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四章 奏歌くんとの四年目
23.姪のさくらちゃん誕生
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海香の赤ん坊が生まれたのは春公演の始まる前、奏歌くんが春休みに入った三月の下旬のことだった。稽古場に連絡が入ったとき奏歌くんは私の部屋にお泊りでお留守番をしていた。
「早く行ってあげて!」
マネージャーの津島さんに送ってもらう途中でマンションの部屋に寄って私は奏歌くんを連れて病院に行った。病院では宙夢さんが待っていてくれた。病室に行くと赤ちゃんがベビーベッドのようなものに乗せられて海香の隣りで眠っている。疲れ切って髪も乱れ、顔色も悪い海香だが、宙夢さんに声をかけられて、目を開けた。
「海香さん、海瑠さんと奏歌くんが来てくれたよ」
「海瑠、奏歌くん、いらっしゃい」
声も掠れている海香に起きないように手で示すと、げっそりとしていた。
「一晩中かかってやっと生まれたのよ。こんなに大変だなんて思わなかった」
「お疲れ様、海香さん。ほら、こんなに可愛い女の子だよ」
海香を労ってから宙夢さんが産着を着ている小さな赤ちゃんを抱き上げる。どうすればいいか分からずに挙動不審になっていると、奏歌くんが手を差し出した。
「抱っこさせてください」
ハニーブラウンの目をきらきらと輝かせる奏歌くんに、宙夢さんは説明する。
「首が据わってないから、肘を曲げてそこに頭を乗せてあげて。もう片方の手で身体を支えて……手を放すよ?」
「はい」
宙夢さんの腕から奏歌くんの腕に移る赤ちゃん。可愛い奏歌くんが、小さくてふよふよの可愛い赤ちゃんを抱っこしている姿なんて可愛すぎる。思わず私は携帯電話で写真を撮っていた。
「海香さんも抱っこしないの?」
「え? わ、私?」
「抱っこしてあげてください!」
宙夢さんに言われて私は身構える。私の腕力と手の大きさなら落とすことはないだろうが、首が据わっていない赤ん坊に触るのは初めてだった。まず奏歌くんから宙夢さんに赤ちゃんが戻されて、宙夢さんの手から私の腕に赤ちゃんが乗せられる。
小さい。それにすごく軽い。
あまりの小ささに驚いていると、赤ちゃんが起きてぐずって泣き出した。
「あぁぁ! ど、どうすれば?」
「オムツかな? 見てみましょう」
ベビーベッドに下ろされた赤ちゃんは宙夢さんにオムツを見てもらっていた。完璧に疲れ切っている海香をこれ以上疲労させないようにそこで帰ろうとする私を奏歌くんが止める。
「お名前、聞いてないよ。聞いておきたいな」
「そうだった。赤ちゃん、お名前はなんですか?」
奏歌くんに指摘されて私が問いかけると、宙夢さんが答えてくれる。
「さくらです。桜の季節に生まれたから、平仮名でさくら。これからよろしくお願いします」
「はい! また会いに来ます!」
実感のない私よりも奏歌くんの方が余程赤ちゃん、さくらちゃんを可愛がりそうな勢いだった。帰りのタクシーでも奏歌くんはさくらちゃんのことを言っていた。
「可愛かったな、さくらちゃん。小さくて黒髪で」
何となくだが、私はあの子も私と同じワーキャットの匂いを嗅ぎつけていた。同種であったから警戒心が働いてしまったのかもしれない。私の姪なのに行けないと思うのだが、どうしても胸にもやもやが残る。
「妹みたい……さくらちゃん」
うっとりしている奏歌くんと部屋に帰って、奏歌くんを鳥籠のソファに座らせて膝の上に頭を乗せる。ぐりぐりと顔を奏歌くんに擦り付けていると、くすくすと笑われる。
「海瑠さん、くすぐったいよ」
「奏歌くんの一番の子猫ちゃんは私だもん」
口を突いて出た言葉に、奏歌くんがお目目を丸くする。
そうだったのか。
今奏歌くんに顔を摺り寄せているのも、赤ちゃんの匂いが付いているから私の匂いに上書きしようとしているのだ。私は赤ちゃんに嫉妬してしまっていた。
「海瑠さんは僕の運命のひとで、誰も替われないひとだよ」
「うん……でも、奏歌くんが赤ちゃんを可愛い可愛い言うから、つい」
嫉妬しちゃったの。
白状すると奏歌くんが私の身体に抱き付いてくる。
「もう、海瑠さんは可愛いんだから」
嫉妬する醜い私を奏歌くんは可愛いと言ってくれる。受け入れられて奏歌くんに気持ちを伝えられると、さくらちゃんのことがちょっと可愛く思えるような気がしてきた。
「奏歌くん、さくらちゃんを預かってって言われたら、どうしよう?」
「僕、赤ちゃんのお風呂の入れ方知らない!」
練習しなければいけない。
私と奏歌くんは真剣だった。
パソコンを持ち出して赤ちゃんの沐浴の仕方を教える動画を見始めた。
「首を支えて、正面からお湯をかける」
「背中の方に向けて、背中を洗う……僕だと難しそう」
「私、できる気がする」
「石鹸で滑るから気を付けなきゃいけないって」
動画を何度も再生して注意点をメモに書いて私たちは予習をした。まだ頼まれてもいないが、これでさくらちゃんを預かって欲しいと頼まれても安心な気持ちになっていた。
春公演が始まる。
四月の始めの奏歌くんが春休みの時期にチケットでお招きしていた。
やっちゃんと茉優ちゃんはクリスマス公演には来てくれるが、それ以外はあまり興味がないようだったので、美歌さんと奏歌くんにチケットを渡そうとしたら、美歌さんは沙紀ちゃんに譲るように言ってくれた。
「奏歌のこと、沙紀ちゃんなら任せられると思います」
毎回沙紀ちゃんはチケットが取れないと悲しんでいた。今回も取れていないのかと連絡してみると、大喜びでチケットを取りに来た。
近くの公園で待ち合わせをしてチケットを渡す。
「いいんですか!?」
「奏歌くんのこと、送り迎えしてくれる?」
「もちろんです! 奏歌くんとは仲良しですから!」
同じ海瑠さん推しで!
とか言われたけれど、あまり意味が分からない。
一緒にいた奏歌くんがぺこりと頭を下げた。
「当日はよろしく」
「うん、一緒に行こうね」
年は少し離れているし、女子高生と男子小学生だけれど沙紀ちゃんと奏歌くんは仲良しだ。そこに恋愛感情を挟まない男女の友情というのがあるのだと実感させてくれる。
「バレンタインデーはね、海瑠さんとバレンタインフェアに行って、チョコレートを買って交換したんだ」
「私も海瑠さんに上げたかった!」
「海瑠さんはファンからはお手紙しか受け取れないけど、沙紀ちゃんなら受け取っても良いんじゃないかな」
以前に高校の先輩にチョコレートを上げていた沙紀ちゃんは、今は私がチョコレートを上げる対象になっているようだった。お世話になっているし、真里さんに対しては沙紀ちゃんの無意識のご加護が非常に有効なので、沙紀ちゃんとは仲良くしておいた方が良い。
「チョコレート、奏歌くんと一緒に食べて良いなら、受け取るよ」
私が言うと沙紀ちゃんはすごく喜んでいた。
「DVDもパンフレットも雑誌も買ってるけど、推しには貢ぎたいものですからね」
推しには貢ぎたい?
沙紀ちゃんはよく分からないことを言う。
私のファンだから私に関連するものが欲しいという意味なのだろうと私は納得しておいた。
春公演は間近に迫っている。
稽古場では百合も華村先輩も喜咲さんも前園さんも、通し稽古が終わると座り込んだり、椅子に座って休んでいることが多かった。休憩中もストレッチをして次の群舞に備える私に百合と華村先輩と喜咲さんと前園さんに妙な目で見られている気がする。
「海瑠……なんで平気なわけ?」
「へ? 何が?」
百合が亡霊のような顔で問いかけてくる。
「私たち、ストーリー上でもダンスがあって、劇中劇ではバレエを踊って、公演時間ずっと踊りっぱなしなんですよ?」
「おかげで私、体重が減った気がするわ」
喜咲さんと華村先輩の言葉に私は「あ」と声を上げた。
ミュージカルなのでダンスは当然あるが、それ以外にもバレエの舞台をそれらしくみせるためにみっちりとバレエの基礎の稽古をして臨む今回の舞台。
公演が終わった後には男役の群舞や、女役と男役のダンスなどもきっちりと入っている。
「あー……前ならヘロヘロだったかもしれないけど、奏歌くんとちゃんとご飯食べてるからなぁ」
食事を疎かにしていた24歳までの私だったら、耐え切れずに舞台が終わったら倒れていたかもしれないが、今の私は体力に満ち溢れていた。その上ワーキャットの生命力もあるのだ。
