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本編
別れの気配
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夕方近くになってラーシュと二人、街に帰って来た時です。
街の広場に沢山人が集まっていて、何かと思いそちらを見やれば、近隣の村周辺のモンスター退治に出ていた騎士団の方々が帰還してきたようでした。
「テオ!」
名前を呼びながら集団に走り寄りその姿を探せば、明るい栗毛の騎士様然とした顔立ちの整った青年が、怪我もなく元気そうに私に向かって手を振ってくれたので、私はほっと安堵のため息を付きました。
「テオドール??」
テオの姿を見たラーシュが驚いて声をあげた為、テオもラーシュに気が付きました。
「エーヴ……」
驚きのあまりラーシュの本名を広場で叫びそうになったテオが慌てて自分の口を塞ぎます。
テオが部下たちに解散の指示を出した後、慌ててこちらに駆け寄って来ました。
「どうして貴方がここに??」
驚くテオに
「たまたま冒険者として立ち寄ったんだ。そしたらギルドから一月でいいからとどまってモンスター退治に協力して欲しいと頼まれ滞在している」
ラーシュもテオがこんなところにいたことに驚いた顔をしつつも嬉しそうに言いました。
テオは、お城ではラーシュの信頼の厚い配下であり、私の警護を担当してくれていた騎士でもありました。
私がお城を離れた時、テオは直ぐにこの街の騎士団長として赴任して来たのです。
てっきりラーシュの指示なのかと思っていましたが……。
テオが自分で決めて来てくれていたのですね。
恐らく、私の『事故』に責任を感じての行動なのでしょう。
気にすることはないから本来テオが居るべき場所に戻るべきだと、もっと早く気づいて言ってあげるべきでしたね。
十年もの間、テオに本当に申し訳ないことをしてしまいました。
改めてテオにこれまで守ってくれていたことへの礼と、こんな辺境に縛り付けてしまった事を詫び、ラーシュにテオを近衛騎士に戻して欲しいと頼めば
「私がここに来たのは自分の意思で、レーア様に会えたのはたまたまですよ」
そう言ってテオはいつもの様に穏やかに微笑み私とラーシュの提案を頑ななまでに辞退しました。
「ところで……えーっと……」
「ここではラーシュだ」
「ラーシュ様はいつまでこちらに?」
テオの言葉に、ラーシュがフッと顔を曇らせました。
「そもそも一月の約束だったから、あと二週間くらかな」
二週間。
近すぎるタイムリミットに、胸の奥が晩秋の夕方の外気よりも冷たくなっていくのを覚えます。
北の彼がここに立ち寄ったのは本当にたまたまで、彼にとってここは、そしてつがいでも何でもない私はさしたる意味も持たないのでしょう。
「街道を抜けられるなら、二週間と言わず早い方がいいでしょう。あそこはもうすぐ雪が降り難所になります」
テオの指す先を見ながら、
「あぁ……そうだな」
そう酷く無機質な声で答えた呟くラーシュの声が、また私の胸を抉りました。
街の広場に沢山人が集まっていて、何かと思いそちらを見やれば、近隣の村周辺のモンスター退治に出ていた騎士団の方々が帰還してきたようでした。
「テオ!」
名前を呼びながら集団に走り寄りその姿を探せば、明るい栗毛の騎士様然とした顔立ちの整った青年が、怪我もなく元気そうに私に向かって手を振ってくれたので、私はほっと安堵のため息を付きました。
「テオドール??」
テオの姿を見たラーシュが驚いて声をあげた為、テオもラーシュに気が付きました。
「エーヴ……」
驚きのあまりラーシュの本名を広場で叫びそうになったテオが慌てて自分の口を塞ぎます。
テオが部下たちに解散の指示を出した後、慌ててこちらに駆け寄って来ました。
「どうして貴方がここに??」
驚くテオに
「たまたま冒険者として立ち寄ったんだ。そしたらギルドから一月でいいからとどまってモンスター退治に協力して欲しいと頼まれ滞在している」
ラーシュもテオがこんなところにいたことに驚いた顔をしつつも嬉しそうに言いました。
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私がお城を離れた時、テオは直ぐにこの街の騎士団長として赴任して来たのです。
てっきりラーシュの指示なのかと思っていましたが……。
テオが自分で決めて来てくれていたのですね。
恐らく、私の『事故』に責任を感じての行動なのでしょう。
気にすることはないから本来テオが居るべき場所に戻るべきだと、もっと早く気づいて言ってあげるべきでしたね。
十年もの間、テオに本当に申し訳ないことをしてしまいました。
改めてテオにこれまで守ってくれていたことへの礼と、こんな辺境に縛り付けてしまった事を詫び、ラーシュにテオを近衛騎士に戻して欲しいと頼めば
「私がここに来たのは自分の意思で、レーア様に会えたのはたまたまですよ」
そう言ってテオはいつもの様に穏やかに微笑み私とラーシュの提案を頑ななまでに辞退しました。
「ところで……えーっと……」
「ここではラーシュだ」
「ラーシュ様はいつまでこちらに?」
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「そもそも一月の約束だったから、あと二週間くらかな」
二週間。
近すぎるタイムリミットに、胸の奥が晩秋の夕方の外気よりも冷たくなっていくのを覚えます。
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「街道を抜けられるなら、二週間と言わず早い方がいいでしょう。あそこはもうすぐ雪が降り難所になります」
テオの指す先を見ながら、
「あぁ……そうだな」
そう酷く無機質な声で答えた呟くラーシュの声が、また私の胸を抉りました。
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