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八章 奏歌くんとの八年目
11.『バー・ブルーバード』の打ち合わせ
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『バー・ブルーバード』に客が来る。客はいない状態で来たような演技をするので、対応する私と百合はその客について考えなければいけなかった。
「最初のセリフが『今日は可愛いひとと一緒じゃないのね』だから、この客は男性だと思う」
「恋人も男性だと思うわ」
「え? そうなの? 『可愛いひと』だけど」
一つ一つ台詞を読み込んで、客に対する態度で私たちは客を想像して演じる。百合と私のイメージが離れていたら困るのですり合わせは必要不可欠だった。バーのママの私と、バーの新人店員の百合。客がいなくなったらその客について少しだけ話す場面もある。
「ほら、ここ! 『まだ二人は難しいかもしれないけど』っていう海瑠のセリフ。これは現行の法律では二人はまだ結婚できないことをさしているのよ」
「海香の脚本ならありそうね。じゃあ、その方向で」
「どういう身なりのひとかな?」
「うーん、スーツを着たサラリーマンが仕事帰りにっていう感じ?」
「休日のサラリーマンかもしれないけど、『可愛いひと』とデートするためにお洒落してたのに、キャンセルされたってニュアンスじゃない?」
一人一人客の設定をすり合わせていく。私は発想が貧困だが、百合は様々な視点を持っていた。参考にしながら客の像を作り上げていく。
一日だけの演目だが私と百合はしっかりと作り込んで役に入って行っていた。
「この前のタルトのお店だけど、美味しかったからまた買いに行っちゃった」
「百合、また? この前も行ってなかった?」
「大丈夫……秋公演で減った体重が戻って来てるだけだから」
秋公演のきつい衣装での演技で百合はかなりのダイエットを強いられたようだった。それが戻っているだけならばいいのだが、箍が外れたように百合は最近食欲が旺盛だ。我慢していた期間の分発散しているのだろうが、次のクリスマスの特別公演の衣装が入らなくならないか、私は少しだけ心配だった。
「ストレッチもしてるし、運動もしてるんだからね」
「リフトできないようにならないでよ?」
「海瑠がリフトできない相手なんているの?」
真顔で問いかけられてしまった。
確かに私は怪力だが、リフトできない相手もいないことはない。リフトしたくない相手と言い換えた方がいいのだろうが。私も身長は176センチあって肩幅もそこそこある方だが、女性なので骨格が男性とは全く違う。
あまりにも骨格の違う相手はリフトするとバランスが悪くなるのだ。見た目が美しいということはダンスにおいて非常に重要なことだった。
「美鳥さんとのダンスもあるんでしょう?」
「デュエットダンスじゃないけど、二人は共に生きて死ぬみたいなイメージのあれね」
輪廻転生を感じさせるダンスも演目の中には入っていた。美鳥さんともみっちりと練習をしなければいけない。
クリスマスの特別公演はやらなければいけないことが大量だった。
「この客は女性ね。いつも一緒にいる相手にそろそろプロポーズして欲しいのよ」
「私もそれは思った。『恋人の心は決まった? え? 恋人じゃない? どういうことかしら』っていうセリフからも、迷いが感じられるわ」
話しながら私は奏歌くんのお誕生日に紫色のサファイアのついた涙の小瓶を贈ったことを思い出した。あのとき私は奏歌くんと将来の約束をした。私からはっきりと言うのは勇気が必要だったけれど、奏歌くんはそれを受け止めてくれた。
奏歌くんにとっては私は運命のひとで、私にとっても奏歌くんは運命のひとでたった一人だけの愛するひとだ。
出会ってから私の人生は大きく変わったといえる。
「『あなたから言ってみたら?』というセリフで、お客は心を決める」
「そして、いつも一緒にいる相手に会いに行く。このタイミングで席を立ってるわね」
「私もそうだと思う」
すり合わせにも熱が入って来た。
この調子で全員分のすり合わせをしてから演技に入る。
よく話し合っただけあって、演技はスムーズに進んだ。演出家の先生からもお褒めの言葉をいただいた。
「いい解釈だと思います。二人の息もぴったりだし」
「ありがとうございます」
「ラストのママの歌のときに、私も加わってもいいですか?」
「百合さんのパートも入れましょう」
歌のアレンジまで演出家の先生は受け入れてくれた。
出来上がっていくショートの演目は私たちにとっては挑戦でもあった。クリスマスの特別公演に過去の歌だけでなくショートの演目をやって受け入れられるのか。
美鳥さんとのダンスには百合が歌を歌うことになっている。歌わずにダンスだけで私と美鳥さんは感情を表現して、百合がその情景を歌い上げる演目もまた、新しい形だった。
挑戦のクリスマスの特別公演の練習はかなり大変で、それぞれのグループに分かれての練習が主だったが、私は美鳥さんと百合との練習が入っていて忙しい。
疲れ切って部屋に帰ると、奏歌くんが待っていてくれた。
「海瑠さん、寒かったでしょう。お風呂が用意できてるよ」
「寒かった……あぁ、手と足が冷えてる気がする」
稽古に夢中になってしまうと私はつい色んなことを忘れて没頭してしまう。季節は秋から冬に移り変わっているというのに、コートもマフラーも身に着けていなかった。
奏歌くんから指摘されると体の芯まで冷え切っていることに気付く。
「ありがとう、お風呂に入って来るね」
「コートとマフラーと手袋、ちゃんと準備してね?」
明日からはコートとマフラーと手袋を身につけるように言われて、私は「はい!」と返事をする。お風呂から出たらウォークインクローゼットの中身をちゃんと確認しよう。百合の車で移動しているから外を歩く距離はそれほどないのだが、それでも風邪を引いてしまったら元も子もない。
「海瑠さん……今年も、その……そういう季節なんだ」
「え、なんの季節だっけ?」
お風呂から上がってウォークインクローゼットでコートとマフラーと手袋を探している私に、部屋から奏歌くんが声をかけて来た。なんの季節かよく分からないでいると、奏歌くんがぼそぼそと答える。
「インフルエンザの予防接種……」
「あ! 受けるよ。ちゃんと受けます!」
「母さんが予約を入れるから、連絡してくださいって言ってたよ」
昔から奏歌くんは注射が苦手である。苦手な注射を受けるのが嫌で逃げようとしているのを、美歌さんは私を行かせることによって阻止しようとしているのだ。
今年は茉優ちゃんという受験生もいるし、奏歌くんがインフルエンザにかかることは避けたいのだろう。
「美歌さんに連絡、しておくね」
「海瑠さん、僕のこと情けないと思ってる?」
しょんぼりとしている奏歌くんに、私はぶんぶんと首を振る。
「いつも奏歌くんのことは頼りになるし、格好いいと思ってる」
「そう?」
「タルトのお店でも、私が何も言わなくても全部注文してくれて、お皿が私の前に来るようにしてくれて、百合にも同じことをしてくれて、すごく格好良かったよ」
あのときどれだけ私が奏歌くんにときめいたのかを告げると、奏歌くんが白い頬をリンゴのように赤く染めて微笑む。
「海瑠さんと一緒なら、予防接種も平気かもしれない」
「昔から、苦手なのにちゃんと受けてて偉いなって思ってたよ」
「注射が怖いなんて、恥ずかしいけど、海瑠さんは一度も馬鹿にしたことはないもんね。海瑠さん、ありがとう。大好きだよ」
中学生になっても私への好意を素直に口に出してくれる奏歌くん。その可愛さに悶絶しそうになるが、この年齢に可愛いと言ってしまうと「格好いいにして」と訂正されそうだからそっと胸にしまっておいた。
6歳の頃から格好良くて可愛くて男前の奏歌くんは13歳になって立派な男の子に育っている。結婚できるまでは後五年。
「私、後五年、劇団のトップスターを続ける」
決意を口にすると奏歌くんがハニーブラウンの目を丸くする。
「奏歌くんが結婚できる年になったら、劇団を退団して、奏歌くんと一緒にどこか遠くへ」
遠くに行ったときに海香や美歌さんややっちゃんや茉優ちゃんとは離れない可能性が高いが、百合とは別々の道を歩むことになってしまうかもしれない。百合が歌劇の専門学校に入学するといって私を引きずって連れて行かなければ私の今はない。5歳のときに出会った百合とはもう二十五年以上の付き合いになる。
人生のほとんどを幼馴染として過ごしている百合と離れるのは、胸の中のどこかに隙間風が通るようで寒くなる。
「遠くへ行ったら、百合とはもう会えないのかな」
私の呟きに奏歌くんが答える。
「百合さんに、本当のことを話してもいいと思うんだ」
今はそのときではないかもしれないが、五年後、私は勇気を出せるだろうか。
「最初のセリフが『今日は可愛いひとと一緒じゃないのね』だから、この客は男性だと思う」
「恋人も男性だと思うわ」
「え? そうなの? 『可愛いひと』だけど」
一つ一つ台詞を読み込んで、客に対する態度で私たちは客を想像して演じる。百合と私のイメージが離れていたら困るのですり合わせは必要不可欠だった。バーのママの私と、バーの新人店員の百合。客がいなくなったらその客について少しだけ話す場面もある。
「ほら、ここ! 『まだ二人は難しいかもしれないけど』っていう海瑠のセリフ。これは現行の法律では二人はまだ結婚できないことをさしているのよ」
「海香の脚本ならありそうね。じゃあ、その方向で」
「どういう身なりのひとかな?」
「うーん、スーツを着たサラリーマンが仕事帰りにっていう感じ?」
「休日のサラリーマンかもしれないけど、『可愛いひと』とデートするためにお洒落してたのに、キャンセルされたってニュアンスじゃない?」
一人一人客の設定をすり合わせていく。私は発想が貧困だが、百合は様々な視点を持っていた。参考にしながら客の像を作り上げていく。
一日だけの演目だが私と百合はしっかりと作り込んで役に入って行っていた。
「この前のタルトのお店だけど、美味しかったからまた買いに行っちゃった」
「百合、また? この前も行ってなかった?」
「大丈夫……秋公演で減った体重が戻って来てるだけだから」
秋公演のきつい衣装での演技で百合はかなりのダイエットを強いられたようだった。それが戻っているだけならばいいのだが、箍が外れたように百合は最近食欲が旺盛だ。我慢していた期間の分発散しているのだろうが、次のクリスマスの特別公演の衣装が入らなくならないか、私は少しだけ心配だった。
「ストレッチもしてるし、運動もしてるんだからね」
「リフトできないようにならないでよ?」
「海瑠がリフトできない相手なんているの?」
真顔で問いかけられてしまった。
確かに私は怪力だが、リフトできない相手もいないことはない。リフトしたくない相手と言い換えた方がいいのだろうが。私も身長は176センチあって肩幅もそこそこある方だが、女性なので骨格が男性とは全く違う。
あまりにも骨格の違う相手はリフトするとバランスが悪くなるのだ。見た目が美しいということはダンスにおいて非常に重要なことだった。
「美鳥さんとのダンスもあるんでしょう?」
「デュエットダンスじゃないけど、二人は共に生きて死ぬみたいなイメージのあれね」
輪廻転生を感じさせるダンスも演目の中には入っていた。美鳥さんともみっちりと練習をしなければいけない。
クリスマスの特別公演はやらなければいけないことが大量だった。
「この客は女性ね。いつも一緒にいる相手にそろそろプロポーズして欲しいのよ」
「私もそれは思った。『恋人の心は決まった? え? 恋人じゃない? どういうことかしら』っていうセリフからも、迷いが感じられるわ」
話しながら私は奏歌くんのお誕生日に紫色のサファイアのついた涙の小瓶を贈ったことを思い出した。あのとき私は奏歌くんと将来の約束をした。私からはっきりと言うのは勇気が必要だったけれど、奏歌くんはそれを受け止めてくれた。
奏歌くんにとっては私は運命のひとで、私にとっても奏歌くんは運命のひとでたった一人だけの愛するひとだ。
出会ってから私の人生は大きく変わったといえる。
「『あなたから言ってみたら?』というセリフで、お客は心を決める」
「そして、いつも一緒にいる相手に会いに行く。このタイミングで席を立ってるわね」
「私もそうだと思う」
すり合わせにも熱が入って来た。
この調子で全員分のすり合わせをしてから演技に入る。
よく話し合っただけあって、演技はスムーズに進んだ。演出家の先生からもお褒めの言葉をいただいた。
「いい解釈だと思います。二人の息もぴったりだし」
「ありがとうございます」
「ラストのママの歌のときに、私も加わってもいいですか?」
「百合さんのパートも入れましょう」
歌のアレンジまで演出家の先生は受け入れてくれた。
出来上がっていくショートの演目は私たちにとっては挑戦でもあった。クリスマスの特別公演に過去の歌だけでなくショートの演目をやって受け入れられるのか。
美鳥さんとのダンスには百合が歌を歌うことになっている。歌わずにダンスだけで私と美鳥さんは感情を表現して、百合がその情景を歌い上げる演目もまた、新しい形だった。
挑戦のクリスマスの特別公演の練習はかなり大変で、それぞれのグループに分かれての練習が主だったが、私は美鳥さんと百合との練習が入っていて忙しい。
疲れ切って部屋に帰ると、奏歌くんが待っていてくれた。
「海瑠さん、寒かったでしょう。お風呂が用意できてるよ」
「寒かった……あぁ、手と足が冷えてる気がする」
稽古に夢中になってしまうと私はつい色んなことを忘れて没頭してしまう。季節は秋から冬に移り変わっているというのに、コートもマフラーも身に着けていなかった。
奏歌くんから指摘されると体の芯まで冷え切っていることに気付く。
「ありがとう、お風呂に入って来るね」
「コートとマフラーと手袋、ちゃんと準備してね?」
明日からはコートとマフラーと手袋を身につけるように言われて、私は「はい!」と返事をする。お風呂から出たらウォークインクローゼットの中身をちゃんと確認しよう。百合の車で移動しているから外を歩く距離はそれほどないのだが、それでも風邪を引いてしまったら元も子もない。
「海瑠さん……今年も、その……そういう季節なんだ」
「え、なんの季節だっけ?」
お風呂から上がってウォークインクローゼットでコートとマフラーと手袋を探している私に、部屋から奏歌くんが声をかけて来た。なんの季節かよく分からないでいると、奏歌くんがぼそぼそと答える。
「インフルエンザの予防接種……」
「あ! 受けるよ。ちゃんと受けます!」
「母さんが予約を入れるから、連絡してくださいって言ってたよ」
昔から奏歌くんは注射が苦手である。苦手な注射を受けるのが嫌で逃げようとしているのを、美歌さんは私を行かせることによって阻止しようとしているのだ。
今年は茉優ちゃんという受験生もいるし、奏歌くんがインフルエンザにかかることは避けたいのだろう。
「美歌さんに連絡、しておくね」
「海瑠さん、僕のこと情けないと思ってる?」
しょんぼりとしている奏歌くんに、私はぶんぶんと首を振る。
「いつも奏歌くんのことは頼りになるし、格好いいと思ってる」
「そう?」
「タルトのお店でも、私が何も言わなくても全部注文してくれて、お皿が私の前に来るようにしてくれて、百合にも同じことをしてくれて、すごく格好良かったよ」
あのときどれだけ私が奏歌くんにときめいたのかを告げると、奏歌くんが白い頬をリンゴのように赤く染めて微笑む。
「海瑠さんと一緒なら、予防接種も平気かもしれない」
「昔から、苦手なのにちゃんと受けてて偉いなって思ってたよ」
「注射が怖いなんて、恥ずかしいけど、海瑠さんは一度も馬鹿にしたことはないもんね。海瑠さん、ありがとう。大好きだよ」
中学生になっても私への好意を素直に口に出してくれる奏歌くん。その可愛さに悶絶しそうになるが、この年齢に可愛いと言ってしまうと「格好いいにして」と訂正されそうだからそっと胸にしまっておいた。
6歳の頃から格好良くて可愛くて男前の奏歌くんは13歳になって立派な男の子に育っている。結婚できるまでは後五年。
「私、後五年、劇団のトップスターを続ける」
決意を口にすると奏歌くんがハニーブラウンの目を丸くする。
「奏歌くんが結婚できる年になったら、劇団を退団して、奏歌くんと一緒にどこか遠くへ」
遠くに行ったときに海香や美歌さんややっちゃんや茉優ちゃんとは離れない可能性が高いが、百合とは別々の道を歩むことになってしまうかもしれない。百合が歌劇の専門学校に入学するといって私を引きずって連れて行かなければ私の今はない。5歳のときに出会った百合とはもう二十五年以上の付き合いになる。
人生のほとんどを幼馴染として過ごしている百合と離れるのは、胸の中のどこかに隙間風が通るようで寒くなる。
「遠くへ行ったら、百合とはもう会えないのかな」
私の呟きに奏歌くんが答える。
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