10 / 59
第二章 スローライフ希望のはずなのに、毎日それなりに忙しいのだが?
10.流れ星に願いを込めて【side アリア】 ①
しおりを挟む
村の子ども達とおしゃべりをしていた時のことだった。
「昨日の流れ星見た?」
一人の子のその言葉に
「見た!」
私以外の皆が目を輝かせながらそう返した。
何でもこの時期、この村では流れ星が多くみられるのだという。
そして、流れ星が消える前に願いをかければそれが叶うのだと、子ども達は嬉しそうに教えてくれた。
願い。
そう聞いた瞬間、何故かまず最初に思い浮かんだのはハクタカの顔だった。
ハクタカは王都でもそうだったが、若者の少ないこの村では更に人気者だ。
ハクタカから恋人がいるのだという話を聞かされた事は無いが……。
もし素敵な人が現れたら、ハクタカはやっぱり私を置いてその人の元に行ってしまうのだろうか。
そんな事を考えてしまったせいだろう。
その日の夜、私は寝付けず部屋の窓から空ばかり見ていた。
翌朝――
「寒くて眠れなかったか?」
私の目の下に出来たクマを見つけたのだろう。
ハクタカがそんな事を言った。
「えっと……」
まさか、ハクタカのまだ存在せぬ恋人の存在に胸を痛めて眠れなかったなどとも言う訳にもいかず。
何と答えたものかと思っていた時、ふと子供達との会話を思い出した。
「……流れ星。そう! 昨日子ども達から流れ星を見たって話を聞いて、探してたんだけど見つけられなくて寝るのが遅くなっちゃった」
「流れ星? 上にばっかり気を取られて川に落ちたりするなよ??」
ハクタカにとって、私は相変わらず犬や小さな子どもの様に庇護し世話を焼いてやる存在に変わりないらしい。
ハクタカは呆れたようにため息をつくと、しかし優しく優しく目を細めながら、そんな小さな子どもに注意するような事を言った。
ハクタカは優しい人だ。
だから、ハクタカには好きな人と結ばれて幸せになる権利があるって分かっているのに……。
『ハクタカとこれからもずっと一緒にいられますように』
そんな身勝手な願いをかけてしまいたくなって。
結局その日の晩も、私は眠らず空ばかり見てしまったのだった。
◇◆◇◆◇
そうやって私が夜空ばかり見ては、目の下のクマを深くしていたある日――
ハクタカが朝から何だか忙しそうにしていた。
どこかに出かける予定でもあるのか、何やら楽し気に準備をしている。
「どこか遠出するの? 手伝おうか?」
そう尋ねるも
「大したことじゃない」
そう言ってハクタカはそれ以上の事は自ら話してくれることはなかった。
もし、詳しく尋ねたら教えてくれたのかもしれない。
でも、リュックに詰めた中身を見たハクタカの目と口元が小さく甘やかな弧を描いたから……
『久しぶりに恋人に会いに行くんだ』
そう言われたら立ち直れない、そう思って。
それ以上尋ねることが出来なかった。
「アリア、今からちょっと出かけられるか?」
夕方前になって、ハクタカがそんな事を言いだした。
「こんな遅い時間に?」
少し驚きつつも特に用事も無いので頷けば、ハクタカが嬉し気に、用意していたあのリュックを背負った。
自分を一緒に連れて行くという事は、恋人に会う為に用意していたのではなかったのだろうか?
