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第三章 同居開始で溺愛されてます
三十二話
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麗音との同居を決めた日から一ヶ月後。
「よし、これで荷物は全部か。すみません、積み込みお願いします」
俺は引っ越し作業の真っ只中だった。
家具や家電の中には買い替えを検討していたものもあったが、麗音が「この前買ったやつ一緒に使おうよ!」と言ったのでそのまま処分することにした。
「しゅん兄ちゃん、これは?」
「あーっと、これは割れ物だから……」
麗音も手伝いに来てくれた。
しゅん兄ちゃんに関わることだから、との理由で。
全く、どんだけ俺を慕ってるんだよ。
「はい、じゃあお願いしますー」
ブロロロ、とトラックを見送る。
さて、俺達も急がねえと。
忘れ物は無いか、と部屋を見渡していると、備え付けの戸棚から一枚の紙が出てきた。
見ると、それは五年前、雄介が俺に送ってくれたバースデーソングの歌詞だった。
「……っ!」
‐
あの日、残業が終わって帰ってくると、雄介が部屋に来ていた。
ライブ終わりで飲みに行かなかったのか、と聞くと、お前の誕生日だから、と言って弾き語りをしてくれた。
俺はそれを聴いて涙を零し、雄介に抱きついた。
雄介は温かく背中を撫でてくれた。
‐
「しゅん兄ちゃん?」
麗音の声で我に返る。
「わ、悪い、もうこの家ともおさらばかと思うと、感慨深くて……」
「そうなんだ、その紙は?持って行くの?」
はっとして紙を眺める。
「うーん……いらねえ、かな、向こうで捨てるわ」
そうだ、これはもう不要なものだ。
そう分かっていても、俺はそれをすぐに捨てることはできず、ポケットに押し込んだ。
「よし、これで荷物は全部か。すみません、積み込みお願いします」
俺は引っ越し作業の真っ只中だった。
家具や家電の中には買い替えを検討していたものもあったが、麗音が「この前買ったやつ一緒に使おうよ!」と言ったのでそのまま処分することにした。
「しゅん兄ちゃん、これは?」
「あーっと、これは割れ物だから……」
麗音も手伝いに来てくれた。
しゅん兄ちゃんに関わることだから、との理由で。
全く、どんだけ俺を慕ってるんだよ。
「はい、じゃあお願いしますー」
ブロロロ、とトラックを見送る。
さて、俺達も急がねえと。
忘れ物は無いか、と部屋を見渡していると、備え付けの戸棚から一枚の紙が出てきた。
見ると、それは五年前、雄介が俺に送ってくれたバースデーソングの歌詞だった。
「……っ!」
‐
あの日、残業が終わって帰ってくると、雄介が部屋に来ていた。
ライブ終わりで飲みに行かなかったのか、と聞くと、お前の誕生日だから、と言って弾き語りをしてくれた。
俺はそれを聴いて涙を零し、雄介に抱きついた。
雄介は温かく背中を撫でてくれた。
‐
「しゅん兄ちゃん?」
麗音の声で我に返る。
「わ、悪い、もうこの家ともおさらばかと思うと、感慨深くて……」
「そうなんだ、その紙は?持って行くの?」
はっとして紙を眺める。
「うーん……いらねえ、かな、向こうで捨てるわ」
そうだ、これはもう不要なものだ。
そう分かっていても、俺はそれをすぐに捨てることはできず、ポケットに押し込んだ。
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