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第3章 絶海の孤島ダンジョン編
125 商業都市フィオンティアーナへ
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むかしむかし。
ドラゴンはあるエルフに恋をした。
ドラゴンはプロポーズをし、エルフはそれを受け入れた。
けれど、ドラゴンは魔法使いに攻撃され、封印されてしまった。
ドラゴンは数百年の長い眠りについてしまった。
……というわけである。
ドラゴンというのが俺たちが追ってきたドグラのこと。
エルフというのが、ドグラがずっと言っているライレンシアのことだ。
ライレンシアはクラクラにそっくりらしい。
ひょっとしたら血が繋がっているのかもしれないな。
バリガンガルドの近くの湖にそのエルフの名前がついている理由。
それと、ゴーレムが自分をライレンシアと呼んでいる理由。
それについては、
「知らん。わからん」
ドグラはそう言い捨てた。
「人間どもが我とライレンシアの間の契りを聞き、面白半分に名付けたのか知らんが、勝手なことをするなと言いたい」
不満たらたらだな。
まあ気持ちはわかるけど。
「けど、あの、どうしてドグラさんは封印されたんです?」
とアルメル。
それもそうだ。
エルフに求婚するくらいだし、人間に敵対的なドラゴンじゃなかったのでは?
あれ?
でも、たしかエドは、ドラゴンがひどい災厄をもたらしたとか言ってなかったっけ?
七つの都市を滅ぼしたとかなんとか。
俺がそう問うと、ドグラは目をとんがらせて怒った。
「それは我の双子の妹じゃ! 人間どもから見れば見分けが付かんから、勘違いして我を封印したのじゃ、あのバカ魔法使いめ!」
あ、そうなんだ。
じゃあ、その双子の妹のドラゴンはどうなったんだ?
「知らぬ。我は封印されて眠っておったのじゃからな」
そりゃそうだな。
うーん、つまりだ。
ドグラはライレンシアというエルフと結婚しようとしていた。
けど、勘違いで妹と間違われて封印されてしまった。
そして、眠りについている間に、ライレンシアは……。
なんか、可哀想だな。
「クラクラ、許してあげなよ」
ロロコが言う。
クラクラはうなずいて、
「そうだな……事情は察する。私も国に戻れれば文句はない」
「うわーん! クラクラは優しいのじゃ! きっとライレンシアの生まれ変わりじゃ! やっぱり結婚するのじゃ! 婚礼の準備じゃ初夜の準備じゃ!」
がしっ! とクラクラに飛びつくドグラ。
「はなせぇ! 私にそっちの趣味はない!」
まったく緊張感のない感じになってきたな……。
ともあれ問題はこれで解決だ。
俺たちはバリガンガルドに戻ってことの次第を報告。
クラクラはフリエルノーラ国に戻って、ガレンシア公国からの独立を進められる。
リザルドさんたちは、いったん戻って出直しするっぽい。
俺はここまで案内してくれたゴブリン娘に声をかける。
〈ラファ、サンキューな。お前のおかげで――ラファ!?〉
見れば、ラファが地面に倒れていた。
慌てて駆け寄る。
「すごい熱です……!」
額に触れたアルメルが叫ぶ。
たしかに、呼吸も荒くて苦しそうだ。
なにかの病気か?
「それは魔力過活性症じゃな」
ドグラが言ってくる。
〈病気なのか?〉
「うむ……体内の魔力循環が活発化しすぎて起こる症状じゃ。おそらくその義手のオリハルコンのせいじゃろう」
ドグラはラファの左腕のゴーレムパーツを指差す。
「オリハルコンは魔鉱石の十倍以上の魔導率を誇る。そんなものを直に取り付けて使っておれば、そうなるのも仕方なかろう」
〈でも、彼女はこれまでずっとこの義手を使ってたみたいだぞ……?〉
「あのゴーレムのせいじゃろ」
とドグラは海辺に立つ巨大ゴーレムを指差す。
「ゴーレムが活動したことで、近くにあるオリハルコンが活発化したんじゃ」
そうか……。
つまり、ラファのこの症状は、俺たちと一緒に行動してたせいってわけか。
「魔力過活性症は放っておくと重症化する。このままでは体内の魔力が際限なく活性化し続けて、やがて肉体が耐えられなくなって……」
その先は聞かなくても想像がついた。
くそっ、どうすりゃいいんだ。
〈どうすれば治るんだ? その魔力過活性症ってのは〉
「うむ……オリハルコンを取り外すしかなかろうな」
〈取り外すって……〉
そんな無茶な。
ラファの義手は、彼女の肉体と思い切り融合してしまっている。
こんなの取り外せるわけがない。
「いや、それなら、なんとかなるかもしれないぞ」
と言ってきたのはリザルドさんだ。
え? マジで!?
「フィオンティアーナなら、医術が発達していて、医者がたくさんいる。オリハルコンを取り外す手術をできるやつもいるかもしれねえ」
フィオンティアーナ?
なんか聞き憶えがあるな。
ええと……。
「クーネアさんが来いって言ってた」
それだ!
よく憶えてたなロロコ。
たしか大陸南方の商業都市郡の中心都市だっけ。
チェインハルト商会がなんか実験を行っているとかなんとか。
そういう土地なら医術も発達してそう。
よし!
