上 下
11 / 39
本編

剣、というか……

しおりを挟む
「いくら適正があっても、剣なんて一朝一夕で使えるものじゃないんだよ?」

とりあえず適当に手直にあった剣を掴んでブンブン振ってみる私を遠巻きに見ながら、ラーシュがそんな事を言ってため息を付きました。

「なぁーん」

ラーシュの肩に乗ってついてきた黒い子猫が、ラーシュにまるで同意するかのようにタイミングよく鳴きます。

まぁ、騎士様などは子どもの頃からずっと鍛錬を積んでいますものね。
いきなり使えたら鍛錬いらないですよね……。


そう思った時でした。
珍しい形の剣を見つけました。

他の剣よりもかなり大ぶりなそれは、剣というより寧ろ包丁の様で。
それを持つと、これまで振ってみたどの剣よりもしっくりくるような気がしました。

よく考えて見れば、騎士様が子どもの頃から鍛錬を積んでいる間、私は家の手伝いや仕事で包丁を使って料理をしてきていますもんね?!

「これにする!」

いいもの見つけたと思ってラーシュににっこり微笑めば、ラーシュもそれが包丁に見えたのでしょう、

「絶対モンスターは食べない約束だからね?!」

とまた、死んだ目をしてそんな事を言うのでした。






******

危ないからと反対するラーシュを押し切って。
剣をもってルンルンでモンスターが跋扈ばっこする街の外の森にやって来ました。

ちょうどいいモンスターがいないかなぁと思った時です。
木の上からズドンと鶏に似たモンスターが現れました!

剣を構えて、はたと気づきます。

剣ってどうやって振るんでしたっけ??
まぁいいか、とりあえず大きな包丁を使う勢いでやってみたいと思います!


「おみごと……」

綺麗に解体された様にして倒されたモンスターを見て、ラーシュが死んだ目をしたままパチパチと拍手をしてくれました。

これも暴食のスキルの効果なのでしょうか。
なんか、これまでさばいたことのある食材に似た魔物なら難なく行ける気がします!


実際、その後現れたキノコに似た魔物は簡単に石づきを切り落とした後、簡単にスライス出来ました。
でも弱点もありました。

さばいたことのないスライム状の魔物はどうしていいのか思いつかず、スキルが発動しないためか酷く苦戦してしまい、結局ラーシュが倒してくれたのでした。
スライムは今度クラゲをさばいて対策するとして……。

私、きっと魚の魔物とか出たら三枚におろせますが、人型の魔物にあったら一巻の終わりですね。

「それもまた難儀だね」

どうしたものかとラーシュが首を捻ります。

「やっぱり魔法覚えるしかないのかな……。今回の事で思ったんだけど、私きっと炎の魔法とか上手く使いこなせると思う!」

「教えてあげてもいいけど……本当に食べたらダメだかね?」

私の楽し気な様子とは対照的にラーシュがゲンナリしながら言いました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

世界を壊したいほど君を愛してる

音無砂月
恋愛
『あなたが今後手にするのは全て私が屑籠に捨てるものです』のスピンオフ エーベルハルトとその恋人の物語 エーベルハルトが唯一愛した女性リズがエーベルハルトの手に落ちるまでの物語です。 エーベルハルトの詳しい過去に関しては『エーベルハルトの物語〜彼がヤンデレになった理由〜』にあります。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

どうやら私は竜騎士様の運命の番みたいです!!

ハルン
恋愛
私、月宮真琴は小さい頃に児童養護施設の前に捨てられていた所を拾われた。それ以来、施設の皆んなと助け合いながら暮らしていた。 だが、18歳の誕生日を迎えたら不思議な声が聞こえて突然異世界にやって来てしまった! 「…此処どこ?」 どうやら私は元々、この世界の住人だったらしい。原因は分からないが、地球に飛ばされた私は18歳になり再び元の世界に戻って来たようだ。 「ようやく会えた。俺の番」 何より、この世界には私の運命の相手がいたのだ。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

番認定された王女は愛さない

青葉めいこ
恋愛
世界最強の帝国の統治者、竜帝は、よりによって爬虫類が生理的に駄目な弱小国の王女リーヴァを番認定し求婚してきた。 人間であるリーヴァには番という概念がなく相愛の婚約者シグルズもいる。何より、本性が爬虫類もどきの竜帝を絶対に愛せない。 けれど、リーヴァの本心を無視して竜帝との結婚を決められてしまう。 竜帝と結婚するくらいなら死を選ぼうとするリーヴァにシグルスはある提案をしてきた。 番を否定する意図はありません。 小説家になろうにも投稿しています。

リアンの白い雪

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。 いつもの日常の、些細な出来事。 仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。 だがその後、二人の関係は一変してしまう。 辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。 記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。 二人の未来は? ※全15話 ※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。 (全話投稿完了後、開ける予定です) ※1/29 完結しました。 感想欄を開けさせていただきます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

処理中です...