急に軽くなった私の心とは対照的に、ハクタカが背負ったリュックは魔王討伐にでも出るつもりなのかと思うくらい重たげに、パンパンに膨れていた。
◇◆◇◆◇
日が暮れる前に、二人でなだらかな山道をのんびり登って行く。
暖冬故なのか道に雪は無く、積もったフカフカの落ち葉を踏む感触と針葉樹のさわやかな匂いが、思わず歌いだしてしまいたくなるくらい心地良かった。
山頂に着いて間もなく、ハクタカが何やら焚火の準備を始めた。
私が小枝を集めて火にくべれば、ハクタカが満足そうにウンウンと頷いたのち、リュックから大きな蓋付きの鍋と牛乳の入った瓶と、チーズの入った包みを取り出した。
鍋の中には既に小さく刻んで煮込まれた野菜と鶏肉が入っていた。
そうして、ハクタカはそこに持っていた瓶の牛乳を全て入れると蓋を外したまま火にかけた。
ぐつぐつ煮たったタイミングで、ハクタカはそこにチーズを入れて更にそれを煮込んでいった。
傾き始めていた日が、その色をオレンジに変えた頃――
ハクタカが鍋の蓋を開ければ、モワンと白い湯気が豪快に立ち上がって、周囲が暖かで実に良い匂いに包まれた。
「おいしー!!」
お行儀悪くスプーンを加えたままそう言えば、ハクタカが嬉しそうに笑って私のお皿に軽く火であぶって温めたパンをのせた。
パンにシチューを搦める美味しさに身もだえれば、ハクタカが更にチーズをのせて蒸したジャガイモを私のお皿に追加してくる。
「…………」
ハクタカはどうも私の事を常に腹ペコだと思っている節がある。
そういうところが、村の子ども達から『お爺ちゃんみたい』だと言われる所以なのだろう。
そう思えば可笑しくなって思わずフフッと声に出して笑った時だった。
私の方を見ていたハクタカが鏡の様にフワッと破顔した。
「っ!!」
不意に繰り出してくるハクタカの甘い笑顔は本当に心臓に悪いと思う。
パッとハクタカから目を逸らした時だった。
思いがけず紺碧の空を銀色に輝く星が一つ、煌めく光の尾を引きながら流れ落ちて行くのが見えた。
「流れ星!」
「王都では毎年この時期流星群が見られるからな。もしかしたらと思ったんだけど、『あたり』だったみたいだな」
ハクタカがそう言って、いたずらが成功した子どもの様に笑った。
手早く後片付けを済ませたハクタカは、家にある一番厚手のラグを地面に敷くと、その上に私を座らせ、同じく家にある一番暖かい毛布を掛けてくれた。
「これがリュックが嵩張っていた原因かぁ」
毛布に移っていたハクタカの香りに思わずドギマギしてしまい。
お礼を言うのも忘れ、目を泳がせながら思わずそんなどうでもいい事を言えば
「飴も沢山持ってきたからな。腹減ったら言えよ?」
そう言ってハクタカがまたカッコいいお兄さんの顔で、そんなお爺ちゃん見たいな事を言った。
「昨日の流れ星見た?」
一人の子のその言葉に
「見た!」
私以外の皆が目を輝かせながらそう返した。
何でもこの時期、この村では流れ星が多くみられるのだという。
そして、流れ星が消える前に願いをかければそれが叶うのだと、子ども達は嬉しそうに教えてくれた。
願い。
そう聞いた瞬間、何故かまず最初に思い浮かんだのはハクタカの顔だった。
ハクタカは王都でもそうだったが、若者の少ないこの村では更に人気者だ。
ハクタカから恋人がいるのだという話を聞かされた事は無いが……。
もし素敵な人が現れたら、ハクタカはやっぱり私を置いてその人の元に行ってしまうのだろうか。
そんな事を考えてしまったせいだろう。
その日の夜、私は寝付けず部屋の窓から空ばかり見ていた。
翌朝――
「寒くて眠れなかったか?」
私の目の下に出来たクマを見つけたのだろう。
ハクタカがそんな事を言った。
「えっと……」
まさか、ハクタカのまだ存在せぬ恋人の存在に胸を痛めて眠れなかったなどとも言う訳にもいかず。
何と答えたものかと思っていた時、ふと子供達との会話を思い出した。
「……流れ星。そう! 昨日子ども達から流れ星を見たって話を聞いて、探してたんだけど見つけられなくて寝るのが遅くなっちゃった」
「流れ星? 上にばっかり気を取られて川に落ちたりするなよ??」