「海瑠さん、私たちよりダンスの量が多いのに……」
「海瑠はやっぱりゴリラ……」
喜咲さんの言葉に続いた、失礼な百合の言葉は聞かなかったことにした。
「早く行ってあげて!」
マネージャーの津島さんに送ってもらう途中でマンションの部屋に寄って私は奏歌くんを連れて病院に行った。病院では宙夢さんが待っていてくれた。病室に行くと赤ちゃんがベビーベッドのようなものに乗せられて海香の隣りで眠っている。疲れ切って髪も乱れ、顔色も悪い海香だが、宙夢さんに声をかけられて、目を開けた。
「海香さん、海瑠さんと奏歌くんが来てくれたよ」
「海瑠、奏歌くん、いらっしゃい」
声も掠れている海香に起きないように手で示すと、げっそりとしていた。
「一晩中かかってやっと生まれたのよ。こんなに大変だなんて思わなかった」
「お疲れ様、海香さん。ほら、こんなに可愛い女の子だよ」
海香を労ってから宙夢さんが産着を着ている小さな赤ちゃんを抱き上げる。どうすればいいか分からずに挙動不審になっていると、奏歌くんが手を差し出した。
「抱っこさせてください」
ハニーブラウンの目をきらきらと輝かせる奏歌くんに、宙夢さんは説明する。
「首が据わってないから、肘を曲げてそこに頭を乗せてあげて。もう片方の手で身体を支えて……手を放すよ?」
「はい」
宙夢さんの腕から奏歌くんの腕に移る赤ちゃん。可愛い奏歌くんが、小さくてふよふよの可愛い赤ちゃんを抱っこしている姿なんて可愛すぎる。思わず私は携帯電話で写真を撮っていた。
「海香さんも抱っこしないの?」
「え? わ、私?」
「抱っこしてあげてください!」
宙夢さんに言われて私は身構える。私の腕力と手の大きさなら落とすことはないだろうが、首が据わっていない赤ん坊に触るのは初めてだった。まず奏歌くんから宙夢さんに赤ちゃんが戻されて、宙夢さんの手から私の腕に赤ちゃんが乗せられる。
小さい。それにすごく軽い。
あまりの小ささに驚いていると、赤ちゃんが起きてぐずって泣き出した。
「あぁぁ! ど、どうすれば?」
「オムツかな? 見てみましょう」
ベビーベッドに下ろされた赤ちゃんは宙夢さんにオムツを見てもらっていた。完璧に疲れ切っている海香をこれ以上疲労させないようにそこで帰ろうとする私を奏歌くんが止める。
「お名前、聞いてないよ。聞いておきたいな」
「そうだった。赤ちゃん、お名前はなんですか?」
奏歌くんに指摘されて私が問いかけると、宙夢さんが答えてくれる。
「さくらです。桜の季節に生まれたから、平仮名でさくら。これからよろしくお願いします」
「はい! また会いに来ます!」
実感のない私よりも奏歌くんの方が余程赤ちゃん、さくらちゃんを可愛がりそうな勢いだった。帰りのタクシーでも奏歌くんはさくらちゃんのことを言っていた。
「可愛かったな、さくらちゃん。小さくて黒髪で」
何となくだが、私はあの子も私と同じワーキャットの匂いを嗅ぎつけていた。同種であったから警戒心が働いてしまったのかもしれない。私の姪なのに行けないと思うのだが、どうしても胸にもやもやが残る。
「妹みたい……さくらちゃん」
うっとりしている奏歌くんと部屋に帰って、奏歌くんを鳥籠のソファに座らせて膝の上に頭を乗せる。ぐりぐりと顔を奏歌くんに擦り付けていると、くすくすと笑われる。
「海瑠さん、くすぐったいよ」
「奏歌くんの一番の子猫ちゃんは私だもん」
口を突いて出た言葉に、奏歌くんがお目目を丸くする。
そうだったのか。
今奏歌くんに顔を摺り寄せているのも、赤ちゃんの匂いが付いているから私の匂いに上書きしようとしているのだ。私は赤ちゃんに嫉妬してしまっていた。
「海瑠さんは僕の運命のひとで、誰も替われないひとだよ」
「うん……でも、奏歌くんが赤ちゃんを可愛い可愛い言うから、つい」
嫉妬しちゃったの。
白状すると奏歌くんが私の身体に抱き付いてくる。
「もう、海瑠さんは可愛いんだから」
嫉妬する醜い私を奏歌くんは可愛いと言ってくれる。受け入れられて奏歌くんに気持ちを伝えられると、さくらちゃんのことがちょっと可愛く思えるような気がしてきた。
「奏歌くん、さくらちゃんを預かってって言われたら、どうしよう?」
「僕、赤ちゃんのお風呂の入れ方知らない!」
練習しなければいけない。
私と奏歌くんは真剣だった。
パソコンを持ち出して赤ちゃんの沐浴の仕方を教える動画を見始めた。
「首を支えて、正面からお湯をかける」
「背中の方に向けて、背中を洗う……僕だと難しそう」
「私、できる気がする」
「石鹸で滑るから気を付けなきゃいけないって」
動画を何度も再生して注意点をメモに書いて私たちは予習をした。まだ頼まれてもいないが、これでさくらちゃんを預かって欲しいと頼まれても安心な気持ちになっていた。
春公演が始まる。
四月の始めの奏歌くんが春休みの時期にチケットでお招きしていた。
やっちゃんと茉優ちゃんはクリスマス公演には来てくれるが、それ以外はあまり興味がないようだったので、美歌さんと奏歌くんにチケットを渡そうとしたら、美歌さんは沙紀ちゃんに譲るように言ってくれた。
「奏歌のこと、沙紀ちゃんなら任せられると思います」
毎回沙紀ちゃんはチケットが取れないと悲しんでいた。今回も取れていないのかと連絡してみると、大喜びでチケットを取りに来た。
近くの公園で待ち合わせをしてチケットを渡す。
「いいんですか!?」
「奏歌くんのこと、送り迎えしてくれる?」
「もちろんです! 奏歌くんとは仲良しですから!」
同じ海瑠さん推しで!
とか言われたけれど、あまり意味が分からない。
一緒にいた奏歌くんがぺこりと頭を下げた。
「当日はよろしく」
「うん、一緒に行こうね」
年は少し離れているし、女子高生と男子小学生だけれど沙紀ちゃんと奏歌くんは仲良しだ。そこに恋愛感情を挟まない男女の友情というのがあるのだと実感させてくれる。
「バレンタインデーはね、海瑠さんとバレンタインフェアに行って、チョコレートを買って交換したんだ」
「私も海瑠さんに上げたかった!」
「海瑠さんはファンからはお手紙しか受け取れないけど、沙紀ちゃんなら受け取っても良いんじゃないかな」
以前に高校の先輩にチョコレートを上げていた沙紀ちゃんは、今は私がチョコレートを上げる対象になっているようだった。お世話になっているし、真里さんに対しては沙紀ちゃんの無意識のご加護が非常に有効なので、沙紀ちゃんとは仲良くしておいた方が良い。
「チョコレート、奏歌くんと一緒に食べて良いなら、受け取るよ」
私が言うと沙紀ちゃんはすごく喜んでいた。
「DVDもパンフレットも雑誌も買ってるけど、推しには貢ぎたいものですからね」
推しには貢ぎたい?
沙紀ちゃんはよく分からないことを言う。
私のファンだから私に関連するものが欲しいという意味なのだろうと私は納得しておいた。
春公演は間近に迫っている。
稽古場では百合も華村先輩も喜咲さんも前園さんも、通し稽古が終わると座り込んだり、椅子に座って休んでいることが多かった。休憩中もストレッチをして次の群舞に備える私に百合と華村先輩と喜咲さんと前園さんに妙な目で見られている気がする。
「海瑠……なんで平気なわけ?」
「へ? 何が?」
百合が亡霊のような顔で問いかけてくる。
「私たち、ストーリー上でもダンスがあって、劇中劇ではバレエを踊って、公演時間ずっと踊りっぱなしなんですよ?」
「おかげで私、体重が減った気がするわ」
喜咲さんと華村先輩の言葉に私は「あ」と声を上げた。
ミュージカルなのでダンスは当然あるが、それ以外にもバレエの舞台をそれらしくみせるためにみっちりとバレエの基礎の稽古をして臨む今回の舞台。
公演が終わった後には男役の群舞や、女役と男役のダンスなどもきっちりと入っている。
「あー……前ならヘロヘロだったかもしれないけど、奏歌くんとちゃんとご飯食べてるからなぁ」
食事を疎かにしていた24歳までの私だったら、耐え切れずに舞台が終わったら倒れていたかもしれないが、今の私は体力に満ち溢れていた。その上ワーキャットの生命力もあるのだ。
「海瑠さん、私たちよりダンスの量が多いのに……」
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