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第2章 出会いの街 編

065 不死の”夢”の肉体 <04/05(金)PM 02:47>

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 ※※※ 注意 ※※※

 ただいま [夢の洞窟] 中です。


 大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。

 [夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。

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 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、『最初の小部屋』で宝箱を2つ、『次の小部屋』で更に2つの宝箱を発見し、『G百足』LV18の急襲を受けるも撃退し、合計4つのアイテムを入手した。
 続く3つ目の『中部屋』で、さらに3つの宝箱を発見し、周囲の大量の『オイシイ』モンスター『Gカマド』LV16を、『条件』を満たした『狂戦士』…ケイ1人の『無双』により一掃し、ドロップと宝箱の回収も無事終了する。
 再び探索を再開し通路を進み始めた俺達は『G百足』を2体発見、上手くケイが1体だけを誘い出し、ケイがクリティカルヒットを食らってしまったものの、なんとか撃破したのだった。


「ケイっ大丈夫か?」
「もう大丈夫だ」
 『G百足A』にトドメをさしたヒイラギが、クリティカルヒットを食らったケイを心配している。

「さっきのは『アレ』が発動したのか?」
「あぁ」
 ヒイラギの質問に答えながらも、ケイは≪噛み付かれた左肩≫を右手でさすったり、左肩全体を≪ぐるぐる≫と回したりして、違和感などが無いかを確認している。

 「………」先ほどケイは『G百足』LV18の”毒牙”による『噛み付き』攻撃で、クリティカルヒットを食らってしまった。
 通常時の『噛み付き』ダメージが『55%』だったのだから、クリティカルヒットで単純に2倍のダメージだったとすると、110%のダメージ…つまり『即死していたはず』である。

 しかしケイは『狂戦士』である。「アクティブスキル(必殺技)が無い」…という欠点(デメリット)の代わりに、≪他職には無い≫強力な常時発動パッシブスキルを備えている。それが、

・仮初の不死[ワンス・イモータル][P] LV50以上の時、致死ダメージを受けても、120分間に一度だけHP1で耐える。
  補足:発動後120分間はリキャストタイムとなる。継続ダメージや連続攻撃には弱い。

・鋼の肉体[ボディオブスチール][P] 一撃で80%以上のダメージを受けた時、80%以上のダメージをカットし、カットした分の”%MP”を消費する。(上限40%まで)
  補足:常にHPを80%以上に保っていれば死ににくいが、一部の特殊系、即死系のスキルなどには効果が無い。継続ダメージや連続攻撃にも弱い。また「140%以上のダメージ”を受ければ、上限の40%までカットされても、残りが100%を超える」ため即死する。

…という2つのスキルだ。
 鋼の肉体[ボディオブスチール][P]は、先ほどの戦闘の様に『80%以上のダメージ』を受けた場合、『≪上限40%まで≫のダメージを≪MPで肩代わり≫』する…というスキルだ。

 つまりあの瞬間、鋼の肉体[ボディオブスチール][P]が自動で発動(一瞬眩しく光る)し、『受けた110%』のダメージから『80%以上のダメージ分』…つまり「残り30%分のHPへのダメージ」を「MPに肩代わり」させてカットし、『即死を回避』したのだ。

 その結果ケイは
 「HPが80%減少し、さらに≪MPが30%減少≫」した状態…で生き残った。
 「ケイの身体全体からシュワシュワと、水色の煙(蒸気?)の様なモノが立ち上っていた」…のは、『ダメージの身代わりとなって消費したMP』だった訳だ。
 この時おそらくケイには以下の様な『システムメッセージ』が表示されていただろう。

《鋼の肉体[ボディオブスチール]:80%以上のダメージを受け、ダメージをカットしました!》
《鋼の肉体[ボディオブスチール]により、30%のMPを消費しました》

 なんとなく予想されている方もおられたかな? と思うのだが、この『鋼の肉体[ボディオブスチール][P]』…というスキルは、思うように『MAXHP』や『防御力』を強化出来ない『狂戦士』の『救済スキル』であり、『アクティブスキル(必殺技)が無い』ために、『MPというモノが無意味』になってしまう『狂戦士』が、『ダメージの身代わり用』として≪重要な意味≫を持つ様にする、「MPは無駄では無い」…とするためのスキルだ。

 しかしMPは「%で消費」するため、『MAG』の上昇による『MAXMPの増加』は無意味どころか、「MP回復に要する時間が長くなる」という『デメリット』となる。
 MAXMP100の30%は”30”にすぎないが、MAXMP10000の30%は”3000”である。MP3000を自動で微回復させるのに、「一体何分寝転んでいないといけないのか?」という話だ。しかも『狂戦士』に『みならい魔法使い』系、『みならい僧侶』系の様な『MP回復速度補正』は無い。

 だが、ご存知の様に、『狂戦士』には『全ステータスに+LV%補正』があり、当然『MAGも強化』されていく。それはつまり「LVUP毎に この”鋼の肉体[ボディオブスチール][P]”の制限(使い辛さ)も上昇させている」…という事だ。
 ようするに、LVUPで、ただ『強化されている』わけでは無かった…のである。長所には短所が、メリットにはデメリットが付きまとう、これぞ、ヤマコウクオリティ〔※1〕。
「強化だけされるかと思った?  残念! ヤマコウちゃんでした!」 m9(^Д^)

 …さてそんな「ヤマコウの嫌がらせ」に耐え、LV50以上へと到達した『狂戦士』は、
『仮初の不死[ワンス・イモータル][P]』まで備えるため、多少のピンチでは簡単に屈しない頑強タフさを持つ事になる。

 「139%までのダメージ」であれば、HP99%、MP40%を消費して耐える。
 さらに「140%を超えて」も、120分に1度は”HP1”で耐える。

 「120分に1度」…というと、大した事が無い気がするかもしれないが、2時間に1度、つまり…『1日(24時間)に、≪12回も≫致死ダメージに耐えられる』のだ。

 この2つのスキルが合わさって、LV50以上となった『狂戦士』は、”仮初の不死[ワンス・イモータル]” +”鋼の肉体[ボディオブスチール]” =『不死の肉体』を持つ事になる。
(※つまり今回のサブタイトルは「不死の夢」&「夢の肉体」です)

 …とはいえ、どちらにもしっかりと『制限』はあるので、スキルを≪過信すれば≫すぐに”お陀仏”となる。無茶な連戦をせず、120分の『リキャストタイム』中は階段などの『安全地帯』で待つ様にすれば、消費したMPも回復し”鋼の肉体[ボディオブスチール][P]”も『万全』となり、再び”仮初の不死[ワンス・イモータル][P]”、という頼もしい『保険』も発動可能となり、安定した冒険、探索が出来るのだ。


「ともかく、無事で良かったが、どうする? MPを回復するか?」
 と、『リーダー』のヒイラギが、ケイに”安全策”を提案する。

「問題無い。アイツ(『G百足B』)も狩ってしまおう」
 ケイは前方の壁に張り付いたままの『G百足B』を見ながらそう答えた。

「そうか、まぁ無理はするなよ」
 そう言いつつ、ヒイラギは足元に落ちていた『1,062G』と『百足硬殻』をさっと回収した。

 「………」鋼の肉体[ボディオブスチール][P]は強力であるが、『代償』にMPを消費するため「MPが尽きれば発動しない」。
 また足りない場合は「≪MPが足りる分だけ≫しか肩代わりしない」…というスキルだ。
 万全を期すなら『”狂戦士”は常にMPをMAXに保っておく』のが望ましい。
 もちろんHPが80%以上無ければ、カットしようがしまいが≪80%のダメージで死んでしまう≫ので、『HPも常に80%以上に保って』おくべきである。

 ついでにTJOでは、回復アイテムの使い勝手が悪い(高価、効果が低い、連続使用出来ない)ため、『回復職』が居ない場合、『残りHP20%や、HP1』で耐えても、次の攻撃までに『低性能な回復アイテム』で80%以上に回復出来ずに≪追撃で死んでしまったりする≫ため、『回復職』が居ない場合にはLV50オーバーの『狂戦士』と言えど「あまり無茶が出来ない」…事が多い。
 無論、これも『採算度外視』で、+7~などの高級なポーションをガブ飲み…などすれば「活躍は思いのまま」、だろう。当然、代償は≪安くないモノ≫となるのだが。

 そんな訳で『狂戦士』にとって『回復職(ヒーラー)』は常に「居て欲しい存在」であるのだが、回復職にとっても、他の『防御を固めまくって、あまりダメージを食らわない壁役』より、常に30%以上のダメージを食らってくれて、『治癒による経験値と治癒回数稼ぎ』をさせてもらえる『狂戦士』は、『嬉しい同行相手、悪くない存在』であるので両者は、

「とにかく回復してくれー」 「回復(だけ)は任せろー(バリバリ)」
…という「持ちつ持たれつ」、「ギブアンドテイク」…な間柄であると言える。


「よっしゃ、それじゃアイツも狩っちまうぞ!」
「あぁ、いくぞっ」
「了解です」
 そのまま”連戦”する事が決まり、ケイは『G百足B』に向かって走っていく。その後に俺とヒイラギが付いて走る。ヒイラギも『鋼のメイス』を右手に持ち、左手に『鋼の小盾バックラー』を持って戦闘準備は出来ている。なお俺は(略。