ハクタカにとって、私は相変わらず犬や小さな子どもの様に庇護し世話を焼いてやる存在に変わりないらしい。
ハクタカは呆れたようにため息をつくと、しかし優しく優しく目を細めながら、そんな小さな子どもに注意するような事を言った。
ハクタカは優しい人だ。
だから、ハクタカには好きな人と結ばれて幸せになる権利があるって分かっているのに……。
『ハクタカとこれからもずっと一緒にいられますように』
そんな身勝手な願いをかけてしまいたくなって。
結局その日の晩も、私は眠らず空ばかり見てしまったのだった。
◇◆◇◆◇
そうやって私が夜空ばかり見ては、目の下のクマを深くしていたある日――
ハクタカが朝から何だか忙しそうにしていた。
どこかに出かける予定でもあるのか、何やら楽し気に準備をしている。
「どこか遠出するの? 手伝おうか?」
そう尋ねるも
「大したことじゃない」
そう言ってハクタカはそれ以上の事は自ら話してくれることはなかった。
もし、詳しく尋ねたら教えてくれたのかもしれない。
でも、リュックに詰めた中身を見たハクタカの目と口元が小さく甘やかな弧を描いたから……
『久しぶりに恋人に会いに行くんだ』
そう言われたら立ち直れない、そう思って。
それ以上尋ねることが出来なかった。
「アリア、今からちょっと出かけられるか?」
夕方前になって、ハクタカがそんな事を言いだした。
「こんな遅い時間に?」
少し驚きつつも特に用事も無いので頷けば、ハクタカが嬉し気に、用意していたあのリュックを背負った。
自分を一緒に連れて行くという事は、恋人に会う為に用意していたのではなかったのだろうか?
急に軽くなった私の心とは対照的に、ハクタカが背負ったリュックは魔王討伐にでも出るつもりなのかと思うくらい重たげに、パンパンに膨れていた。
◇◆◇◆◇
日が暮れる前に、二人でなだらかな山道をのんびり登って行く。
暖冬故なのか道に雪は無く、積もったフカフカの落ち葉を踏む感触と針葉樹のさわやかな匂いが、思わず歌いだしてしまいたくなるくらい心地良かった。
山頂に着いて間もなく、ハクタカが何やら焚火の準備を始めた。
私が小枝を集めて火にくべれば、ハクタカが満足そうにウンウンと頷いたのち、リュックから大きな蓋付きの鍋と牛乳の入った瓶と、チーズの入った包みを取り出した。
鍋の中には既に小さく刻んで煮込まれた野菜と鶏肉が入っていた。
そうして、ハクタカはそこに持っていた瓶の牛乳を全て入れると蓋を外したまま火にかけた。
ぐつぐつ煮たったタイミングで、ハクタカはそこにチーズを入れて更にそれを煮込んでいった。
傾き始めていた日が、その色をオレンジに変えた頃――
ハクタカが鍋の蓋を開ければ、モワンと白い湯気が豪快に立ち上がって、周囲が暖かで実に良い匂いに包まれた。
「おいしー!!」
お行儀悪くスプーンを加えたままそう言えば、ハクタカが嬉しそうに笑って私のお皿に軽く火であぶって温めたパンをのせた。
パンにシチューを搦める美味しさに身もだえれば、ハクタカが更にチーズをのせて蒸したジャガイモを私のお皿に追加してくる。
「…………」
ハクタカはどうも私の事を常に腹ペコだと思っている節がある。
そういうところが、村の子ども達から『お爺ちゃんみたい』だと言われる所以なのだろう。
そう思えば可笑しくなって思わずフフッと声に出して笑った時だった。
私の方を見ていたハクタカが鏡の様にフワッと破顔した。
「っ!!」
不意に繰り出してくるハクタカの甘い笑顔は本当に心臓に悪いと思う。
パッとハクタカから目を逸らした時だった。
思いがけず紺碧の空を銀色に輝く星が一つ、煌めく光の尾を引きながら流れ落ちて行くのが見えた。
「流れ星!」
「王都では毎年この時期流星群が見られるからな。もしかしたらと思ったんだけど、『あたり』だったみたいだな」
ハクタカがそう言って、いたずらが成功した子どもの様に笑った。
手早く後片付けを済ませたハクタカは、家にある一番厚手のラグを地面に敷くと、その上に私を座らせ、同じく家にある一番暖かい毛布を掛けてくれた。
「これがリュックが嵩張っていた原因かぁ」
毛布に移っていたハクタカの香りに思わずドギマギしてしまい。
お礼を言うのも忘れ、目を泳がせながら思わずそんなどうでもいい事を言えば
「飴も沢山持ってきたからな。腹減ったら言えよ?」
そう言ってハクタカがまたカッコいいお兄さんの顔で、そんなお爺ちゃん見たいな事を言った。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
異世界でお金を使わないといけません。
りんご飴
ファンタジー
石川 舞華、22歳。
事故で人生を終えたマイカは、地球リスペクトな神様にスカウトされて、異世界で生きるように言われる。
異世界でのマイカの役割は、50年前の転生者が溜め込んだ埋蔵金を、ジャンジャン使うことだった。
高級品に一切興味はないのに、突然、有り余るお金を手にいれちゃったよ。
ありがた迷惑な『強運』で、何度も命の危険を乗り越えます。
右も左も分からない異世界で、家やら、訳あり奴隷やらをどんどん購入。
旅行に行ったり、貴族に接触しちゃったり、チートなアイテムを手に入れたりしながら、異世界の経済や流通に足を突っ込みます。
のんびりほのぼの、時々危険な異世界事情を、ブルジョア満載な生活で、何とか楽しく生きていきます。
お金は稼ぐより使いたい。人の金ならなおさらジャンジャン使いたい。そんな作者の願望が込められたお話です。
しばらくは 月、木 更新でいこうと思います。
小説家になろうさんにもお邪魔しています。
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
黄泉ブックタワー
どっぐす
ライト文芸
無気力系OLと元気いっぱいな悪魔のお話です。
【あらすじ】
8月の、ある日。
社会人一年生・アカリは、いつも見かけている秋葉原のタワー型本屋が黒く禍々しい塔に置き換わっていることに気づいた。
あまりに非現実的な光景に呆然としてしまうアカリ。
そんな彼女の前に、その塔からやってきたという青年・ミナトが現れる。
自分は悪魔の一種である“本魔”。
彼はそのように自己紹介し、「願いを一つだけ叶えてやる」と怪しい話を持ちかけてくるのだが……。
※イメージイラストは秋野ひろこ先生より頂きました。
秋野ひろこ先生のPixivページ
https://www.pixiv.net/users/1403943
もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~
ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様にて先行公開しております。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~
ひぃ~ろ
ファンタジー
とある過疎化の進んだ地区で地方公務員として働いていた 橘 星那 《たちばな せな》高卒30歳独身、彼女無しが近くに住んでいた祖父の家に呼ばれ
蔵の整理をしたところ大きく古びた櫃のようなものを開けるとその中に吸い込まれてしまい きづいた時には見慣れぬ景色の世界、異世界へと飛ばされていた
そこで数々の人々と出会い 運命の人に出会い のちにナンバーズと呼ばれる
大陸最強の13人の一人として名をはせる男のお話・・・・です
※ おかげさまで気づけばお気に入り6、000を超えておりました。読んでいただいてる方々には心から感謝申し上げます。
作者思いつきでダラダラ書いておりますので、設定の甘さもありますし、更新日時も不定、誤字脱字並びにつじつまの合わないことなど多々ある作品です。
ですので、そのような駄作は気に入らない、または目について気になってしょうがないという方は、読まなかったことにしていただき、このような駄作とそれを書いている作者のことはお忘れください。
また、それでも気にせず楽しんで読んでいただける方がおられれば幸いとおもっております。
今後も自分が楽しく更新していけて少しでも読んで下さった方が楽しんでいただければと思います。
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる