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第4章 フィオンティアーナ編

145 お、お、オーク来い

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 アントンさんに頼まれ、品物を船で運んでポローナニアまでやってきた俺たち。

 あ、アントンさんってのはヴェティアンの大商人だ。
 ヴェティアンは今オークの襲撃を受けている。
 そっちは他の冒険者が退治するらしいんだけど。
 アントンさんは俺たちに品物の輸送を依頼してきた。
 目的地はフィオンティアーナ。
 どうせそっちに戻るからってことで俺たちは引き受けた。

 ……んだけど。

 上陸しようとしたポローナニアの港。
 そこがオークの群れに埋め尽くされていたのだ。

「どどどどどういうことですか!」

 アルメルがパニクって船員を問い詰める。
 船員も困惑した顔で、

「知らねえよ! お前さんがたこそなにか知らねえのかよ!」

 そんなこと言われても……。
 アントンさんの部下の、案内役の男の人はさっき海に飛び込んでしまった。
 泳ぎが相当得意らしく、もう遠くに行ってしまった。

「こっちの町にもオークが出現した?」

 ロロコが淡々と考えを口にする。
 ロロコはどんなときでも落ち着いてるなぁ。

「それにしては、この船に向かってなにか叫んでいるようだが」

 クラクラもわりと落ち着いた口調で言う。
 うん、さすが騎士だ。
 肝が座ってる。

「遠すぎてなにを言っておるかわからんな」

 ドグラも普段通りの口調だ。
 ドラゴン娘が動じるような事態じゃないってことか。

 ……なんか落ち着いてる奴が多すぎて、混乱してる方がおかしい気がしてくるな。

 もう一人、普段通りのやつがいるし。

「船頭どの。もそっと船を岸に寄せられぬか」

 忍者のヒナワがそう言う。

 しかし船員はブルブルブルと頭を振る。

「じょ、冗談じゃねえ! あんなところ近づいてたまるか。このまま引き返したいくらいだ!」

 まあそうだよなぁ。

 それに、あまり近づきすぎるとまたクラクラがオークに見惚れてしまう。
 勢い余って岸に上陸してしまったりしたら面倒だ。

〈やっぱり引き返すべきかな――〉

 そう思ってたところに。

 ――ドガン!

 なになに!?

 ぎゃー!
 船室が吹っ飛んだ!

「た、大変です! 積荷が爆発しました!」

 船員が知らせにくる。

 どういうこと?
 この船、アントンさんの品物しか積んでないはず。
 つまり、爆発したのはその品物ってこと?

 どんな危険物なんだよ!

 ――ブシャー!

 今度はなんだよ!

 吹っ飛んだ船室から、なんか噴水みたいに水が噴き出してきた。
 バシャバシャと俺たちに降り注ぐ。

「なんだ、船底に穴が開いたのか!?」

「いえ、船底は無事です。これは積荷から噴き出してます!」

 と船員同士のやり取り。

 たしかに降り注いでるのは海水じゃない。
 けど、ただの真水でもないな、これ。

 なんかちょっとベタベタするし、変な臭いもする。

「これは……まままマズいです! 早く船を沖へ!」

 アルメルが叫ぶ。

 しかし船員は否定する。

「バカいえ。こんな状態で沖に出られるか!」

「でもこのままじゃ……いやーーーーー!」

 アルメルが悲鳴をあげた。

 見れば、岸に群がっていたオークたちが、海に飛び込んでこちらへ泳いでくる。

 うわ、なんで!?

「この水、オークが好きな臭いを混ぜ込んでるんです!」

 なんだってー!?
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