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第3章 絶海の孤島ダンジョン編
118 ゴーレムの名は
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絶海の孤島ダンジョンの本島エリアを目指す俺たち。
リビングアーマーの俺。
人犬族のロロコ。
ドワーフ嬢のアルメル。
ゴブリン娘のラファ。
リザルドさんたち冒険者部隊の皆さん。
俺たちの前に、ゴーレムが出現した!
――どごおおおおおおおおん!
と、壁をぶち破って現れたそいつは、前のゴーレム団子……
……じゃない!?
あれ、なんで!?
ゴーレムはしっかりゴーレムの姿をしていた。
リビングアーマーである俺と同じくらいの身長。
ちゃんと胴体があって、頭があって、腕があって脚がある。
人型だ。
ん?
いや、違うぞ。
よく見ると人型じゃない。
ゴーレムの背中。
そこに大量のパーツが尻尾みたいにいっぱいくっついている。
それがめちゃくちゃに暴れまわって穴をどんどん広げてってる。
『危険危険危険危険危険』
相変わらずそんなことを繰り返しているゴーレム。
いや危険なのはお前なんだって!
――ギロッ!
ひっ!
ゴーレムの目がこっち睨んだ!
目というか。
頭部に丸いくぼみが二ヶ所あって、そこが光ってるのだ。
それがこっちを向いた気がした。
『せい制御しすしすシステムがエラーエラーエラー……正しい正しい正しい命令系統を構築構築構築するするためにためにために……術式回路の補充が必要必要必要……』
うん?
前とちょっと違うこと言ってるな?
なんだって?
制御システムがエラー?
正しい命令系統を構築するために?
術式回路の補充が必要?
なるほど…………わからん。
「まさか……」
お、アルメルはわかるのか?
「これは、大変なことになっているかもしれません」
「なんだ、穏やかじゃねえな」
リザルドさんに促され、アルメルは説明する。
「ゴーレムは体内に刻まれた魔法の術式によって動くとされています。ゴーレムは自分が活動するために必要な術式が体内にない場合、自らパーツを補充します」
なるほど。
それであのゴーレムはパーツをどんどん取り込んでいるんだな。
「ただ、術式が充分に揃ったかどうかを判断する回路が欠損している場合、ゴーレムは無限に術式を求め続けることになります。多分あのゴーレムはその状態になっているんじゃないかと……」
なるほど。
だから一体分のパーツが揃った後もああして再現なく合体し続けてるのか。
「じゃあ、あのゴーレムは止まらないの?」
ロロコの問いに、アルメルは頷く。
「はい……多分、少なくともこの絶海の孤島ダンジョンにある全てのゴーレムパーツを集め切るまでは動き続けるでしょう」
なるほど。
………………うん。
それは、すっごく………………大変だな。
『術式を補充補充補充補充補充充充充充充充充充充充充充充――』
ぬおおおおおおおお!?
ゴーレムの背中にくっついてるパーツがロボットアームみたいに飛び出した。
四方八方に向かって、洞窟をどんどん破壊していく。
もう俺たちを追ってくる感じではない。
けど、危険極まりないことには変わりない。
〈逃げろ!〉
俺たちは一斉に駆け出した。
『新新新たな回路回路回路を接接接続……個体名称識別術式を確認確認認……以降本個体をライレンシアと呼称呼称呼称称称……』
俺たちの背後でゴーレムがなんか言ってる。
ふーん。
あのゴーレム、ライレンシアって名前なんだ……。
……………………ライレンシア?
リビングアーマーの俺。
人犬族のロロコ。
ドワーフ嬢のアルメル。
ゴブリン娘のラファ。
リザルドさんたち冒険者部隊の皆さん。
俺たちの前に、ゴーレムが出現した!
――どごおおおおおおおおん!
と、壁をぶち破って現れたそいつは、前のゴーレム団子……
……じゃない!?
あれ、なんで!?
ゴーレムはしっかりゴーレムの姿をしていた。
リビングアーマーである俺と同じくらいの身長。
ちゃんと胴体があって、頭があって、腕があって脚がある。
人型だ。
ん?
いや、違うぞ。
よく見ると人型じゃない。
ゴーレムの背中。
そこに大量のパーツが尻尾みたいにいっぱいくっついている。
それがめちゃくちゃに暴れまわって穴をどんどん広げてってる。
『危険危険危険危険危険』
相変わらずそんなことを繰り返しているゴーレム。
いや危険なのはお前なんだって!
――ギロッ!
ひっ!
ゴーレムの目がこっち睨んだ!
目というか。
頭部に丸いくぼみが二ヶ所あって、そこが光ってるのだ。
それがこっちを向いた気がした。
『せい制御しすしすシステムがエラーエラーエラー……正しい正しい正しい命令系統を構築構築構築するするためにためにために……術式回路の補充が必要必要必要……』
うん?
前とちょっと違うこと言ってるな?
なんだって?
制御システムがエラー?
正しい命令系統を構築するために?
術式回路の補充が必要?
なるほど…………わからん。
「まさか……」
お、アルメルはわかるのか?
「これは、大変なことになっているかもしれません」
「なんだ、穏やかじゃねえな」
リザルドさんに促され、アルメルは説明する。
「ゴーレムは体内に刻まれた魔法の術式によって動くとされています。ゴーレムは自分が活動するために必要な術式が体内にない場合、自らパーツを補充します」
なるほど。
それであのゴーレムはパーツをどんどん取り込んでいるんだな。
「ただ、術式が充分に揃ったかどうかを判断する回路が欠損している場合、ゴーレムは無限に術式を求め続けることになります。多分あのゴーレムはその状態になっているんじゃないかと……」
なるほど。
だから一体分のパーツが揃った後もああして再現なく合体し続けてるのか。
「じゃあ、あのゴーレムは止まらないの?」
ロロコの問いに、アルメルは頷く。
「はい……多分、少なくともこの絶海の孤島ダンジョンにある全てのゴーレムパーツを集め切るまでは動き続けるでしょう」
なるほど。
………………うん。
それは、すっごく………………大変だな。
『術式を補充補充補充補充補充充充充充充充充充充充充充充――』
ぬおおおおおおおお!?
ゴーレムの背中にくっついてるパーツがロボットアームみたいに飛び出した。
四方八方に向かって、洞窟をどんどん破壊していく。
もう俺たちを追ってくる感じではない。
けど、危険極まりないことには変わりない。
〈逃げろ!〉
俺たちは一斉に駆け出した。
『新新新たな回路回路回路を接接接続……個体名称識別術式を確認確認認……以降本個体をライレンシアと呼称呼称呼称称称……』
俺たちの背後でゴーレムがなんか言ってる。
ふーん。
あのゴーレム、ライレンシアって名前なんだ……。
……………………ライレンシア?
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