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四章 奏歌くんとの四年目
27.お誕生日の特別ランチ
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誕生日お祝いに来てくれた五月の休みの日、奏歌くんは水色のストライプのエプロンを身に着けて表情を引き締めていた。
「お誕生日の特別ディナーはやっちゃんと作って来たから、今日は特別ランチでいい?」
「ディナーは作って来てくれて、ランチもあるの!?」
物凄く贅沢なお誕生日お祝いに私は喜んでこくこくと頷く。私も薄紫のストライプのエプロンを着けてキッチンに立った。
奏歌くんがキャベツをザクザクと切って洗う。もやしも洗って、人参は洗って皮を剥いて薄切りにする。
豚肉を切ってフライパンに油を引いたところで私の方を見た。
「火を使うから、海瑠さん、見てて」
「見てるだけでいい? 手伝うことはない?」
「がんばれ、がんばれって、応援して!」
大事な役目を任されてしまった。
一生懸命豚肉に塩コショウをして炒める奏歌くんを「頑張れ! 頑張れ!」と応援する。奏歌くんはニンジンとキャベツともやしも加えてフライパンの上で炒めていった。
奏歌くんの前髪の下、白い額に汗が滲む。
火は熱いし、一生懸命なので汗ばんでいるのだろう。
塩コショウで炒めた豚肉や野菜がフライパンから出てしまわないように一生懸命炒めている姿はかっこいい。
「これで火が通ったかな。海瑠さん、お湯を沸かして、このカップに入れて来てくれる?」
お湯の扱いもまだ大人に頼むように言われている奏歌くん。私が電気ケトルでお湯を沸かしてカップに入れて持って行くと、奏歌くんは袋のインスタント麺を開けていた。
炒めた豚肉と野菜を他のお皿に退けて、フライパンの上で二人分の麺をお湯で戻して行く。元々お湯なのですぐに沸騰すると、奏歌くんが箸で解す麺が柔らかくなっているのが分かる。
お湯が完全に蒸発して麺が柔らかくなったところで、奏歌くんはお皿に退けておいた豚肉と野菜を戻して、ソースを入れてもう一度炒めた。
できあがったのは野菜たっぷりの焼きそばだった。
お皿の上に盛って、上に鰹節をぱらぱらとかけて奏歌くんはお皿を私に差し出した。
「海香さんの焼きそばで、海瑠さんが嫌な思い出があるなら、僕の焼きそばでぬりかえちゃおうと思って」
誕生日に宙夢さんと海香のいる席で私が言ったことを奏歌くんは覚えていてくれたのだ。嬉しくなって奏歌くんと一緒にリビングのテーブルについて焼きそばを食べ始める。
「びしゃびしゃじゃない!」
「うん! 麺もちょうどいいくらいだね」
「うん、とっても美味しい」
奏歌くんが9歳なりに一生懸命作ってくれた焼きそばは、今まで食べたどんなものよりも美味しい気がしていた。
「卵焼きもずっと怖かったの。中に殻が入ってるんじゃないかって。でも奏歌くんの卵焼きは大好物よ」
奏歌くんは私の卵焼きに対するトラウマを払拭してくれた。それだけでなく、今度は焼きそばに対する嫌な思い出も消してくれた。
私にとってこれからは焼きそばは麺はボキボキで野菜は生焼けなものではなくて、奏歌くんの作ったもっちり美味しい麺にソースが絡む焼きそばへと変わっていた。
奏歌くんと出会って色んなことが変わったが、奏歌くんは積極的に私の悪い思い出を消して、新しく塗り替えてくれようとしている。
「晩ご飯は、サーモンのマリネのサラダと、チーズハンバーグ、お野菜のポトフ風煮込みだよ」
「それも奏歌くんが作ってくれたの?」
「全部は無理だったけど、やっちゃんに手伝ってもらって作ったんだ」
昼ご飯は焼きそばを目の前で作ってもらえて、晩御飯は奏歌くんの作ったサーモンのマリネのサラダとチーズハンバーグとお野菜のポトフ風煮込みを食べられる。
本当に贅沢なお誕生日が過ごせることに私は奏歌くんに深く感謝していた。
誕生日当日はファンの皆様のためにお茶会やディナーショーがあったし、あまり自分の誕生日を気にしていなかった私だが、今では誕生日が来るのが嬉しいくらいである。
「奏歌くんのおかげで私も無事に28歳になれたな」
「僕は七月で10歳だよ。二桁になるよ」
9歳と10歳。一年しか違わないが、言われてみれば一桁と二桁で大きく違う。
来年の一月には小学校で奏歌くんのハーフ成人式も行われる。
奏歌くんのお祝いを今年は特に豪華なものにしたいと私は心を決めた。
晩ご飯のサーモンのマリネのサラダはサーモンと薄切りの玉ねぎがマリネされていて、ハンバーグにはチーズが入っていて、お野菜のポトフ風煮込みも暖かくて美味しくて私は大満足だった。
食べ終わると奏歌くんが冷蔵庫の中からガラスの容器を持って来る。小さなガラスの容器には、ベリーのソースのかかったレアチーズケーキが入っていた。
「今年もレアチーズケーキだけど」
「嬉しい! これ、大好きなんだ」
私がチーズが好きだと気付いてくれたのは奏歌くんだった。ハンバーグにチーズを入れてくれたのも私がチーズが好きだと知っているからだろう。デザートもチーズケーキで喜んでいると、奏歌くんが「ハッピーバースデー」の歌を歌ってくれる。
誕生日は過ぎていたが、今日が誕生日でも良いような気になって来る。
「おめでとう、海瑠さん」
「ありがとう、奏歌くん」
今日は本当に幸せだった。
そのことを告げると奏歌くんの頬が赤くなった。
食後は食器を食洗器に入れて、奏歌くんはお風呂に入って、入れ替わりで私がお風呂に入る。お風呂から出て奏歌くんの髪を乾かそうと近寄って行ったら、奏歌くんが自分でドライヤーで乾かそうとしていた。
「奏歌くん!?」
「え? どうかした?」
「私が奏歌くんのさらさらふわふわの髪を乾かしてあげるのが楽しみなのにぃ!」
まだ完全に乾いてないことを確かめて奏歌くんからドライヤーを受け取って乾かすと、奏歌くんが照れ臭そうに言う。
「僕もそろそろ自分でできるようにならないといけないと思って」
「私にだけは甘えて!」
「う、うん」
それでもいつかは奏歌くんは私のドライヤーを卒業してしまうのか。考えるだけで寂しくなってしまう。
「海瑠さん、さくらちゃんのことなんだけどね」
眠る前に奏歌くんから相談された。
「折り畳み式のベビーベッドがあるみたいなんだ。それを置いてたら、いつでもさくらちゃんを預かれるんじゃないかな?」
「どんなの?」
携帯電話を取り出して奏歌くんと鳥籠のソファに座りながら二人で携帯電話の画面を覗き込む。検索して調べてみると、金属の骨組みに布を張ったようなベビーベッドが出て来た。これならば普段は畳んでおいて、さくらが来たときには広げればいい。
いつさくらを預かって欲しいとお願いされるかは分からないけれど、2歳まで使えると書いてあるから、買った方が安心かもしれない。
「注文する」
「さくらちゃん、来ないかな」
小さくて可愛かったとしみじみ言う奏歌くんに、私はずいっと顔を近付ける。
「海瑠さんも可愛いよ」
空気を読んでちゃんと答えてくれる奏歌くんを抱き上げて、リフトして踊りながら寝室まで行った。
まだ奏歌くんは一緒に寝てくれる。
でももう四年生。そろそろ覚悟しなければいけないのかもしれない。
奏歌くんの成長は嬉しいが離れていくのは寂しい私だった。
奏歌くんのお誕生日が近付いてくる。
六月の小雨の降る日、私は一人、やっちゃんの部屋を訪ねていた。やっちゃんは部屋に茉優ちゃんを呼んで待っていてくれる。
「今日はよろしくお願いします」
「まぁ、無理しない程度に」
「師匠、頑張ります!」
「やめて、師匠とか。気持ち悪いから」
気持ち悪いと言われてしまった。
今年も奏歌くんにスペシャルディナーを作るために私はやっちゃんの家に修行にやって来たのだ。一日では終わらないかもしれないから、数日に分けて通って、最終的には奏歌くんの誕生日会を私の部屋でする前日にケーキを焼かせてもらう約束もしていた。
この期間は奏歌くんと過ごす時間が短くなってしまうが、それも奏歌くんのスペシャルディナーのために仕方がないのだ。
「肉と付け合わせの野菜を焼く。それに、インスタントのオニオンスープでどうだろう」
「肉を、焼く……!?」
肉など焼いたことがない。
どうやって焼けばいいのだろう。
なんの肉を焼けばいいのだろう。
全く想像のつかない私にやっちゃんは続ける。
「牛肉なら、多少火が通ってなくても平気だから」
「牛肉は火が通ってなくても平気なの?」
分かっていない私に、豚肉や鶏肉は寄生虫や菌があるので生では食べられないが、牛肉はひとに害のある寄生虫や菌がないので生焼けでも食べられることをやっちゃんは丁寧に教えてくれる。
「といっても、生焼けだと美味しくないし、焼けすぎると硬くなって美味しくないから、焼き加減はある程度覚えよう」
「できるかなぁ……」
「かなくんに見ててもらえばいいよ」
美味しいものを食べたいから奏歌くんの手を借りるのはある程度仕方がないのかもしれない。
気合を入れて私は修行に挑んだ。
「お誕生日の特別ディナーはやっちゃんと作って来たから、今日は特別ランチでいい?」
「ディナーは作って来てくれて、ランチもあるの!?」
物凄く贅沢なお誕生日お祝いに私は喜んでこくこくと頷く。私も薄紫のストライプのエプロンを着けてキッチンに立った。
奏歌くんがキャベツをザクザクと切って洗う。もやしも洗って、人参は洗って皮を剥いて薄切りにする。
豚肉を切ってフライパンに油を引いたところで私の方を見た。
「火を使うから、海瑠さん、見てて」
「見てるだけでいい? 手伝うことはない?」
「がんばれ、がんばれって、応援して!」
大事な役目を任されてしまった。
一生懸命豚肉に塩コショウをして炒める奏歌くんを「頑張れ! 頑張れ!」と応援する。奏歌くんはニンジンとキャベツともやしも加えてフライパンの上で炒めていった。
奏歌くんの前髪の下、白い額に汗が滲む。
火は熱いし、一生懸命なので汗ばんでいるのだろう。
塩コショウで炒めた豚肉や野菜がフライパンから出てしまわないように一生懸命炒めている姿はかっこいい。
「これで火が通ったかな。海瑠さん、お湯を沸かして、このカップに入れて来てくれる?」
お湯の扱いもまだ大人に頼むように言われている奏歌くん。私が電気ケトルでお湯を沸かしてカップに入れて持って行くと、奏歌くんは袋のインスタント麺を開けていた。
炒めた豚肉と野菜を他のお皿に退けて、フライパンの上で二人分の麺をお湯で戻して行く。元々お湯なのですぐに沸騰すると、奏歌くんが箸で解す麺が柔らかくなっているのが分かる。
お湯が完全に蒸発して麺が柔らかくなったところで、奏歌くんはお皿に退けておいた豚肉と野菜を戻して、ソースを入れてもう一度炒めた。
できあがったのは野菜たっぷりの焼きそばだった。
お皿の上に盛って、上に鰹節をぱらぱらとかけて奏歌くんはお皿を私に差し出した。
「海香さんの焼きそばで、海瑠さんが嫌な思い出があるなら、僕の焼きそばでぬりかえちゃおうと思って」
誕生日に宙夢さんと海香のいる席で私が言ったことを奏歌くんは覚えていてくれたのだ。嬉しくなって奏歌くんと一緒にリビングのテーブルについて焼きそばを食べ始める。
「びしゃびしゃじゃない!」
「うん! 麺もちょうどいいくらいだね」
「うん、とっても美味しい」
奏歌くんが9歳なりに一生懸命作ってくれた焼きそばは、今まで食べたどんなものよりも美味しい気がしていた。
「卵焼きもずっと怖かったの。中に殻が入ってるんじゃないかって。でも奏歌くんの卵焼きは大好物よ」
奏歌くんは私の卵焼きに対するトラウマを払拭してくれた。それだけでなく、今度は焼きそばに対する嫌な思い出も消してくれた。
私にとってこれからは焼きそばは麺はボキボキで野菜は生焼けなものではなくて、奏歌くんの作ったもっちり美味しい麺にソースが絡む焼きそばへと変わっていた。
奏歌くんと出会って色んなことが変わったが、奏歌くんは積極的に私の悪い思い出を消して、新しく塗り替えてくれようとしている。
「晩ご飯は、サーモンのマリネのサラダと、チーズハンバーグ、お野菜のポトフ風煮込みだよ」
「それも奏歌くんが作ってくれたの?」
「全部は無理だったけど、やっちゃんに手伝ってもらって作ったんだ」
昼ご飯は焼きそばを目の前で作ってもらえて、晩御飯は奏歌くんの作ったサーモンのマリネのサラダとチーズハンバーグとお野菜のポトフ風煮込みを食べられる。
本当に贅沢なお誕生日が過ごせることに私は奏歌くんに深く感謝していた。
誕生日当日はファンの皆様のためにお茶会やディナーショーがあったし、あまり自分の誕生日を気にしていなかった私だが、今では誕生日が来るのが嬉しいくらいである。
「奏歌くんのおかげで私も無事に28歳になれたな」
「僕は七月で10歳だよ。二桁になるよ」
9歳と10歳。一年しか違わないが、言われてみれば一桁と二桁で大きく違う。
来年の一月には小学校で奏歌くんのハーフ成人式も行われる。
奏歌くんのお祝いを今年は特に豪華なものにしたいと私は心を決めた。
晩ご飯のサーモンのマリネのサラダはサーモンと薄切りの玉ねぎがマリネされていて、ハンバーグにはチーズが入っていて、お野菜のポトフ風煮込みも暖かくて美味しくて私は大満足だった。
食べ終わると奏歌くんが冷蔵庫の中からガラスの容器を持って来る。小さなガラスの容器には、ベリーのソースのかかったレアチーズケーキが入っていた。
「今年もレアチーズケーキだけど」
「嬉しい! これ、大好きなんだ」
私がチーズが好きだと気付いてくれたのは奏歌くんだった。ハンバーグにチーズを入れてくれたのも私がチーズが好きだと知っているからだろう。デザートもチーズケーキで喜んでいると、奏歌くんが「ハッピーバースデー」の歌を歌ってくれる。
誕生日は過ぎていたが、今日が誕生日でも良いような気になって来る。
「おめでとう、海瑠さん」
「ありがとう、奏歌くん」
今日は本当に幸せだった。
そのことを告げると奏歌くんの頬が赤くなった。
食後は食器を食洗器に入れて、奏歌くんはお風呂に入って、入れ替わりで私がお風呂に入る。お風呂から出て奏歌くんの髪を乾かそうと近寄って行ったら、奏歌くんが自分でドライヤーで乾かそうとしていた。
「奏歌くん!?」
「え? どうかした?」
「私が奏歌くんのさらさらふわふわの髪を乾かしてあげるのが楽しみなのにぃ!」
まだ完全に乾いてないことを確かめて奏歌くんからドライヤーを受け取って乾かすと、奏歌くんが照れ臭そうに言う。
「僕もそろそろ自分でできるようにならないといけないと思って」
「私にだけは甘えて!」
「う、うん」
それでもいつかは奏歌くんは私のドライヤーを卒業してしまうのか。考えるだけで寂しくなってしまう。
「海瑠さん、さくらちゃんのことなんだけどね」
眠る前に奏歌くんから相談された。
「折り畳み式のベビーベッドがあるみたいなんだ。それを置いてたら、いつでもさくらちゃんを預かれるんじゃないかな?」
「どんなの?」
携帯電話を取り出して奏歌くんと鳥籠のソファに座りながら二人で携帯電話の画面を覗き込む。検索して調べてみると、金属の骨組みに布を張ったようなベビーベッドが出て来た。これならば普段は畳んでおいて、さくらが来たときには広げればいい。
いつさくらを預かって欲しいとお願いされるかは分からないけれど、2歳まで使えると書いてあるから、買った方が安心かもしれない。
「注文する」
「さくらちゃん、来ないかな」
小さくて可愛かったとしみじみ言う奏歌くんに、私はずいっと顔を近付ける。
「海瑠さんも可愛いよ」
空気を読んでちゃんと答えてくれる奏歌くんを抱き上げて、リフトして踊りながら寝室まで行った。
まだ奏歌くんは一緒に寝てくれる。
でももう四年生。そろそろ覚悟しなければいけないのかもしれない。
奏歌くんの成長は嬉しいが離れていくのは寂しい私だった。
奏歌くんのお誕生日が近付いてくる。
六月の小雨の降る日、私は一人、やっちゃんの部屋を訪ねていた。やっちゃんは部屋に茉優ちゃんを呼んで待っていてくれる。
「今日はよろしくお願いします」
「まぁ、無理しない程度に」
「師匠、頑張ります!」
「やめて、師匠とか。気持ち悪いから」
気持ち悪いと言われてしまった。
今年も奏歌くんにスペシャルディナーを作るために私はやっちゃんの家に修行にやって来たのだ。一日では終わらないかもしれないから、数日に分けて通って、最終的には奏歌くんの誕生日会を私の部屋でする前日にケーキを焼かせてもらう約束もしていた。
この期間は奏歌くんと過ごす時間が短くなってしまうが、それも奏歌くんのスペシャルディナーのために仕方がないのだ。
「肉と付け合わせの野菜を焼く。それに、インスタントのオニオンスープでどうだろう」
「肉を、焼く……!?」
肉など焼いたことがない。
どうやって焼けばいいのだろう。
なんの肉を焼けばいいのだろう。
全く想像のつかない私にやっちゃんは続ける。
「牛肉なら、多少火が通ってなくても平気だから」
「牛肉は火が通ってなくても平気なの?」
分かっていない私に、豚肉や鶏肉は寄生虫や菌があるので生では食べられないが、牛肉はひとに害のある寄生虫や菌がないので生焼けでも食べられることをやっちゃんは丁寧に教えてくれる。
「といっても、生焼けだと美味しくないし、焼けすぎると硬くなって美味しくないから、焼き加減はある程度覚えよう」
「できるかなぁ……」
「かなくんに見ててもらえばいいよ」
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