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九章 奏歌くんとの九年目
2.電車で行く真尋さんの公演
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篠田家に預けられていた真尋さんの劇団の公演のチケットを受け取って、私と奏歌くんは観劇にでかけることにした。学生時代は先輩たちの出演する劇を観ていたが、私の所属する劇団以外の劇団の演目を見るのはこれが初めてだった。
電車で移動するのも奏歌くんとならば楽しい。改札を通るときにはICカードをタッチするタイミングや、通る時間に緊張して早足になってしまったが、電車に乗ってからは奏歌くんとゆったりと立っていた。
夏休みなので午前中でも電車にはひとが多く、最初は座っていたのだが、年配のご婦人が入って来て奏歌くんが席を譲ったので、私も立つことにした。ご婦人に勇気を出して席を譲れる奏歌くんのことは尊敬してしまう。
「そういえば、奏歌くんと劇を見に行ったことなかったよね」
「僕が海瑠さんの劇を見に行くことはあるけど、海瑠さんと一緒に行くのは初めてだね」
劇に関しては私は演じる側、奏歌くんは観客側とはっきりと区切りがついていた。
「私、百合に言ったことがあるんだ、分裂したいって」
「海瑠さんが二人に増えるの?」
「うん。奏歌くんと舞台を見ている私と、奏歌くんに見られて舞台の上で演じている私、二人になりたかったの」
奏歌くんが見る劇は私が演じたかったし、奏歌くんと一緒に劇を見たい気持ちもあった。その二つともを叶えるためには、私が分裂する以外ないと思い込んでいたのだ。
他の劇団の劇を奏歌くんと見に行くという選択肢はそのときにはなかった。
「奏歌くんが真尋さんの劇を見たいって言ったから、私は分裂しなくても奏歌くんと舞台を見られるようになったんだよ」
「真尋兄さんともっと仲良くなりたいって言ってみて良かった」
嬉しそうな奏歌くんの様子に私も嬉しくなる。にこにこと微笑みながら奏歌くんを見つめていると、背中の方に違和感があった。後ろの男性が鼻息荒く私のお尻を触ろうとしている。
困って私は動けなくなってしまう。私の様子がおかしくなったのに気付いた奏歌くんは、リュックサックから携帯電話とボールペンを取り出していた。怖くて何が起きたのか分からないまま、奏歌くんが動き出すのを見ている。
「何するんですか! やめてください!」
完全に硬直してしまった私を助けてくれたのは、奏歌くんだった。
「な、何もしていない」
「その手、見てください。ボールペンで僕が丸を書きました。その手が僕の大事なひとのお尻を触っていたのは動画で撮ってあります」
毅然とした態度でボールペンと携帯電話を見せている奏歌くん。ボールペンを取り出したのは証拠を見せるためだったのだ。とっさにそんなことができる奏歌くんに惚れ直してしまう。
「次の駅で降りてください」
「で、出来心だったんだ」
「痴漢は犯罪です!」
はっきりと告げた奏歌くんは電車の中で駅員さんを呼んで、次の駅で私のお尻を触った痴漢を下ろして警察に突き出していた。証拠動画があったので警察も納得して男を連れて行った。
予定の時間よりも早く出ていたので途中のトラブルがあっても平気だったが、動揺している私を奏歌くんは劇場近くのコーヒーショップに連れて行ってくれた。お洒落なコーヒーショップは何を頼んでいいか分からないくらいメニューの数がある。
「お昼を食べていくつもりだったし、ここで少し休もう」
「うん……メニュー分からないんだけど」
「僕に任せて」
並んで順番が来ると奏歌くんが選んだサンドイッチをレジの上に乗せて、注文をする。
「カフェオレで。ミルク多めでお願いします」
「ホットでよろしいですか? サイズはいかがなさいますか?」
「冷たいので。サイズは普通ので!」
「アイスで、トールでよろしいですね」
「はい!」
