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二章 奏歌くんとの二年目
23.奏歌くんとの小さな喧嘩
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公演前の休憩時間に百合が楽屋にやってきた。
お弁当を二つ持ってきている。
「これ、有名店のお弁当よ。海瑠の分も買ってきてあげたの」
「ありがとう」
以前は有名店というのも興味はなかったけれど、最近はどんな店でどんな食べ物を出しているのか多少気になるようになった。美味しかったら奏歌くんと行きたいという気持ちが出てきたのだ。
外食は苦手で食欲もなかったし食べた気もしないが、奏歌くんが一緒ならば美味しいと感じられる。奏歌くんと一緒ならば初めてのお店でも行けるかもしれないと勇気を出すことができる。
食に関して全く興味のなかった私を奏歌くんの存在が変えてくれた。
シュウマイの入った中華のお弁当を百合と食べ始める。百合はいつも美味しそうにご飯を食べるが、私は他人の顔を見ずに食べ物を口に詰め込んでいたので、幼馴染なのにそのことに気付いていなかった。
「百合、何か気になることがあるの?」
わざわざお弁当を持って私のところに百合が来たのだ。何か理由があると思って問いかけると百合が驚く。
「なんで分かったの? 前の海瑠だったら、私に聞きもしなかったのに」
「それは……」
何か言いたくてもじもじしている奏歌くんの姿が脳裏を過る。奏歌くんが私の閉じていた世界を広げてくれた。周囲のことなど全く気にしなかった私を、変えてくれた。
「津島さんが結婚するでしょう? 津島さんは私のマネージャーでもあるじゃない?」
そうだった。
私にあまりにも手がかかるから私にかかりきりになっているだけで、津島さんは私だけでなく百合のマネージャーでもあったのだ。すっかりと忘れていた私に、百合がため息を吐く。
「お祝いのこととか相談しようと思ったけど、私が決めて、海瑠にお金を請求した方が良いわね」
「いつものことながら、お願いします」
「分かったわ。それにしても、『もう26歳か』って言われたのよ、私! 『もう』って何?」
百合が聞いて欲しかったことはこれのようだ。津島さんの結婚の話で百合は自分の年齢に対して他のマネージャーさんから言われたのだそうだ。
「女役で26歳はそろそろ引退するときじゃないかって言われて、何馬鹿なこと言ってんのよって思ったのよ! 私は続けるわよ! 海瑠がトップスターにのし上がって来るまで!」
「後何年かかるか……」
「海瑠を嫁にもらってから、一緒に引退するのよ!」
「嫁? 私が?」
訳の分からないことを言われているが、百合は本気だった。お弁当を食べ終わると立ち上がる。
「海瑠、ダーリンとは最近どうなのよ」
「実は……ちょっと、喧嘩をしちゃったの」
白状すれば百合の目が皿のようになった。じっと見つめられて私は居心地が悪くて目を逸らす。
発端は、奏歌くんと食べた朝ご飯だった。
春休みなので泊って行った奏歌くんは、朝ご飯まで食べてから美歌さんが迎えに来ることになっていた。昨日のうちに買っておいたお漬物を奏歌くんが切ってくれて、お惣菜のサラダチキンとフリーズドライのお味噌汁と、奏歌くんが作ってくれたおにぎりで朝ご飯を食べていたときに、話が出たのだ。
「ぼく、みちるさんとくらしたいな」
ぽりぽりと噛むキュウリの糠漬けはよく漬かっていて美味しい。
「私も奏歌くんと暮らしたい。でも、もうちょっと大きくならないと無理じゃないのかな」
「うん、わかってる。でも、ぼく、みちるさんとくらしたら、ゆめがかなうんじゃないかとおもって」
「夢?」
奏歌くんの夢。
それはなんだろう。
「もしかして、子どもは何人欲しいとか、結婚式はこういう風にしたいとか……」
ドキドキしながら私が問いかけると、奏歌くんはきょとんとして首を傾げた。
「こども? けっこんしき?」
「あれ? 違った?」
「ぼくは、ほしいものがあるだけなの」
奏歌くんの欲しいもの。
それを奏歌くんは語ってくれた。
「ぼく、ぬかどこがほしいんだ」
糠床。
前にも奏歌くんは糠床が欲しいと言っていた。
糠漬けを作るための道具のようなものだと教えてくれた気がする。
「かあさんにずっとほしいっていってるんだけど、まいにちかきまぜないといけないし、いれたおやさいは、つかりすぎないうちにたべなきゃいけないし、ダメっていわれてるんだ。ぼく、ぬかづけだいすきで、あったらあるだけたべちゃうから」
奏歌くんの欲しいものならば私は買ってあげたい。
すぐにそんな気持ちになってしまったのがいけなかったのだ。
「買いに行こうよ、糠床!」
「みちるさん、ダメだよ」
「私の部屋に置いておけばいいでしょう?」
私の提案に重々しく奏歌くんが首を振った。
「ぬかどこは、つめたいところにおいておかなきゃいけないし、まいにちかきまぜないとカビがはえちゃうこともあるんだからね」
「そ、それくらい、私もできるかもしれないよ」
「みちるさんにそんなふたん、かけたくないし、ぼくがいないあいだに、ぬかどこにカビがはえちゃったら、ぼくはかなしい」
「私にだってできるもん!」
買おうとする私と、冷静になって止めようとする奏歌くん。どちらが正しいかなど分かり切っていた。私は一昨年まで、電子レンジのコンセントが入っていなくて壊れたと思い込み、冷蔵庫は空っぽ、洗濯機は使ったことがない、炊飯器に生米だけを入れてスイッチも押さなかった女なのだ。
それが糠床の管理を毎日きっちりすると約束しても信頼がないのは分かり切っていたことだった。
「ぼくがいないあいだに、かったらダメだからね!」
奏歌くんに言い聞かせられて私は奏歌くんを美歌さんにお返しして、劇場にやって来たのだった。
「それはダーリンが正しいけど……ダーリン、糠漬けが好きなの?」
「うん、私も気に入ってて、奏歌くんとスーパーに行くときには買うようにしてるよ。洗ってから切るのを奏歌くんがやってくれて、すごくかっこいいんだから」
私の惚気はともかく百合は目を細めていた。
「渋いわね」
「え? 誰が?」
「糠漬けが好物の7歳とか、聞いたことないわ」
「そう?」
私の食生活は奏歌くんが中心なので、奏歌くんの好きなものは誰でも好きだと信じ込んでいた。しかし、そうでもないようだ。世間では糠漬けは好き嫌いが分かれるものらしい。
「漬物ってそれほど好きじゃない子どもが多い気がするけど」
「奏歌くんは大好きだよ」
奏歌くんに糠漬けを買ってあげたい。
私を百合も止めるようだった。
「あんたに糠漬けの管理は無理。奏歌くんに従いなさい」
「はぁい……」
しゅんと項垂れた私は、いつか奏歌くんと暮らせる日に糠床を買おうと心に決めるのだった。
奏歌くんには次会ったときに謝って仲直りするとして、百合の話はそれだけではなかった。劇団内で規則を破っている後輩が辞めさせられそうになっているという噂は聞いていたが、百合からはっきりと内容を聞く。
「恋愛は禁止でしょう、うちの劇団。それなのに、彼氏といる写真を撮られちゃったみたいなの」
「恋愛は禁止……」
ずきんと胸が痛んだ気がする。
今はまだいい。
奏歌くんは7歳で、私との関係も将来は結婚するとしても、今は付き合うこともできない。可愛い奏歌くんと出歩いても写真を撮られることもないし、スキャンダル誌に騒がれることもない。
うっかりとやっちゃんとカフェに行ったときには写真を撮られたが、年齢が上がって来るとそういうこともあり得るのかもしれない。
「ダーリンは7歳だっけ?」
「うん、次の七月で8歳」
「まだ平気ね」
後輩の件で百合は私を心配してくれていたようだった。
「海瑠、ダーリンが高校生になるくらいになったら、気をつけなきゃいけないわよ」
「分かってる」
その頃に奏歌くんがどれだけ大きくなって大人っぽくなっているか。楽しみでもあるけれど、軽々しく会えなくなるのは悲しくもある。
「それこそ、一緒に住んじゃえば?」
「え!?」
「学生との兼業主夫にしちゃうのよ」
結婚は合法的に相手を自分のテリトリーに閉じ込める方法よ。
そんなことを言われても今はピンとこないけれど、奏歌くんと一緒に暮らせる日が来たら、糠床も買えるし、帰ったら奏歌くんがいるという最高の状態になるわけだ。
「高校になったら同棲……」
それこそスキャンダル誌にすっぱ抜かれたら大変な出来事だが、奏歌くんと私は年齢差がある。姉の後輩の子を預かっているという態でいけば不可能ではないのではないだろうか。
まだまだ先の未来だが、私は奏歌くんとの暮らしを夢見るようになっていた。
お弁当を二つ持ってきている。
「これ、有名店のお弁当よ。海瑠の分も買ってきてあげたの」
「ありがとう」
以前は有名店というのも興味はなかったけれど、最近はどんな店でどんな食べ物を出しているのか多少気になるようになった。美味しかったら奏歌くんと行きたいという気持ちが出てきたのだ。
外食は苦手で食欲もなかったし食べた気もしないが、奏歌くんが一緒ならば美味しいと感じられる。奏歌くんと一緒ならば初めてのお店でも行けるかもしれないと勇気を出すことができる。
食に関して全く興味のなかった私を奏歌くんの存在が変えてくれた。
シュウマイの入った中華のお弁当を百合と食べ始める。百合はいつも美味しそうにご飯を食べるが、私は他人の顔を見ずに食べ物を口に詰め込んでいたので、幼馴染なのにそのことに気付いていなかった。
「百合、何か気になることがあるの?」
わざわざお弁当を持って私のところに百合が来たのだ。何か理由があると思って問いかけると百合が驚く。
「なんで分かったの? 前の海瑠だったら、私に聞きもしなかったのに」
「それは……」
何か言いたくてもじもじしている奏歌くんの姿が脳裏を過る。奏歌くんが私の閉じていた世界を広げてくれた。周囲のことなど全く気にしなかった私を、変えてくれた。
「津島さんが結婚するでしょう? 津島さんは私のマネージャーでもあるじゃない?」
そうだった。
私にあまりにも手がかかるから私にかかりきりになっているだけで、津島さんは私だけでなく百合のマネージャーでもあったのだ。すっかりと忘れていた私に、百合がため息を吐く。
「お祝いのこととか相談しようと思ったけど、私が決めて、海瑠にお金を請求した方が良いわね」
「いつものことながら、お願いします」
「分かったわ。それにしても、『もう26歳か』って言われたのよ、私! 『もう』って何?」
百合が聞いて欲しかったことはこれのようだ。津島さんの結婚の話で百合は自分の年齢に対して他のマネージャーさんから言われたのだそうだ。
「女役で26歳はそろそろ引退するときじゃないかって言われて、何馬鹿なこと言ってんのよって思ったのよ! 私は続けるわよ! 海瑠がトップスターにのし上がって来るまで!」
「後何年かかるか……」
「海瑠を嫁にもらってから、一緒に引退するのよ!」
「嫁? 私が?」
訳の分からないことを言われているが、百合は本気だった。お弁当を食べ終わると立ち上がる。
「海瑠、ダーリンとは最近どうなのよ」
「実は……ちょっと、喧嘩をしちゃったの」
白状すれば百合の目が皿のようになった。じっと見つめられて私は居心地が悪くて目を逸らす。
発端は、奏歌くんと食べた朝ご飯だった。
春休みなので泊って行った奏歌くんは、朝ご飯まで食べてから美歌さんが迎えに来ることになっていた。昨日のうちに買っておいたお漬物を奏歌くんが切ってくれて、お惣菜のサラダチキンとフリーズドライのお味噌汁と、奏歌くんが作ってくれたおにぎりで朝ご飯を食べていたときに、話が出たのだ。
「ぼく、みちるさんとくらしたいな」
ぽりぽりと噛むキュウリの糠漬けはよく漬かっていて美味しい。
「私も奏歌くんと暮らしたい。でも、もうちょっと大きくならないと無理じゃないのかな」
「うん、わかってる。でも、ぼく、みちるさんとくらしたら、ゆめがかなうんじゃないかとおもって」
「夢?」
奏歌くんの夢。
それはなんだろう。
「もしかして、子どもは何人欲しいとか、結婚式はこういう風にしたいとか……」
ドキドキしながら私が問いかけると、奏歌くんはきょとんとして首を傾げた。
「こども? けっこんしき?」
「あれ? 違った?」
「ぼくは、ほしいものがあるだけなの」
奏歌くんの欲しいもの。
それを奏歌くんは語ってくれた。
「ぼく、ぬかどこがほしいんだ」
糠床。
前にも奏歌くんは糠床が欲しいと言っていた。
糠漬けを作るための道具のようなものだと教えてくれた気がする。
「かあさんにずっとほしいっていってるんだけど、まいにちかきまぜないといけないし、いれたおやさいは、つかりすぎないうちにたべなきゃいけないし、ダメっていわれてるんだ。ぼく、ぬかづけだいすきで、あったらあるだけたべちゃうから」
奏歌くんの欲しいものならば私は買ってあげたい。
すぐにそんな気持ちになってしまったのがいけなかったのだ。
「買いに行こうよ、糠床!」
「みちるさん、ダメだよ」
「私の部屋に置いておけばいいでしょう?」
私の提案に重々しく奏歌くんが首を振った。
「ぬかどこは、つめたいところにおいておかなきゃいけないし、まいにちかきまぜないとカビがはえちゃうこともあるんだからね」
「そ、それくらい、私もできるかもしれないよ」
「みちるさんにそんなふたん、かけたくないし、ぼくがいないあいだに、ぬかどこにカビがはえちゃったら、ぼくはかなしい」
「私にだってできるもん!」
買おうとする私と、冷静になって止めようとする奏歌くん。どちらが正しいかなど分かり切っていた。私は一昨年まで、電子レンジのコンセントが入っていなくて壊れたと思い込み、冷蔵庫は空っぽ、洗濯機は使ったことがない、炊飯器に生米だけを入れてスイッチも押さなかった女なのだ。
それが糠床の管理を毎日きっちりすると約束しても信頼がないのは分かり切っていたことだった。
「ぼくがいないあいだに、かったらダメだからね!」
奏歌くんに言い聞かせられて私は奏歌くんを美歌さんにお返しして、劇場にやって来たのだった。
「それはダーリンが正しいけど……ダーリン、糠漬けが好きなの?」
「うん、私も気に入ってて、奏歌くんとスーパーに行くときには買うようにしてるよ。洗ってから切るのを奏歌くんがやってくれて、すごくかっこいいんだから」
私の惚気はともかく百合は目を細めていた。
「渋いわね」
「え? 誰が?」
「糠漬けが好物の7歳とか、聞いたことないわ」
「そう?」
私の食生活は奏歌くんが中心なので、奏歌くんの好きなものは誰でも好きだと信じ込んでいた。しかし、そうでもないようだ。世間では糠漬けは好き嫌いが分かれるものらしい。
「漬物ってそれほど好きじゃない子どもが多い気がするけど」
「奏歌くんは大好きだよ」
奏歌くんに糠漬けを買ってあげたい。
私を百合も止めるようだった。
「あんたに糠漬けの管理は無理。奏歌くんに従いなさい」
「はぁい……」
しゅんと項垂れた私は、いつか奏歌くんと暮らせる日に糠床を買おうと心に決めるのだった。
奏歌くんには次会ったときに謝って仲直りするとして、百合の話はそれだけではなかった。劇団内で規則を破っている後輩が辞めさせられそうになっているという噂は聞いていたが、百合からはっきりと内容を聞く。
「恋愛は禁止でしょう、うちの劇団。それなのに、彼氏といる写真を撮られちゃったみたいなの」
「恋愛は禁止……」
ずきんと胸が痛んだ気がする。
今はまだいい。
奏歌くんは7歳で、私との関係も将来は結婚するとしても、今は付き合うこともできない。可愛い奏歌くんと出歩いても写真を撮られることもないし、スキャンダル誌に騒がれることもない。
うっかりとやっちゃんとカフェに行ったときには写真を撮られたが、年齢が上がって来るとそういうこともあり得るのかもしれない。
「ダーリンは7歳だっけ?」
「うん、次の七月で8歳」
「まだ平気ね」
後輩の件で百合は私を心配してくれていたようだった。
「海瑠、ダーリンが高校生になるくらいになったら、気をつけなきゃいけないわよ」
「分かってる」
その頃に奏歌くんがどれだけ大きくなって大人っぽくなっているか。楽しみでもあるけれど、軽々しく会えなくなるのは悲しくもある。
「それこそ、一緒に住んじゃえば?」
「え!?」
「学生との兼業主夫にしちゃうのよ」
結婚は合法的に相手を自分のテリトリーに閉じ込める方法よ。
そんなことを言われても今はピンとこないけれど、奏歌くんと一緒に暮らせる日が来たら、糠床も買えるし、帰ったら奏歌くんがいるという最高の状態になるわけだ。
「高校になったら同棲……」
それこそスキャンダル誌にすっぱ抜かれたら大変な出来事だが、奏歌くんと私は年齢差がある。姉の後輩の子を預かっているという態でいけば不可能ではないのではないだろうか。
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