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三章 奏歌くんとの三年目
6.お揃いのエプロン
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お料理には必要なものがある。
私も糠床という大事なものを管理するためには、お料理も多少は分かっていないといけない。
茉優ちゃんのお誕生日ケーキを作ったときに着けたエプロン。そろそろ私も自分の分と奏歌くんの分を買うときが来たようだ。
お稽古が休みで奏歌くんも学校が休みの休日、届いた糠床にはしっかりと前日から大根と人参とキュウリを仕込んでおいた。早朝にやって来た奏歌くんが手を洗って糠床から大根と人参とキュウリを取り出す。
子ども用の包丁でサクサクと切っていく奏歌くん。続いてキッチンに立って卵を割る。私が冷蔵庫に作っておいたお出汁を計量スプーンで計って、お砂糖とお塩も入れて、片栗粉も入れてよく混ぜて、油を引いた卵焼き器で焼いて行く。
焼けた部分をくるくると巻いて行くのだが奏歌くん一人ではやはり難しいようだ。
「なんで三角になっちゃったんだろう」
「三角でも美味しいよ!」
三角に焼けた卵焼きに解せない表情の奏歌くんを元気付けて、私はフリーズドライの味噌汁にお湯を注いだ。イワシの味噌漬けの缶詰も開ける。
卵焼きと糠漬けとイワシの味噌漬けとお味噌汁に、奏歌くんの握ってくれたおにぎりの朝ご飯。
糠漬けをぽりぽりと食べてみて奏歌くんは、ハニーブラウンの目を瞬かせた。
「ちょっと塩気が強いね」
「何を入れたら良いの?」
「しばらくつけるうちに、マイルドになると思う」
言いながらも食べ終わったら何を漬けるか奏歌くんは考えているようだった。
「味のちょうせいに、こんぶをつけようかな。こんぶのぬかづけもおいしいんだよ?」
「昆布も美味しいって言ってたね」
「うん! 家でつけないと、なかなか食べられないけどね」
だから糠床が欲しかったんだなんて、嬉しそうな顔で言われると買った甲斐がある。糠床が届いてから私は毎日糠床をかき混ぜていた。アラームに合わせて、朝は糠床をかき混ぜるのが日課になっている。糠漬けを漬けているときには、取り出して一人で食べることもあるのだが、奏歌くんがいないと味気なくて自分ではあまり漬けなかった。
「今日はおとまりできるから、明日のぬかづけが楽しみだな」
嬉しそうな奏歌くんに私も嬉しくなる。
朝ご飯を食べ終わって私は奏歌くんに申し出た。
「エプロンを買いに行きませんか?」
「エプロン?」
「奏歌くん、この部屋でお料理するでしょう? 私も糠床をかき混ぜるようになったし、糠漬けも作れる、卵も割れる」
卵が割れるということは、私は卵かけご飯だって作れてしまうのだ。
堂々と告げると奏歌くんから拍手が上がる。
「分かった、海瑠さんのエプロンも買いに行こう」
賛成されて私と奏歌くんは早速準備を始めた。
デパートのキッチン用品売り場で、二人は悩んでしまう。可愛いエプロンがたくさんあるのだ。
「このドット柄……ううん、ストライプも捨てがたいわ」
「海瑠さんとおそろいがいいなぁ」
「そうだよね。大人用とお揃いがあるのにしなきゃ……あ、でも、これ、フリルが付いてる。嫌じゃない?」
「フリルは平気だけど、大人用が小さい気がするよ」
奏歌くんに指摘されて私が身に着けてみると確かに丈が短い。親子用の売り場に来ているのだが、女性用では私の身長では短くなってしまうようだった。
男性用で可愛いもので、奏歌くんとお揃いとなると、限られてくる。
「このドット柄は諦めるしかないのか……」
「あ、海瑠さん! これ!」
しょんぼりとした私に、奏歌くんが男性用のエプロンの中から一枚を引っ張り出してきた。薄紫のストライプのエプロンは、水色のストライプの子ども用エプロンの色違いのお揃いのようだ。
「海瑠さんにぴったりだよ」
合わせると褒めてくれる奏歌くんに、私は有頂天になって購入を決めた。これで私の部屋にもお揃いの色違いのエプロンが存在するようになった。
部屋に戻ると奏歌くんはお昼ご飯を食べて、少し目がとろんとして来ていた。朝ご飯を作るために早く起きて来たので眠いのだろう。
「ちょっとだけお昼寝しようか」
「うん……」
誘うと奏歌くんと一緒に毛布にくるまってハンモックに入る。二人が充分に入れるダブルサイズのハンモックだが、奏歌くんはちょっと大きくなったような気がする。
もぞもぞと手で背中を触られて、私は自然と猫の姿になっていた。猫の姿になると奏歌くんは胸の毛に顔を埋めて、背中の毛皮を撫でて眠りに落ちていく。
すやすやと寝息を立てている奏歌くんに顔を擦り付けていると、奏歌くんの身体が縮んでいく。蝙蝠の姿になったのだとすぐに気付いた。
ハンモックの中に大きな猫と小さな蝙蝠が一匹。ぴくぴくと髭が反応してしまうのは仕方がないが、奏歌くんを潰してはいけないので人間の姿に戻る。
仰向けに寝て奏歌くんを胸の上に置くと、鉤爪で私の服にしがみ付いてぐっすり眠っているようだった。
その体勢のままでくりくりと指先で奏歌くんの頭を撫でてみる。小さな頭がとても可愛い。もふっと鼻を頭頂部に埋めるとシャンプーの香りがする。
蝙蝠の姿の奏歌くんを堪能していると、触りすぎたのか奏歌くんが目を覚ました。
「あれ? ぼく、コウモリになってる?」
寝ぼけ眼で丸いお目目をぱちぱちさせているのが可愛い。
「血、吸って良いよ」
手首を差し出すと奏歌くんが手首から血を吸う。
人間の男の子に戻った奏歌くんのふわふわのハニーブラウンの髪に私は鼻を埋めてみた。さっきと同じシャンプーの匂いがするけれど、感触は全然違う。鼻先を柔らかな髪の毛が擽っていく。
「み、海瑠さん、放して」
「奏歌くんが可愛いんだもん」
「もう、海瑠さん!」
恥ずかしがるのも可愛かったが嫌がられてはいけないので奏歌くんを開放すると、ハンモックから降りて行った。
鳥籠のソファに座った奏歌くんにクッキーの入った缶を持って行って、ミルクティーを淹れて隣りに座る。
おやつにクッキーとミルクティー。
クッキーを摘まみながら奏歌くんは話す。
「気が抜けちゃったら、コウモリになっちゃうみたいなんだ」
これまではお腹が空いたり、怖いことがあったりしたら蝙蝠になっていたけれど、私といるときは違うようだ。
「海瑠さんといると、気が抜けちゃって、だいじょうぶなんだなって思っちゃうの。それで、コウモリになっちゃうみたい」
それは私の前では気を張らなくていい。リラックスした状態ということではないだろうか。
「私の前では奏歌くんは緊張してないんだね」
「海瑠さんはぼくのうんめいのひとだからね」
いつ蝙蝠になっても大丈夫だと分かっているから、気が抜けてしまう。
それを聞いて私は嬉しいくらいだった。
「いつでも蝙蝠になって良いよ。血を分けてあげる」
「ひんけつになったりしない?」
「私の血が栄養十分なのは奏歌くんが一番知っているでしょう?」
問いかけると奏歌くんは素直にこくんと頷いた。
「最初に飲んだ海瑠さんの血はまずかったけど、今の海瑠さんの血は甘くておいしいよ。ついつい、吸いすぎちゃいそうになるくらい」
吸い過ぎる。
そういうことがあるのだろうか。
「吸い過ぎたらどうなるの?」
困ることでもあるのかと確認してみると、奏歌くんはちょっと眉を下げた。
「力があまっちゃうんだって」
血を吸ってからひとを操る能力を使うように真里さんに言われたように、血を吸い過ぎてしまうと奏歌くんは無意識にそういう能力を使ってしまいかねない。だから血を吸うのはほどほどにしなさいと美歌さんとやっちゃんから言われているようだった。
「やっちゃんも茉優ちゃんの血を吸ってるのかな?」
「吸ってないと思う」
やっちゃんと茉優ちゃんの関係も気になるけれど、あの二人はあの二人なりのやり方で距離を縮めていくのだろう。
「クリスマスの特別公演のチケット、茉優ちゃんとやっちゃんにプレゼントしようかな」
誕生日に着ていた可愛いワインレッドのワンピースを茉優ちゃんは着ていく場所があったのだろうか。なかったのならば、ぜひ私のクリスマスの特別公演に着て来て欲しい。
もうすぐクリスマスの特別公演が近付いていた。
私も糠床という大事なものを管理するためには、お料理も多少は分かっていないといけない。
茉優ちゃんのお誕生日ケーキを作ったときに着けたエプロン。そろそろ私も自分の分と奏歌くんの分を買うときが来たようだ。
お稽古が休みで奏歌くんも学校が休みの休日、届いた糠床にはしっかりと前日から大根と人参とキュウリを仕込んでおいた。早朝にやって来た奏歌くんが手を洗って糠床から大根と人参とキュウリを取り出す。
子ども用の包丁でサクサクと切っていく奏歌くん。続いてキッチンに立って卵を割る。私が冷蔵庫に作っておいたお出汁を計量スプーンで計って、お砂糖とお塩も入れて、片栗粉も入れてよく混ぜて、油を引いた卵焼き器で焼いて行く。
焼けた部分をくるくると巻いて行くのだが奏歌くん一人ではやはり難しいようだ。
「なんで三角になっちゃったんだろう」
「三角でも美味しいよ!」
三角に焼けた卵焼きに解せない表情の奏歌くんを元気付けて、私はフリーズドライの味噌汁にお湯を注いだ。イワシの味噌漬けの缶詰も開ける。
卵焼きと糠漬けとイワシの味噌漬けとお味噌汁に、奏歌くんの握ってくれたおにぎりの朝ご飯。
糠漬けをぽりぽりと食べてみて奏歌くんは、ハニーブラウンの目を瞬かせた。
「ちょっと塩気が強いね」
「何を入れたら良いの?」
「しばらくつけるうちに、マイルドになると思う」
言いながらも食べ終わったら何を漬けるか奏歌くんは考えているようだった。
「味のちょうせいに、こんぶをつけようかな。こんぶのぬかづけもおいしいんだよ?」
「昆布も美味しいって言ってたね」
「うん! 家でつけないと、なかなか食べられないけどね」
だから糠床が欲しかったんだなんて、嬉しそうな顔で言われると買った甲斐がある。糠床が届いてから私は毎日糠床をかき混ぜていた。アラームに合わせて、朝は糠床をかき混ぜるのが日課になっている。糠漬けを漬けているときには、取り出して一人で食べることもあるのだが、奏歌くんがいないと味気なくて自分ではあまり漬けなかった。
「今日はおとまりできるから、明日のぬかづけが楽しみだな」
嬉しそうな奏歌くんに私も嬉しくなる。
朝ご飯を食べ終わって私は奏歌くんに申し出た。
「エプロンを買いに行きませんか?」
「エプロン?」
「奏歌くん、この部屋でお料理するでしょう? 私も糠床をかき混ぜるようになったし、糠漬けも作れる、卵も割れる」
卵が割れるということは、私は卵かけご飯だって作れてしまうのだ。
堂々と告げると奏歌くんから拍手が上がる。
「分かった、海瑠さんのエプロンも買いに行こう」
賛成されて私と奏歌くんは早速準備を始めた。
デパートのキッチン用品売り場で、二人は悩んでしまう。可愛いエプロンがたくさんあるのだ。
「このドット柄……ううん、ストライプも捨てがたいわ」
「海瑠さんとおそろいがいいなぁ」
「そうだよね。大人用とお揃いがあるのにしなきゃ……あ、でも、これ、フリルが付いてる。嫌じゃない?」
「フリルは平気だけど、大人用が小さい気がするよ」
奏歌くんに指摘されて私が身に着けてみると確かに丈が短い。親子用の売り場に来ているのだが、女性用では私の身長では短くなってしまうようだった。
男性用で可愛いもので、奏歌くんとお揃いとなると、限られてくる。
「このドット柄は諦めるしかないのか……」
「あ、海瑠さん! これ!」
しょんぼりとした私に、奏歌くんが男性用のエプロンの中から一枚を引っ張り出してきた。薄紫のストライプのエプロンは、水色のストライプの子ども用エプロンの色違いのお揃いのようだ。
「海瑠さんにぴったりだよ」
合わせると褒めてくれる奏歌くんに、私は有頂天になって購入を決めた。これで私の部屋にもお揃いの色違いのエプロンが存在するようになった。
部屋に戻ると奏歌くんはお昼ご飯を食べて、少し目がとろんとして来ていた。朝ご飯を作るために早く起きて来たので眠いのだろう。
「ちょっとだけお昼寝しようか」
「うん……」
誘うと奏歌くんと一緒に毛布にくるまってハンモックに入る。二人が充分に入れるダブルサイズのハンモックだが、奏歌くんはちょっと大きくなったような気がする。
もぞもぞと手で背中を触られて、私は自然と猫の姿になっていた。猫の姿になると奏歌くんは胸の毛に顔を埋めて、背中の毛皮を撫でて眠りに落ちていく。
すやすやと寝息を立てている奏歌くんに顔を擦り付けていると、奏歌くんの身体が縮んでいく。蝙蝠の姿になったのだとすぐに気付いた。
ハンモックの中に大きな猫と小さな蝙蝠が一匹。ぴくぴくと髭が反応してしまうのは仕方がないが、奏歌くんを潰してはいけないので人間の姿に戻る。
仰向けに寝て奏歌くんを胸の上に置くと、鉤爪で私の服にしがみ付いてぐっすり眠っているようだった。
その体勢のままでくりくりと指先で奏歌くんの頭を撫でてみる。小さな頭がとても可愛い。もふっと鼻を頭頂部に埋めるとシャンプーの香りがする。
蝙蝠の姿の奏歌くんを堪能していると、触りすぎたのか奏歌くんが目を覚ました。
「あれ? ぼく、コウモリになってる?」
寝ぼけ眼で丸いお目目をぱちぱちさせているのが可愛い。
「血、吸って良いよ」
手首を差し出すと奏歌くんが手首から血を吸う。
人間の男の子に戻った奏歌くんのふわふわのハニーブラウンの髪に私は鼻を埋めてみた。さっきと同じシャンプーの匂いがするけれど、感触は全然違う。鼻先を柔らかな髪の毛が擽っていく。
「み、海瑠さん、放して」
「奏歌くんが可愛いんだもん」
「もう、海瑠さん!」
恥ずかしがるのも可愛かったが嫌がられてはいけないので奏歌くんを開放すると、ハンモックから降りて行った。
鳥籠のソファに座った奏歌くんにクッキーの入った缶を持って行って、ミルクティーを淹れて隣りに座る。
おやつにクッキーとミルクティー。
クッキーを摘まみながら奏歌くんは話す。
「気が抜けちゃったら、コウモリになっちゃうみたいなんだ」
これまではお腹が空いたり、怖いことがあったりしたら蝙蝠になっていたけれど、私といるときは違うようだ。
「海瑠さんといると、気が抜けちゃって、だいじょうぶなんだなって思っちゃうの。それで、コウモリになっちゃうみたい」
それは私の前では気を張らなくていい。リラックスした状態ということではないだろうか。
「私の前では奏歌くんは緊張してないんだね」
「海瑠さんはぼくのうんめいのひとだからね」
いつ蝙蝠になっても大丈夫だと分かっているから、気が抜けてしまう。
それを聞いて私は嬉しいくらいだった。
「いつでも蝙蝠になって良いよ。血を分けてあげる」
「ひんけつになったりしない?」
「私の血が栄養十分なのは奏歌くんが一番知っているでしょう?」
問いかけると奏歌くんは素直にこくんと頷いた。
「最初に飲んだ海瑠さんの血はまずかったけど、今の海瑠さんの血は甘くておいしいよ。ついつい、吸いすぎちゃいそうになるくらい」
吸い過ぎる。
そういうことがあるのだろうか。
「吸い過ぎたらどうなるの?」
困ることでもあるのかと確認してみると、奏歌くんはちょっと眉を下げた。
「力があまっちゃうんだって」
血を吸ってからひとを操る能力を使うように真里さんに言われたように、血を吸い過ぎてしまうと奏歌くんは無意識にそういう能力を使ってしまいかねない。だから血を吸うのはほどほどにしなさいと美歌さんとやっちゃんから言われているようだった。
「やっちゃんも茉優ちゃんの血を吸ってるのかな?」
「吸ってないと思う」
やっちゃんと茉優ちゃんの関係も気になるけれど、あの二人はあの二人なりのやり方で距離を縮めていくのだろう。
「クリスマスの特別公演のチケット、茉優ちゃんとやっちゃんにプレゼントしようかな」
誕生日に着ていた可愛いワインレッドのワンピースを茉優ちゃんは着ていく場所があったのだろうか。なかったのならば、ぜひ私のクリスマスの特別公演に着て来て欲しい。
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