ショートとかトールとか難しくてよく分からない単語が飛び交う中、奏歌くんはそれで注文を終えてしまった。「ホワイトモカフラペチーノ」とか「トールのキャラメルマキアート」とか呪文のようにしか聞こえない単語が飛び交う中、私の分かる言葉で注文を終えてしまえる奏歌くんに私は感心してしまう。これが中学二年生なのだから、高校を卒業するころにはどれだけいい男になっていることだろう。
飲み物を受け取ってトレイを持ってソファ席に座る。暑い中を歩いてきたので冷たいカフェオレが染み渡る。
サンドイッチの包みを開けるのに手間取っていると奏歌くんがさっと私の分も開けてお皿の上に置いてくれた。
ツナと卵のサンドイッチを食べて、冷たいカフェオレを飲んでいると落ち着いてくる。
「あんなこと、奏歌くんに会うまではたくさんあったはずなのに、怖くて動けなくなっちゃった」
「慣れなくていいんだよ。嫌なことは嫌なままで、怖いことは怖いままでいいんだよ」
慣れなくてもいいという奏歌くんの言葉に、24歳で奏歌くんに出会うまで、女性の友達はよく分からないことを言って来るので、男性ならば友達になれるかもしれないと考えて近付き、嫌なことがたくさんあった私の過去を、奏歌くんが否定せずに受け止めてくれている気分になる。
奏歌くんの存在はこんなにも私の支えになっている。
コーヒーショップでお昼ご飯を食べた後は、真尋さんの劇団の劇場に向かった。
演目は「ロミオをジュリエット」を和風版にしたものだった。
下町を牛耳るやくざが二組、抗争を繰り広げている。その中で別々のやくざの組長の息子と娘のロミオとジュリエットは出会う。二人は恋に落ちるが、やくざの闘争でロミオはジュリエットの幼馴染を殺してしまう。
お互いに結ばれるためにジュリエットは毒を飲んで仮死状態になり、街を逃げ出そうとするのだが、ロミオは本当にジュリエットが死んでしまったと思い命を絶つ。
仮死状態から蘇ったジュリエットはロミオの死を知って、自ら命を絶つ。
ストーリー自体は原作に忠実ではあるのだが、舞台は日本で、全員和服というアレンジである。しかも、ロミオとジュリエットが関西弁なのだ。
「あぁ、ロミオはん、なんであんさんは、ロミオはんなんや」
「ジュリエットはん、組やら関係あらしまへん。二人で幸せになりましょう」
笑っていいのか、どうなのか迷ってしまう。
どこまでも役者たちはシリアスに演じているが、普通の「ロミオとジュリエット」ではないことは確かだった。
「ジュリエット、なんで死んでしもたんや! 俺も生きておられへん!」
名前がロミオ、ジュリエット、マキューシオなどそのままだからますます奇妙な感じになって来る。
最後まで見てから、カーテンコールで出てきた真尋さんに、私はようやく真尋さんがロミオだったことに気付いた。誰が演じているかを感じさせないほどの演技力だったのだ。
「真尋さんがロミオだったんだ」
「僕もイメージ違い過ぎて、びっくりしちゃった」
小声で奏歌くんと話す。
ロミオはバリバリの関西弁で、かなり激しく敵対する組を罵り、殺し合いの場では鬼気迫る様子を見せていた。それが普段の穏やかな真尋さんと結びつかなかったのだ。
「真尋兄さんもやっぱり役者だね」
皇太子役ばかり見て来たので、孤独で幼い皇太子を思い描いてしまうが、真尋さんはそれだけに捕らわれるような役者ではなかった。もっと様々な役を演じ分けられるようだった。
舞台が終わると真尋さんに楽屋に招待された。
「今日はありがとう、真尋兄さん。真尋兄さんだと思わないくらい、全然イメージの違う役で驚いたよ」
「僕も穏やかな役とか、可愛い役ばかり配役されてたから、今回は殻を破らないとって言われてたんだ」
「すごく素敵でした」
「ありがとうございます。大ファンの海瑠さんに言われると照れますね」
差し入れの奏歌くんと作ったクッキーを渡すと、真尋さんは喜んで受け取ってくれた。
「クッキーしか私がまともに作れないから」
「そんなことないんだよ。海瑠さんは晩ご飯の用意もできるようになったし、パウンドケーキも作れるんだからね。生チョコだって作ったでしょ?」
「全部奏歌くんが手伝ってくれたからじゃない」
私が恥ずかしがっていると、真尋さんが大らかに笑う。
「そしたら、色んなものをご馳走にならなきゃ」
「奏歌くんは料理が得意なんですよ」
「奏歌くんの料理も楽しみだな」
真尋さんのおかげで奏歌くんと一緒に劇を見るという私の夢は叶った。奏歌くんも真尋さんのことを知って親しみがわいただろう。
まだまだ続く夏休み、真尋さんと遊ぶ日があっても良いのではないかと私は思い始めていた。
電車で移動するのも奏歌くんとならば楽しい。改札を通るときにはICカードをタッチするタイミングや、通る時間に緊張して早足になってしまったが、電車に乗ってからは奏歌くんとゆったりと立っていた。
夏休みなので午前中でも電車にはひとが多く、最初は座っていたのだが、年配のご婦人が入って来て奏歌くんが席を譲ったので、私も立つことにした。ご婦人に勇気を出して席を譲れる奏歌くんのことは尊敬してしまう。
「そういえば、奏歌くんと劇を見に行ったことなかったよね」
「僕が海瑠さんの劇を見に行くことはあるけど、海瑠さんと一緒に行くのは初めてだね」
劇に関しては私は演じる側、奏歌くんは観客側とはっきりと区切りがついていた。
「私、百合に言ったことがあるんだ、分裂したいって」
「海瑠さんが二人に増えるの?」
「うん。奏歌くんと舞台を見ている私と、奏歌くんに見られて舞台の上で演じている私、二人になりたかったの」
奏歌くんが見る劇は私が演じたかったし、奏歌くんと一緒に劇を見たい気持ちもあった。その二つともを叶えるためには、私が分裂する以外ないと思い込んでいたのだ。
他の劇団の劇を奏歌くんと見に行くという選択肢はそのときにはなかった。
「奏歌くんが真尋さんの劇を見たいって言ったから、私は分裂しなくても奏歌くんと舞台を見られるようになったんだよ」
「真尋兄さんともっと仲良くなりたいって言ってみて良かった」
嬉しそうな奏歌くんの様子に私も嬉しくなる。にこにこと微笑みながら奏歌くんを見つめていると、背中の方に違和感があった。後ろの男性が鼻息荒く私のお尻を触ろうとしている。
困って私は動けなくなってしまう。私の様子がおかしくなったのに気付いた奏歌くんは、リュックサックから携帯電話とボールペンを取り出していた。怖くて何が起きたのか分からないまま、奏歌くんが動き出すのを見ている。
「何するんですか! やめてください!」
完全に硬直してしまった私を助けてくれたのは、奏歌くんだった。
「な、何もしていない」
「その手、見てください。ボールペンで僕が丸を書きました。その手が僕の大事なひとのお尻を触っていたのは動画で撮ってあります」
毅然とした態度でボールペンと携帯電話を見せている奏歌くん。ボールペンを取り出したのは証拠を見せるためだったのだ。とっさにそんなことができる奏歌くんに惚れ直してしまう。
「次の駅で降りてください」
「で、出来心だったんだ」
「痴漢は犯罪です!」
はっきりと告げた奏歌くんは電車の中で駅員さんを呼んで、次の駅で私のお尻を触った痴漢を下ろして警察に突き出していた。証拠動画があったので警察も納得して男を連れて行った。
予定の時間よりも早く出ていたので途中のトラブルがあっても平気だったが、動揺している私を奏歌くんは劇場近くのコーヒーショップに連れて行ってくれた。お洒落なコーヒーショップは何を頼んでいいか分からないくらいメニューの数がある。
「お昼を食べていくつもりだったし、ここで少し休もう」
「うん……メニュー分からないんだけど」
「僕に任せて」
並んで順番が来ると奏歌くんが選んだサンドイッチをレジの上に乗せて、注文をする。
「カフェオレで。ミルク多めでお願いします」
「ホットでよろしいですか? サイズはいかがなさいますか?」
「冷たいので。サイズは普通ので!」
「アイスで、トールでよろしいですね」
「はい!」
ショートとかトールとか難しくてよく分からない単語が飛び交う中、奏歌くんはそれで注文を終えてしまった。「ホワイトモカフラペチーノ」とか「トールのキャラメルマキアート」とか呪文のようにしか聞こえない単語が飛び交う中、私の分かる言葉で注文を終えてしまえる奏歌くんに私は感心してしまう。これが中学二年生なのだから、高校を卒業するころにはどれだけいい男になっていることだろう。
飲み物を受け取ってトレイを持ってソファ席に座る。暑い中を歩いてきたので冷たいカフェオレが染み渡る。
サンドイッチの包みを開けるのに手間取っていると奏歌くんがさっと私の分も開けてお皿の上に置いてくれた。
ツナと卵のサンドイッチを食べて、冷たいカフェオレを飲んでいると落ち着いてくる。
「あんなこと、奏歌くんに会うまではたくさんあったはずなのに、怖くて動けなくなっちゃった」
「慣れなくていいんだよ。嫌なことは嫌なままで、怖いことは怖いままでいいんだよ」
慣れなくてもいいという奏歌くんの言葉に、24歳で奏歌くんに出会うまで、女性の友達はよく分からないことを言って来るので、男性ならば友達になれるかもしれないと考えて近付き、嫌なことがたくさんあった私の過去を、奏歌くんが否定せずに受け止めてくれている気分になる。
奏歌くんの存在はこんなにも私の支えになっている。
コーヒーショップでお昼ご飯を食べた後は、真尋さんの劇団の劇場に向かった。
演目は「ロミオをジュリエット」を和風版にしたものだった。
下町を牛耳るやくざが二組、抗争を繰り広げている。その中で別々のやくざの組長の息子と娘のロミオとジュリエットは出会う。二人は恋に落ちるが、やくざの闘争でロミオはジュリエットの幼馴染を殺してしまう。
お互いに結ばれるためにジュリエットは毒を飲んで仮死状態になり、街を逃げ出そうとするのだが、ロミオは本当にジュリエットが死んでしまったと思い命を絶つ。
仮死状態から蘇ったジュリエットはロミオの死を知って、自ら命を絶つ。
ストーリー自体は原作に忠実ではあるのだが、舞台は日本で、全員和服というアレンジである。しかも、ロミオとジュリエットが関西弁なのだ。
「あぁ、ロミオはん、なんであんさんは、ロミオはんなんや」
「ジュリエットはん、組やら関係あらしまへん。二人で幸せになりましょう」
笑っていいのか、どうなのか迷ってしまう。
どこまでも役者たちはシリアスに演じているが、普通の「ロミオとジュリエット」ではないことは確かだった。
「ジュリエット、なんで死んでしもたんや! 俺も生きておられへん!」
名前がロミオ、ジュリエット、マキューシオなどそのままだからますます奇妙な感じになって来る。
最後まで見てから、カーテンコールで出てきた真尋さんに、私はようやく真尋さんがロミオだったことに気付いた。誰が演じているかを感じさせないほどの演技力だったのだ。
「真尋さんがロミオだったんだ」
「僕もイメージ違い過ぎて、びっくりしちゃった」
小声で奏歌くんと話す。
ロミオはバリバリの関西弁で、かなり激しく敵対する組を罵り、殺し合いの場では鬼気迫る様子を見せていた。それが普段の穏やかな真尋さんと結びつかなかったのだ。
「真尋兄さんもやっぱり役者だね」
皇太子役ばかり見て来たので、孤独で幼い皇太子を思い描いてしまうが、真尋さんはそれだけに捕らわれるような役者ではなかった。もっと様々な役を演じ分けられるようだった。
舞台が終わると真尋さんに楽屋に招待された。
「今日はありがとう、真尋兄さん。真尋兄さんだと思わないくらい、全然イメージの違う役で驚いたよ」
「僕も穏やかな役とか、可愛い役ばかり配役されてたから、今回は殻を破らないとって言われてたんだ」
「すごく素敵でした」
「ありがとうございます。大ファンの海瑠さんに言われると照れますね」
差し入れの奏歌くんと作ったクッキーを渡すと、真尋さんは喜んで受け取ってくれた。
「クッキーしか私がまともに作れないから」
「そんなことないんだよ。海瑠さんは晩ご飯の用意もできるようになったし、パウンドケーキも作れるんだからね。生チョコだって作ったでしょ?」
「全部奏歌くんが手伝ってくれたからじゃない」
私が恥ずかしがっていると、真尋さんが大らかに笑う。
「そしたら、色んなものをご馳走にならなきゃ」
「奏歌くんは料理が得意なんですよ」
「奏歌くんの料理も楽しみだな」
真尋さんのおかげで奏歌くんと一緒に劇を見るという私の夢は叶った。奏歌くんも真尋さんのことを知って親しみがわいただろう。
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