36 / 124
第三章 同居開始で溺愛されてます
三十六話
しおりを挟む
なんとかベッドから降りた俺は、麗音の後に続いて出かける準備をした。
「あっ、しゅん兄ちゃん、寝ちゃったかと思ったよ、ごめんね、眠かったら寝てても」
「いや、大丈夫だ、それより遅くなって悪かったな、買い物行こうか」
「うん!」
家の鍵を閉めた後、麗音は俺の手を取った。
あの渋谷での買い物以来、麗音はプライベートで出かける際はしばしば俺の手を繋ぐようになった。
最初は周りから奇異の目で見られないかと思っていたが、最近では以前より、不安ではなく落ち着きが勝っていることに気づいた。
「ん?どうしたの?しゅん兄ちゃん」
麗音が振り返って首を傾げる。
「ん、いや、何食おうかなって考えてただけ」
「そうだね、あ!そうだ!俺カレー食べたい!」
心臓が高鳴る。
「か、カレー!?」
「うん!しゅん兄ちゃんの作るカレーが食べたい!作れる?」
麗音はニコニコと微笑む。
「まあ、一応な」
「やったあ!」
……カレーか。
年末に雄介に作って以来、しばらく作ってなかったな。
‐
スーパーで野菜や肉を選ぶ。
見切り品のニンジンや玉ねぎ、少量包装のじゃがいもに特売の豚こま肉。
麗音は興味津々といった目で覗き込む。
「しゅん兄ちゃん、そのシールが貼ってるほうが美味しいの?」
「え?いや、こっちの方が安いからな、賞味期限も近いし」
「そうなんだ、しゅん兄ちゃんは優しいね」
優しいのか?
疑問に思いつつもカレールーの棚に向かう。
「ルーはこれとこれだな」
「えっ!二種類作るの?」
「ちげーよ、混ぜて使うんだ」
俺は普段とある二種類のルーを半分ずつ使って味付けをしている。
その一つには虎居カンパニーが関わっているメーカーのものだ。
それを見る度、少しだけ嬉しくなる。
雄介には、あまり受け入れられなかったけど。
「あっ、しゅん兄ちゃん、寝ちゃったかと思ったよ、ごめんね、眠かったら寝てても」
「いや、大丈夫だ、それより遅くなって悪かったな、買い物行こうか」
「うん!」
家の鍵を閉めた後、麗音は俺の手を取った。
あの渋谷での買い物以来、麗音はプライベートで出かける際はしばしば俺の手を繋ぐようになった。
最初は周りから奇異の目で見られないかと思っていたが、最近では以前より、不安ではなく落ち着きが勝っていることに気づいた。
「ん?どうしたの?しゅん兄ちゃん」
麗音が振り返って首を傾げる。
「ん、いや、何食おうかなって考えてただけ」
「そうだね、あ!そうだ!俺カレー食べたい!」
心臓が高鳴る。
「か、カレー!?」
「うん!しゅん兄ちゃんの作るカレーが食べたい!作れる?」
麗音はニコニコと微笑む。
「まあ、一応な」
「やったあ!」
……カレーか。
年末に雄介に作って以来、しばらく作ってなかったな。
‐
スーパーで野菜や肉を選ぶ。
見切り品のニンジンや玉ねぎ、少量包装のじゃがいもに特売の豚こま肉。
麗音は興味津々といった目で覗き込む。
「しゅん兄ちゃん、そのシールが貼ってるほうが美味しいの?」
「え?いや、こっちの方が安いからな、賞味期限も近いし」
「そうなんだ、しゅん兄ちゃんは優しいね」
優しいのか?
疑問に思いつつもカレールーの棚に向かう。
「ルーはこれとこれだな」
「えっ!二種類作るの?」
「ちげーよ、混ぜて使うんだ」
俺は普段とある二種類のルーを半分ずつ使って味付けをしている。
その一つには虎居カンパニーが関わっているメーカーのものだ。
それを見る度、少しだけ嬉しくなる。
雄介には、あまり受け入れられなかったけど。
44
お気に入りに追加
321
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる