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第六章 突然の別れ
百十九話
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新郎控え室。
「馬子にも衣装、と言ったところだな。なかなか見られるじゃないか、麗音」
俺は父親の前でタキシード姿を披露させられていた。
「さて、入場まであと10分といったところか……あの兎山とかいう奴は間に合うかな?」
クックック、と父親は気味悪く笑った。
「……来るよ、絶対に、しゅん兄ちゃんはすごいから」
「強がりは辞めるんだな麗音、最後まで私の思い通りにならない息子……まあ、結婚に応じただけでも許してやろう、これからは一生、私の生ける駒だからな」
カチャ、と父親は懐中時計を開いた。
「あと7分……あと7分で、全てが私の思い通りになる……桐子、私の人生を狂わせやがって……!麗音は私のもの、私のものになるのだ……!」
「……母さんを」
俺は拳に力を込めた。
「……何だ、その目は」
「母さんを、悪く、言うなっ……」
俺は拳を振り上げたが、そのまま振り下ろす事はなかった。
「ほう、実の父親、社長である私に暴力を振るおうというのかね。傷害罪で逮捕だ、面白い、さあ殴ってみるがいいさ」
「……!」
俺は力なく拳を下ろした。
駄目だ。
俺はこいつの手のひらの上で、踊らされてるんだ……
「さあ、時間だ。式場に向かうぞ」
父親は、虎居一重は、冷酷にそう告げた。
「馬子にも衣装、と言ったところだな。なかなか見られるじゃないか、麗音」
俺は父親の前でタキシード姿を披露させられていた。
「さて、入場まであと10分といったところか……あの兎山とかいう奴は間に合うかな?」
クックック、と父親は気味悪く笑った。
「……来るよ、絶対に、しゅん兄ちゃんはすごいから」
「強がりは辞めるんだな麗音、最後まで私の思い通りにならない息子……まあ、結婚に応じただけでも許してやろう、これからは一生、私の生ける駒だからな」
カチャ、と父親は懐中時計を開いた。
「あと7分……あと7分で、全てが私の思い通りになる……桐子、私の人生を狂わせやがって……!麗音は私のもの、私のものになるのだ……!」
「……母さんを」
俺は拳に力を込めた。
「……何だ、その目は」
「母さんを、悪く、言うなっ……」
俺は拳を振り上げたが、そのまま振り下ろす事はなかった。
「ほう、実の父親、社長である私に暴力を振るおうというのかね。傷害罪で逮捕だ、面白い、さあ殴ってみるがいいさ」
「……!」
俺は力なく拳を下ろした。
駄目だ。
俺はこいつの手のひらの上で、踊らされてるんだ……
「さあ、時間だ。式場に向かうぞ」
父親は、虎居一重は、冷酷にそう告げた。
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