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五章 奏歌くんとの五年目
2.パリ公演の準備期間
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パリの伝統あるオペラ座との交渉が結ばれて、九月のシルバーウィークと呼ばれる連休のある週を入れた二週間、私たちの劇団はフランス公演が決まった。演目は既に稽古も終盤に入ってきて通し稽古をしているし、フランス行きの気合は十分だった。
やっちゃんも稽古から記事を書くために劇団の稽古場に来ている。
やっちゃんが来ているということは奏歌くんも見学に来ているということで、私はますます気合が入っていた。
源氏物語とはとにかく女性関係と不倫の物語なので10歳の奏歌くんに見せるのに適当なのかは分からないが、奏歌くんは稽古場の端にパイプ椅子を置いてそこにちょこんと座って稽古の様子を見つめている。
ハニーブラウンの目がきらきらと輝きながら私を映しているのを見ると、ますます私は光源氏の美しい正妻、葵上と、かっこいい同僚、頭中将をやり遂げなければと思う。
「女性だけの劇団がパリの伝統的なオペラ座での公演で認められるのか。そこに注目が集まっている」
「やっちゃ……篠田さんの記事ですか?」
「うん、こう書かれると、やるしかないって思うよね!」
記事の草稿をチェックしている華村先輩に声をかけると、華村先輩も気合十分だった。
奏歌くんがときどきやっちゃんに連れられて稽古場を見学することに関して、劇団員は特に気にしていない。それどころか、奏歌くんが可愛いと言ってお菓子を上げようとしたりする劇団員もいる。
今日は茉優ちゃんも一緒で、フランスに行く事務手続きにもやっちゃんは来ているようだった。
茉優ちゃんはやっちゃんの傍から離れずに、奏歌くんのように稽古を見ていたりしない。演劇はそれほど興味がないのかもしれないし、知らないひとがたくさんのこの場所が怖いのかもしれない。
奏歌くんを呼んで、茉優ちゃんと二人、マネージャーの津島さんにやっちゃんが挨拶をしている。
「甥の奏歌はご存じかと思いますが、こっちが姉が引き取っている夜宮茉優です」
「二人とも一緒にフランスに行くんですね」
「姉が夜勤の多い仕事なので、家を空けて、小学生二人では心配なので」
事情を津島さんは知っているが、一応やっちゃんが説明してもう一度確認する。保護者の出張に付いて行くのは、子どもにとっては仕方のないこと。特に奏歌くんや茉優ちゃんのような本当の保護者である美歌さんが看護師という夜勤のある仕事で丸一日以上家を空けることもあって、それをやっちゃんがサポートしていたのならば、やっちゃんが長期の出張になるとなれば、ついて行く以外に選択肢はなかった。
という建前で、奏歌くんは吸血鬼として私の血が必要なのを補う、茉優ちゃんはやっちゃんが吸血鬼として血が必要になったときに助けるというのが本当の目的だった。
津島さんは普通の人間なので、その辺の説明はできないが、建前で十分に理解してくれている。
「海瑠ちゃんがご飯食べなくなったら困りますからね。二週間食べないと、公演どころじゃなくなります」
「かなくんのこと、みっちゃん……瀬川さんは可愛がってくれてますからね」
津島さんの言葉にやっちゃんの表情が柔らかくなる。茉優ちゃんはやっちゃんのシャツの裾を摘まんでずっと後ろに立っていた。
稽古の休憩になると奏歌くんがお弁当を取り出す。
「海瑠さん、一緒に食べよう!」
「やっちゃんと茉優ちゃんは?」
「二人で食べるみたい」
一緒に食べても良かったのだが茉優ちゃんとやっちゃんのお邪魔はしたくない。食堂に行ってお弁当箱を広げると、百合と華村先輩が近付いてくる。
「パリ公演は奏歌くんも一緒に行くんでしょ。よろしくね」
「挨拶しながら、唐揚げを取ろうとしないでよ!」
「いいじゃない。これからの友好の証に!」
素早く箸を伸ばしてくる百合に私はお弁当箱を抱きかかえるようにして守る。やっちゃんが作ってくれた奏歌くんとお揃いのお弁当。これは私のためのものだ。
「唐揚げはやっちゃんが作ったけど、ほうれん草のゴマあえと卵焼きは僕が作ったよ」
「ますます上げられない!」
お弁当箱を抱きかかえていると食べられない。どうすれば百合からお弁当を守りながら食べられるのか。考えていると奏歌くんが笑顔で自分のお弁当箱を差し出していた。
「海瑠さんはいっぱい動いてるから、栄養が必要なんだ。僕の唐揚げあげるから、海瑠さんのを取らないで」
なんて優しい男前!
感激していると、百合がため息をついた。
「成長期のダーリンからもらうわけにはいかないわ。分かった、海瑠のを狙わないから」
百合が諦めてくれた。
さすが奏歌くんと私は感動する。
私の健康を考えて、自分のお弁当を犠牲にしてまで私を守ってくれる小さな男前。四年前に比べたらかなり大きくなったのだけれど、やはり奏歌くんは華奢で小さなイメージが強い。真里さんも小柄なひとだから、似ているのだとすれば奏歌くんはそれほど大きくならないのかもしれない。私の身長を越さなくても奏歌くんは可愛いから良いのだが、奏歌くんは私が大きすぎると気にしてしまうだろうか。
今まで胸が小さいことも、背が高いことも、男役をやる上で利点としか考えていなかった。奏歌くんを好きになってから、自分の背が高いことや胸が小さいことを奏歌くんがどう思っているか、今は何も考えていないかもしれないけれど将来大きくなったらどう思うかが気になってしまう。
「百合さんと華村さんと海瑠さんで、いつも食堂でお昼ご飯を食べてるんですか?」
「海瑠ちゃんは一人で食べたいオーラを出してるから、私たちしか近付けないのよ」
「え!? 華村先輩、私、そんなオーラ出てますか!?」
奏歌くんの問いかけに華村先輩が答えて、私は驚きの声を上げてしまった。奏歌くんと出会う前は一人でいたい、それなのに一人は寂しいという相反する感情を持て余していたけれど、奏歌くんと出会ってから私は変わったつもりだった。
それが華村先輩には周囲を近付けないオーラを出しているように見えるなんて。
「海瑠って、一人が好きなのに孤独が怖い寂しがり屋だからね」
百合にまで言われてしまった。
「ダーリンと出会ってから、海瑠は変わったと思うわよ。ダーリンのおかげで前よりも近寄りがたくなくなったんじゃないかしら。私はそういうの気にしないでガンガン行くけど。空気なんて読むものじゃなくて吸うものよ」
百合が私に対して遠慮しているところは見たことがないし、どちらかといえば図々しい方だ。華村先輩は近寄りがたい私を気にかけてわざわざ近付いてきてくれていたのか。
「華村先輩、ありがとうございます」
「そういう言葉が出るようになったのも、海瑠ちゃんの成長だよね」
自分に気遣われているということを以前は気付くこともできなかったし、理解もできなかったであろう。それを変えてくれたのは奏歌くんの存在だった。
いつでも奏歌くんは私の心の傍にいて、私を孤独から掬い上げてくれる。孤独ではないと分かっているからこそ、私は低い自己評価を変えることができた。
「ダーリン、これからも海瑠ちゃんのこと、よろしくね。フランスでもしっかり一緒にいてあげてね」
「華村先輩まで、私の奏歌くんをダーリンって言わないでください」
冗談めかして言う華村先輩に私が言えば、奏歌くんは表情を引き締めていた。
「海瑠さんのことは僕に任せてください!」
頼りになる言葉に、華村先輩と百合から「おおー!」と歓声が上がる。
「噂通りの男前だ」
「こんなに可愛いのに男前なんてすごいわ」
「6歳のときからなんですよ」
褒められる奏歌くんが嬉しくて私も惚気てしまう。お弁当を食べながら奏歌くんは照れていたようだった。
「焼き立てのバケット、バターたっぷりのクロワッサン! プリン、エクレア、サントノレ、オペラ……フランスはご飯もお菓子も美味しいんだって」
「パリは芸術の街でもあるって書いてある……。チュイルリー公園にはマイヨールやロダンの彫刻があるし、ルーブル美術館があるし、展覧会が開かれてる……」
稽古が終わると篠田家にお邪魔したが、奏歌くんと茉優ちゃんは仲良くフランスの観光雑誌を見ていた。奏歌くんが気になるのは食べ物で、茉優ちゃんが気になるのは芸術のようだ。
「公演が休みの日に外出できるかもしれないな」
「安彦さん、連れてってくれる?」
「行きたいところに付箋はっておいてくれるか?」
茉優ちゃんとやっちゃんのフランス行きも楽しいものになりそうだ。
「海瑠さん、美味しいスイーツ食べに行こうね」
「うん。お店に迷わずに行けるかな」
「やっちゃん、僕が行きたいところも付箋貼っとくからね」
やっちゃんと茉優ちゃんと奏歌くんと私。
パリの休日は四人での行動になりそうだった。
やっちゃんも稽古から記事を書くために劇団の稽古場に来ている。
やっちゃんが来ているということは奏歌くんも見学に来ているということで、私はますます気合が入っていた。
源氏物語とはとにかく女性関係と不倫の物語なので10歳の奏歌くんに見せるのに適当なのかは分からないが、奏歌くんは稽古場の端にパイプ椅子を置いてそこにちょこんと座って稽古の様子を見つめている。
ハニーブラウンの目がきらきらと輝きながら私を映しているのを見ると、ますます私は光源氏の美しい正妻、葵上と、かっこいい同僚、頭中将をやり遂げなければと思う。
「女性だけの劇団がパリの伝統的なオペラ座での公演で認められるのか。そこに注目が集まっている」
「やっちゃ……篠田さんの記事ですか?」
「うん、こう書かれると、やるしかないって思うよね!」
記事の草稿をチェックしている華村先輩に声をかけると、華村先輩も気合十分だった。
奏歌くんがときどきやっちゃんに連れられて稽古場を見学することに関して、劇団員は特に気にしていない。それどころか、奏歌くんが可愛いと言ってお菓子を上げようとしたりする劇団員もいる。
今日は茉優ちゃんも一緒で、フランスに行く事務手続きにもやっちゃんは来ているようだった。
茉優ちゃんはやっちゃんの傍から離れずに、奏歌くんのように稽古を見ていたりしない。演劇はそれほど興味がないのかもしれないし、知らないひとがたくさんのこの場所が怖いのかもしれない。
奏歌くんを呼んで、茉優ちゃんと二人、マネージャーの津島さんにやっちゃんが挨拶をしている。
「甥の奏歌はご存じかと思いますが、こっちが姉が引き取っている夜宮茉優です」
「二人とも一緒にフランスに行くんですね」
「姉が夜勤の多い仕事なので、家を空けて、小学生二人では心配なので」
事情を津島さんは知っているが、一応やっちゃんが説明してもう一度確認する。保護者の出張に付いて行くのは、子どもにとっては仕方のないこと。特に奏歌くんや茉優ちゃんのような本当の保護者である美歌さんが看護師という夜勤のある仕事で丸一日以上家を空けることもあって、それをやっちゃんがサポートしていたのならば、やっちゃんが長期の出張になるとなれば、ついて行く以外に選択肢はなかった。
という建前で、奏歌くんは吸血鬼として私の血が必要なのを補う、茉優ちゃんはやっちゃんが吸血鬼として血が必要になったときに助けるというのが本当の目的だった。
津島さんは普通の人間なので、その辺の説明はできないが、建前で十分に理解してくれている。
「海瑠ちゃんがご飯食べなくなったら困りますからね。二週間食べないと、公演どころじゃなくなります」
「かなくんのこと、みっちゃん……瀬川さんは可愛がってくれてますからね」
津島さんの言葉にやっちゃんの表情が柔らかくなる。茉優ちゃんはやっちゃんのシャツの裾を摘まんでずっと後ろに立っていた。
稽古の休憩になると奏歌くんがお弁当を取り出す。
「海瑠さん、一緒に食べよう!」
「やっちゃんと茉優ちゃんは?」
「二人で食べるみたい」
一緒に食べても良かったのだが茉優ちゃんとやっちゃんのお邪魔はしたくない。食堂に行ってお弁当箱を広げると、百合と華村先輩が近付いてくる。
「パリ公演は奏歌くんも一緒に行くんでしょ。よろしくね」
「挨拶しながら、唐揚げを取ろうとしないでよ!」
「いいじゃない。これからの友好の証に!」
素早く箸を伸ばしてくる百合に私はお弁当箱を抱きかかえるようにして守る。やっちゃんが作ってくれた奏歌くんとお揃いのお弁当。これは私のためのものだ。
「唐揚げはやっちゃんが作ったけど、ほうれん草のゴマあえと卵焼きは僕が作ったよ」
「ますます上げられない!」
お弁当箱を抱きかかえていると食べられない。どうすれば百合からお弁当を守りながら食べられるのか。考えていると奏歌くんが笑顔で自分のお弁当箱を差し出していた。
「海瑠さんはいっぱい動いてるから、栄養が必要なんだ。僕の唐揚げあげるから、海瑠さんのを取らないで」
なんて優しい男前!
感激していると、百合がため息をついた。
「成長期のダーリンからもらうわけにはいかないわ。分かった、海瑠のを狙わないから」
百合が諦めてくれた。
さすが奏歌くんと私は感動する。
私の健康を考えて、自分のお弁当を犠牲にしてまで私を守ってくれる小さな男前。四年前に比べたらかなり大きくなったのだけれど、やはり奏歌くんは華奢で小さなイメージが強い。真里さんも小柄なひとだから、似ているのだとすれば奏歌くんはそれほど大きくならないのかもしれない。私の身長を越さなくても奏歌くんは可愛いから良いのだが、奏歌くんは私が大きすぎると気にしてしまうだろうか。
今まで胸が小さいことも、背が高いことも、男役をやる上で利点としか考えていなかった。奏歌くんを好きになってから、自分の背が高いことや胸が小さいことを奏歌くんがどう思っているか、今は何も考えていないかもしれないけれど将来大きくなったらどう思うかが気になってしまう。
「百合さんと華村さんと海瑠さんで、いつも食堂でお昼ご飯を食べてるんですか?」
「海瑠ちゃんは一人で食べたいオーラを出してるから、私たちしか近付けないのよ」
「え!? 華村先輩、私、そんなオーラ出てますか!?」
奏歌くんの問いかけに華村先輩が答えて、私は驚きの声を上げてしまった。奏歌くんと出会う前は一人でいたい、それなのに一人は寂しいという相反する感情を持て余していたけれど、奏歌くんと出会ってから私は変わったつもりだった。
それが華村先輩には周囲を近付けないオーラを出しているように見えるなんて。
「海瑠って、一人が好きなのに孤独が怖い寂しがり屋だからね」
百合にまで言われてしまった。
「ダーリンと出会ってから、海瑠は変わったと思うわよ。ダーリンのおかげで前よりも近寄りがたくなくなったんじゃないかしら。私はそういうの気にしないでガンガン行くけど。空気なんて読むものじゃなくて吸うものよ」
百合が私に対して遠慮しているところは見たことがないし、どちらかといえば図々しい方だ。華村先輩は近寄りがたい私を気にかけてわざわざ近付いてきてくれていたのか。
「華村先輩、ありがとうございます」
「そういう言葉が出るようになったのも、海瑠ちゃんの成長だよね」
自分に気遣われているということを以前は気付くこともできなかったし、理解もできなかったであろう。それを変えてくれたのは奏歌くんの存在だった。
いつでも奏歌くんは私の心の傍にいて、私を孤独から掬い上げてくれる。孤独ではないと分かっているからこそ、私は低い自己評価を変えることができた。
「ダーリン、これからも海瑠ちゃんのこと、よろしくね。フランスでもしっかり一緒にいてあげてね」
「華村先輩まで、私の奏歌くんをダーリンって言わないでください」
冗談めかして言う華村先輩に私が言えば、奏歌くんは表情を引き締めていた。
「海瑠さんのことは僕に任せてください!」
頼りになる言葉に、華村先輩と百合から「おおー!」と歓声が上がる。
「噂通りの男前だ」
「こんなに可愛いのに男前なんてすごいわ」
「6歳のときからなんですよ」
褒められる奏歌くんが嬉しくて私も惚気てしまう。お弁当を食べながら奏歌くんは照れていたようだった。
「焼き立てのバケット、バターたっぷりのクロワッサン! プリン、エクレア、サントノレ、オペラ……フランスはご飯もお菓子も美味しいんだって」
「パリは芸術の街でもあるって書いてある……。チュイルリー公園にはマイヨールやロダンの彫刻があるし、ルーブル美術館があるし、展覧会が開かれてる……」
稽古が終わると篠田家にお邪魔したが、奏歌くんと茉優ちゃんは仲良くフランスの観光雑誌を見ていた。奏歌くんが気になるのは食べ物で、茉優ちゃんが気になるのは芸術のようだ。
「公演が休みの日に外出できるかもしれないな」
「安彦さん、連れてってくれる?」
「行きたいところに付箋はっておいてくれるか?」
茉優ちゃんとやっちゃんのフランス行きも楽しいものになりそうだ。
「海瑠さん、美味しいスイーツ食べに行こうね」
「うん。お店に迷わずに行けるかな」
「やっちゃん、僕が行きたいところも付箋貼っとくからね」
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