47 / 124
第三章 同居開始で溺愛されてます
四十七話
しおりを挟む
なんとか午前中の仕事を終え、昼食に向かう。
社員が増えた分、より混雑もする。
「兎山先輩、俺まだまだ一人前じゃないんですね……」
しょんぼりしながら唐揚げを口に持っていく麗音をなだめる。
「まあまだ入って2ヶ月だろ、そんなもんだよ、まあ俺もちょっと期待し過ぎた所あるけどな」
「大丈夫……ですかね?よし!午後も頑張ります!」
麗音はガッツポーズをした後、勢いよく食事を続けた。
元気だなあ、と思っていた俺の耳に、食堂で点いているテレビの音声が聞こえた。
「いやぁ~桃澤さん?初登場やね、今人気なんやろ?」
「もぉ~そんなことないですよぉ~」
国民的司会者の帯番組。
この食堂ではいつもこの番組をしている。
今までは気にしていなかったが、こんな日があるだなんて。
「しゅん兄ちゃん、顔怖いよ、どうしたの?」
麗音の声に我に返る。
「……いや、午後の仕事量多いなって考えてただけだ!」
そう誤魔化して味噌汁をすする。
テレビの音声は聞こえない振りをした。
‐
「有栖川さんってかっこいいですよねー」
「そうね、いつも兎山さんに叱られてるけど」
新年度が始まってしばらく経ったある日の午後、給湯室を通りかかると、そんな声が聞こえた。
おそらく新入社員の女の子と、同じ部署の女性社員。
盗み聞きをする趣味は断じて無いが、俺と麗音の名前を聞いてしまっては気になるのも仕方がない。
俺はコーヒーを入れる振りをして給湯室に入った。
女子達が隅に移動し、ヒソヒソ話す。
「噂で聞いたんですけど、有栖川さんって社長の息子さんなんですよね?玉の輿とかワンチャン……」
「えーどうだろ、もう婚約者とかいるんじゃない?」
婚約者、という言葉にズキッとする。
麗音と社長の関係はよく分かってないけど、跡取りとして入社したなら婚約者くらいいても不思議ではない。
それなのに俺は麗音の何気ない言動にときめいたりして、馬鹿じゃないか……
「お疲れ様です、入っていいですか?」
そんなことを考えていると、麗音が入ってきた。
社員が増えた分、より混雑もする。
「兎山先輩、俺まだまだ一人前じゃないんですね……」
しょんぼりしながら唐揚げを口に持っていく麗音をなだめる。
「まあまだ入って2ヶ月だろ、そんなもんだよ、まあ俺もちょっと期待し過ぎた所あるけどな」
「大丈夫……ですかね?よし!午後も頑張ります!」
麗音はガッツポーズをした後、勢いよく食事を続けた。
元気だなあ、と思っていた俺の耳に、食堂で点いているテレビの音声が聞こえた。
「いやぁ~桃澤さん?初登場やね、今人気なんやろ?」
「もぉ~そんなことないですよぉ~」
国民的司会者の帯番組。
この食堂ではいつもこの番組をしている。
今までは気にしていなかったが、こんな日があるだなんて。
「しゅん兄ちゃん、顔怖いよ、どうしたの?」
麗音の声に我に返る。
「……いや、午後の仕事量多いなって考えてただけだ!」
そう誤魔化して味噌汁をすする。
テレビの音声は聞こえない振りをした。
‐
「有栖川さんってかっこいいですよねー」
「そうね、いつも兎山さんに叱られてるけど」
新年度が始まってしばらく経ったある日の午後、給湯室を通りかかると、そんな声が聞こえた。
おそらく新入社員の女の子と、同じ部署の女性社員。
盗み聞きをする趣味は断じて無いが、俺と麗音の名前を聞いてしまっては気になるのも仕方がない。
俺はコーヒーを入れる振りをして給湯室に入った。
女子達が隅に移動し、ヒソヒソ話す。
「噂で聞いたんですけど、有栖川さんって社長の息子さんなんですよね?玉の輿とかワンチャン……」
「えーどうだろ、もう婚約者とかいるんじゃない?」
婚約者、という言葉にズキッとする。
麗音と社長の関係はよく分かってないけど、跡取りとして入社したなら婚約者くらいいても不思議ではない。
それなのに俺は麗音の何気ない言動にときめいたりして、馬鹿じゃないか……
「お疲れ様です、入っていいですか?」
そんなことを考えていると、麗音が入ってきた。
92
お気に入りに追加
448
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる