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第三章 同居開始で溺愛されてます

三十五話

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「しゅん兄ちゃん、大好き……愛してる」

 ……え?

 今、なんて言った?

 愛してる、だと?

 いやいや落ち着け俊太郎、麗音はそういう対象じゃないんだ、麗音だって普通の……

 普通?

 普通ってなんだ?

 心拍数が上がりながらも、俺は混乱している自分を冷ややかに自分を見つめていた。



「んーよく寝た……あれ?しゅん兄ちゃん、起きてたの?」


 麗音が目を擦りながら起き上がる。


「お、おう、疲れすぎて逆に寝れなかったわ」

「そうだったんだ……ごめんね、ぎゅーってして、苦しかったでしょ!?」

「いいや、別に苦しくは……」


 あせあせと体を離す麗音。

 温もりが緩やかに失われていく事に、泣きそうになる。


「もう16時かー、そろそろ夜ご飯作らないとね、買い物行こう!」


 大きく伸びをした麗音はベッドから降り、上着を取りに行った。

 俺はベッドに腰掛け、ぼんやりと麗音の出ていった方を眺めていた。


(しゅん兄ちゃん、愛してる)


 彼は一体どんな夢を見たのか。

 その言葉は、どんな思いで発せられたのか。

 西日が差し込む部屋で、俺は一人で悩んでいた。
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