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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編
206 ベルの話
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俺たちは宮殿からさらに移動を始めた。
ちなみにあの宮殿は普段は使われていないらしい。
今回は俺の意識を召喚するための装置を設置する場所として選んだって話だった。
俺への解説役はベルに移っていた。
ベル・ガレンシア。
バリガンガルドの城主にして、ガレンシア公爵。
その傍らにはメイドのカタリナさんが付き従っている。
さらに彼の背後にはゴーレムが護衛のように張り付いている。
「元々僕は、ガレンシア公爵位を取り戻すために、エドと取引をしていたんです」
なんでも、彼は正統なガレンシア公爵位の継承者。
しかし、彼の両親が謀殺され、爵位を奪われてしまった。
そして彼はバリガンガルドの城で使用人に身をやつしていたのだ。
そこへ現れたのがエド。
ゴーレム五百体をベルに貸すと申し出てきたのだという。
その条件は……。
「僕がガレンシア公爵位を取り戻した暁には、公国内での冒険者ギルドを増設・優遇することを約束しました」
まあ、納得の条件だな。
エドがただの商会の代表だとしたら。
ベルはゴーレムを使い、バリガンガルドの城を占拠した。
兵士も住民も好意的で、決起は簡単に成功した。
そして、準備を整え、ガレンシア本国へ向かおうとしたところで事件が起こった。
俺が天空塔ダンジョンと接続し、ゴーレムに招集をかけたのだ。
俺は絶海の孤島ダンジョンにいたゴーレムに呼びかけたつもりだったんだけど。
そこから発掘してエドが整備したゴーレムも影響を受けてしまった。
ベルの率いるゴーレム軍団は動かなくなってしまったのだ。
そこへエドが現れた。
「エドは、僕に、ガレンシア公国ではなく、ヴォルフォニア帝国を攻めるように言ってきました」
エドが言うには……。
今ガレンシア公国を取り戻しても、結局帝国の支配下に置かれることになる。
ならば、帝国を攻撃したほうが得策だ。
占拠できないまでも打撃を与えれば、有利な条件で交渉ができる。
……とのことだった。
〈でも、そんな簡単にいくか? ゴーレムが五百体いるとはいえ、大陸の半分を支配する国だろ?〉
いや、今の帝都がこの有様ということは、上手くいったということか。
……と思ったら、この現状の原因はまた別らしい。
「……後から知ったことですが、エドは帝都で異変が起こっていることを知っていたようです」
〈異変?〉
「ライレンシア博士が魔族として覚醒したことです」
〈ああ……〉
なるほど。
エドは魔王の力を持っていた。
それで、自分の配下の目覚めを察知できたってことだろうか。
〈え? じゃあ、この帝都の惨状は、ライレンシア博士がやったってことか〉
「そうです。たった一人の魔族によって、大陸最強の国家の都は、一晩で滅びたんです」
なんてこった……。
「僕は、まだそんなことも知らず、エドの口車に乗って、ゴーレム軍団を連れて帝都に向かいました」
〈ゴーレムは動かなくなってたんじゃないのか?〉
「エドが再調整したんです。エドはゴーレムに魔王の欠片を埋め込み、それを通じて命令を下せるようにしていたんです」
〈え?〉
俺はベルの背後を歩くゴーレムを見上げる。
「心配いりません。今のこいつは、クーネアさんが魔王の欠片を除去して改造してくれた個体なので。完全に僕の指揮下にあります」
それならよかった……。
「でも……帝都に向かっているときは、そううまくはいきませんでした。再調整したゴーレムでしたが、今度は暴走を初めてしまったんです。大陸中で、魔力の流れが変化し、魔響震が起こったために……」
それ、俺が引き起こしてたやつだよな、きっと。
天空塔ダンジョンを倒壊させないためにやってたことではあるんだけど。
申し訳ない気持ちになるな……。
「そこへ駆けつけてきてくれたのが、クラクラさんとドグラさんでした」
ここで突然!
経緯が全然わからないけど。
と思ってると、クラクラが言ってきた。
「ここからは私が話そう」
ちなみにあの宮殿は普段は使われていないらしい。
今回は俺の意識を召喚するための装置を設置する場所として選んだって話だった。
俺への解説役はベルに移っていた。
ベル・ガレンシア。
バリガンガルドの城主にして、ガレンシア公爵。
その傍らにはメイドのカタリナさんが付き従っている。
さらに彼の背後にはゴーレムが護衛のように張り付いている。
「元々僕は、ガレンシア公爵位を取り戻すために、エドと取引をしていたんです」
なんでも、彼は正統なガレンシア公爵位の継承者。
しかし、彼の両親が謀殺され、爵位を奪われてしまった。
そして彼はバリガンガルドの城で使用人に身をやつしていたのだ。
そこへ現れたのがエド。
ゴーレム五百体をベルに貸すと申し出てきたのだという。
その条件は……。
「僕がガレンシア公爵位を取り戻した暁には、公国内での冒険者ギルドを増設・優遇することを約束しました」
まあ、納得の条件だな。
エドがただの商会の代表だとしたら。
ベルはゴーレムを使い、バリガンガルドの城を占拠した。
兵士も住民も好意的で、決起は簡単に成功した。
そして、準備を整え、ガレンシア本国へ向かおうとしたところで事件が起こった。
俺が天空塔ダンジョンと接続し、ゴーレムに招集をかけたのだ。
俺は絶海の孤島ダンジョンにいたゴーレムに呼びかけたつもりだったんだけど。
そこから発掘してエドが整備したゴーレムも影響を受けてしまった。
ベルの率いるゴーレム軍団は動かなくなってしまったのだ。
そこへエドが現れた。
「エドは、僕に、ガレンシア公国ではなく、ヴォルフォニア帝国を攻めるように言ってきました」
エドが言うには……。
今ガレンシア公国を取り戻しても、結局帝国の支配下に置かれることになる。
ならば、帝国を攻撃したほうが得策だ。
占拠できないまでも打撃を与えれば、有利な条件で交渉ができる。
……とのことだった。
〈でも、そんな簡単にいくか? ゴーレムが五百体いるとはいえ、大陸の半分を支配する国だろ?〉
いや、今の帝都がこの有様ということは、上手くいったということか。
……と思ったら、この現状の原因はまた別らしい。
「……後から知ったことですが、エドは帝都で異変が起こっていることを知っていたようです」
〈異変?〉
「ライレンシア博士が魔族として覚醒したことです」
〈ああ……〉
なるほど。
エドは魔王の力を持っていた。
それで、自分の配下の目覚めを察知できたってことだろうか。
〈え? じゃあ、この帝都の惨状は、ライレンシア博士がやったってことか〉
「そうです。たった一人の魔族によって、大陸最強の国家の都は、一晩で滅びたんです」
なんてこった……。
「僕は、まだそんなことも知らず、エドの口車に乗って、ゴーレム軍団を連れて帝都に向かいました」
〈ゴーレムは動かなくなってたんじゃないのか?〉
「エドが再調整したんです。エドはゴーレムに魔王の欠片を埋め込み、それを通じて命令を下せるようにしていたんです」
〈え?〉
俺はベルの背後を歩くゴーレムを見上げる。
「心配いりません。今のこいつは、クーネアさんが魔王の欠片を除去して改造してくれた個体なので。完全に僕の指揮下にあります」
それならよかった……。
「でも……帝都に向かっているときは、そううまくはいきませんでした。再調整したゴーレムでしたが、今度は暴走を初めてしまったんです。大陸中で、魔力の流れが変化し、魔響震が起こったために……」
それ、俺が引き起こしてたやつだよな、きっと。
天空塔ダンジョンを倒壊させないためにやってたことではあるんだけど。
申し訳ない気持ちになるな……。
「そこへ駆けつけてきてくれたのが、クラクラさんとドグラさんでした」
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