そうと決まればさっそく向かおう!
目指すはフィオンティアーナ!
ドラゴンはあるエルフに恋をした。
ドラゴンはプロポーズをし、エルフはそれを受け入れた。
けれど、ドラゴンは魔法使いに攻撃され、封印されてしまった。
ドラゴンは数百年の長い眠りについてしまった。
……というわけである。
ドラゴンというのが俺たちが追ってきたドグラのこと。
エルフというのが、ドグラがずっと言っているライレンシアのことだ。
ライレンシアはクラクラにそっくりらしい。
ひょっとしたら血が繋がっているのかもしれないな。
バリガンガルドの近くの湖にそのエルフの名前がついている理由。
それと、ゴーレムが自分をライレンシアと呼んでいる理由。
それについては、
「知らん。わからん」
ドグラはそう言い捨てた。
「人間どもが我とライレンシアの間の契りを聞き、面白半分に名付けたのか知らんが、勝手なことをするなと言いたい」
不満たらたらだな。
まあ気持ちはわかるけど。
「けど、あの、どうしてドグラさんは封印されたんです?」
とアルメル。
それもそうだ。
エルフに求婚するくらいだし、人間に敵対的なドラゴンじゃなかったのでは?
あれ?
でも、たしかエドは、ドラゴンがひどい災厄をもたらしたとか言ってなかったっけ?
七つの都市を滅ぼしたとかなんとか。
俺がそう問うと、ドグラは目をとんがらせて怒った。
「それは我の双子の妹じゃ! 人間どもから見れば見分けが付かんから、勘違いして我を封印したのじゃ、あのバカ魔法使いめ!」
あ、そうなんだ。
じゃあ、その双子の妹のドラゴンはどうなったんだ?
「知らぬ。我は封印されて眠っておったのじゃからな」
そりゃそうだな。
うーん、つまりだ。
ドグラはライレンシアというエルフと結婚しようとしていた。
けど、勘違いで妹と間違われて封印されてしまった。
そして、眠りについている間に、ライレンシアは……。
なんか、可哀想だな。
「クラクラ、許してあげなよ」
ロロコが言う。
クラクラはうなずいて、
「そうだな……事情は察する。私も国に戻れれば文句はない」
「うわーん! クラクラは優しいのじゃ! きっとライレンシアの生まれ変わりじゃ! やっぱり結婚するのじゃ! 婚礼の準備じゃ初夜の準備じゃ!」
がしっ! とクラクラに飛びつくドグラ。
「はなせぇ! 私にそっちの趣味はない!」
まったく緊張感のない感じになってきたな……。
ともあれ問題はこれで解決だ。
俺たちはバリガンガルドに戻ってことの次第を報告。
クラクラはフリエルノーラ国に戻って、ガレンシア公国からの独立を進められる。
リザルドさんたちは、いったん戻って出直しするっぽい。
俺はここまで案内してくれたゴブリン娘に声をかける。
〈ラファ、サンキューな。お前のおかげで――ラファ!?〉
見れば、ラファが地面に倒れていた。
慌てて駆け寄る。
「すごい熱です……!」
額に触れたアルメルが叫ぶ。
たしかに、呼吸も荒くて苦しそうだ。
なにかの病気か?
「それは魔力過活性症じゃな」
ドグラが言ってくる。
〈病気なのか?〉
「うむ……体内の魔力循環が活発化しすぎて起こる症状じゃ。おそらくその義手のオリハルコンのせいじゃろう」
ドグラはラファの左腕のゴーレムパーツを指差す。
「オリハルコンは魔鉱石の十倍以上の魔導率を誇る。そんなものを直に取り付けて使っておれば、そうなるのも仕方なかろう」
〈でも、彼女はこれまでずっとこの義手を使ってたみたいだぞ……?〉
「あのゴーレムのせいじゃろ」
とドグラは海辺に立つ巨大ゴーレムを指差す。
「ゴーレムが活動したことで、近くにあるオリハルコンが活発化したんじゃ」
そうか……。
つまり、ラファのこの症状は、俺たちと一緒に行動してたせいってわけか。
「魔力過活性症は放っておくと重症化する。このままでは体内の魔力が際限なく活性化し続けて、やがて肉体が耐えられなくなって……」
その先は聞かなくても想像がついた。
くそっ、どうすりゃいいんだ。
〈どうすれば治るんだ? その魔力過活性症ってのは〉
「うむ……オリハルコンを取り外すしかなかろうな」
〈取り外すって……〉
そんな無茶な。
ラファの義手は、彼女の肉体と思い切り融合してしまっている。
こんなの取り外せるわけがない。
「いや、それなら、なんとかなるかもしれないぞ」
と言ってきたのはリザルドさんだ。
え? マジで!?
「フィオンティアーナなら、医術が発達していて、医者がたくさんいる。オリハルコンを取り外す手術をできるやつもいるかもしれねえ」
フィオンティアーナ?
なんか聞き憶えがあるな。
ええと……。
「クーネアさんが来いって言ってた」
それだ!
よく憶えてたなロロコ。
たしか大陸南方の商業都市郡の中心都市だっけ。
チェインハルト商会がなんか実験を行っているとかなんとか。
そういう土地なら医術も発達してそう。
よし!
そうと決まればさっそく向かおう!
目指すはフィオンティアーナ!
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