 ケイが5mほどまで接近すると、『G百足B』がこちら(ケイ?)に気付いた。

「KUGYUUUUUuuuuu!」
 少々気になる? 威嚇いかくの声、音? をあげる『G百足B』に対して、ケイは走りながら背中に背負った『鉄の大剣』を両手で掴んで、”スラッ”と引き抜くと、そのまま威嚇いかく中? の『G百足B』に叩き付けた。

 ドガガガ――――ンッ、と爆音と衝撃音が響き渡り、『G百足B』が壁から地面に叩き落とされて、やはり100本の足をウゾウゾモゾモゾと不規則に動かしながら のたうち回った。そこへ少し遅れて走っていったヒイラギが、

「おっしゃあ~!」
 と振りかぶった右手の『鋼のメイス』を、地面に叩き落とされて のたうち回っている『G百足B』に向かって振りおろす。

 ドゴンッ、と鈍い音が響き、のたうち回っていた『G百足B』が、一瞬”ビクンッ”と仰け反った。今回もしっかりと『衝撃』を内部へと伝えて、ダメージを与えたのだろう。
 すぐさまヒイラギはその場を離れる。

「KUGYUU!」
 我に返ったように『G百足B』も”ぐるり”と体勢を立て直し、『本FA』を取った(憎い)ケイに反撃をしようとするが、

「遅いっ!」
 すでに『鉄の大剣』を真っ直ぐ天に向かってつき上げ、両手で構え(”蜻蛉トンボの構え”)ていたケイは、

「ってりゃあぁぁっ!!」
 と気合いをいれて、その巨大な『鉄の大剣』を振りおろした。

 ズガガ――ンッ、爆音と衝撃音が響き渡り、ケイに反撃しようとしていた『G百足B』に、≪カウンター気味≫にヒットした『鉄の大剣』は、再び『G百足B』を地面に叩き伏せる。
 またも苦しそう? に100本の足を”ウゾウゾ、モゾモゾ”と不規則に動かしながら のたうち回る。そこへ≪餅つきの合いの手≫を入れる様にヒイラギが、

「うりゃあぁぁっ!」
 と叩き伏せられている『G百足B』に向かって、右手に持った『鋼のメイス』を力一杯振りおろす。

 ボゴンッ、と『G百足B』の≪硬い硬殻≫にヒットした鈍い音が響く……

「KU…GYUUUUUuuuu……」
 と、やはり気になる? 断末魔の声? をあげて、『G百足B』のモゾモゾと動いていた100本の足の動きが止まり、少しずつ霞んで消滅していった。

「おっしゃぁ~! また討ち取ったぜぇ~」
 と、ヒイラギが右手に持った『鋼のメイス』を高々と突き上げて、勝ちどきの声をあげた。その足元には『1,148G』、『793G』と『百足硬殻』、そして『百足ファング』が落ちていた。俺達(俺以外)の勝利だ。


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LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:14/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)


〔※1〕TJO総合統括プロデューサー 山岡 光一 ヤマコウ(通称)(CV:小山力也)
 長所短所、メリットデメリット、リスクリターンといった事を重要視する。
 挑戦者魂チャレンジスピリット開拓精神フロンティアスピリットを評価し、停滞、安定、マンネリを嫌う。TJOの理念に大きく影響を与える人物。

 彼の理念により、ただ得する、ただ損する、何のリスクも無いのに強力、苦労したのに儲けが無い…などといった『理不尽さ』が、ほぼ存在しないゲーム性となっている。強力な攻撃、効果には必ずなんらかのリスク、代償を伴う。
 またゲーム内、ゲーム外を問わず、悪事、犯罪行為には厳しい。過去作でも迷惑行為、RMTチートbotなど、容赦なくBANしてきた実績を持つ。


「ちなみに今回もケイは〈戦闘状態〉を解除していなかった訳だ」
「なんで~?」
「今回は最初から”連戦になる”だろうと予想出来ていたからな。だからケイは『G百足』と、俺達の丁度≪中間あたり≫で〈戦闘状態〉に切り替えたんだ」
「ちゅ~かん?」
「あぁ、どちらの地点でも戦える様にな」
「ふ~ん」

「しかし〈通常状態〉に戻さなければ、減少したHP/MPが回復しない。無意味に〈戦闘状態〉のままにしておくのは≪もったいない≫んだ」
「そっか~」
「まぁ『狂戦士』は、こうやって≪色々な事を考えながら≫やっていく難しい職という事だ」
「きょうせんし、たいへん~」
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