一晩浸したマシュマロをおやつに出してくれる奏歌くんに、受け取って私はお礼を言う。
マシュマロを食べるとヨーグルトの水分を吸ったマシュマロがぷるぷるになっていてとても美味しい。
「奏歌くんが私の視界を広げてくれたんだよ」
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