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本編
剣、というか……
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「いくら適正があっても、剣なんて一朝一夕で使えるものじゃないんだよ?」
とりあえず適当に手直にあった剣を掴んでブンブン振ってみる私を遠巻きに見ながら、ラーシュがそんな事を言ってため息を付きました。
「なぁーん」
ラーシュの肩に乗ってついてきた黒い子猫が、ラーシュにまるで同意するかのようにタイミングよく鳴きます。
まぁ、騎士様などは子どもの頃からずっと鍛錬を積んでいますものね。
いきなり使えたら鍛錬いらないですよね……。
そう思った時でした。
珍しい形の剣を見つけました。
他の剣よりもかなり大ぶりなそれは、剣というより寧ろ包丁の様で。
それを持つと、これまで振ってみたどの剣よりもしっくりくるような気がしました。
よく考えて見れば、騎士様が子どもの頃から鍛錬を積んでいる間、私は家の手伝いや仕事で包丁を使って料理をしてきていますもんね?!
「これにする!」
いいもの見つけたと思ってラーシュににっこり微笑めば、ラーシュもそれが包丁に見えたのでしょう、
「絶対モンスターは食べない約束だからね?!」
とまた、死んだ目をしてそんな事を言うのでした。
******
危ないからと反対するラーシュを押し切って。
剣をもってルンルンでモンスターが跋扈する街の外の森にやって来ました。
ちょうどいいモンスターがいないかなぁと思った時です。
木の上からズドンと鶏に似たモンスターが現れました!
剣を構えて、はたと気づきます。
剣ってどうやって振るんでしたっけ??
まぁいいか、とりあえず大きな包丁を使う勢いでやってみたいと思います!
「おみごと……」
綺麗に解体された様にして倒されたモンスターを見て、ラーシュが死んだ目をしたままパチパチと拍手をしてくれました。
これも暴食のスキルの効果なのでしょうか。
なんか、これまでさばいたことのある食材に似た魔物なら難なく行ける気がします!
実際、その後現れたキノコに似た魔物は簡単に石づきを切り落とした後、簡単にスライス出来ました。
でも弱点もありました。
さばいたことのないスライム状の魔物はどうしていいのか思いつかず、スキルが発動しないためか酷く苦戦してしまい、結局ラーシュが倒してくれたのでした。
スライムは今度クラゲをさばいて対策するとして……。
私、きっと魚の魔物とか出たら三枚におろせますが、人型の魔物にあったら一巻の終わりですね。
「それもまた難儀だね」
どうしたものかとラーシュが首を捻ります。
「やっぱり魔法覚えるしかないのかな……。今回の事で思ったんだけど、私きっと炎の魔法とか上手く使いこなせると思う!」
「教えてあげてもいいけど……本当に食べたらダメだかね?」
私の楽し気な様子とは対照的にラーシュがゲンナリしながら言いました。
とりあえず適当に手直にあった剣を掴んでブンブン振ってみる私を遠巻きに見ながら、ラーシュがそんな事を言ってため息を付きました。
「なぁーん」
ラーシュの肩に乗ってついてきた黒い子猫が、ラーシュにまるで同意するかのようにタイミングよく鳴きます。
まぁ、騎士様などは子どもの頃からずっと鍛錬を積んでいますものね。
いきなり使えたら鍛錬いらないですよね……。
そう思った時でした。
珍しい形の剣を見つけました。
他の剣よりもかなり大ぶりなそれは、剣というより寧ろ包丁の様で。
それを持つと、これまで振ってみたどの剣よりもしっくりくるような気がしました。
よく考えて見れば、騎士様が子どもの頃から鍛錬を積んでいる間、私は家の手伝いや仕事で包丁を使って料理をしてきていますもんね?!
「これにする!」
いいもの見つけたと思ってラーシュににっこり微笑めば、ラーシュもそれが包丁に見えたのでしょう、
「絶対モンスターは食べない約束だからね?!」
とまた、死んだ目をしてそんな事を言うのでした。
******
危ないからと反対するラーシュを押し切って。
剣をもってルンルンでモンスターが跋扈する街の外の森にやって来ました。
ちょうどいいモンスターがいないかなぁと思った時です。
木の上からズドンと鶏に似たモンスターが現れました!
剣を構えて、はたと気づきます。
剣ってどうやって振るんでしたっけ??
まぁいいか、とりあえず大きな包丁を使う勢いでやってみたいと思います!
「おみごと……」
綺麗に解体された様にして倒されたモンスターを見て、ラーシュが死んだ目をしたままパチパチと拍手をしてくれました。
これも暴食のスキルの効果なのでしょうか。
なんか、これまでさばいたことのある食材に似た魔物なら難なく行ける気がします!
実際、その後現れたキノコに似た魔物は簡単に石づきを切り落とした後、簡単にスライス出来ました。
でも弱点もありました。
さばいたことのないスライム状の魔物はどうしていいのか思いつかず、スキルが発動しないためか酷く苦戦してしまい、結局ラーシュが倒してくれたのでした。
スライムは今度クラゲをさばいて対策するとして……。
私、きっと魚の魔物とか出たら三枚におろせますが、人型の魔物にあったら一巻の終わりですね。
「それもまた難儀だね」
どうしたものかとラーシュが首を捻ります。
「やっぱり魔法覚えるしかないのかな……。今回の事で思ったんだけど、私きっと炎の魔法とか上手く使いこなせると思う!」
「教えてあげてもいいけど……本当に食べたらダメだかね?」
私の楽し気な様子とは対照的にラーシュがゲンナリしながら言いました。
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