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第4章 フィオンティアーナ編

153 原初魔法

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 どうも、リビングアーマーの俺です。
 身体をマジカルアーマーってのに変えたらヤベー魔法が使えるようになりました。

 いや、これマジでヤバいでしょ……。

 俺は慌てて、俺の魔法でぶち抜いてしまった穴を覗く。

〈あ、あの、怪我人とか出なかったですか?〉

「ああ。こっち側の壁際には誰もいなかったからな」

 良かったー!

「それより、なんなんだ、今のは」

〈ちょっと魔法の練習を……〉

「勘弁してくれよ。オークの襲撃でみんな疲れてるんだ」

〈すいません……〉

 俺は頭を下げる。

 そこへポローナニアの代表者の一人であるおっさんが現れる。

「何事ですかっ?」

「何事じゃないですよ! どうしてこんなところにこんなすごいマジカルアーマーがあるんですかっ!?」

 すごい勢いで問い詰めるアルメル。
 このオタクドワーフめ……。

 おっさんは俺を見て、

「あ、ああ。それは昔この街の近くで行き倒れていた鍛治師が作り直してくれたものですね。もともとはこの遺跡から出土したものなんですけど」

 おっさんの話によると、こういうことらしい。

 この古代遺跡からは古い時代の武器や鎧兜なんかが発掘された。
 でも、だいたいボロボロで使い物にならなかった。
 なのでこの部屋に放り込んでいた。

 ある日、行き倒れていたところを助けた鍛治師に、その話をした。
 鍛治師が興味を持ったので案内した。
 すると鍛治師は目の色を変え、自分に修復をさせてほしいと言ってきた。
 そして、見事な造形の古代の武器防具を甦られたのだという。

「ほとんどの品は芸術品として、当時傾いていた街の財政を立て直すために売りに出されましたが、いくつかが、その鍛治師への恩を忘れないために取ってあります。その鎧はそのうちの一つですね」

〈そんな大事なもの、使っていいんですか?〉

「構いません。他にもまだ残っていますし、今は街の危機だ。それを救ってくれるあなたになら、ぜひ使っていただきたい」

 まあ、そういうことならありがたく使わせてもらうか。

 それにしても、古代文明の遺産のマジカルアーマーだって?
 ちょっとすごすぎじゃない?

 そうだ。
 ステータスを確認してみよう。

『リビングアーマー LV.33 名前:リビタン
 HP:5760/5761
 MP:12738/12763
 物理攻撃力:2198
 物理防御力:2245
 魔法攻撃力:3845
 魔法抵抗力:3772
 スキル:霊体感覚+6、霊体操作+9、霊体転移+6、霊体分割+7、原初魔法
 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者、駆け出し魔導師
 称号特典:魔力習得率アップLV.9、魔力変換率アップLV.9、恐怖耐性LV.6、魔力生命力変換LV.9、生命力魔力変換LV.9』

 ひっ!?

 なんかすんげー変化してね?

 ちなみに前のステータスはこんな感じだった。

『リビングアーマー LV.29 名前:リビタン
 HP:4387/4439
 MP:3675/3798
 物理攻撃力:1415
 物理防御力:1225
 魔法攻撃力:29
 魔法抵抗力:30
 スキル:霊体感覚+6、霊体操作+9、霊体転移+6、霊体分割+7
 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者、駆け出し魔導師
 称号特典:魔力習得率アップLV.3、魔力変換率アップLV.3、恐怖耐性LV.6、魔力生命力変換LV.2、生命力魔力変換LV.2』

 魔法攻撃力と魔法抵抗力がいきなり四桁になってる。
 バグかと思った。

 そしてスキルに見慣れない文字がある。

 原初魔法……。

 なんだそれ。

 たぶん、称号特典の恐怖耐性以外が軒並みレベル9になってるのは、それのせいだ。

「ラッカムさんに聞いたことある」

 とロロコ。
 おお!
 超久しぶりのラッカムさん情報!

「原初魔法はヘルメスが使っていた魔法」

 ヘルメス……。
 原初の魔法使いとか呼ばれる、大昔の魔法使いだよな。

 ダンジョンの入り口にある館を建てたり。
 ゴーレムを造ったり。
 魔王を倒したりと。
 いろいろな噂のある、伝説の人物。

 そのヘルメスの魔法を、俺が使えるようになった?

 マジで?
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