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六章 奏歌くんとの六年目
9.茉優ちゃんのお祖母様
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憂いは茉優ちゃんが13歳の誕生日を迎える前になくしておこう。
美歌さんとやっちゃんはそう考えたようで、奏歌くんと茉優ちゃんの二学期が始まってすぐの休みに茉優ちゃんのお祖母ちゃんに会うことが決まった。どうなることかと思っていたら、私も当然のように誘われていた。
「海瑠さんは、奏歌くんの運命のひとで、私の家族ですから」
小声だが確りと主張してくれる茉優ちゃんが可愛い。私にとっても茉優ちゃんは私の本性を知る唯一のただの人間で、親友のやっちゃんの運命のひとという大事な家族だった。
私が将来奏歌くんと結婚して、やっちゃんと茉優ちゃんが結婚して、美歌さんはさくらと結婚してとなると、やっちゃんは奏歌くんの叔父だし、美歌さんは茉優ちゃんの保護者だし、私と茉優ちゃんは家族になることが決まっているようなものだった。
「安彦さんと引き離されたくない気持ち、海瑠さんなら分かってくれるかと思うんです」
良識派のやっちゃんは茉優ちゃんのお祖母様が良いひとならば茉優ちゃんがお祖母様の元で暮らす方が幸せと判断するかもしれない。そういうときに私はやっちゃんにビシッと言ってやることができると期待されているようだ。
茉優ちゃんの期待には応えなければいけない。
お金だけを求める大人に良いように利用されて、自分は食事も碌に摂らせてもらえなかった茉優ちゃんが、私という大人に頼るのは悪いことではない気がするのだ。
「本当に茉優ちゃんのお祖母様が良い方だったら、茉優ちゃんのお誕生日も一緒に祝いたいでしょうし」
「私を引き取らないで、違う親戚にたらい回しにさせたひとなのよ。私は美歌お母さんと安彦さんと奏歌くんがいればいい」
本当のお祖母様に茉優ちゃんは警戒しているようだった。
まだ残暑の残る日に私は奏歌くんと茉優ちゃんとやっちゃんと美歌さんと一緒に、約束してあるお家を訪ねた。広い日本庭園があって、お屋敷と言うべき広い和風の家は明らかに茉優ちゃんのお祖母様が裕福な暮らしをされていることを示していた。
インターフォンを鳴らすと、和服のご婦人が出てくる。まだお若い雰囲気のご婦人は茉優ちゃんとどことなく似ていて、茶色っぽい髪の毛と目の色をしていた。
「初めまして、夜宮莉緒と申します」
深々と頭を下げるそのご婦人にはほとんど白髪もない。
「初めまして、篠田美歌です。茉優ちゃんの保護者として茉優ちゃんと暮らしています」
「篠田安彦です。美歌の弟で、姉の家にはよく手伝いに行っています」
「篠田奏歌です。茉優ちゃんとは姉弟のように育ちました」
挨拶を交わす莉緒さんと美歌さんとやっちゃんと奏歌くん。
私は何をどう言えばいいか悩んでいる間に、莉緒さんの方から声が上がった。
「瀬川海瑠さんですよね。私、劇団の大ファンで」
「あ、はい、瀬川海瑠です」
スーツ姿でも舞台に立っている濃い化粧と派手な衣装の私と同一人物だと理解されたようだ。莉緒さんは劇団の大ファンだった。
和室に通されて座布団の上に座ってお茶と和菓子をいただく。
莉緒さんはこれまでのことを話してくれた。
「夫とは見合いで結婚しました。結婚生活は冷めていて、夫が私の財産目当てで結婚したことを後から知りましたが、私は若すぎてそれに気付くことができなかった」
一人だけ生まれた息子さんも、莉緒さんの夫は全て自分の思い通りにしようとした。医者にさせようと無理やりに行きたくもない医学部に行かされて、反抗していた息子さんが年上の女性と出会って、駆け落ちしたときにも、莉緒さんはやっと息子さんが自由になれたのだとホッとしたのだという。
「あの子は私たちのあずかり知らないところでも、きっと幸せになれると思っていたのですが、数年後に孫を残して事故で亡くなったと聞いて」
居ても立ってもいられず孫を引き取ろうとする莉緒さんに、夫は酷く反対した。
「夫は、勝手に家を出て行ったやつの子どもなんて知らない、財産を分けてやる気はないと言って……私は抵抗したのですが、押し切られてしまいました」
それからが莉緒さんの反撃の始まりだった。
夫との離婚に乗り出したのだ。屋敷も全て莉緒さんのものだったので、夫は出ていくことを渋って離婚調停は長引いた。そうしているうちに、莉緒さんは茉優ちゃんがどこにいるかを見失ってしまって、数年前に離婚が成立したときには、夫を追い出して茉優ちゃんを引き取る気満々だったのだが、それをできる状態ではなくなっていた。
「お祖母ちゃんは、私のためにお祖父ちゃんと戦ってくれたの……?」
「時間がかかってしまってごめんなさい。財産の分与や屋敷のことで夫とは物凄く揉めて、離婚調停が長引いてしまったの」
横暴な夫を追い出して茉優ちゃんを引き取るつもりだった莉緒さんは、20代の前半で息子さんを産んでいて、息子さんも20歳のときに茉優ちゃんが生まれているので、まだ50代半ばと若かった。
「私のために頑張ってくれたのは分かりました。でも、私、美歌お母さんと安彦さんと奏歌くんと暮らしていて、すごく幸せなんです」
引き離さないで欲しいと茉優ちゃんが主張すると、莉緒さんは目を細める。
「本当に可愛がっていただいているようですね。茉優ちゃんのワンピース、とても似合っているし、髪飾りも素敵」
茉優ちゃんは余所行きのワンピースを着てやっちゃんから貰った髪飾りで髪を纏めていた。それだけでも可愛がられていることを悟ってくれる莉緒さん。
「茉優ちゃんも暮らしが変わるのは大変でしょう。それでも、時々は遊びに来てくださいね」
無理やりに引き取ることを選択せずに、茉優ちゃんの意志のままにしてくれる莉緒さんは本当に茉優ちゃんのことを考えてくれているようだった。
「夫に禁止されていた劇団の応援も、離婚してやっとできるようになったんです。私、瀬川さんの大ファンなんですよ。今度トップスターになるって聞いてどれほど嬉しかったことか」
茉優ちゃんの話が終わると、話は私の方に向いてきた。
「僕、海瑠さんのファンでファンクラブも入っているんです」
「私もファンクラブに入ったんですよ」
「同じですね!」
ハニーブラウンのお目目をきらきらさせた奏歌くんと話も合うようで私は胸を撫で下ろした。
「構えてただけに、ちょっと拍子抜けしたな」
呟くやっちゃんの腕に腕を絡めて茉優ちゃんが爆弾発言をする。
「私、安彦さんが好きなんです。大きくなったら安彦さんと結婚したいと思っています」
「ぶふぉ!」
やっちゃんがお茶を吹いて咳き込んでいる。
「茉優ちゃん、その話は……」
美歌さんも止めようとしているが、莉緒さんは興味深そうに聞いて頷いていた。
「年の差など関係ありません。結婚したいひとと結婚するのが一番です。私は親に言われた通りに見合いをして結婚して、人生を後悔しています。茉優ちゃんがそうならないことを祈っています」
「はい! 応援してください」
「もちろんです。祖母として茉優ちゃんが幸せになれるのを応援しています」
茉優ちゃんとやっちゃんの年の差を考えれば結婚と言われて動揺もするだろうが、そんなこともなく莉緒さんは受け入れてくれている。
「私の財産は全て茉優ちゃんに譲るように遺言書を書きます。ある程度の年齢になったら私は介護付きの老人ホームに入ろうと思っていますし」
老後の心配もしなくて良いと告げる莉緒さんはしゃんと背筋が伸びている。
「もうすぐ私のお誕生日なんです」
「茉優ちゃんのお誕生日には、ぜひ、うちに来てください」
茉優ちゃんと美歌さんのお誘いに莉緒さんは喜んで頷いていた。
劇団ファンのお客様に悪いひとはいないというのは言い過ぎかもしれないが、劇団ファンの莉緒さんは良いひとだった。茉優ちゃんに関しての憂いがなくなってやっちゃんもホッとしているようだった。
美歌さんとやっちゃんはそう考えたようで、奏歌くんと茉優ちゃんの二学期が始まってすぐの休みに茉優ちゃんのお祖母ちゃんに会うことが決まった。どうなることかと思っていたら、私も当然のように誘われていた。
「海瑠さんは、奏歌くんの運命のひとで、私の家族ですから」
小声だが確りと主張してくれる茉優ちゃんが可愛い。私にとっても茉優ちゃんは私の本性を知る唯一のただの人間で、親友のやっちゃんの運命のひとという大事な家族だった。
私が将来奏歌くんと結婚して、やっちゃんと茉優ちゃんが結婚して、美歌さんはさくらと結婚してとなると、やっちゃんは奏歌くんの叔父だし、美歌さんは茉優ちゃんの保護者だし、私と茉優ちゃんは家族になることが決まっているようなものだった。
「安彦さんと引き離されたくない気持ち、海瑠さんなら分かってくれるかと思うんです」
良識派のやっちゃんは茉優ちゃんのお祖母様が良いひとならば茉優ちゃんがお祖母様の元で暮らす方が幸せと判断するかもしれない。そういうときに私はやっちゃんにビシッと言ってやることができると期待されているようだ。
茉優ちゃんの期待には応えなければいけない。
お金だけを求める大人に良いように利用されて、自分は食事も碌に摂らせてもらえなかった茉優ちゃんが、私という大人に頼るのは悪いことではない気がするのだ。
「本当に茉優ちゃんのお祖母様が良い方だったら、茉優ちゃんのお誕生日も一緒に祝いたいでしょうし」
「私を引き取らないで、違う親戚にたらい回しにさせたひとなのよ。私は美歌お母さんと安彦さんと奏歌くんがいればいい」
本当のお祖母様に茉優ちゃんは警戒しているようだった。
まだ残暑の残る日に私は奏歌くんと茉優ちゃんとやっちゃんと美歌さんと一緒に、約束してあるお家を訪ねた。広い日本庭園があって、お屋敷と言うべき広い和風の家は明らかに茉優ちゃんのお祖母様が裕福な暮らしをされていることを示していた。
インターフォンを鳴らすと、和服のご婦人が出てくる。まだお若い雰囲気のご婦人は茉優ちゃんとどことなく似ていて、茶色っぽい髪の毛と目の色をしていた。
「初めまして、夜宮莉緒と申します」
深々と頭を下げるそのご婦人にはほとんど白髪もない。
「初めまして、篠田美歌です。茉優ちゃんの保護者として茉優ちゃんと暮らしています」
「篠田安彦です。美歌の弟で、姉の家にはよく手伝いに行っています」
「篠田奏歌です。茉優ちゃんとは姉弟のように育ちました」
挨拶を交わす莉緒さんと美歌さんとやっちゃんと奏歌くん。
私は何をどう言えばいいか悩んでいる間に、莉緒さんの方から声が上がった。
「瀬川海瑠さんですよね。私、劇団の大ファンで」
「あ、はい、瀬川海瑠です」
スーツ姿でも舞台に立っている濃い化粧と派手な衣装の私と同一人物だと理解されたようだ。莉緒さんは劇団の大ファンだった。
和室に通されて座布団の上に座ってお茶と和菓子をいただく。
莉緒さんはこれまでのことを話してくれた。
「夫とは見合いで結婚しました。結婚生活は冷めていて、夫が私の財産目当てで結婚したことを後から知りましたが、私は若すぎてそれに気付くことができなかった」
一人だけ生まれた息子さんも、莉緒さんの夫は全て自分の思い通りにしようとした。医者にさせようと無理やりに行きたくもない医学部に行かされて、反抗していた息子さんが年上の女性と出会って、駆け落ちしたときにも、莉緒さんはやっと息子さんが自由になれたのだとホッとしたのだという。
「あの子は私たちのあずかり知らないところでも、きっと幸せになれると思っていたのですが、数年後に孫を残して事故で亡くなったと聞いて」
居ても立ってもいられず孫を引き取ろうとする莉緒さんに、夫は酷く反対した。
「夫は、勝手に家を出て行ったやつの子どもなんて知らない、財産を分けてやる気はないと言って……私は抵抗したのですが、押し切られてしまいました」
それからが莉緒さんの反撃の始まりだった。
夫との離婚に乗り出したのだ。屋敷も全て莉緒さんのものだったので、夫は出ていくことを渋って離婚調停は長引いた。そうしているうちに、莉緒さんは茉優ちゃんがどこにいるかを見失ってしまって、数年前に離婚が成立したときには、夫を追い出して茉優ちゃんを引き取る気満々だったのだが、それをできる状態ではなくなっていた。
「お祖母ちゃんは、私のためにお祖父ちゃんと戦ってくれたの……?」
「時間がかかってしまってごめんなさい。財産の分与や屋敷のことで夫とは物凄く揉めて、離婚調停が長引いてしまったの」
横暴な夫を追い出して茉優ちゃんを引き取るつもりだった莉緒さんは、20代の前半で息子さんを産んでいて、息子さんも20歳のときに茉優ちゃんが生まれているので、まだ50代半ばと若かった。
「私のために頑張ってくれたのは分かりました。でも、私、美歌お母さんと安彦さんと奏歌くんと暮らしていて、すごく幸せなんです」
引き離さないで欲しいと茉優ちゃんが主張すると、莉緒さんは目を細める。
「本当に可愛がっていただいているようですね。茉優ちゃんのワンピース、とても似合っているし、髪飾りも素敵」
茉優ちゃんは余所行きのワンピースを着てやっちゃんから貰った髪飾りで髪を纏めていた。それだけでも可愛がられていることを悟ってくれる莉緒さん。
「茉優ちゃんも暮らしが変わるのは大変でしょう。それでも、時々は遊びに来てくださいね」
無理やりに引き取ることを選択せずに、茉優ちゃんの意志のままにしてくれる莉緒さんは本当に茉優ちゃんのことを考えてくれているようだった。
「夫に禁止されていた劇団の応援も、離婚してやっとできるようになったんです。私、瀬川さんの大ファンなんですよ。今度トップスターになるって聞いてどれほど嬉しかったことか」
茉優ちゃんの話が終わると、話は私の方に向いてきた。
「僕、海瑠さんのファンでファンクラブも入っているんです」
「私もファンクラブに入ったんですよ」
「同じですね!」
ハニーブラウンのお目目をきらきらさせた奏歌くんと話も合うようで私は胸を撫で下ろした。
「構えてただけに、ちょっと拍子抜けしたな」
呟くやっちゃんの腕に腕を絡めて茉優ちゃんが爆弾発言をする。
「私、安彦さんが好きなんです。大きくなったら安彦さんと結婚したいと思っています」
「ぶふぉ!」
やっちゃんがお茶を吹いて咳き込んでいる。
「茉優ちゃん、その話は……」
美歌さんも止めようとしているが、莉緒さんは興味深そうに聞いて頷いていた。
「年の差など関係ありません。結婚したいひとと結婚するのが一番です。私は親に言われた通りに見合いをして結婚して、人生を後悔しています。茉優ちゃんがそうならないことを祈っています」
「はい! 応援してください」
「もちろんです。祖母として茉優ちゃんが幸せになれるのを応援しています」
茉優ちゃんとやっちゃんの年の差を考えれば結婚と言われて動揺もするだろうが、そんなこともなく莉緒さんは受け入れてくれている。
「私の財産は全て茉優ちゃんに譲るように遺言書を書きます。ある程度の年齢になったら私は介護付きの老人ホームに入ろうと思っていますし」
老後の心配もしなくて良いと告げる莉緒さんはしゃんと背筋が伸びている。
「もうすぐ私のお誕生日なんです」
「茉優ちゃんのお誕生日には、ぜひ、うちに来てください」
茉優ちゃんと美歌さんのお誘いに莉緒さんは喜んで頷いていた。
劇団ファンのお客様に悪いひとはいないというのは言い過ぎかもしれないが、劇団ファンの莉緒さんは良いひとだった。茉優ちゃんに関しての憂いがなくなってやっちゃんもホッとしているようだった。
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