46 / 199
第1作 桜の朽木に虫の這うこと
第45話 決着
しおりを挟む
「こうするんだよ――!」
脇腹を押さえていた右手の阿呼を顔の前、左手の吽多を頭の後ろへかざす。
合わせ鏡の原理で、星川雅の顔面が、大刀に映し出された。
「雅、お前こそ最強だ、お前こそ支配者だ、お前こそ帝王だ……!」
自己催眠の要領で、自分自身に強力な暗示をかける。
「ふう、復活」
心臓の活動を増大させ、神経のレベルで身体能力にブーストをかける。
パワーアップした彼女の肉体には、成人男性を超える筋力が備わっていた。
「やめておけ、雅。その鏡地獄は使い方を間違えば、名前のとおり地獄となる。爆発的なパワーは得られるが、体がボロボロになり、最悪、死にいたるぞ? 悪いことは言わん、いますぐ術を解くのだ」
「うるさいよ、叔父様。あんたに負けるくらいなら死んだほうがマシだって」
「せっかく忠告しておるのにな。わかった、来るがいい」
「これでも食らいなっ!」
コマのようにくるくると回転しながら、二本の大刀が渦を作る。
かまいたちよろしく敵を切り刻む、似嵐流の大技だ。
彼女は風の塊となって、似嵐鏡月に襲いかかる。
「秘剣・纏旋風か。姉貴の得意技だったな。だが――」
似嵐鏡月は低くかがんでから、反発の力を利用し、高くジャンプした。
「やはり劣化コピーよ!」
「なにっ――!?」
中空でくるっと翻り、回転する渦の中心を真上から突いた。
「があっ!?」
頭頂部をしたたかに打たれ、星川雅はもんどりうって地面に転がった。
患部を両手で押さえながら、大地を這うような姿勢で悶え苦しむ。
「二竪を手から放したな。武芸者にとって武器を放るのは、すなわち死を意味する。まだまだだな、雅」
「ううっ……」
「さて雅、どうする? 命乞いでもするかね? まあ、いまさら許してなどやらんがな。どれ、ゆっくりと貴様を切り刻んで――」
「ド」
「ああ?」
「チクショウがあああああっ!」
地面に両手をつき、天を仰いで、少女は咆哮した――
(『第46話 狂態』へ続く)
脇腹を押さえていた右手の阿呼を顔の前、左手の吽多を頭の後ろへかざす。
合わせ鏡の原理で、星川雅の顔面が、大刀に映し出された。
「雅、お前こそ最強だ、お前こそ支配者だ、お前こそ帝王だ……!」
自己催眠の要領で、自分自身に強力な暗示をかける。
「ふう、復活」
心臓の活動を増大させ、神経のレベルで身体能力にブーストをかける。
パワーアップした彼女の肉体には、成人男性を超える筋力が備わっていた。
「やめておけ、雅。その鏡地獄は使い方を間違えば、名前のとおり地獄となる。爆発的なパワーは得られるが、体がボロボロになり、最悪、死にいたるぞ? 悪いことは言わん、いますぐ術を解くのだ」
「うるさいよ、叔父様。あんたに負けるくらいなら死んだほうがマシだって」
「せっかく忠告しておるのにな。わかった、来るがいい」
「これでも食らいなっ!」
コマのようにくるくると回転しながら、二本の大刀が渦を作る。
かまいたちよろしく敵を切り刻む、似嵐流の大技だ。
彼女は風の塊となって、似嵐鏡月に襲いかかる。
「秘剣・纏旋風か。姉貴の得意技だったな。だが――」
似嵐鏡月は低くかがんでから、反発の力を利用し、高くジャンプした。
「やはり劣化コピーよ!」
「なにっ――!?」
中空でくるっと翻り、回転する渦の中心を真上から突いた。
「があっ!?」
頭頂部をしたたかに打たれ、星川雅はもんどりうって地面に転がった。
患部を両手で押さえながら、大地を這うような姿勢で悶え苦しむ。
「二竪を手から放したな。武芸者にとって武器を放るのは、すなわち死を意味する。まだまだだな、雅」
「ううっ……」
「さて雅、どうする? 命乞いでもするかね? まあ、いまさら許してなどやらんがな。どれ、ゆっくりと貴様を切り刻んで――」
「ド」
「ああ?」
「チクショウがあああああっ!」
地面に両手をつき、天を仰いで、少女は咆哮した――
(『第46話 狂態』へ続く)
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる