227 / 394
八章 奏歌くんとの八年目
13.クリスマスの特別公演の成功を奏歌くんに捧ぐ
しおりを挟む
クリスマスの特別公演が始まる。
奏歌くんと沙紀ちゃんにはチケットを用意したが、茉優ちゃんは受験生なので今年は行けないので、やっちゃんの分も不要になった。
「私の分をお祖母ちゃんにあげてください」
私のファンクラブにまで入ってくれている莉緒さんならばクリスマスの特別公演を楽しんでくれるだろう。茉優ちゃんの言葉に甘えて私は莉緒さんにチケットを譲ることにした。
クリスマスイブに開かれるたった一度の公演のために、劇団員は集中して稽古に励む。稽古から帰るのが早い日には奏歌くんが部屋にいてくれて晩ご飯を作ってくれたり、お風呂の用意をしてくれていたりする。遅くなった日もテーブルの上に書置きがしてあって、ご飯が炊ける甘い匂いとお味噌汁かスープのいい香りが部屋に漂っている。
奏歌くんの愛情を毎日感じることができて私は幸せだった。
「すごく甘やかされてる気がするの」
「海瑠が甘やかしてるんじゃなくて?」
「だって、奏歌くん、中学生なのに包容力がすごいんだもの!」
百合に惚気ると、変な顔をされてしまう。
6歳の頃から奏歌くんは男前で包容力があったが、13歳になった今私が毎日部屋に帰るたびに包み込まれるような愛情を感じて幸福感に浸ってしまう。私のお金や体が目当てだった過去の男たちのことはもう忘れつつあった。
奏歌くんだけが私の最高の男性。
運命とはこういうことを言うのだと噛み締める。
お弁当までやっちゃんに頼んで届けてくれる奏歌くんに、毎日感謝の気持ちしかないのだが、チケットを渡したら奏歌くんはハニーブラウンのお目目を輝かせて喜んでくれた。
「クリスマスの特別公演! 沙紀ちゃんと一緒に行くね!」
「莉緒さんにもチケットを譲ることになったの」
「茉優ちゃんのお祖母ちゃんも誘う!」
莉緒さんも沙紀ちゃんも私のファンクラブに入ってくれるくらい大ファンでいてくれるし、奏歌くんも私のファンでいてくれる。私にとっての最愛のひとは奏歌くんなのだが、それとは別にファンの皆様はずっと私を支え続けて来てくれた大事な方たちだ。
歌劇の専門学校を卒業して劇団に入ってから十四年、ファンの皆様の支えがなければ私はここまで上り詰めていない。奏歌くんと沙紀ちゃんと莉緒さんは大事だったが、ファンとして特別扱いをするわけにはいかなかった。
チケットを確保している時点で特別扱いなのだが、奏歌くんに見てもらわなければ私は舞台に立っている甲斐がないし、沙紀ちゃんや莉緒さんにも見て欲しい気持ちがあったからその辺りは多めに見てもらうことにする。
クリスマスの特別公演の当日、劇場に入るときに奏歌くんと沙紀ちゃんと莉緒さんはファンクラブの皆様に混じって入り待ちをしてくれていた。
「今日はお越しいただきありがとうございます」
一人一人手紙を受け取って、握手をする。奏歌くんのときには手を放すのがつらかったけれど、不自然にならないように長く手を握らずに切り上げて手を放す。
ファンクラブのルールは私も気を付けて守らなければいけない。
「今日も頑張ってください」
声をかけられて私は手を振って応援に応えて劇場に入った。
劇場ではリハーサルを行う。衣装の最終的なチェックや、立ち位置の確認、通しの稽古を終えて、お昼には奏歌くんの作ったお弁当をやっちゃんが届けてくれた。
「今日は特別だって」
「特別?」
ワクワクしながら食堂に行ってお弁当箱を開けると、ご飯が海苔で包まれた猫の形だった。
「黒猫! 私だ!」
目と鼻と口は切り抜かれていて、周囲にタコさんウインナーやシュウマイ、花形に切った人参や大根の煮物などが飾られている。
「可愛い! 食べちゃうの勿体ない!」
写真を撮ってからそっとお箸を入れると、百合が目を皿のようにして見つめてくる。
「ダーリン、どんどん腕を上げてない?」
「そうなのよ。毎日美味しいお弁当で、晩ご飯も用意してくれて、最高に幸せ!」
「海瑠、感謝を口にしてる?」
問いかけられて私は「してる」と答えたが、普段の感謝くらいで足りているのか心配になって来る。言葉は足りないよりも多い方がいい。毎日でも奏歌くんにありがとうを届けたい。
今すぐにでもお礼を言いたくて、私は携帯電話を手に取った。奏歌くんの携帯電話にメッセージを入れてから、ふと気付いた。
奏歌くんの携帯電話はまだ子ども用の簡単なものだ。そろそろスマートフォンに買い替えてもいい時期なのではないだろうか。奏歌くんはやっちゃんのタブレット端末も使いこなしていたし、スマートフォンも使いこなせるだろう。
クリスマスプレゼントはスマートフォンにしよう。
決めたらまず美歌さんに許可を取る。メッセージを送っておいたら、お昼休憩が終わる直前に返事が来た。
『奏歌に買い替えようって言っても興味がなさそうだったんです。奏歌が欲しがったらよろしくお願いします』
奏歌くんは携帯電話の機種をそれほど気にしないようだ。それでも情報を取ったりするのはキッズ携帯よりもスマートフォンがいいだろう。美歌さんの許可は取れたし、例年通りならばクリスマスの特別公演の後は奏歌くんは私の部屋に泊まりに来るので、明日にでも買いに行こうと決めていた。
舞台の幕が上がる。
衣装も化粧もしっかりと整えて、私は百合と手を取って舞台に躍り出た。
私と百合を中心に全員での合唱からクリスマスの特別公演は始まる。続いて『バー・ブルーバード』の演目だ。
早着替えで女装した男性のママになった私と新人店員の百合は、役としては出て来ないけれど客が存在しているかのように悩みを聞き、客の背中を押す。
最後の客の背中を押した後に、百合が私の方を見る。
「そろそろ店じまいですね……あ、雪」
「今日はホワイトクリスマスみたいね。雪がみんなを祝福してるのかしら」
店じまいをした二人が夜明けの町を帰る場面で『バー・ブルーバード』の演目は終わった。
真月さんがソロで歌っている間に、早着替えをして美鳥さんとの舞踏に備える。百合も歌うために舞台袖で大急ぎで着替えていた。
真月さんの歌が終わると舞台装置が切り替わって、舞台にスモークが炊かれる。幻想的な光の中を百合の歌声に乗せて私と美鳥さんが踊る。時に寄り添うように、時に手を取り合って、時に離れ、時に近付き、最後は共に倒れるところまで、二人で踊り上げた。
汗だくになって舞台袖に引っ込んで、他の団員が歌って演じている間に、男役の群舞の衣装に着替える。百合は女役のダンスの衣装に着替えていた。
女役の華やかな足を上げるダンスが終わると、男役の群舞が始まる。
最後まで踊り終えて、私たちは順番に客席にお辞儀をする。美鳥さん、百合、私の順に最後にお辞儀をして、クリスマスの特別公演は拍手喝さいの中終わった。
「本日はクリスマスイブという大事な日をわたくしたちと共に過ごしてくださりありがとうございます。今年の公演はこれで最後になりますが、来年も劇団とわたくしたち劇団員をどうぞよろしくお願いします」
深々と頭を下げて挨拶をすると、スタンディングオベーションが起きていた。奏歌くんも沙紀ちゃんも莉緒さんも前の方の席で立って拍手をしてくれているのが分かる。
「本当に、ありがとうございました!」
私の声に合わせて他の劇団員も「ありがとうございました!」と挨拶をしてお辞儀をする。鳴りやまない拍手が心地よかった。
反省会は後日になるので、化粧を落として衣装を着替えて、私は足早に駐車場に向かう。莉緒さんが沙紀ちゃんと奏歌くんと一緒に車の前で待っていてくれた。
「今年の演目もとても素敵でした」
「海瑠さん、すごく綺麗で格好良かったよ! バーの演目もちょっと驚いたけど、いい話だった」
「美鳥さんとのダンス、最高に滾りました!」
莉緒さんと奏歌くんと沙紀ちゃんの誉め言葉に私は嬉しくなってくる。やり遂げた達成感がじわじわとわき上がって来ていた。
奏歌くんと出会う前は私は自己肯定感が低かった。そのせいで寂しがって男性の友達を作って失敗してばかりだった。
奏歌くんの存在があれば私は自分を誇らしく思える。奏歌くんの周囲のひとたちも私を認めてくれる。幸福は奏歌くんが運んで来てくれたものだった。
奏歌くんと沙紀ちゃんにはチケットを用意したが、茉優ちゃんは受験生なので今年は行けないので、やっちゃんの分も不要になった。
「私の分をお祖母ちゃんにあげてください」
私のファンクラブにまで入ってくれている莉緒さんならばクリスマスの特別公演を楽しんでくれるだろう。茉優ちゃんの言葉に甘えて私は莉緒さんにチケットを譲ることにした。
クリスマスイブに開かれるたった一度の公演のために、劇団員は集中して稽古に励む。稽古から帰るのが早い日には奏歌くんが部屋にいてくれて晩ご飯を作ってくれたり、お風呂の用意をしてくれていたりする。遅くなった日もテーブルの上に書置きがしてあって、ご飯が炊ける甘い匂いとお味噌汁かスープのいい香りが部屋に漂っている。
奏歌くんの愛情を毎日感じることができて私は幸せだった。
「すごく甘やかされてる気がするの」
「海瑠が甘やかしてるんじゃなくて?」
「だって、奏歌くん、中学生なのに包容力がすごいんだもの!」
百合に惚気ると、変な顔をされてしまう。
6歳の頃から奏歌くんは男前で包容力があったが、13歳になった今私が毎日部屋に帰るたびに包み込まれるような愛情を感じて幸福感に浸ってしまう。私のお金や体が目当てだった過去の男たちのことはもう忘れつつあった。
奏歌くんだけが私の最高の男性。
運命とはこういうことを言うのだと噛み締める。
お弁当までやっちゃんに頼んで届けてくれる奏歌くんに、毎日感謝の気持ちしかないのだが、チケットを渡したら奏歌くんはハニーブラウンのお目目を輝かせて喜んでくれた。
「クリスマスの特別公演! 沙紀ちゃんと一緒に行くね!」
「莉緒さんにもチケットを譲ることになったの」
「茉優ちゃんのお祖母ちゃんも誘う!」
莉緒さんも沙紀ちゃんも私のファンクラブに入ってくれるくらい大ファンでいてくれるし、奏歌くんも私のファンでいてくれる。私にとっての最愛のひとは奏歌くんなのだが、それとは別にファンの皆様はずっと私を支え続けて来てくれた大事な方たちだ。
歌劇の専門学校を卒業して劇団に入ってから十四年、ファンの皆様の支えがなければ私はここまで上り詰めていない。奏歌くんと沙紀ちゃんと莉緒さんは大事だったが、ファンとして特別扱いをするわけにはいかなかった。
チケットを確保している時点で特別扱いなのだが、奏歌くんに見てもらわなければ私は舞台に立っている甲斐がないし、沙紀ちゃんや莉緒さんにも見て欲しい気持ちがあったからその辺りは多めに見てもらうことにする。
クリスマスの特別公演の当日、劇場に入るときに奏歌くんと沙紀ちゃんと莉緒さんはファンクラブの皆様に混じって入り待ちをしてくれていた。
「今日はお越しいただきありがとうございます」
一人一人手紙を受け取って、握手をする。奏歌くんのときには手を放すのがつらかったけれど、不自然にならないように長く手を握らずに切り上げて手を放す。
ファンクラブのルールは私も気を付けて守らなければいけない。
「今日も頑張ってください」
声をかけられて私は手を振って応援に応えて劇場に入った。
劇場ではリハーサルを行う。衣装の最終的なチェックや、立ち位置の確認、通しの稽古を終えて、お昼には奏歌くんの作ったお弁当をやっちゃんが届けてくれた。
「今日は特別だって」
「特別?」
ワクワクしながら食堂に行ってお弁当箱を開けると、ご飯が海苔で包まれた猫の形だった。
「黒猫! 私だ!」
目と鼻と口は切り抜かれていて、周囲にタコさんウインナーやシュウマイ、花形に切った人参や大根の煮物などが飾られている。
「可愛い! 食べちゃうの勿体ない!」
写真を撮ってからそっとお箸を入れると、百合が目を皿のようにして見つめてくる。
「ダーリン、どんどん腕を上げてない?」
「そうなのよ。毎日美味しいお弁当で、晩ご飯も用意してくれて、最高に幸せ!」
「海瑠、感謝を口にしてる?」
問いかけられて私は「してる」と答えたが、普段の感謝くらいで足りているのか心配になって来る。言葉は足りないよりも多い方がいい。毎日でも奏歌くんにありがとうを届けたい。
今すぐにでもお礼を言いたくて、私は携帯電話を手に取った。奏歌くんの携帯電話にメッセージを入れてから、ふと気付いた。
奏歌くんの携帯電話はまだ子ども用の簡単なものだ。そろそろスマートフォンに買い替えてもいい時期なのではないだろうか。奏歌くんはやっちゃんのタブレット端末も使いこなしていたし、スマートフォンも使いこなせるだろう。
クリスマスプレゼントはスマートフォンにしよう。
決めたらまず美歌さんに許可を取る。メッセージを送っておいたら、お昼休憩が終わる直前に返事が来た。
『奏歌に買い替えようって言っても興味がなさそうだったんです。奏歌が欲しがったらよろしくお願いします』
奏歌くんは携帯電話の機種をそれほど気にしないようだ。それでも情報を取ったりするのはキッズ携帯よりもスマートフォンがいいだろう。美歌さんの許可は取れたし、例年通りならばクリスマスの特別公演の後は奏歌くんは私の部屋に泊まりに来るので、明日にでも買いに行こうと決めていた。
舞台の幕が上がる。
衣装も化粧もしっかりと整えて、私は百合と手を取って舞台に躍り出た。
私と百合を中心に全員での合唱からクリスマスの特別公演は始まる。続いて『バー・ブルーバード』の演目だ。
早着替えで女装した男性のママになった私と新人店員の百合は、役としては出て来ないけれど客が存在しているかのように悩みを聞き、客の背中を押す。
最後の客の背中を押した後に、百合が私の方を見る。
「そろそろ店じまいですね……あ、雪」
「今日はホワイトクリスマスみたいね。雪がみんなを祝福してるのかしら」
店じまいをした二人が夜明けの町を帰る場面で『バー・ブルーバード』の演目は終わった。
真月さんがソロで歌っている間に、早着替えをして美鳥さんとの舞踏に備える。百合も歌うために舞台袖で大急ぎで着替えていた。
真月さんの歌が終わると舞台装置が切り替わって、舞台にスモークが炊かれる。幻想的な光の中を百合の歌声に乗せて私と美鳥さんが踊る。時に寄り添うように、時に手を取り合って、時に離れ、時に近付き、最後は共に倒れるところまで、二人で踊り上げた。
汗だくになって舞台袖に引っ込んで、他の団員が歌って演じている間に、男役の群舞の衣装に着替える。百合は女役のダンスの衣装に着替えていた。
女役の華やかな足を上げるダンスが終わると、男役の群舞が始まる。
最後まで踊り終えて、私たちは順番に客席にお辞儀をする。美鳥さん、百合、私の順に最後にお辞儀をして、クリスマスの特別公演は拍手喝さいの中終わった。
「本日はクリスマスイブという大事な日をわたくしたちと共に過ごしてくださりありがとうございます。今年の公演はこれで最後になりますが、来年も劇団とわたくしたち劇団員をどうぞよろしくお願いします」
深々と頭を下げて挨拶をすると、スタンディングオベーションが起きていた。奏歌くんも沙紀ちゃんも莉緒さんも前の方の席で立って拍手をしてくれているのが分かる。
「本当に、ありがとうございました!」
私の声に合わせて他の劇団員も「ありがとうございました!」と挨拶をしてお辞儀をする。鳴りやまない拍手が心地よかった。
反省会は後日になるので、化粧を落として衣装を着替えて、私は足早に駐車場に向かう。莉緒さんが沙紀ちゃんと奏歌くんと一緒に車の前で待っていてくれた。
「今年の演目もとても素敵でした」
「海瑠さん、すごく綺麗で格好良かったよ! バーの演目もちょっと驚いたけど、いい話だった」
「美鳥さんとのダンス、最高に滾りました!」
莉緒さんと奏歌くんと沙紀ちゃんの誉め言葉に私は嬉しくなってくる。やり遂げた達成感がじわじわとわき上がって来ていた。
奏歌くんと出会う前は私は自己肯定感が低かった。そのせいで寂しがって男性の友達を作って失敗してばかりだった。
奏歌くんの存在があれば私は自分を誇らしく思える。奏歌くんの周囲のひとたちも私を認めてくれる。幸福は奏歌くんが運んで来てくれたものだった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる