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三章 奏歌くんとの三年目
21.あれから一年
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糠床をかき混ぜる前には手を洗う。
シンクで手を洗おうとした私に、奏歌くんも手を洗おうと踏み台を持ってきて、それは発覚した。
「もしかして、海瑠さん、気付いてなかった?」
「何に?」
奏歌くんはシンクの蛇口のレバーが左右に動くことを示す。
「右にうごかすとお湯が出て、左にうごかすと、水が出るんだよ」
「え!? 全然知らなかった! 通りで奏歌くんと手を洗うときは手が冷たくないって思ってた」
奏歌くんがいるときには手を洗うのも冷たくない。それは愛の力だと信じ込んでいたが実際には違っていたらしい。シンクの蛇口のレバーには右に動かすと温かいお湯が出て、左に動かすと温めていない冷水が出るというのだ。
特に何も考えずずっと使っていたので、深紅の蛇口のレバーは左側に寄ったままだった。奏歌くんがレバーを右側にしても出てくる水は冷たいままだ。
「冷たいよ?」
「お湯が出るまで少し時間がかかるんだ」
待っていると確かに水はお湯になった。お湯で手を洗うと冷蔵庫から出した糠床に手を入れてかき混ぜるのも、いつもより苦痛ではない。
「奏歌くんはすごいなぁ」
感心してしまう私に奏歌くんは「そんなことないよ」と答えながらも照れていた。
糠床から出した糠漬けは奏歌くんが洗って包丁で切ってくれる。奏歌くんがいないと食べることはほとんどないので、昨日やっとお野菜を買って糠漬けをつけたのだ。
お弁当に糠漬けを添えて奏歌くんがぽりぽりと良い音をさせて噛んでいる。
「おいしいね」
笑顔が見られると私も昨日から糠漬けを仕込んでおいて良かったと心から思えた。お弁当は今日は卵焼きが入っていない。それはがっかりだったが、奏歌くんが教えてくれる。
「今日は母さん、早出でいそがしくて、おかずが作れないから、おやこどんにしたんだ」
ご飯の上に乗った玉ねぎと鶏肉を卵でとじたものは、親子丼なのだと奏歌くんが教えてくれた。
「なんでおやこどんって言うかっていうとね、とりにくがたまごのおやでしょう? たまごが子どもなんだよ」
親子丼の意味まで知っている。
他にもサーモンとイクラの親子丼もあったり、サーモンに卵焼きや半熟卵を乗せた他人丼もあると奏歌くんは教えてくれた。料理についての話を聞いていると、食べているものが更に美味しく感じられる。
奏歌くんは私に楽しく食事をさせる天才だった。
お腹がいっぱいになって歯磨きをすると粉茶で緑茶を淹れる。温かな緑茶を飲みながら、奏歌くんはリュックサックから包みを取り出した。
「メレンゲなんだけど、食べたことある?」
「メレンゲって、茉優ちゃんのお誕生日のときにケーキ作りで作った、あれ?」
「そう。それを焼いたんだ」
白い絞ったクリームのような塊が幾つも袋の中に入っている。
「食べてみて良い?」
「うん、食べてみて」
飾られているリボンを解いて袋を開けて摘まんでみると、ふわふわだった印象しかないメレンゲは軽いが硬くなっている。歯で小さく噛むと、さくりほろりと崩れた。仄かに甘い味と不思議な食感に私は夢中になった。
「美味しい!」
油断すると次々と食べてしまいそうなので、袋をもう一度リボンで閉じる。冷蔵庫に入れようとすると奏歌くんに止められた。
「れいぞうこに入れたらしっけちゃうから」
「そうなんだ」
「じょうおんで、ほぞんして」
焼いたメレンゲは常温で保存しなければいけない。
それも学んだことの一つだった。
メレンゲは器を出してテーブルの上に袋ごと入れておいて、私はウォークインクローゼットからプリザーブドフラワーの箱を取り出した。奏歌くんに持って行くと、小さな両手で大事に受け取ってくれる。
「私からのホワイトデーのお返し」
「なんだろう。開けてみていい?」
「開けて、開けて」
包装紙を綺麗に剥がして行く奏歌くんは箱が入っているのに気付いて箱を開けた。箱の中からドーム状のプリザーブドフラワーのケースを取り出した奏歌くんのハニーブラウンの目が輝く。
「プリザーブドフラワーだ!」
これを選んでよかったと心から思えた。
両手で大事に持って奏歌くんがプリザーブドフラワーをじっと見つめている。
「青い薔薇の花言葉は『奇跡』『夢かなう』『一目惚れ』で、薔薇が一本だと『一目惚れ』『あなたしかいない』っていう意味になるんだって」
説明すると奏歌くんの頬がぽぅっと赤くなる。
「ぼくの方が海瑠さんにひとめぼれしたのに」
「本当?」
「さいしょは顔色が悪くてしんぱいだったけど、ぶたいを見て、すごいひとだとおもったんだ。ぼく、あのときから海瑠さんのことが好きだったよ」
プリザーブドフラワーを持ったまま顔を上げて言う奏歌くんの手に私は手を重ねた。
「私も奏歌くんが大好き」
この気持ちは奏歌くんが大きくなっても変わらない。
奏歌くんが私の生活を完全に変えてくれたのだから変わりようなどない。
しばらく私たちは見つめ合っていた。
奏歌くんの表情が曇ったのは、食後にお散歩に出かけないかと誘ったときだった。まだ寒さは残っているけれど、だんだんと温かくもなってきている。奏歌くんはお散歩は嫌いではないはずだが、何があったのだろう。
「もう、一年たつでしょう……」
奏歌くんの言うことの意味が、最初分からなかった。出かける準備をして水筒をリュックサックに入れた奏歌くんの眉が下がっている。
「父さんが母さんにおいだされてから、もう一年」
そうだった。
一年間は顔を見せないでと美歌さんは言い渡していたが、それが解ける時期になっている。真里さんが帰ってくるかもしれないと奏歌くんは警戒しているようだった。
「真里さん、懲りてもう何もしないとか、ないかな?」
あれだけ美歌さんにも奏歌くんにも言われたのだ、少しは懲りたりしないのだろうか。
「父さんにかぎって、そんなことはぜったいにないね」
はっきりと断言する奏歌くん。
やはり奏歌くんのお父さんの真里さんはトラブルメーカーのままなのだろう。
「ぼくが一番気にしてるのは、沙紀ちゃんのことなんだ」
私たちと沙紀ちゃんが一緒に行動しているのを見て、真里さんは沙紀ちゃんに目を付けるかもしれない。奏歌くんはそう言っていた。
「人外の血は、人間のよりも力がつくんだって、母さんが言ってた」
発熱した奏歌くんを私の血で治せたように、沙紀ちゃんの血も真里さんにとってご馳走なのかもしれない。私はワーキャットだけれど奏歌くんの運命のひとであるし、奏歌くんも美歌さんも許さないから血を狙われることはないけれど、沙紀ちゃんはそうではない。
「それに、父さん……高校生くらいのわかい子が好きなんだって……もう、なんで、あんなにへんたいなの!」
自分の父親なのに信じられないと奏歌くんはぞっとしている。
沙紀ちゃんと会うときには気を付けなければいけないし、沙紀ちゃんにもそのことを伝えておいた方が良いのかもしれない。でも、奏歌くんのお父さんが変態で沙紀ちゃんを狙うかもしれないなんて、口に出していいものなのか。
「沙紀ちゃんにどう伝える?」
「むずかしいよね」
私と奏歌くんはいい考えが浮かばず、この件は美歌さんに相談することとして、とりあえずお散歩に出かけた。三月の春の気配の出て来た公園は、緑の若葉が茂っている。
誰もいなかったので私は奏歌くんの手を取った。
「踊ろうか?」
「いいの?」
私のダンスは劇団で披露するためのものだが、奏歌くんと踊るのも嫌ではない。次の公演で主人公の病に侵された男と私の実は怪盗の貴族の二人が踊るダンスのステップを踏むと、奏歌くんも真似して踊り出す。
踊っていると、視線を感じた。
真里さんかと警戒してダンスを止めると、木陰から沙紀ちゃんが走って来る。
「止めないでくださいー! 海瑠さんの生ダンスが見られるなんてー!」
「沙紀ちゃん!?」
「春公演、チケット取れなかったんですー! チケット争いは修羅の国でした! そんな私に少しでもサービスを!」
公園で土の上なのに土下座されそうになって私と奏歌くんは顔を見合わせた。
沙紀ちゃんのためならばちょっとくらい踊っても罰は当たらないだろう。
奏歌くんと踊り出すと沙紀ちゃんは両手を組んで祈るようにして見入っている。本当に沙紀ちゃんは私のファンになってくれたようだ。
「沙紀ちゃん、詳しいことは今度話すけど、身の回りには気を付けてね?」
こんなに私を応援してくれる沙紀ちゃんを真里さんの毒牙にはかけたくない。美歌さんと相談したら私は沙紀ちゃんと話をするつもりだった。
シンクで手を洗おうとした私に、奏歌くんも手を洗おうと踏み台を持ってきて、それは発覚した。
「もしかして、海瑠さん、気付いてなかった?」
「何に?」
奏歌くんはシンクの蛇口のレバーが左右に動くことを示す。
「右にうごかすとお湯が出て、左にうごかすと、水が出るんだよ」
「え!? 全然知らなかった! 通りで奏歌くんと手を洗うときは手が冷たくないって思ってた」
奏歌くんがいるときには手を洗うのも冷たくない。それは愛の力だと信じ込んでいたが実際には違っていたらしい。シンクの蛇口のレバーには右に動かすと温かいお湯が出て、左に動かすと温めていない冷水が出るというのだ。
特に何も考えずずっと使っていたので、深紅の蛇口のレバーは左側に寄ったままだった。奏歌くんがレバーを右側にしても出てくる水は冷たいままだ。
「冷たいよ?」
「お湯が出るまで少し時間がかかるんだ」
待っていると確かに水はお湯になった。お湯で手を洗うと冷蔵庫から出した糠床に手を入れてかき混ぜるのも、いつもより苦痛ではない。
「奏歌くんはすごいなぁ」
感心してしまう私に奏歌くんは「そんなことないよ」と答えながらも照れていた。
糠床から出した糠漬けは奏歌くんが洗って包丁で切ってくれる。奏歌くんがいないと食べることはほとんどないので、昨日やっとお野菜を買って糠漬けをつけたのだ。
お弁当に糠漬けを添えて奏歌くんがぽりぽりと良い音をさせて噛んでいる。
「おいしいね」
笑顔が見られると私も昨日から糠漬けを仕込んでおいて良かったと心から思えた。お弁当は今日は卵焼きが入っていない。それはがっかりだったが、奏歌くんが教えてくれる。
「今日は母さん、早出でいそがしくて、おかずが作れないから、おやこどんにしたんだ」
ご飯の上に乗った玉ねぎと鶏肉を卵でとじたものは、親子丼なのだと奏歌くんが教えてくれた。
「なんでおやこどんって言うかっていうとね、とりにくがたまごのおやでしょう? たまごが子どもなんだよ」
親子丼の意味まで知っている。
他にもサーモンとイクラの親子丼もあったり、サーモンに卵焼きや半熟卵を乗せた他人丼もあると奏歌くんは教えてくれた。料理についての話を聞いていると、食べているものが更に美味しく感じられる。
奏歌くんは私に楽しく食事をさせる天才だった。
お腹がいっぱいになって歯磨きをすると粉茶で緑茶を淹れる。温かな緑茶を飲みながら、奏歌くんはリュックサックから包みを取り出した。
「メレンゲなんだけど、食べたことある?」
「メレンゲって、茉優ちゃんのお誕生日のときにケーキ作りで作った、あれ?」
「そう。それを焼いたんだ」
白い絞ったクリームのような塊が幾つも袋の中に入っている。
「食べてみて良い?」
「うん、食べてみて」
飾られているリボンを解いて袋を開けて摘まんでみると、ふわふわだった印象しかないメレンゲは軽いが硬くなっている。歯で小さく噛むと、さくりほろりと崩れた。仄かに甘い味と不思議な食感に私は夢中になった。
「美味しい!」
油断すると次々と食べてしまいそうなので、袋をもう一度リボンで閉じる。冷蔵庫に入れようとすると奏歌くんに止められた。
「れいぞうこに入れたらしっけちゃうから」
「そうなんだ」
「じょうおんで、ほぞんして」
焼いたメレンゲは常温で保存しなければいけない。
それも学んだことの一つだった。
メレンゲは器を出してテーブルの上に袋ごと入れておいて、私はウォークインクローゼットからプリザーブドフラワーの箱を取り出した。奏歌くんに持って行くと、小さな両手で大事に受け取ってくれる。
「私からのホワイトデーのお返し」
「なんだろう。開けてみていい?」
「開けて、開けて」
包装紙を綺麗に剥がして行く奏歌くんは箱が入っているのに気付いて箱を開けた。箱の中からドーム状のプリザーブドフラワーのケースを取り出した奏歌くんのハニーブラウンの目が輝く。
「プリザーブドフラワーだ!」
これを選んでよかったと心から思えた。
両手で大事に持って奏歌くんがプリザーブドフラワーをじっと見つめている。
「青い薔薇の花言葉は『奇跡』『夢かなう』『一目惚れ』で、薔薇が一本だと『一目惚れ』『あなたしかいない』っていう意味になるんだって」
説明すると奏歌くんの頬がぽぅっと赤くなる。
「ぼくの方が海瑠さんにひとめぼれしたのに」
「本当?」
「さいしょは顔色が悪くてしんぱいだったけど、ぶたいを見て、すごいひとだとおもったんだ。ぼく、あのときから海瑠さんのことが好きだったよ」
プリザーブドフラワーを持ったまま顔を上げて言う奏歌くんの手に私は手を重ねた。
「私も奏歌くんが大好き」
この気持ちは奏歌くんが大きくなっても変わらない。
奏歌くんが私の生活を完全に変えてくれたのだから変わりようなどない。
しばらく私たちは見つめ合っていた。
奏歌くんの表情が曇ったのは、食後にお散歩に出かけないかと誘ったときだった。まだ寒さは残っているけれど、だんだんと温かくもなってきている。奏歌くんはお散歩は嫌いではないはずだが、何があったのだろう。
「もう、一年たつでしょう……」
奏歌くんの言うことの意味が、最初分からなかった。出かける準備をして水筒をリュックサックに入れた奏歌くんの眉が下がっている。
「父さんが母さんにおいだされてから、もう一年」
そうだった。
一年間は顔を見せないでと美歌さんは言い渡していたが、それが解ける時期になっている。真里さんが帰ってくるかもしれないと奏歌くんは警戒しているようだった。
「真里さん、懲りてもう何もしないとか、ないかな?」
あれだけ美歌さんにも奏歌くんにも言われたのだ、少しは懲りたりしないのだろうか。
「父さんにかぎって、そんなことはぜったいにないね」
はっきりと断言する奏歌くん。
やはり奏歌くんのお父さんの真里さんはトラブルメーカーのままなのだろう。
「ぼくが一番気にしてるのは、沙紀ちゃんのことなんだ」
私たちと沙紀ちゃんが一緒に行動しているのを見て、真里さんは沙紀ちゃんに目を付けるかもしれない。奏歌くんはそう言っていた。
「人外の血は、人間のよりも力がつくんだって、母さんが言ってた」
発熱した奏歌くんを私の血で治せたように、沙紀ちゃんの血も真里さんにとってご馳走なのかもしれない。私はワーキャットだけれど奏歌くんの運命のひとであるし、奏歌くんも美歌さんも許さないから血を狙われることはないけれど、沙紀ちゃんはそうではない。
「それに、父さん……高校生くらいのわかい子が好きなんだって……もう、なんで、あんなにへんたいなの!」
自分の父親なのに信じられないと奏歌くんはぞっとしている。
沙紀ちゃんと会うときには気を付けなければいけないし、沙紀ちゃんにもそのことを伝えておいた方が良いのかもしれない。でも、奏歌くんのお父さんが変態で沙紀ちゃんを狙うかもしれないなんて、口に出していいものなのか。
「沙紀ちゃんにどう伝える?」
「むずかしいよね」
私と奏歌くんはいい考えが浮かばず、この件は美歌さんに相談することとして、とりあえずお散歩に出かけた。三月の春の気配の出て来た公園は、緑の若葉が茂っている。
誰もいなかったので私は奏歌くんの手を取った。
「踊ろうか?」
「いいの?」
私のダンスは劇団で披露するためのものだが、奏歌くんと踊るのも嫌ではない。次の公演で主人公の病に侵された男と私の実は怪盗の貴族の二人が踊るダンスのステップを踏むと、奏歌くんも真似して踊り出す。
踊っていると、視線を感じた。
真里さんかと警戒してダンスを止めると、木陰から沙紀ちゃんが走って来る。
「止めないでくださいー! 海瑠さんの生ダンスが見られるなんてー!」
「沙紀ちゃん!?」
「春公演、チケット取れなかったんですー! チケット争いは修羅の国でした! そんな私に少しでもサービスを!」
公園で土の上なのに土下座されそうになって私と奏歌くんは顔を見合わせた。
沙紀ちゃんのためならばちょっとくらい踊っても罰は当たらないだろう。
奏歌くんと踊り出すと沙紀ちゃんは両手を組んで祈るようにして見入っている。本当に沙紀ちゃんは私のファンになってくれたようだ。
「沙紀ちゃん、詳しいことは今度話すけど、身の回りには気を付けてね?」
こんなに私を応援してくれる沙紀ちゃんを真里さんの毒牙にはかけたくない。美歌さんと相談したら私は沙紀ちゃんと話をするつもりだった。
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