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第4章 フィオンティアーナ編

129 メディシア家とドグラはとっても仲良し!

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 どうも、リビングアーマーの俺です。
 俺たちは、態度が急変した兵士に案内されて、フィオンティアーナの城門を潜った。

 検問を受けるため並んでいる人たちから物珍しそうな視線を浴びる。
 まあ、仕方ないっちゃ仕方ない。

 全身鎧の俺。
 人犬族のロロコ。
 エルフのクラクラ。
 ドワーフ嬢のアルメル。
 ドラゴン娘のドグラ。
 まああとついでだが、俺の鎧の中にはゴブリン娘のラファがいる。

 どう見ても特別待遇で中に入れてもらえるようなメンツではない。
 本来なら検問の列に延々並び続ける必要があるだろう。
 その上で、怪しいので通してもらえないなんてことになりかねない。

 けど、ドグラが兵士に言った言葉で、俺たちは通してもらえることになった。

 ドグラは、フィオンティアーナの当主であるラフィオンに、

『執務室の左から二番目の棚の、上から三番目の引き出しに入っている箱を開封して中の手紙を読め』

 と伝えるよう言っていた。

 その結果あっという間にお目通りが叶うことになったわけだけど……。
 いったい手紙にはなにが書いてあるんだ?

◆◇◆◇◆

 うっわ!
 すっご!
 なにこの屋敷!

 俺はこの世界にきて初めて見る、豪華すぎる室内に頭がクラクラしていた。
 いやエルフのクラクラは関係ないよ。

 バリガンガルドの建物も立派だった。
 けど、あっちはなんていうか実用的な立派さだった。
 雨風に強いとか。
 モンスターや敵兵の攻撃に耐えられるとか。
 そういう立派さだ。

 今俺たちがいるフィオンティアーナ当主の屋敷はそうじゃない。
 経済的に豊かで。
 文化が発展してて。
 その恩恵を目一杯発揮してる。
 そんな豪華さだ。

 もうとにかく家具がすごい。
 派手。
 絨毯も派手。
 壁紙も派手。
 あとめちゃくちゃでかい絵画が大量に飾られている。
 壺とか彫刻とかもいっぱいある。

 ザ・大商人のお屋敷って感じだ。

「フィオンティアーナの当主メディシア家は商業都市群の代表でもありますからね」

 アルメルが感嘆の息を漏らしながら言う。

「特に今の当主であるラフィオン様は交易のための巨大船を建造するため、保険制度と銀行制度を整えた有能な実業家でもあります」

 なるほど……。
 政治の実権を握っている上に、経済的にもノリノリ。
 そりゃこんな屋敷にも住もうってもんだ。

「お待たせいたしました」

 俺たちが話していると、噂の当主が現れた。

 豪奢な服に身を包んだ、白髪の老人だった。
 とはいえ、年寄りって感じは全然しない。
 今すぐ自ら船に乗り込んで旅に出るのも可能そう。
 そんなオーラがバンバン出てる。

「メディシア家当主のラフィオンです。ドグラ様は……」

「我じゃ」

 大物オーラバリバリのラフィオンに、ドグラは遠慮なく胸を張って答える。

 すると、ラフィオンは彼女に対して膝をついて頭を下げた。

「お目にかかり光栄でございます。メディシア家は代々、貴方様のご来駕をお待ち申し上げておりました」
「うむ! 苦しゅうないぞ!」

 ええええ……!?
 そういう人間関係なの?

〈あ、あの、その手紙とやらにはなにが書かれてたんですか?〉

 気になりすぎる。
 なりすぎてうっかり尋ねちゃったじゃん。

「ドグラ様。手紙をこの方々にお見せしてもよろしいでしょうか?」
「かまわんぞ」

 ラフィオンは懐から手紙を取り出すと俺に渡してきた。
 受け取って広げるけど……読めん。
 当たり前だけど。

 横からロロコが覗き込んで、言ってくる。

「古い字。わたしじゃ読めない」

 クラクラとアルメルも見てくる。

「これは……古フィルリア文字か?」
「それにしては、文法が変則的じゃないですか?」

「そこは我が間違えたのじゃ!」

 ドグラが真っ赤になって俺から手紙を取り上げる。

「幼い頃のことじゃからな……」

〈で、結局なんて書いてあるんだ?〉

「ざっくり言うと、我が当時のメディシア家の当主が遭難しているところを助けたから、お礼にどんなときでも屋敷に訪問し、頼み事があればどんなことでも聞く、とそんなようなことが書いてある」

 ドグラは服の中からボロボロの紙を取り出した。

「当時の当主……マルコと言ったかの。その者の書き付けも持っておるぞ」

「拝見いたします」

 ラフィオンはそれを受け取り、目を通す。

「確かに、間違いございません。ドグラ様、お連れの皆様も、ようこそお越しくださいました。どうぞなんなりとおくつろぎください」

「そうもいかん。おい、リビタン」

〈あ、うん〉

 俺は鎧の内側にいたラファを取り出した。

 ラフィオンさんには俺の正体がバレるわけだけど。
 まあ、ドラゴンと知り合いなんていう人だ。
 かまわんだろ。

「ふぅむ、魔力過活性症ですか」

 実際、ラフィオンさんはさして驚くこともなく、ラファの症状について言及する。

「確かに魔力関連の症状に強い医師はおります。ですが……」

〈ですが……なんです?〉

「……いえ、すぐに手配をいたします。お待ちください」

 そう言ってラフィオンさんは部屋を出ていった。

 なんだろう。
 なんか気になることを言うなぁ。

 とはいえ医者は呼んでもらえるようだ。
 これでなんとかなるか……?
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