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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで

十八話

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 麗音が着替えている間、俺は部屋を見渡した。

 ソファとテーブル、小さい本棚。

 そしてその上に置かれた、ボロボロになったリスのぬいぐるみ。


「……ちゃんと持ってるんだな」

「何を?」

「うおっ!?」


 声のした方を向くと、麗音がスウェットに着替えて戻ってきていた。


「あ、いや、あのぬいぐるみ、ちゃんと持ってたんだなって」

「……うん、母さんからもらった、初めてのプレゼントだから」


 どこか悲しそうな目でぬいぐるみを見つめる麗音だったが、急にこちらを見た。


「あっ!しゅん兄ちゃんもそのままだとつらいよね、俺ので良かったら服着る?」

「うぇ?」


 麗音は俺より背が高い(多分175くらいある)ので全然入るだろうけど、それにしても年下の服を着るなんて!

(うう、恥ずかしい……)

 そう思いつつも俺は麗音のスウェットを受け取った。

 ぶかぶかというほどではないが、やっぱり若干丈が余ってしまう。

 麗音の使っている柔軟剤なのか、甘い匂いがする。


「着替えたぞー……」

「おかえりしゅん兄ちゃん、ここ座って!」


 麗音はソファの座面をぽんぽんと叩く。

 促されるままにそこに座る。


「あれ、ちょっと大きかった?」

「まあな、でも気にすんなよ、動けるから」


 苦笑しつつそう返すと、麗音が真っ直ぐな目でこちらを見ているのに気づいた。


「れ、麗音?どうし」


 た、と言い終わる前に、麗音に抱きしめられた。
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