十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

第三章 同居開始で溺愛されてます

四十六話

「全く、いきなり休まれても困るんだよ、このカメ！」

　翌日、部長にお詫びに行くと上記の返しをされた。

　まあ確かに、新年度でいきなり休むのは印象悪いよな。

　そのせいで新入社員の挨拶も済んでないし。

　あることないこと言われてなきゃいいんだが……


「兎山先輩、俺も先輩になるんすね！一層頑張ります！」


　麗音は相変わらずこんなだし。

　俺はこれからを考えてはぁ、とため息をついた。

　麗音が入社してから一ヶ月。

　ポンコツを発揮することもまだ多いが、少しずつ仕事を覚えてきた。


「じゃあ、この資料作成頼むわ」

「はい！」


　俺は変わらず麗音の研修係をしながら、自分の仕事もこなしている。

　今までは終電ギリギリでいつも帰り、遅刻ギリギリで出社していたのに、麗音が一緒に帰りたがるせいで定時付近で終える事も増えた。

　そう考えてると俺も成長しているのか？

　少し嬉しくなる。


「兎山、あの件どうなってる？」

「あの件……カピバラ産業の件ですか？」

「そう、輸入品の手配の見積もりだが……」

「えーっと、これですね、メールしておきます」

「分かった、すぐ頼むよ」


　あの件、と聞かれても怖くて聞き返せなかった俺が、確認して対応できている。

　これは麗音の正直さから学んだ所だ。

　俺は麗音に仕事を教えながら、逆に麗音から教えられている。

　俺達、いいコンビなんじゃないか？


「兎山先輩！部長に送るメール、間違って専務に送っちゃいました！」


　……前言撤回だ。

　こいつのポンコツさはまだまだ改善に時間がかかりそうだ。