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四章 奏歌くんとの四年目
15.冬のアイスは贅沢品
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華村先輩と私のキスシーンを、百合が目を皿のようにして見ている。喜咲さんは眩暈を起こして倒れる。
演出家さんの指示通りに進む練習に、私はもう慣れてしまった。
脚本は脚本。物語は物語だ。
海香の描く世界がこういうものならば脚本の中で精いっぱいそれを演じるしかない。
マダム・ローズが劇団までやってきて、練習を見ながら私たちの衣装のデザインを書き上げる。
私の衣装はピンクのベルベット調のスーツ、華村先輩の衣装は黒のベルベット調のスーツ、百合の衣装は白いシャツとホットパンツ、喜咲さんの衣装は青と黄色の上下のスーツだった。
その他にも女装の場面ではピンクのドレスに黒のガーターストッキングなど、なんとなく倒錯的で理解不能の世界。
「ピンクのスーツとか、おかしくないですか?」
「わたくしが、海瑠さんにしか着こなせないと言われるくらいのスーツを必ず作り上げます」
マダム・ローズは自信満々だった。
妊娠中なのに悪阻にも負けずに海香が書いた脚本をやり遂げたい気持ちは充分にあったのだけれど、その脚本があまりにも内容が突飛すぎて、衣装までそれに引きずられるとなると、役に入り込むのに努力が必要かもしれない。
難しい顔をしていると、百合が話しかけて来た。
「来年の秋公演の話、ダーリンにしてみた?」
「あ、そうだった。したけど、津島さんに伝えてなかった」
クリスマス公演の脚本のインパクトの強さに忘れていたが、津島さんには協力してもらわないといけない。
奏歌くんが行くとなれば部屋やベッドの確保などが必要になる。私の部屋で私のベッドで眠れば良いのだが、やっちゃんはそのことについてどう考えるだろう。
9歳になったのに一緒に寝ているのはおかしいとか言われたら、私は一人でホテルの部屋で眠れるのだろうか。
普段は一人でも奏歌くんの気配のする寝室で眠っているし、夜に目が覚めても奏歌くんのことを思い出せるので良いが、ホテルの部屋だとそうはいかないだろう。
「来年の秋公演の演目、光源氏らしいわよ?」
「光源氏?」
「そう。現代の光源氏みたいな感じで、女たらしの男が不倫を繰り返して、六条の御息所に位置する不倫相手に正妻の葵上を呪い殺されるミステリー仕立て!」
それは誰の脚本なのだろう。
聞かなくても海香という答えが返って来そうで、私は口を噤んだ。
色んな脚本の演目をやるが、海香の脚本が異彩を放っているのは間違いない。何を考えたらこんな突飛な設定が生まれるのか、一度海香に聞いてみたいくらいだ。
「海香さん、一月に結婚式で、春に出産でしょう? その後秋にはパリとか、大変すぎるかもしれないわね」
「海香、パリまで来るのかな?」
「脚本家としては自分の舞台の成功を見守りたいはずよ」
百合と話し終えて私は海香にも来年の予定を聞かなければいけないと考えていた。
今日はマダム・ローズの衣装合わせだったので、それが終わるとマネージャーの津島さんにお昼を食堂で食べながら話をする。
「やっちゃん……篠田さんがパリ公演には来ますよね?」
「今年中には正式に決まりそうなので、決まったらオファーが行くと思いますよ」
パリで女性だけの劇団がどれだけ通用するのか。これは劇団の挑戦でもあった。その様子を日本にいるファンの皆様にも、写真と記事でやっちゃんにはお届けしてもらわないと困る。
「篠田さんが甥っ子さんを頻繁に預かってて、甥っ子さんも出張にはついてくるっていう話なんですけど……」
「海瑠ちゃん、正直に話して良いですよ。海瑠ちゃんが奏歌くんを連れて行きたいんでしょう?」
長年の付き合いの津島さんには嘘は吐けない。
大人しく頷くと、津島さんは笑顔で答えてくれた。
「奏歌くんがいないと、またご飯を食べなくなって、やつれられても嫌ですからね。パリ公演は万全の態勢で臨んでもらわないと。特に海瑠ちゃんは難しい役なんですからね」
「え? もう役が決まってるんですか?」
百合も役のことまでは話していなかった。津島さんは来年の秋公演の脚本をほとんど知っているようだ。聞いてみると説明してくれる。
「海瑠ちゃんは、光源氏の正妻の葵上と光源氏の同僚の頭中将をやります」
「へ? 同一人物なんですか?」
「いいえ、演じ分けてもらうことになります」
男女の二つの役を演じ分ける私。どんな脚本になるのか今から心配しかない。海香の脚本ならば私に物凄い無茶ぶりをしてくる気がする。
怯えながら津島さんへの報告は終わった。
早く稽古が終わったので奏歌くんを迎えに行くと、奏歌くんはまだ小学校から帰っていなかった。鍵を開けて篠田家に入ると、妙に寒い気がする。
普段から温かいイメージしかなかった篠田家だが、一人きりでいるととても冷たく寒い。
身を震わせながらソファに座って待っていると、奏歌くんが帰って来た。三年生の奏歌くんと五年生の茉優ちゃんは帰って来る時間が少し違う。帰って来た奏歌くんは玄関にあった私の靴を見て、私が来ていることに気付いたようだった。
「ただいま、海瑠さん!」
「お帰りなさい、奏歌くん」
ソファから立ち上がって奏歌くんの身体を抱き締めると、身体が芯からぽかぽかと暖かくなってくる。
「寒かったでしょ? 暖房もつけないで」
いそいそと床暖房とエアコンをつけてくれる奏歌くんに部屋はすぐに温まった。手を洗ってうがいをして、奏歌くんは水筒を洗って私の部屋に出かける準備をする。
「この家、こんなに寒かったんだ。驚いちゃった」
靴を履きながら呟くと、奏歌くんは真剣な眼差しで聞いてくれた。
「僕、海瑠さんと出会う前で茉優ちゃんも来る前、母さんが夜勤で、やっちゃんも帰った後、一人で寝ることがあったんだけど、すごく寒くてマフラーをぐるぐる巻きにして寝てたよ」
一人の部屋は寒い。
それを寂しいというのだと奏歌くんは教えてくれた。
「さびしいって、分からなかったんだ。小さかったから。ただ体が寒くて」
私も奏歌くんと出会うまでは自分が寂しいことに気付いていなかった。ずっと冷え性で寒がりなのだと思っていた。
食事も碌にとらない、暖房も入れないのだから寒くておかしくはなかったのだけれど、奏歌くんと一緒に過ごす時間が増えるにつれて、私は心に抱えていた寒さの理由を寂しさと理解して、その寂しさを奏歌くんが消し去ってくれていることに気付いていた。
奏歌くんは私にとってはいなくてはならない相手。
「奏歌くんが来てから、私、冷え性が治ったみたい」
タクシーの中で奏歌くんの肩を抱いて告げると、奏歌くんは頬を赤くして微笑んでいた。
エアコンの暖房はとても空気が乾燥する。奏歌くんと出会ってから暖房を使い始めた私は、空気が乾燥することも理解して、加湿器も置いていた。部屋に戻ると加湿器の給水ランプが点灯していたので水を足して暖房と一緒に加湿器を付ける。
奏歌くんは手を洗って冷蔵庫を覗き込んでいた。
冷蔵庫には特におやつになりそうなものはない。奏歌くんと買い物に行っていないので、果物もヨーグルトも切らしていた。
「海瑠さん、アイスクリーム見つけちゃった!」
冷凍庫まであさった奏歌くんが見つけたのはカップ入りのアイスクリーム二個だった。抹茶が一番好きだけれど、最初に食べてしまうので、他の苺やバニラは残ってしまう。
残っていたのは二つともバニラで、奏歌くんはすぐに目を煌めかせて冷蔵庫を開けた。
カップのアイスをお皿に出して、その上にたっぷりとリンゴのジャムを乗せる。
「簡単リンゴパフェになったよ」
「美味しそう!」
ただのバニラアイスだけでも美味しいのに、リンゴのジャムまで乗ると、更にアイスクリームが美味しくなる。リンゴのジャムとバニラアイスを混ぜながら、ミルクで溶かすココアを電子レンジで温めて飲む。
「寒い日にアイスクリームなんて、すごくぜいたくだね」
「温かい部屋で、アイスクリーム、最高だね」
奏歌くんと二人で笑い合う。
食べ終わると奏歌くんは歯磨きをして宿題に取り掛かる。私はその間お皿とマグカップを食洗器に入れて片付けていた。少しくらいの片付けならば奏歌くんがいなくても一人でできるようになった。
「なんでもできるようになったら、奏歌くんは私のために何もしてくれなくなっちゃうのかな」
小さく零れた呟きに、奏歌くんががばっと宿題から顔を上げた。
「海瑠さんはお外で働いてお金を稼いでるでしょう? 僕は家で海瑠さんが快適に暮らせるように家事をする。それでもいいんじゃないかな?」
世間では女性が家事をして、男性が働くのが普通みたいな風潮も、最近では古くなり始めている。奏歌くんが私の主夫になってくれるのだったら、大歓迎だった。
演出家さんの指示通りに進む練習に、私はもう慣れてしまった。
脚本は脚本。物語は物語だ。
海香の描く世界がこういうものならば脚本の中で精いっぱいそれを演じるしかない。
マダム・ローズが劇団までやってきて、練習を見ながら私たちの衣装のデザインを書き上げる。
私の衣装はピンクのベルベット調のスーツ、華村先輩の衣装は黒のベルベット調のスーツ、百合の衣装は白いシャツとホットパンツ、喜咲さんの衣装は青と黄色の上下のスーツだった。
その他にも女装の場面ではピンクのドレスに黒のガーターストッキングなど、なんとなく倒錯的で理解不能の世界。
「ピンクのスーツとか、おかしくないですか?」
「わたくしが、海瑠さんにしか着こなせないと言われるくらいのスーツを必ず作り上げます」
マダム・ローズは自信満々だった。
妊娠中なのに悪阻にも負けずに海香が書いた脚本をやり遂げたい気持ちは充分にあったのだけれど、その脚本があまりにも内容が突飛すぎて、衣装までそれに引きずられるとなると、役に入り込むのに努力が必要かもしれない。
難しい顔をしていると、百合が話しかけて来た。
「来年の秋公演の話、ダーリンにしてみた?」
「あ、そうだった。したけど、津島さんに伝えてなかった」
クリスマス公演の脚本のインパクトの強さに忘れていたが、津島さんには協力してもらわないといけない。
奏歌くんが行くとなれば部屋やベッドの確保などが必要になる。私の部屋で私のベッドで眠れば良いのだが、やっちゃんはそのことについてどう考えるだろう。
9歳になったのに一緒に寝ているのはおかしいとか言われたら、私は一人でホテルの部屋で眠れるのだろうか。
普段は一人でも奏歌くんの気配のする寝室で眠っているし、夜に目が覚めても奏歌くんのことを思い出せるので良いが、ホテルの部屋だとそうはいかないだろう。
「来年の秋公演の演目、光源氏らしいわよ?」
「光源氏?」
「そう。現代の光源氏みたいな感じで、女たらしの男が不倫を繰り返して、六条の御息所に位置する不倫相手に正妻の葵上を呪い殺されるミステリー仕立て!」
それは誰の脚本なのだろう。
聞かなくても海香という答えが返って来そうで、私は口を噤んだ。
色んな脚本の演目をやるが、海香の脚本が異彩を放っているのは間違いない。何を考えたらこんな突飛な設定が生まれるのか、一度海香に聞いてみたいくらいだ。
「海香さん、一月に結婚式で、春に出産でしょう? その後秋にはパリとか、大変すぎるかもしれないわね」
「海香、パリまで来るのかな?」
「脚本家としては自分の舞台の成功を見守りたいはずよ」
百合と話し終えて私は海香にも来年の予定を聞かなければいけないと考えていた。
今日はマダム・ローズの衣装合わせだったので、それが終わるとマネージャーの津島さんにお昼を食堂で食べながら話をする。
「やっちゃん……篠田さんがパリ公演には来ますよね?」
「今年中には正式に決まりそうなので、決まったらオファーが行くと思いますよ」
パリで女性だけの劇団がどれだけ通用するのか。これは劇団の挑戦でもあった。その様子を日本にいるファンの皆様にも、写真と記事でやっちゃんにはお届けしてもらわないと困る。
「篠田さんが甥っ子さんを頻繁に預かってて、甥っ子さんも出張にはついてくるっていう話なんですけど……」
「海瑠ちゃん、正直に話して良いですよ。海瑠ちゃんが奏歌くんを連れて行きたいんでしょう?」
長年の付き合いの津島さんには嘘は吐けない。
大人しく頷くと、津島さんは笑顔で答えてくれた。
「奏歌くんがいないと、またご飯を食べなくなって、やつれられても嫌ですからね。パリ公演は万全の態勢で臨んでもらわないと。特に海瑠ちゃんは難しい役なんですからね」
「え? もう役が決まってるんですか?」
百合も役のことまでは話していなかった。津島さんは来年の秋公演の脚本をほとんど知っているようだ。聞いてみると説明してくれる。
「海瑠ちゃんは、光源氏の正妻の葵上と光源氏の同僚の頭中将をやります」
「へ? 同一人物なんですか?」
「いいえ、演じ分けてもらうことになります」
男女の二つの役を演じ分ける私。どんな脚本になるのか今から心配しかない。海香の脚本ならば私に物凄い無茶ぶりをしてくる気がする。
怯えながら津島さんへの報告は終わった。
早く稽古が終わったので奏歌くんを迎えに行くと、奏歌くんはまだ小学校から帰っていなかった。鍵を開けて篠田家に入ると、妙に寒い気がする。
普段から温かいイメージしかなかった篠田家だが、一人きりでいるととても冷たく寒い。
身を震わせながらソファに座って待っていると、奏歌くんが帰って来た。三年生の奏歌くんと五年生の茉優ちゃんは帰って来る時間が少し違う。帰って来た奏歌くんは玄関にあった私の靴を見て、私が来ていることに気付いたようだった。
「ただいま、海瑠さん!」
「お帰りなさい、奏歌くん」
ソファから立ち上がって奏歌くんの身体を抱き締めると、身体が芯からぽかぽかと暖かくなってくる。
「寒かったでしょ? 暖房もつけないで」
いそいそと床暖房とエアコンをつけてくれる奏歌くんに部屋はすぐに温まった。手を洗ってうがいをして、奏歌くんは水筒を洗って私の部屋に出かける準備をする。
「この家、こんなに寒かったんだ。驚いちゃった」
靴を履きながら呟くと、奏歌くんは真剣な眼差しで聞いてくれた。
「僕、海瑠さんと出会う前で茉優ちゃんも来る前、母さんが夜勤で、やっちゃんも帰った後、一人で寝ることがあったんだけど、すごく寒くてマフラーをぐるぐる巻きにして寝てたよ」
一人の部屋は寒い。
それを寂しいというのだと奏歌くんは教えてくれた。
「さびしいって、分からなかったんだ。小さかったから。ただ体が寒くて」
私も奏歌くんと出会うまでは自分が寂しいことに気付いていなかった。ずっと冷え性で寒がりなのだと思っていた。
食事も碌にとらない、暖房も入れないのだから寒くておかしくはなかったのだけれど、奏歌くんと一緒に過ごす時間が増えるにつれて、私は心に抱えていた寒さの理由を寂しさと理解して、その寂しさを奏歌くんが消し去ってくれていることに気付いていた。
奏歌くんは私にとってはいなくてはならない相手。
「奏歌くんが来てから、私、冷え性が治ったみたい」
タクシーの中で奏歌くんの肩を抱いて告げると、奏歌くんは頬を赤くして微笑んでいた。
エアコンの暖房はとても空気が乾燥する。奏歌くんと出会ってから暖房を使い始めた私は、空気が乾燥することも理解して、加湿器も置いていた。部屋に戻ると加湿器の給水ランプが点灯していたので水を足して暖房と一緒に加湿器を付ける。
奏歌くんは手を洗って冷蔵庫を覗き込んでいた。
冷蔵庫には特におやつになりそうなものはない。奏歌くんと買い物に行っていないので、果物もヨーグルトも切らしていた。
「海瑠さん、アイスクリーム見つけちゃった!」
冷凍庫まであさった奏歌くんが見つけたのはカップ入りのアイスクリーム二個だった。抹茶が一番好きだけれど、最初に食べてしまうので、他の苺やバニラは残ってしまう。
残っていたのは二つともバニラで、奏歌くんはすぐに目を煌めかせて冷蔵庫を開けた。
カップのアイスをお皿に出して、その上にたっぷりとリンゴのジャムを乗せる。
「簡単リンゴパフェになったよ」
「美味しそう!」
ただのバニラアイスだけでも美味しいのに、リンゴのジャムまで乗ると、更にアイスクリームが美味しくなる。リンゴのジャムとバニラアイスを混ぜながら、ミルクで溶かすココアを電子レンジで温めて飲む。
「寒い日にアイスクリームなんて、すごくぜいたくだね」
「温かい部屋で、アイスクリーム、最高だね」
奏歌くんと二人で笑い合う。
食べ終わると奏歌くんは歯磨きをして宿題に取り掛かる。私はその間お皿とマグカップを食洗器に入れて片付けていた。少しくらいの片付けならば奏歌くんがいなくても一人でできるようになった。
「なんでもできるようになったら、奏歌くんは私のために何もしてくれなくなっちゃうのかな」
小さく零れた呟きに、奏歌くんががばっと宿題から顔を上げた。
「海瑠さんはお外で働いてお金を稼いでるでしょう? 僕は家で海瑠さんが快適に暮らせるように家事をする。それでもいいんじゃないかな?」
世間では女性が家事をして、男性が働くのが普通みたいな風潮も、最近では古くなり始めている。奏歌くんが私の主夫になってくれるのだったら、大歓迎だった。
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