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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

204 世界は三つに分かれ、混沌を極めていた……!

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 ロロコに連れられた俺は、廃墟と化していた宮殿を歩いていく。

 廃墟ってのは言い過ぎだったかもしれない。
 外から見たときはボロボロに見えてたんだけど。
 中に入ると、案外無事なところが残っている。

 とはいえ、全体的にかなり埃っぽい。
 それに人が全然見当たらない。
 そんなところは、ここがもう国の重要機関じゃないことを物語っているようだ。

 ロロコが話を続ける。

「リビたんは、どこまで覚えてるの?」

〈あー、そうだな。天空塔ダンジョンが倒壊しないように、ゴーレムたちを集めてる途中くらいまでかな〉

「じゃあ、本当に最初の方だけだったんだね。ヘルメスさんの言ってたとおり」

〈あの後、天空塔はどうなったんだ?〉

「倒れなかったよ。リビたんのおかげ。破片は少し降ったけど、大きな被害も出なかった」

〈そうか……〉

 ホッとしたぜ。

「ただ、ヘルメスさんは消えちゃった。元々消える寸前だったみたいだけど、術式を書き換えたことで、存在が維持できなくなったみたい」

 ……彼女の代わりに俺が天空塔の制御システムになる、ってことだったからな。

 ヘルメスさん本人ではないとはいえ。
 何も言えなかったのはちょっと残念だ。

〈しかし、俺、今は全然天空塔と繋がってる感じがしないんだけど。どうなってるんだ?〉

 それどころか、元の通り、この鎧だけしか自分の身体がない感じがする。

 って、よく見ると、これ、普通の鎧じゃね?
 マジカルアーマーですらない。

 これじゃ本当に平凡なリビングアーマーじゃん。

 いや、リビングアーマーがそもそも平凡じゃないかもしれないけどさ。

「それはね、リビたんの意識を取り戻すためにそうしたの。クーネアさんの助言で」

 クーネアさん。
 エド・チェインハルトの秘書の?

〈ってことは、エドは……今、俺たちの味方なのか?〉

「ううん。あの人は今、世界を滅ぼそうとしてる」

〈なんだって!?〉

 と言ってはみたものの、そのこと自体はそれほど驚きじゃないな。
 なにしろ魔王を復活させようとしてた奴だ。
 救世主になるのも断ってたらしいし。

 うーん、しかし、やっぱり何がどうなってるのかわからないな。

「今、世界は三つの勢力に分かれている」

 ふむ……。

「一つは、ヴォルフォニア帝国。皇帝のフィルシオール十七世と、実は魔族だったライレンシア博士が、魔族による大陸の支配を主張してる」

 ライレンシア博士が魔族!?
 また新情報が出てきた……。

「もう一つは、エドと、彼の魔王の力で操られたモンスターの軍団。これが大陸中に増殖して、魔力バランスが崩れて、世界は滅びかけてる」

〈ん? エドが魔王――魔族の王の力を持ってるなら、その二つは同じ勢力じゃないのか?〉

「最初はそうだったけど、途中で分かれたの」

 そっちはそっちでややこしい事情がありそうだ。
 それは後回しにしたほうが良さそうだな。

〈残りの一つは?〉

「私たち」

 とロロコは、ちょうど目の前にきた大きな扉を潜った。

 後に続くと、そこは玉座の間だった。

 そして、そこには――。
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